金曜日, 5月 3, 2024
ホームつくば不登校、親が悩み語り合う場を つくば 竹園で交流の場

不登校、親が悩み語り合う場を つくば 竹園で交流の場

つくば市竹園地区を中心に活動する「みちくさ~竹園学園“教室や学校に行きづらい子ども”の親の会」が、学校生活に不安を抱える親の悩み相談に乗っている。結成されて1年。父親たちも悩みを分かち合う「オヤジの会」を立ち上げ、交流の輪を広げようと活動している。

薄桃色の花が満開を迎えた庭に炭火焼きの煙が立ち上る。川村正二さん(45)が小銭と引き換えに手渡したフランクフルトに、子どもたちは大きく口を開けてかぶりついた。

フランクフルトの出店を企画した「オヤジの会」の川村正二さん

1日、同地区に住む川村さんと妻の真理子さん(38)が自宅近くで営むフリースクール「テラ子屋つくば」の1周年イベント。川村さんはこの日、「オヤジの会」のメンバーの父親とともに、フランクフルトをふるまった。

川村さん夫妻は昨年4月、「テラ子屋」を立ち上げた。市内の別のフリースクールと掛け持ちで小3~小6の子ども約10人が通っている。設立のきっかけは2年前の夏から次男(8)が不登校になったことだった。

ブラジリアン柔術の道場を営む川村さん自身は不登校を経験しておらず、最初は戸惑った。真理子さんは中学1年から不登校。高校を中退して大検を経て大学を卒業し、社会に出た。経験者だけに、不登校には理解があるつもりだった。

しかし、わが子が小1で不登校になると、すんなり受け入れられない。こんな小さいのに、勉強しなくていいのだろうか。将来どうなってしまうのかー。

学校での勉強が難しいなら、体験を通じて成長を促そう。一緒に料理をしたり、買い物に連れて行ったり。でも、興味が湧かないとそっぽを向かれる。「空回りする日々が続いた」と振り返る。

ドッジボールや鬼ごっこ、カードゲーム…「テラ子屋」で異学年の子どもと笑い合い、時にはケンカして共に時間を過ごす。次男は以前、聞き取れないぐらいの小声でしか話せなかったが、最近は人前でも大きな声で会話できるようになり、少しずつ成長を実感している。

夫とともに会場を訪れた中村規乃さん(47)の高校1年の息子も中1から不登校だった。最初のころは、相談相手が見つからずに苦しんだ。その経験から、仲間と「親の会」を立ち上げ、毎月1回、おしゃべり会を開催している。公式LINEの登録者は60~70人。20~30人と対面で相談に乗る。竹園地区だけでなく、市内全域から相談に訪れる。

不登校への考えが、夫婦で一致しないケースもある。中村さんも、将来を不安視する夫に違和感を抱いた。子どもへの寄り添いを大切にしたいのに、夫は未来を見据えた早い変化を期待する。考えの溝が埋まらず、平行線が続いた時期があった。

自分には母親同士で不登校の悩みを共有する場がある。でも、夫にはない。

「男同士で話せる場をつくってみたら?」

真理子さんや、近所に住む石田佳織さんと語らって、夫たちに「オヤジの会」の旗揚げを促した。初対面で打ち解けるのは難しかろうと、昨夏、集まって手作りピザを焼いたのが初会合。以後も5、6人の父親が集い、バーベキューや飲み会を催して語り合う。

学校に通わずに、どうやって子どもの成長を促し、進路を決めるのか。子どもと同様、父親も即答できない問いを抱えている。

参加者は皆40代。昔の漫画やテレビ番組といった「あるあるネタ」やつくばの街の変貌ぶりをさかなに、グラスを傾ける。

にぎやかな歓談も、話題が子どもの近況に及ぶと、少し、しんみりする。

ぽつりぽつりと、だれかの口から出た悩みや葛藤。「それ、分かります」。すぐに誰かが言葉を拾い、皆でうなずく。それぞれの家族が背負ってきた紆余曲折はなんとなく分かる。だから、子どもの進路が決まったら、よその子でも我が子のように祝える。

