水曜日, 7月 15, 2026
ホームつくば琉球の希少植物と暮らしを紹介 筑波実験植物園で企画展

琉球の希少植物と暮らしを紹介 筑波実験植物園で企画展

絶滅危惧種など150種

琉球列島由来の希少な植物を知ることができる企画展「琉球の植物−南国を育む植物たち」が20日から、国立科学博物館 筑波実験植物園(つくば市天久保、遊川知久園長)で始まった。展示されているのは、同植物園が保有する琉球列島の植物約400種類の中から、自然界では日本に1株しか残っていなかったり、自生地ではすでに絶滅してしまった希少種など、絶滅危惧種に指定されている約110種を含む150種あまり。

琉球の植物の展示は2019年以来7年ぶりとなり、豊かな自然が育んだ「琉球文化」の紹介にも力を入れる。展示を担当した同植物園研究員の國府方吾郎さん(57)は「琉球列島の豊かな自然とともに、たくさんの植物を有効活用してきた地元の人たちの暮らしを知る機会になれば」と来場を呼び掛ける。会期は29日まで。

展示されているハナコミカンボク。沖縄本島の1カ所にだけ自生する

展示会場は、多目的温室と研修展示場の2カ所。温室では、海岸、海岸林、山地林、低地林、渓流沿いなど琉球列島にある五つの自然環境の自生種を展示する。葉の裏側に赤い小さな花をつけるハナコミカンボクは沖縄本島の1カ所にしか自生していない。ナガミカズラは西表島で1株の自生が確認されている。小指の先ほどの白い花をつけるオリヅルスミレは自然界では絶滅してしまった。新種のアマミマツバボタンは國府方さんが2013年に発見した。

國府方さんは、「(奄美諸島、沖縄諸島などからなる)琉球列島は種の多様性が高く、単位面積あたりの植物種の数は日本本土より45倍多い」とし、背景には三つの理由があるとする。一つ目は、本土に当てはめると青森から高知までに相当する広い緯度差と多様な自然環境だ。「北琉球」とされる屋久島、種子島は本土と同じ温帯で、それ以南は亜熱帯に属する。その中にも乾燥地、湿地、標高の高低などの違いがある。

西表島に1株自生するナガミカズラ(中央)

二つ目は、島ごとの交流が限られることで生まれた独自の進化だ。かつて大陸と地続きだった時代から、島々が分離した時期によっても種の違いが生まれた。大東島に限っては一度も他の土地との接続がない。

三つ目は、混ざり合うことだという。遺伝的にオーストラリアにある植物と近い種は、北へ向かう渡り鳥が種を運び分布するようになったと考えられている。その他、動物や人の移動、海流などにより、日本本土や東南アジア、台湾、ユーラシア大陸など世界各地とのつながりが確認されている。國府方さんは「その様子は、アメリカや日本、中国と関わり合ってきた沖縄文化のよう」だと話す。

自然界では絶滅したオリヅルスミレ

文化を自然科学的に研究する必要ある

自身も沖縄出身だという國府方さんが今回力を入れたのが、研修展示場で紹介する琉球列島の植物と共に営まれてきた「人々の暮らし」だ。

地域に自生するキク科の野草 ホソバワダンは白和えなどにして食べられている。商品として流通するのは葉の大きい栽培品種だ。自生種との遺伝的な違いを國府方さんが調べると、意外なことが分かった。流通する品種と遺伝的に近い種が、海を超えた奄美や屋久島、平戸、対馬にあったのだ。

「近い種が沖縄の自生種ではなかった。元になるのは一つの株だということも分かった。昔、おいしいホソバワダンと出合った誰かが株をひとつ持ち帰った。近所の人にも食べさせたいと思い、株を分け合った。そんな様子目に浮かぶ」と笑顔を浮かべる。

研修展示場では、琉球列島の文化が紹介される

このほか、「どこの学校にもあった」という大きく枝を広げるガジュマルの木と、そこに宿るとされる精霊のキジムナーの物語、葉を編んで草履にしたアダン、扇や笠にしたビロウ、赤い実が飢饉を救い、味噌にも用いられてきたソテツなど、琉球列島の人々の暮らしを支え、文化をもたらしてきた身近な植物も丁寧に紹介している。

