土曜日, 5月 4, 2024
ホームコラム大好きな霞ケ浦あれこれ②《夢実行人》4

大好きな霞ケ浦あれこれ②《夢実行人》4

【コラム・秋元昭臣】大昔、霞ケ浦は東京湾の一部でしたが、江戸を水害から守るために、利根川の付け替えなどで海の部分が閉じられ、湖になりました。改修された利根川は、北の方からの年貢米輸送の航路ともなり、霞ケ浦は舟運で栄えました。

1959年から63年にかけて、常陸川河口に水門が造られ、塩害防止と水の資源化が行われました。これによって霞ケ浦は淡水化され、農業用水としては茨城と千葉で、水道用水としては茨城、千葉のほか、東京でも使われています。

この「霞ケ浦の水がめ化」によって、鹿島工業地帯、筑波研究学園都市が生まれました。霞ケ浦の水を飲みながら、「霞ケ浦の水はきたない」と言う人には、きれいになった湖でレジャーを楽しみながら、水質について考えて欲しいものです。

霞ケ浦には多数の河川が流れ込んでいますが、農業・畜産・養殖は湖岸に集中しており、その肥料や排せつ物は川を通って霞ケ浦に流れ込み、湖水の富栄養化の原因になっています。全体の25%を占める家庭排水の処理は進んでいるものの、まだ完全とはいきません。

一周サイクリング路「カスイチ」

霞ケ浦は水位の高い利根川の影響を受けています。さらに海の潮の影響もあり、霞ケ浦の水がいつも利根川に流れることはありません。水位を上げるには水門を閉めればOKですが、流すとなると引き潮や利根川の逆流を考えねばならず、台風の後など水位が下がらず、ラクスマリーナなどでは船が陸に上がってしまうこともあります。

霞ケ浦の水が入れ替わるには200日ぐらいかかると言われますが、これも水質汚染に関係していると考えられます。周囲に高い山を持たない霞ケ浦への流入水はフレッシュとは言いえず、現在工事が進められている「那珂川からの導水」は水質浄化の役に立つのではないでしょうか。

霞ケ浦堤防が、サイクリングを楽しむ人たちの人気を呼び、「ビワイチ(琵琶湖一周)」、「しまなみ海道(尾道市と今治市を結ぶ瀬戸内海路)」に次いで、「カスイチ(霞ケ浦一周)」として知られるようになりました。こういった霞ケ浦活性化によって、水質浄化にも関心を持ってもらえればと思います。

最近の霞ケ浦は、昔の「泳げる霞ヶ浦」に近づいていますし、湖岸にはレジャー施設も充実してきました。土浦港のラクスマリーナには、「カヌー遠足」「天然温泉足湯」「定期遊覧船」などがあります。大型遊覧船に自転車を積んでの「サイクルーズ」も用意されています。(ラクスマリーナ元専務)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

3 コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

3 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img
spot_img

最近のコメント

最新記事

70歳からの正しいわがまま《看取り医者は見た!》18

【コラム・平野国美】先日、つくば市内で開かれた市民団体の講演会に呼ばれました。演題は拙著のタイトル「70歳からの正しいわがまま」です。私の仕事「訪問診療」で出会った患者さんとのやり取りなどに、私なりの解釈などを加えて話しました。 今、回収されたアンケートを読んでいるところです。22年間もこの仕事をしていると、変わるもの、変わらないものがあります。病名はほとんど変わりません。新型コロナが増えたぐらいです。変わっているのは、患者さんを取り巻く環境です。 いずれ詳しく書きたいと思いますが、今、患者さんに寄り添うのは御家族であることが少なくなってきました。独居と思いきや、そこに現れるのは同級生だったりします。内縁や不倫の関係者も現れます。また、ペットの犬や猫が家族以上の関係になっています。 講演会場に来られた良識の塊のような紳士淑女の方々には、内縁や不倫を絡めた話は抵抗があるかと思ったのですが、多くの方は「うらやましい」と受け入れていたようです。同じ日本人であっても、時代が変わり、世代が変わると、常識や価値観が変わるものです。 患者さんと話をしていると、そこに気がつくのです。例えば、日本を代表するアニメ「サザエさん」の家族状況を今の子供が理解できるでしょうか? 家の間取り、卓袱(ちゃぶ)台、家族関係などは理解不能でしょう。今、昔のドラマの再放送がされていますが、時代劇や古典劇を見ているような気がします。 変わる、病や死に対する考え 小学校の頃に見た「俺たちの旅」では、やたらタバコを吸いますし、殴り合いになります。学生運動をしていたことが発覚して就職できなくなることなど、今の大学生には理解できないでしょう。 患者さんの御宅で親子げんかをしているのを眺めていると、どちらも間違ってはいない、価値観の違いであろうと思うのです。戦前に生まれた親の世代からすれば「家や墓は守るもの」なのに、息子の世代は「いらない」になります。この価値観の変遷に気が付かないと、けんかは終わりません。 同じように、病や死に対する概念も変わっていくのです。このコラムでは、これまで「消えてゆく街並み」を書いてきましたが、これからは私の仕事を通して患者さんから学んだことも書きたいと思います。少し斜に構えれば、「庶民的な死生観」となるでしょう。(訪問診療医師)

