日本自動車研究所(JARI、つくば市苅間、鎌田実所長)は4月上旬から、TX研究学園駅南側に保有する未利用地16ヘクタールの売却手続きを開始した。13~14日には、購入を希望する企業による現地(つくば市学園南2丁目)見学会が開かれた。
売却は取得希望企業に活用計画を提出させる公募型プロポーザル(提案)方式で実施される。8月に提案書類を締め切ったあと、売却先を10月に決め、11月に売買契約を結び、12月に用地を引き渡す。最低売却価格は92億4000万円。
日本自動車工業会の関連組織JARIのつくば研究所には、高速テストコースが設けられていた。ところが敷地内をTXが横切ることになり、同コースは2005年に城里町に移された。売却される未利用地はJARI全敷地(80ヘクタール)の一部。研究学園駅南側の駅前公園とエキスポ大通りの間に位置し、敷地を縦断する市道5-1711号線の東側。
不動産業者は「商業店舗が多い駅北側に比べると安いものの、坪(3.3平方メートル)50~60万円はする。土地だけでも240~290億円になるだろうから、大きな開発事業になる」と取得企業がどこになるか注目している。
「まちづくり」との整合性を審査
JARIによると、土地売却に際しては▽茨城県やつくば市が目指す研究学園駅周辺地域のまちづくり方針などを踏まえた開発計画か▽環境配慮、産業発展、人材育成などを意識した事業計画か▽事業が安定的に運営可能な推進体制か▽提案内容に向け妥当性のある収支計画・資金計画か―などを審査し、売却先を決める。
このために、一色良太JARI専務理事と外部有識者で構成する選定委員会を設置した。メンバーは大澤義明(筑波大学教授)、外山茂樹(つくば不動産研究所長)、豊崎孝浩(豊崎公認会計士事務所長)、星野学(つくば総合法律事務所代表弁護士)の各氏だ。
未利用地の地目は宅地で、都市計画上の用途は準工業地域。用地取得に意欲的な開発会社(デベロッパー)によると、建築条件は建蔽(けんぺい)率60%、容積率200%。この条件だと、戸建て住宅は無理だが、中層マンション、オフィスビル、商業店舗、ホテル、軽工業工場、物流倉庫などは建てられるという。(岩田大志)