「文化というのは自然から生まれたもの。私たち研究者も、文化を自然科学的に研究する必要があると思っている」とし、文化を自然科学的に研究しようというプロジェクトも進行中だと話す。「琉球の植物に関するクイズもあり、特製のポストカードのプレゼントもある。お子さんにも楽しんでもらえたら」と話す。(柴田大輔)

◆企画展「琉球の植物ー南国を育む植物たち」は20日(金・祝)~29日(日)の10日間、つくば市天久保4-1-1 国立科学博物館 筑波実験植物園で開催。開園時間は午前9時~午後4時30分(入園は4時まで)。入園料は一般320円、高校生以下と65歳以上は無料。詳しくは同植物園のホームページ、問い合わせは電話029-851-5159(代表)へ。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

3 コメント

3 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

つくばの地酒がクラフトビール審査会で金賞

筑波山麓の地ビール醸造・販売所「つくばブルワリー」(つくば市筑波、ペブルス経営)=24年6月23日付=で作られた2種類の地ビールが、今年2月に開催された日本最大級のクラフトビール審査会「ジャパン・グレートビア・アワーズ2026」(日本地ビール協会主催)で金賞を受賞した。同社の延時崇幸社長らが14日、つくば市役所を訪れ、五十嵐立青市長に受賞を報告した。 金賞を受賞したのは「常陸の不死鳥ライスセゾン」と「月水石ヘイジー アイピーエー(GHAZY IPA)」の2種類。同審査会は、地ビールの品質向上を目的に国内で醸造されるビールに特化して、外観、アロマ、フレーバー、ボディ、全体印象などの審査が行われる。受賞のカテゴリーは100に上る。金賞を受賞した2種類はそれぞれ、ケグ(樽)部門などで受賞した。個性や飲みやすさのバランスなどが審査されるという。 受賞した「常陸の不死鳥」はトロピカルでフルーティーな味わいで、とろっとした飲み口、「月水石」はすっきりした甘味を感じながらスパイシーな要素もあるのが特徴。共に醸造所で人気があるという。醸造は、地元産にこだわり、筑波山麓のブランド米「小田米」、桜川市産の麦「ユメシホウ」、筑波山周辺地域で古くから栽培されている「福来(ふくれ)みかん」なども積極的に取り入れる。 延時社長(44)は「昨年銀賞だったものが、金賞をとれたのでとてもうれしい。クラフトビールは素材選びが作り方と同じぐらい重要。ホップはニュージーランドのものを使っている。初年度の生産は4万リットル、次年度は5万リットルでゆっくりと伸ばしている。今の施設では7万リットルまで作れるので、これからもがんばっていきたい。世界の審査会にも進出したい」と語る。 延時社長は、同市の地酒乾杯条例を推進する「つくばのおさけ推進協議会」の会長も務める(24年5月25日付)。「県全体のお酒のイベントを構想中。また各地の醸造所をつなぐツアーなどが企画できれば」と抱負を語る。 五十嵐市長は「金賞を二つもとったというのはつくば市にとっても誇らしい。つくばブルワリーは以前からファンで、特に『金色姫』が好き。これからも応援していきたい。つくばのおさけ推進協議会の会長もやってもらっているので、地域のお酒全体も盛り上げてほしい」と話した。(榎田智司)