「私たちは憲法の前でボーっとしてるんじゃないか」 つくばでデモ行進と集会

憲法記念日の3日、「憲法はボーっとしてんじゃねぇよメーデー」(主催:茨城アンダークラスメーデー実行委員会)と題して、市民団体がつくば駅周辺でデモ行進と憲法について考える集会を開催した。デモには県内外から16人が参加し、「アルバイトでも派遣でも生きていける社会を」「不当解雇するな」などと訴え、駅周辺を約1時間行進した。 集会では3人の話題提供者が、「地域に暮らす外国人の子どもの権利」、「思想・良心、学問の自由」、「憲法前文」などについて憲法をもとに問題意識を挙げると、来場者からは、職業や性差別、学歴、労働環境、在日外国人が置かれている環境など、日常の中で接する課題について意見が出され議論が交わされた。 デモと集会に参加した、東京・山谷で労働者を支援する向井宏一郎さんは「それぞれの地域には必ず厳しい環境で働く人がいる。(集会やデモをきかっけに)地元の支援団体が、労働問題を地域の生活問題として捉え、地域住民と関わることは重要」だと指摘する。 主催団体の加藤匡通さん(55)は「私たちは憲法の前でボーっとしてるんじゃないのか」と言い、「憲法は基本的人権と法の下の平等を規定し、職業選択の自由と勤労の権利と義務を記し、勤労者の団結権を保障している。しかし、それは紙の上だけのことではないのか。私たちはこれら憲法に書かれていることを、自らのものとしているのか」と疑問を投げかける。「人権が尊重されない職場で辞めることもできずに働き続ける人がいる。憲法が謳う基本的人権が空文化している。憲法に書かれている権利に対して、誰かがやってくれるだろうと思っていてはダメ。憲法を自分のこととして主体的に考えていかなければいけない」と、憲法記念日にメーデーをテーマとしたイベントを開催した意義を語った。(柴田大輔)

娘と父と、それから戦車《ことばのおはなし》69

【コラム・山口絹記】最近、どういうわけか、夜な夜な娘と戦車のプラモデルを作っている。 一時期、戦車のアニメにはまっていた娘のために、妻が気まぐれで買ってきたのだ。しかし、箱を開けてみると接着剤が必要なタイプのプラモデルである。デフォルメされているといっても部品が結構細かい。 私はプラモデルは全く作らないのだが、私の父がその道に大変造詣が深いため、小さい頃からその手のモノたちに囲まれて育った。特に戦車のプラモデルが多かった気がする。関心はないのに育まれるもの、というのが世の中にはいろいろとあって、親の趣味というのもこれに該当する。 見ればわかるだろう、ということで、おもちゃ屋に行って、見覚えはあるのに名も知らぬ、しかし使い方は知っている道具たちを一式買って手伝うこととなった。あれだけの環境で育ったのにも関わらず自分の趣味にはならなかった戦車のプラモデルを、自分の娘と突然作ることになるのだから人生は相変わらずよくわからない。 こういう時間を大切にする 手伝うと言っても、半分以上の工程は私が作っている。一緒に説明書を読んで、該当する部品を探して、ニッパーで部品を切り離していく。最初は早く完成させたがっていた娘も、最近は落ち着いて作業を進めるようになってきた。見ているだけでも案外楽しいらしい。 そういえば、小さい頃に私も、こうして父に手伝ってもらいながらプラモデルを作ったことがあったな、とふと懐かしい気持ちになる。 自分の手を動かしてやったことというのは、案外よく覚えているものだ。「親と一緒に」というならなおさらだ。娘もそうなるかはわからないが、少なくとも私は「娘と一緒に」作ったことは忘れないだろう。だから、こういう時間は大切にしないといけない。 それにしても、実際に作っていると、もう少し良い道具が欲しいとか、塗装ってやっぱりやったほうがいいのか、などと雑念がわいてくる。凝りだすと大変なのは、よくよくわかっているはずなのだが。(言語研究者)