中村さんは「不登校に限らず、学校や子どもとの向き合い方に不安を感じる親は多いと思う。まずは連絡してほしい」と参加を呼び掛けている。(鹿野幹男)

◆「親の会」には、http://lin.ee/254RL1tのQRコードからアクセスできる。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

13 コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

13 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img
spot_img

最近のコメント

最新記事

娘と父と、それから戦車《ことばのおはなし》69

【コラム・山口絹記】最近、どういうわけか、夜な夜な娘と戦車のプラモデルを作っている。 一時期、戦車のアニメにはまっていた娘のために、妻が気まぐれで買ってきたのだ。しかし、箱を開けてみると接着剤が必要なタイプのプラモデルである。デフォルメされているといっても部品が結構細かい。 私はプラモデルは全く作らないのだが、私の父がその道に大変造詣が深いため、小さい頃からその手のモノたちに囲まれて育った。特に戦車のプラモデルが多かった気がする。関心はないのに育まれるもの、というのが世の中にはいろいろとあって、親の趣味というのもこれに該当する。 見ればわかるだろう、ということで、おもちゃ屋に行って、見覚えはあるのに名も知らぬ、しかし使い方は知っている道具たちを一式買って手伝うこととなった。あれだけの環境で育ったのにも関わらず自分の趣味にはならなかった戦車のプラモデルを、自分の娘と突然作ることになるのだから人生は相変わらずよくわからない。 こういう時間を大切にする 手伝うと言っても、半分以上の工程は私が作っている。一緒に説明書を読んで、該当する部品を探して、ニッパーで部品を切り離していく。最初は早く完成させたがっていた娘も、最近は落ち着いて作業を進めるようになってきた。見ているだけでも案外楽しいらしい。 そういえば、小さい頃に私も、こうして父に手伝ってもらいながらプラモデルを作ったことがあったな、とふと懐かしい気持ちになる。 自分の手を動かしてやったことというのは、案外よく覚えているものだ。「親と一緒に」というならなおさらだ。娘もそうなるかはわからないが、少なくとも私は「娘と一緒に」作ったことは忘れないだろう。だから、こういう時間は大切にしないといけない。 それにしても、実際に作っていると、もう少し良い道具が欲しいとか、塗装ってやっぱりやったほうがいいのか、などと雑念がわいてくる。凝りだすと大変なのは、よくよくわかっているはずなのだが。(言語研究者)