煙突のある街で《続・平熱日記》194

【コラム・斉藤裕之】長野県千曲市のギャラリーで「粘土で作る風景」というタイトルで実演をした時の話。モチーフの一つ目は善光寺さん。正面のお姿は参拝時に何度か仰ぎ見ているが、事前に一度訪れた時に県立美術館のある方からも見てみようと歩いていくと、随分と縦に長く、その大きさに改めて驚いた。屋根の色も気になって、調べると檜皮(ひわだ)であるという。 この屋根の吹き替えは大仕事だなと思いつつ、前もって粘土で作っておいたものを描くことにした。 それから、うれしいことに高校の同級生が何人か来てくれるということで、故郷、山口の周南市にちなんで何か…と考えて、「タンカー」を描くことにした。というのも、周南市はかのホルムズ海峡を最初に通過したタンカーを所有する出光興産が最初に製油所を造ったところで、港には日本最大級のタンカーが出入りしていたからだ。 確か、寺田君のお父さんは船乗りだった…、それからつくば市のロケットと…。そうだな、もうひとつぐらい作ろう。そうだ!「煙突」がいい! 百メートル煙突 周南市にはコンビナートがあって、いつの頃か、そこには通称「百メーター煙突」なるものが立った。赤白に塗られた煙突は高校の教室からもよく見えて、私はそれを授業中に描いたのを覚えている。そんなことを思いながら、粘土で作った煙突を大小2本、ひとつには赤白の彩色を施し、もうひとつは時間の都合で塗らないで机の上に置いた。 そうして、いつものように描き始めた。いっぺんには描けないので、善光寺、タンカー、ロケットの順に少しずつ描いていく。最後に煙突を描き始めた。その時、長野在住の高校同級生、藻谷君(弟さんとともに経済アナリストとして名の知れた人)に、「なんでこれは赤白に塗ってあるんだっけ?」と聞いてみた。 「確か航空法で高い煙突は赤白に塗らなくてはいけない…」「確か高い方の煙突を塗った後に低い方は塗らなくていいということになって白いままだったと思う」と言い出した。「そんなはずはない。煙突は全て赤白だったはず!」と思って、もう一人の同級生ジュンちゃんに聞いたら、「私も赤白だったと思う」と。 それから牛久に戻って、描きかけの絵を仕上げようと思い、特に煙突の絵は藻谷君が出来上がりを期待していたので、ネットで念のため確認したら…。なんと、低い方の煙突は白いではないか。人の記憶とは何といい加減なものか。それを藻谷君にメールすると、「斉藤君は無意識に低い方を白いままにしていたのでは」という気遣いあふれる返信が。 私の原風景 そういえば、この煙突がある風景がアニメ映画のモデルになったらしいということを聞いた。偶然にも、ギャラリー・オーナーのかおりさんはその映画のファンだったのだ。そんなオチもついて…。 夏の夜、ベランダに出て昼間の海風から変わって、山から吹く新鮮な風にたなびく煙突の煙を見ながら、深呼吸をした。それは紛れもなく私の原風景。(画家)

土浦日大 投手4人で無安打コールド【高校野球茨城’26】

第108回全国高校野球選手権茨城大会は8日目の14日、3回戦に入り、J:COMスタジアム土浦の第1試合では土浦日大が下館工と対戦。守っては投手4人のリレーで無安打無失点に抑え、攻撃では16安打13得点と打線爆発した。 14日 3回戦 J:COMスタジアム土浦 第1試合土浦日大 3011206 13下 館 工 0000000 0 土浦日大は初回の攻撃で3点を先制。まず2死一・三塁で5番・青木智潤の打席の時、2球目で一走・根津然斗がスタートを切り、続いて三走・伊勢山暖もスタートし、本塁を陥れた。これはダブルスチールかと思いきや、伊勢山の独自判断だったそうだ。「送球が浮いたら行こうと思っていた。いつもやっていることが普段通りにできた」と伊勢山。この後、根津は青木の右前打で生還し、青木も7番・大立克輝の左前打で生還した。 投手は左腕の板橋悠希が先発し、3イニングを無安打。「ストレート中心で押して、変化球で打ち取った。吉田(惺南、捕手)のリードでいい投球ができた」と板橋。「相手は積極的にバットを振ってくる。外角中心に組み立て、各投手がしっかり投げきってくれた」と吉田。3回裏は守備陣の活躍もあった。先頭打者を四球で出したが、次打者の送りバントは2-6-4の併殺で返り討ちに。その後死球で再び走者を背負うが、次打者の三ゴロは三塁手・林悠哉が横っ飛びで捕球し、事なきを得た。 攻撃陣はその後も順調に得点を重ねた。3回は左前打で出た青木が6番・林の左前打で返り、1点追加。4回は1死三塁から根津の右犠飛で伊勢山が生還。5回は7番・大立克輝が左前打で出塁し、8番・高石涼太の右中間二塁打で生還、高石も伊勢山の右前打で生還した。伊勢山、大立、高石はいずれもこの試合3安打の活躍。 7回はビッグイニングになった。林、大立、高石、伊勢山と途中出場の青山紘大で三塁打2本、二塁打2本、単打1本のつるべ打ち。とどめは吉田の2点本塁打。「今日はここまで1安打と調子が上がってなかったが、思い切って行こうと、ストレートに狙いを絞って強くバットを振った。打ったのは真ん中近くの若干外寄りで完璧な当たり。やっと1本出たと、楽な気持ちでダイヤモンドを回れた」と吉田の振り返り。小菅監督は「最後は全員がつながって締めくくれた。2戦目とあって最初は硬さも見てとれたが、すぐ修正しうまく点を取れた」と評した。 投手陣は4人を試すことができた。先発の板橋が3回を担当した後、左腕の園山祐平が2回、初戦で先発した嶋悠希が1回、エースの小池陽斗が1回を投げた。「小池が柱だが、それに続く投手を探している。ブルペンとマウンドとの差を見極めたり、一人だけに負担をかけないという意図もある」と小菅監督。 次戦は18日、ノーブルホームスタジアム水戸の第2試合。相手は、明秀日立と水戸農の勝者。小菅監督は「手強い相手だが自分たちの野球をやる、やれることを精一杯やる」と、ここまでの笑顔を引き締めた。(池田充雄)

