金曜日, 9月 5, 2025
ホームつくばエスカレーター設置めぐり論戦 つくばセンタービル改修計画で市議会

エスカレーター設置めぐり論戦 つくばセンタービル改修計画で市議会

つくば市が進めているつくばセンタービル(同市吾妻)のリニューアル計画で、エスカレーター2基の設置の是非が市議会で議論になっている。27日開かれた市議会中心市街地まちづくり調査特別委(ヘイズ・ジョン委員長)で、2基のうち、ホテル日航つくば側に計画されている1基について、費用対効果や建物のデザインを守る観点から「エスカレーターは1基だけでいい」という意見と、にぎわいをつくる観点から「2つある方がよい」という意見に分かれた。

市は「今後の詳細設計の中で、1基は設置しないことも可能」とし「議会のまとまった意見を踏まえて今後協議していきたい」とした。

エスカレーターは、つくば駅前のペデストリアンデッキとつくばセンター広場の一体的利用を促進するためとし、市が、ホテル日航つくば2階入り口そばと、旧ライトオンビル前に計2基設置する計画だ。ホテル側では、センター広場の視認性を高めるためとして、エスカレーター設置と合わせて、つくばセンタービルの壁や階段を一部壊し、階段の形状を変更する計画が進んでいる。

エスカレーターと新たな階段が設置されれば壊される壁と階段。ノバホールから松見公園展望塔まで一直線につながる位置にある

議会では、2基のうち1基の、ホテル側のエスカレーターについて「(2階ペデストリアンデッキから1階センター広場までの)半分の踊り場までしか設置されない。費用も8700万円くらいかかり費用対効果の観点からするともったいない。エスカレーターは一つでいい」「(同センタービルを設計した)磯崎新氏のデザインを考えると、デザインの完成度が削られる」など、ホテル側のエスカレーター設置は必要ないとする意見が出された。

これに対し「この場所をより活性化させる観点から西側と北側に二つある方が自然。北側を削るとアクセス性が削られる」「にぎわいを取り戻すことであれば、あってもいい。目的がある人は今までも(センター広場に)下りた。エスカレーターがあれば子供は興味をもって乗り降りする。にぎわいを取り戻す、活性化が目的なら、あってもいい」など2基とも必要だとする意見とに分かれた。

市は6月にも実施設計を発注する予定で、エスカレーター設置の是非は議会で引き続き審議される。

歩車分離のノバホール脇階段にスロープ

一方、27日の特別委では、2020年度に策定されたリニューアル基本計画が明らかにされた。エスカレーター2基と階段の形状変更のほかに、土浦学園線沿いのノバホール脇の階段のほぼ半分をスロープにし、イベント開催時に荷物を運ぶ車が通行できるよう改修する計画も新たに示された。

ほぼ半分が改修されイベント用の車両が通行するスロープが設置される土浦学園線沿いのノバホール脇の階段。筑波研究学園都市は歩道と車道を分離する「歩車分離」を設計思想の一つとしてつくられた

ほかに、現在のつくばイノベ―ジョンプラザと市民活動センターの場所に、吾妻交流センター、市民活動センター、消費者生活センター、国際交流機能を集約し、市民窓口と併せて設置される市民活動拠点の配置計画図などが明らかにされた。

市民の要望 どれほどあったのか

27日の同特別委のやりとりは以下の通り。敬称略

小野泰宏市議 (センター広場の)視認性を高めるためというのがエスカレーターの設置目的だが、エスカレーターは踊り場まで半分しか設置されない。価格は8700万円くらい。費用対効果の観点からするともったいない。エスカレーターは(旧ライトオンビル側の)1カ所だけでいい。

市学園地区市街地振興課長 現在は駅の方から(センター広場が)見えにくい。広場の景観やデザインを損なわない範囲で(エスカレーターは)踊り場までとする。設置しないことも今後の詳細設計の中で可能。場合によって1基のみで検討することもあり得る。

市都市計画部長 今年度(リニューアルの)実施設計を行う。2段階で考え、後から(エスカレーターの)必要性を判断してつくるというやり方と、最初から削ってしまうことも考えられる。議会のまとまった意見を踏まえて、今後、協議していきたい。

