水曜日, 3月 12, 2025
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結審を前に原告団が報告会 鬼怒川水害裁判

2015年9月に発生した鬼怒川水害で、浸水被害を受けた常総市の住民らが、鬼怒川を管理する国交省を相手取って裁判を起こした国家賠償訴訟が25日、水戸地裁で結審する。結審を前に、原告団(片倉一美団長)と支援団体「鬼怒川水害裁判を支える会」が11日、常総市の生涯学習センターで、報告会「鬼怒川水害裁判の報告&全国水害被災地と交流するつどい」を開いた。

裁判は18年8月、住宅や家財などに被害を受けた住民約30人が提訴した。判決は結審から3カ月ほど先に出されるという。

報告会で片倉団長(68)は「水害裁判では現在、改修計画に基づいて改修中の河川は、計画が不合理でなければ、未改修部分で水害が発生する危険が顕著であっても、特別な理由がなければ国に損害を賠償する責任はないという1984年の大東水害訴訟最高裁判例が踏襲され、国はこれにあぐらをかいている」と指摘した。

その上で片倉団長は、鬼怒川水害裁判の争点を説明し、堤防が決壊した上三坂地区について、住民側は、鬼怒川下流域で堤防が一番低く最も危険な場所であり最優先で堤防を改修する必要があった、国は改修を後回しにしており単なる改修遅れでは済まないなどと主張してきたのに対し、国側は、実際の堤防の高さとは別に、費用対効果の分析をする「スライドダウン評価」という計算上の堤防の高さを持ち出して、上三坂は最も危険な場所とは考えていないと主張しているとし、「国は論点をすり替えている」と糾弾した。

太陽光パネルを設置するため自然堤防だった砂丘が掘削され、最初に水があふれ出た若宮戸地区については、住民側が、国が河川区域に指定していれば掘削されることはなかった、河川区域に指定しなかったのは河川法の政令違反だと主張したのに対し、国側は、河川区域の指定は改修計画の合理性とは無関係、指定しなかったことをもって河川管理の不具合とは言えないと主張していると報告し、「若宮戸の砂丘を河川区域に指定しないのは政令違反だという話をしているのに、国は若宮戸には何も触れず、的外れな改修計画と河川区域全般の合理性の話に論点をすり替えている」とし、「あまりにも国民を愚弄している。全国の水害被害者が声を挙げ、ダムとスーパー堤防に予算を費やす河川行政から、国民の生命と財産を守る河川行政に変えさせたい」などと話した。

報告会には会場とオンラインで計約100人が参加し、岡山県真備、長野県千曲川、熊本県球磨川、茨城県久慈川の水害被災者らが各地の状況をオンラインで報告した。(鈴木宏子)

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住民15人が最高裁に上告 鬼怒川水害訴訟 

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「地層に弱点、絶対に再稼働ダメ」脱原発など訴え市民団体がつくばで集会

3.11から14年 東日本大震災から14年が経った11日、「さよなら原発!守ろう憲法!」と題した昼休み集会&パレードがつくば駅前のつくばセンター広場で開かれた。市民団体「脱原発ネットワーク茨城」共同代表の小川仙月さんが登壇し「東海第2原発は地層に決定的な弱点がある。絶対に再稼働してはダメ」などと訴えた。 市民団体「9条改憲NO!市民アクションつくば連絡会」と「『東海第二原発いらない首都圏ネットワーク』つくば」が主催した。東日本大震災翌年の2012年3月11日から、毎年開催している。約60人が参加し、集会後つくば駅周辺をデモ行進した。 小川さんは、原発が立地する地層について「ほとんどの日本の原発は海岸線の半島の先端に立地し、『解放基盤面』という固い地層の上に立っている。例外は東海第2原発と柏崎刈羽原発。東海第2原発は地表からマイナス370メートルのところでないと解放基盤面に相当する固い地層が出てこない。地層に決定的な弱点がある。防潮堤問題も本質的な問題は地層。原発を建ててはいけないところに建てた」などと話した。 震災当時、8歳と3歳の子どもを連れて福島県いわき市から自主避難し、現在都内で暮らす「福島からの避難生活を守る会」の鴨下美和さん(54)と長男の全生(まつき)さん(22)もスピーチした。美和さんは、14年経っても続く避難者の苦難を語り、夫の祐也さんが大腸がんを患い昨年は10回の入院を経験したこと、心臓にも異常が見つかったことなどを話し「福島県では急性心筋梗塞で死亡する割合が全国平均の2倍になっている。不思議なことがたった今、福島で起きている」などと話した。さらに国が2017年に提供を打ち切った避難住宅から退去しなかったため、東京都から訴訟を起こされていることなどを語り「夫は心労がかさんで心も体も疲れてしまって、それでも裁判を闘わなくてはならない」などと話した。 全生(まつき)さんは、17歳の時にローマ教皇の前でスピーチした手紙を読み上げ「汚染された大地や森が元通りになるには僕の寿命の何倍もの歳月が必要。大人たちは汚染も被ばくもこれから起きる可能性のある被害も隠さず伝える責任がある。うそをついたまま、認めないまま先に死なないでほしい。原発は国策。そのため原発を維持したい政府によって被害者の間に分断が生じ、傷ついた人同士が互いに隣人を憎しみ合うよう仕向けられてしまった」などと訴えた。 主催者を代表して山本千秋さんは、石破政権が第7次エネルギー基本計画で原子力を最大限利用すると方針展開したことに対して「世界は再生可能エネルギーに切り替えていく方向で大きく動いている。日本は逆走している。日本は再生可能エネルギーの道を進んでいくべき」などと述べた。 参加者の一人で、震災の翌年から毎年参加しているという市内に住む女性(75)は「震災で亡くなった人の鎮魂と、原発を絶対に止めないといけないという思いで毎年参加している」などと話していた。(鈴木宏子)