来年入試で竹園高を2学級増に《竹林亭日乗》42

【コラム・片岡英明】受験生にとって夏休み前は高校説明会を意識する時期でもある。つくばエリアの中学生や保護者は、県立高の魅力アップと市内の県立高の定員増を期待している。 つくば市内にある県立高への今年の入学者数は、中学卒業者2161人に対して370人(17.1%)にとどまり、6人に1人しか市内の県立高に入学しなかった。市外の公立高へは946人(43.8%)、私立高へは691人(32.0%)進んでいる。市内の中卒者の75%が市外や私立の高校に行っているわけで、通学時間や教育費面で負担が生じている。 県平均には28学級増が必要 2025年国勢調査で、つくば市の常住人口は県内最多になった。そこで、中卒者100人当たりの県立高学級数がどのくらいか、水戸市、県平均、つくば市について比較してみた。 その結果は、水戸市2.05学級、県平均1.75学級に対し、つくば市はコンマ以下の0.66学級だった。水戸市は県平均をも上回るのに、つくば市は県平均の3分の1ちょっと。 水戸市とつくば市は歴史も違い、単純な比較はできないが、つくば市の県立高入試環境はあまりにも悪い。水戸市並みとは言わないものの、県平均には近づけてほしい。 つくば市の100人当たり学級数を県平均にするには、28学級増が必要になる。1学年4学級の並木中等教育学校を入れても、あと24学級増やす必要がある。1学年8学級として計算すると、3校分になる。 今年1月に提出された県高校審議会の答申には、2038年までの中卒数推計が記載されている。これによると、水戸市の中卒者数はこれから減少するが、つくば市は2026年=2562人が、2038年=3392人に、830人増加する。つくば市の県立高定員を増やさないと、2038年には、中卒者100人当たりの県立高学級数は0.50に低下する。 1学級40人で計算すると、現在の100人当たりの県立高定員は、水戸市が82人、県平均が70人であるのに対し、つくば市は26人となる。それが2038年には20人に低下する。これは現在の水戸市の4分の1以下の水準であり、何らかの対策が必要といえる。 7月21日、県に要望書を提出 つくば市の生徒増に対し、県が無策だったわけではない。2019年高校改革プランでは「中学卒業者数の変動に対しては、原則として募集学級数の調整で対応する」とし、つくばエリアの2018年=10校57学級を、2026年まで2学級増の59学級にするとしていた。 この改革プランは実行されたのだろうか? 2019年以降のつくばエリアの学級数を見ると、水海道一高:高校-2、中学から+1、サイエンス高校:+2、筑波高校:-1、牛久栄進高校:+1となった。その結果、2019年の57学級(高校53、中等4)は、2026年には58学級(高校53、中等4、中学から1)となった。 改革プラン実施後も、つくばエリアの高校入学枠は53学級のままで増加しておらず、このままでは2027年の入試で、さらに受験生を苦しめることになる。 そこで、つくば市の高校不足改善の第1歩として、また改革プランの仕上げのためにも、2027年度入試で竹園高の2学級増を求めたい。その上で、県はエリアごとの中卒数に基づき、つくばエリアを県平均水準に引き上げる次の改革プランを策定してほしい。そんな受験生の願いを込めて、7月21日、私たちの会は県議・市議や関係者と共に、9回目の要望書を県教育長に提出する。(元高校教師、つくば市の小中学生の高高進学を考える会 代表)