山中真弓市議 高齢者や視覚障害者の中にはエスカレーターを使えない人もいる。だれのためにエスカレーターを設置するかを考えると(2基とも)いらない。

小森谷さやか市議 視覚障害者にも(エスカレーターを)使いたい人がいる。きちんと点字ブロックを設置して、音声のアナウンスがあればいい。実際に障害がある人に現場を見てもらって意見をいただく場がほしい。

黒田健祐市議 エスカレーターは西側と北側に2つある方が自然。北側を削ると回遊性、アクセス性が削られる。この場所(センター広場)をより活性化させる視点で必要。

橋本佳子市議 費用対効果の視点は大事。エスカレーターを設置してほしいという市民の要望がどれほどあったのか。

金子和雄市議 エスカレーター2基をどのくらいの人が活用するのか、評価される基準をどのように考えたのか、それが見えない。(エレベーターを改修する等)大型の電動車いすでも使えるようになればいい。

長塚俊宏市議 黒田議員にほぼ賛成。目的がある人はいまでも(センター広場に)下りた。エスカレーターがあれば子どもが興味をもって乗り降りする。にぎわいを取り戻すことであれば、あってもいい。

山本美和市議 「(つくばセンタービルを設計した)磯崎新氏のデザインを考えると、ノバホールの入り口からセンター広場の真ん中を通って松見公園展望台までまっすぐ続く視線の中に、(エレベーターと階段を設定すれば壊されることになる)V字型の階段がまっすぐ突き抜けていく。エスカレーターがあれば便利かもしれないが、あの階段を無くしては視線が向くデザインの完成度が削られてしまう。磯崎新氏のデザインを優先するなら、ここにエスカレーターを設置するのはいかがなものか。

中村重雄市議 (ノバホール脇の階段を改修して新設する)搬入用のスロープだが、まつりつくばに出店した。(車がペデストリアンデッキに進入できる)出入口が少なくて、搬入・搬出が渋滞になる。(ノバホール脇の階段につくるスロープの幅は車両が通るには)かなりぎりぎりではないか。もう少し緩やかな傾斜にしてほしい。

課長 (通行できるのは)2トン以下の車両だが、幅は確保でき、通るに支障はない。傾斜は詳細設計で検討できる。

中村 イベント開催前は車両、イベント開催中は車いすが通れる(傾斜に)してほしい。

皆川幸枝市議 改修にあたって利用できる(国や県からの)補助金の種類や条件は。

課長 国交省から2分の1の補助金が出るが、(使えるかどうかは)施設によって限られる。

皆川 消費生活センターを入れることが補助金が出る条件になるのか。

課長 機能を集約することで補助金が出る都市構造再編集中支援事業費補助を活用する。(リニューアルの)すべての機能に補助が出るかどうか、国や県に相談しているところ。

皆川 (市民活動拠点は)公共スペースが足りないという指摘もある。配置を変えることでコミュニティスペースを広くできないか。補助金の条件はいつごろ分かるのか。(ノバホールの)小ホールは(イノベ―ジョンプラザの)2階につくり直すが、今も土日は使う人が多い。音楽イベントのスペースが足りないという声もある。貸しスペースが足りないのであれば、小ホールを運動や会議に貸し出すことなどを見込んでいるのか。

課長 片方を使ってないとき、別の用途に使うことも考えられる。ノバホールをどのように運営するかに関わっていくので、今後、調整しながら進めたい。

皆川 この計画、スペースでいいのか。運用計画と合わせてお示しいただければ。

飯岡宏之市議 (リニューアル基本計画の)新たな市民活動拠点には「①吾妻交流センター、市民活動センター、消費者生活センター、国際交流機能を統合するとともに、市民窓口を新設することで、市民交流の促進、市民サービス機能の向上を実現②音楽室、調理室の機能向上、フリースペースの拡充により、様々な市民ニーズに対応」とあるが、市民部とうまく連絡調整しているのか。

課長 市民部から必要な面積をいただき、調整を密にしながら進めている。

飯岡 吾妻交流センターを頻繁に使う市民団体との意見調整も必要ではないか。

課長 交流センターを通じて調整を行っている。

飯岡 市民説明会が無いので、その辺、心配がある。かなり手狭になるので、市民の意見を取り入れて進めてほしい。

橋本 (吾妻交流センターが集約されることで)交流センターが一つ減る。生涯学習としての位置づけを考えると、利用者の利用回数を減らすことになると本末転倒になる。市民がどのくらい影響を受けるかを説明いただきたい。コピー機や印刷機も一つになるが、うまく回るのか、利便性が担保されるのか、いろいろな団体の意見を聞いていくことは当然。