最近知った「うれしい変化」《医療通訳のつぶやき》8

【コラム・松永悠】最近SNSで偶然、ある投稿を目にしました。投稿者がどこかのアウトレットで買い物をしていると、3人の中国人男性客が、持参したお酒とおつまみを取り出してプチ宴会を始めたそうです。 どうやら買い物中の奥様を待っている感じで、しばらくすると戻ってきた奥さんと合流しました。「ゴミをそのままにするだろうなぁ」と思っていたら、3人がバッグからゴミ袋を取り出して、全部片付けただけでなく、さらにウェットティッシュでテーブルを拭いて、きれいにしてから帰っていったそうです。 「これまで自分の中では中国人観光客=マナーの悪い人と決めつけていた」と投稿が続き、また「どの国にもマナーの良い人、悪い人がいると改めて思った」とも。偶然目にしたこの投稿を読んで、素直にうれしく思いました。 「マネーありマナーなし」は昔の話 医療通訳の仕事柄、日本在住中国人、治療目的で来日する中国人と一緒にいる時間が長いです。私からすると、マナーに関しては年々よくなっています。今でもはっきり覚えているエピソードがあります。10年くらい前に担当した人間ドックのクライアントが院内のゴミ箱の中に直接痰(たん)を吐き出したのです。あまりに突然のことで阻止できず、私も病院の方も仰天しました。 このクライアントは田舎から出てきたお婆(ばあ)さんです。話を聞くと、娘さんがビジネスに成功した方で、親孝行の一環としてお母さんを日本に連れてきて、観光と人間ドックをプレゼントしたそうです。恐らく「ちゃんとゴミ箱の中に吐いたでしょ、何がダメなの?」くらいの感覚です。 他にも、平気で予約時間に大幅に遅刻するとか、病院内で電話するとか、いわゆる「マネーありマナーなし」の人がいました。 しかし状況がどんどん変わってきています。今では丁寧にごあいさつしたり、常に病院に迷惑をかけないように心がけたり、感謝を繰り返したりと、病院も医師も私もみんなにとってありがたいクライアントがほとんどです。 いびきを気にして個室を希望 今年に入ってからあるクライアントを担当するようになりました。心臓病を患っていて、さまざまな検査を経て今週入院して来週開胸手術を受けることになります。かなり大掛かりの手術で、入院も1カ月かかると言われています。 外国でこんな大きい手術を受けるなんて、心配や不安がいっぱいだと思います。しかしこの患者さんは全くそれを出さず、いつも「先生のご判断を信頼していますし、しっかり治療してくれると信じていますので、ご迷惑になるようなことはしません。できることは何でも協力します」とおっしゃいます。 検査入院した時も、自分のいびきが他の患者にとって迷惑になるかもしれないので、個室希望と自ら申し出て、それを聞いた看護師さんたちが大変感動しました。 医師・患者である前に、みんなそれぞれ一人ひとりの人間です。温かみのある言葉でコミュニケーションを取れば、国が違っても心が通じると信じています。そんなお手伝いをするのは医療通訳なのです。素敵(すてき)な仕事だと思いませんか。(医療通訳) <参考> 医療通訳の相談は松永rencongkuan@icloud.comまで。

誰もが安心して暮らせる社会の実現を つくばでメーデー集会 

メーデーの1日、TXつくば駅前の中央公園で、第95回つくば中央メーデー集会(同実行委員会主催)が開かれた。つくば市をはじめ県南、県西地域の研究機関、民間企業、自治体の労働組合など14団体、148人が集まり、「働くものたちの権利を守り、労働環境の改善、市民生活の向上、安心して暮らせる街づくり」を目指すとのメーデー宣言を採択した。 降雨のため予定より1時間縮小しての開催となった。集会後には50人余りがつくば駅周辺をパレードし、賃上げの実現や介護職員の待遇改善などを訴えた。 雨足が激しくなる中、予定より15分繰り上げて9時15分に集会が始まった。冒頭で、主催団体のつくば中央メーデー実行委員会の前田啓委員長(39)がメーデー宣言を読み上げた。 宣言では、物価高騰などを背景に労働者の実質賃金の低迷が続くとし、増加する税金や社会保障費の負担、拡大する格差と貧困を前に、安定した雇用環境の実現、労働者への大幅賃上げを求めた。また、先進国最下位である日本のジェンダーギャップ指数や増加する性暴力(DV)被害を背景にジェンダー平等の実現、能登や台湾での地震とコロナ禍を踏まえて、命と暮らしを守るための体制強化や関係者の処遇改善のほか、研究者の待遇改善を求めることが盛り込まれた。 さらに、原発に依存しない持続可能なエネルギーや社会の実現、東海第2原発の再稼働反対、憲法と民主主義を守り全ての人々の自由と命と暮らしが守られる平和な世界の実現を目指すとし、「働く者の団結で希望の持てる社会を次世代に繋ぐ」と決意が述べられた。 参加団体からは、低下し続ける実質賃金に対する物価高騰に見合った適切な生活保障の確立や、悪化する労働条件の改善と人員の適正配置、不均衡化する研究費の公平な再分配などが求められた。 雨の中をパレード 集会後は約30分にわたりパレードした。筑西市から参加した新井慶治さん(24)は「職場の先輩に誘われて初めて参加した。メーデーの意味について知るきっかけにもなったし、これから職場の環境をより良いものにしていきたい」と思いを語った。 パレードの先頭で掛け声を上げた憲法9条の会つくば共同代表の石上俊雄さん(65)は「強い雨の中だったが、やってよかった。若い方の参加もあった。『何をやっても社会は変わらない』と思いがちだが、あきらめてはいけない。厳しい時代だが、市民が声を上げることがより重要になる」と語った。(柴田大輔)