最近知った「うれしい変化」《医療通訳のつぶやき》8

【コラム・松永悠】最近SNSで偶然、ある投稿を目にしました。投稿者がどこかのアウトレットで買い物をしていると、3人の中国人男性客が、持参したお酒とおつまみを取り出してプチ宴会を始めたそうです。 どうやら買い物中の奥様を待っている感じで、しばらくすると戻ってきた奥さんと合流しました。「ゴミをそのままにするだろうなぁ」と思っていたら、3人がバッグからゴミ袋を取り出して、全部片付けただけでなく、さらにウェットティッシュでテーブルを拭いて、きれいにしてから帰っていったそうです。 「これまで自分の中では中国人観光客=マナーの悪い人と決めつけていた」と投稿が続き、また「どの国にもマナーの良い人、悪い人がいると改めて思った」とも。偶然目にしたこの投稿を読んで、素直にうれしく思いました。 「マネーありマナーなし」は昔の話 医療通訳の仕事柄、日本在住中国人、治療目的で来日する中国人と一緒にいる時間が長いです。私からすると、マナーに関しては年々よくなっています。今でもはっきり覚えているエピソードがあります。10年くらい前に担当した人間ドックのクライアントが院内のゴミ箱の中に直接痰(たん)を吐き出したのです。あまりに突然のことで阻止できず、私も病院の方も仰天しました。 このクライアントは田舎から出てきたお婆(ばあ)さんです。話を聞くと、娘さんがビジネスに成功した方で、親孝行の一環としてお母さんを日本に連れてきて、観光と人間ドックをプレゼントしたそうです。恐らく「ちゃんとゴミ箱の中に吐いたでしょ、何がダメなの?」くらいの感覚です。 他にも、平気で予約時間に大幅に遅刻するとか、病院内で電話するとか、いわゆる「マネーありマナーなし」の人がいました。 しかし状況がどんどん変わってきています。今では丁寧にごあいさつしたり、常に病院に迷惑をかけないように心がけたり、感謝を繰り返したりと、病院も医師も私もみんなにとってありがたいクライアントがほとんどです。 いびきを気にして個室を希望 今年に入ってからあるクライアントを担当するようになりました。心臓病を患っていて、さまざまな検査を経て今週入院して来週開胸手術を受けることになります。かなり大掛かりの手術で、入院も1カ月かかると言われています。 外国でこんな大きい手術を受けるなんて、心配や不安がいっぱいだと思います。しかしこの患者さんは全くそれを出さず、いつも「先生のご判断を信頼していますし、しっかり治療してくれると信じていますので、ご迷惑になるようなことはしません。できることは何でも協力します」とおっしゃいます。 検査入院した時も、自分のいびきが他の患者にとって迷惑になるかもしれないので、個室希望と自ら申し出て、それを聞いた看護師さんたちが大変感動しました。 医師・患者である前に、みんなそれぞれ一人ひとりの人間です。温かみのある言葉でコミュニケーションを取れば、国が違っても心が通じると信じています。そんなお手伝いをするのは医療通訳なのです。素敵(すてき)な仕事だと思いませんか。(医療通訳) <参考> 医療通訳の相談は松永rencongkuan@icloud.comまで。