課長 吾妻交流センターが無くなるということではない、運営の中で残すこともあるし、一体として運営することもある。市民部でいろいろ検討し、それを元に(計画策定を)行っている。用途は確定ではないので、足りない部分は増やした方がいいのか、担当課と調整して進めたい。

橋本 根拠を示さないで、足りる、大丈夫といわれても困る。数字と合わせて根拠を示してほしい。

課長 大丈夫ですという意味ではない。それを今後、検討したい。

山中 だれのための改修なのか、そもそも市民の声を聞いてないことに根本的問題がある。本来、市民がどういうものがほしいのか、どんな機能が必要かを聞くべき。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

24 コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

24 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

「神経多様性」を妄想する《看取り医者は見た!》44

【コラム・平野国美】非常事態で輝いた自閉症スペクトラムの図書館員の話(前回コラム)から、私の妄想は膨らむのです。人類がまだ獲物を追いかけ、新天地を求めて移動していた時代。その集団の先頭を歩いたのは、神経多動性(ニューロダイバーシティ)という特性を持つ人々だったのかもしれません。彼らの飽くなき探究心と衝動性は、集団を未開の地へと導く力となりました。しかし、その旅もいつか終わりを迎えます。 肥沃な土地に恵まれ、食料を安定して得られるようになったとき、人類は定住という新しいフェーズへと突入したのです。そして、この定住化という歴史的な大転換を支えたのが、「自閉症スペクトラム(ASD)」の特性を持つ人々だったのではないでしょうか。 定住生活の象徴ともいえるのが稲作です。稲作は、広大な土地を移動し続ける狩猟採集とは全く異なる、精密な「システム」でした。いつ種をまくか? 水を引くタイミングは? 収穫の時期は? すべては綿密な計画と繰り返されるルーティンワークによって成り立っています。 ここで、ASDの特性である「ルーティンへの強いこだわり」「シングルフォーカス(一点集中)」という才能が、驚くべき力を発揮したはずです。多動性を持つ人々が絶えず新しい刺激を求める一方で、ASDの特性を持つ人々は定まった手順を厳密に守ることで心の安定を保ちます。稲作という変化の少ない重要な作業を安定して続ける上で、彼らの「変わらないこと」へのこだわりは、集団全体の基盤を築く上で不可欠な要素だったのです。 稲作に生きた「守り人」の才能 稲作は、単に作業を繰り返すだけでは達成できません。その年の気候や土壌の状態、稲の成長具合といった、目に見えない無数の情報を読み解き、次の年に生かす必要があります。ASDの特性を持つ人々の中には、人間関係の複雑な「空気」を読むのは苦手でも、特定の分野で驚異的な観察力を発揮する人が多くいます。稲の葉のわずかな色の変化、土の湿り気、病害虫の兆候…。 彼らは、そうした非言語的な情報を誰よりも正確に把握し、集団に伝える「知恵袋」であり、「データベース」だったのではないでしょうか。彼らの緻密な観察力と、それを体系的に記憶する能力がなければ、稲作という文化は次世代へと受け継がれなかったかもしれません。 彼らは、稲作というシステムを維持し、集団の知恵を次世代へと伝える「守り人」だったのです。集団の中に「神経多様性」を持つことによって、我々はここまで生き抜いてきたのです。つまり、社会や組織が生き抜くためには、この多様性を持つことが必要不可欠だったと思われるのです。(訪問診療医師)