つくば市の過剰な管理職数の問題を考える《投稿》

現市政下で職員数と人件費が急増 【投稿・酒井泉】自治体の給与・定員管理などについては、総務省が示した統一の様式で公表されています。つくば市の場合は2013(平成25年)から22年(令和4年)までの数字が公表されています。以下、前市長時代と現市長下の職員数と人件費のデータを比較してみました。 ▽市原市長時代(2013年→17年)・人口: 1万1071人増(+5%)・歳出額: 128億4千万円増(+19%)・職員数: 11人減(-1%)・人件費: 2億6千万円増(+2%) ▽五十嵐市長になってから(2017年→22年)・人口: 1万9414人増(+8%)・歳出額: 192億8千万円増(+24%)・職員数: 206人増(+13%)・人件費:+30億3千万円増(+20%) 市原市政下では、人口と歳出額が増えても職員数と人件費は増えていません。ところが五十嵐市政下では、人口増を上回る割合で職員数と人件費が増えています。 ちなみに、24年度予算では、人件費は22年に比べ26億円増え(+14%)、人件費の総額は212億円に達しています。この数字は、市民1人当たり8.3万円になります。16年は7.1万円ですから、五十嵐市政下で17%も増えたことになります。 係長級以上が一般行政職員の半分 22年の一般行政職員数は926人です。その内訳は、部長14人、次長29人、課長88人、課長補佐124人、係長級236人、一般職員435人―となっています。つまり、係長級以上の役職は491人になり、一般行政職員の53%も占めています。半数以上が係長以上ということですから、民間企業で働いている市民はその多さに驚くでしょう。 組織の単位は何人ぐらいが最適か? 1人の人間が一般的に管理できる人数は、様々な研究から、おおむね5~8人、最大でも10人程度と言われています。2人以下の議論では偏った結論になりやすく、仕事のチームが10人を超えると急激にパフォーマンスが下がるという研究もあります(J.リチャード・ハックマン)。 近年、アマゾンの最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス氏は、「チームの最適な人数は2枚のピザを分け合える程度の5~8人である」という『2枚のピザ理論』を提唱しているそうです。 こういった研究結果から、多くの会社や組織では5人前後を最小の単位の「係」とし、その上に「課」や「部」などの上部組織を配置するピラミッド型の人事組織を採用しています。 つくば市の管理職は「望ましい組織」の2倍 組織単位を最低の5人とした場合、4人の係員に1人の係長、4人の係長に1人の課長、4人の課長に1人の部長となり、1つの部の総数は85人になります。そこで、「1つの部の人数を85人。部長1、課長4、係長16、係員64」を望ましい組織と考えて、人員構成の健全度を測る物差しにします。 これで組織作りをすると、22年のつくば市の一般行政職員数は926人なので、85人の部を11部設定したとすると、望ましい管理職構成は、部長11、課長44、係長176、一般職員695になり、管理職総数は231となります。 これに対し、同年の管理職数は、部長と次長が43人(物差しの3.9倍)、課長と課長補佐が212人(同4.8倍)、係長級が236人(同1.3倍)ですから、係長より上の管理職総数は491人(同2.1倍)となります。つくば市の管理職数は明らかに過剰です。 市民とのコミュニケーションが不足 つくば市の場合、係長の下に一般職員が2人くらいしかおらず、市役所内の情報の共有と相談・協力体制が十分ではありません。このため、市の職員は市民と情報を共有して議論することができません。 「人事規律」を無視して職員を処遇するために管理職を増やすと、組織が細分化されたタテ割りの身分制となり、市民と市役所の間のコミュニケーション(民主主義の基本)が機能しなくなります。これは深刻な問題です。(元高エネルギー加速器研究機構准教授、元福井大学教授、つくば市在住)