除草中に小石跳ね 割れたガラスで幼児がけが つくば市

つくば市流星台、桜庁舎跡地で2日午後3時ごろ、市の委託業者が除草作業中、小石が跳ね、隣接の市子育て総合支援センターのガラス3枚が破損し、割れたガラスの破片で2歳の男児がけがをする事故が発生した。3日、市が発表した。 市公共資産利活用推進課によると、業者が肩掛け式草刈り機で、同支援センターから約2メートルほど離れた場所の草を刈っていたところ、小さな小石が複数個跳ね、同支援センター内の一部ガラス張りの部屋のガラス3枚が破損した。ガラスは1枚の大きさが高さ2メートル、幅80センチの強化ガラスで、3枚にひびが入り、ひびの一部が細かく粒状になって床に落ち、近くにいた市内に住む2歳男児が足の裏に長さ約1センチの切り傷を負った。男児は破損したガラスが当たったか、踏んだかしてけがをしたと見られている。 男児はこの日、母親と同支援センターを利用していた。事故後、母親が病院に連れて行き、男児はけがの治療を受けた。 市こども政策課によると、事故があった部屋は、未就学児と保護者が自由に遊べる「子育て親子のつどいの場(けやき広場)」という部屋で、事故当時、子ども18人と保護者13人が利用していた。 事故原因について市公共資産利活用推進課は、除草作業中、委託業者は飛び石防止ネットを使用することになっているにもかかわらず、事故時、業者は南側の道路側にしかネットを使用しておらず、同センターがある北側ではネットを使用していなかったためとしている。市はけがをした家族に謝罪、今後、業者が被害者への補償と施設の修繕を行うという。 ガラスが割れた箇所は現在、板が張られている。同つどいの場では、床に落ちた粒状のガラス片の清掃が実施されているほか、室内にあるマットやおもちゃなどにもガラス片が付着している恐れがあるため清掃作業を実施し、3日から5日まで利用を停止する。一方、つどいの場以外の一時預かりやラウンジ、他の部屋は引き続き利用できる。つどいの場は6日から利用を再開する。強化ガラスは納品でき次第、設置するが、特殊な製品であることから日数がかかるという。 五十嵐立青市長は「利用者の方にけがを負わせてしまい深くお詫びします。他の利用者の方にもご迷惑をお掛けしました。再びこのような事故を起こさぬよう、除草業務受託者に対して作業時の安全対策の徹底と再発防止を強く要請しました」などとするコメントを発表した。

紙を折って月に行こう《続・気軽にSOS》164

【コラム・浅井和幸】やりたいこと、やらなければいけないことがたくさんあるのに、ダラダラしてしまう。人生を変えるような大きなイベントがなぜ自分には起きないんだと思う。やる気を出すにはどうすればよいのか、自分のやる気スイッチの場所を知りたいと悩む人もいるでしょう。 そこまでやりたいことではないんでしょ?とか、やらなくていけないことをやらなくても支障がないんでしょ?という突っ込みは、今回は置いておきます。 今回は、素晴らしいこととか、大きなことを成すための動きはやる気が出てからという発想の、逆の方法を試してみてはいかがだろうかという提案です。その方法の一つは、やる気のあるなしではなく、それをやる構造を作る方法です(やらない構造を外す)。二つ目は、大きなまとまりではなく、小さく区切るという方法です。 やる気というのは、何か行動をしてからついてくるものです。大掃除をしようとしても、面倒だし時間もないし、体力も使うしと、行動しない理由が先に出て、掃除は後回しになってしまうものですが、机の上をちょっとだけ拭こうと動いたら、別の汚れも気になって広い範囲の掃除をしてしまうというようなことです。 これを一つ目で言うと、部屋のあちこちにごみ箱や掃除用具を置いておくことです。二つ目では、その掃除用具のある周りを少しだけきれいにするということです。 これだけで、普段見もしない奥の方に掃除用具を閉まっているよりも、ずっと掃除をする習慣がつきやすくなります。ギターの練習をしたい時は、いつも座っているところの脇にギターを置きすぐ触れるようにして、ちょっとだけでも触る構造をつくるというものです。 ダイエットのためにポテトチップを食べないという行動をするのであれば、食べないという行動がしやすいように目の前にポテトチップを置かないこと。手の届かない、取るのが少し面倒な棚の中にしまうだけでも、効果はあります。 ささいなことの積み重ねが大事 理論上、紙を42回折ると月に届くそうです。0.1ミリの厚さの紙を42回折ると、38万キロメートル(地球と月の間隔)を大きく超える暑さになる計算です。もちろん、そんな大きな紙もなければ、そんなにたくさん紙を折り返せないなど現実的には不可能なことらしいです。 今回伝えたいのは、ほんのささいなことの積み重ねが大きな変化になるということです。バットの素振りをする、絵を描く、小さな善行を行う、ささいな工夫をする、笑顔を向ける、知識を得る、筋トレをする、お金をためるなど、ほんのささいなことを続け積み上げることで、どれだけ大きな成果が得られるかは、はかり知れません。 宝くじに当たるなどの明確な大きな一回は感じやすいのですが、ささいなことの積み上げは感じ取りにくいので、ほとんどの人は行いません。ほとんどの人が行っていない、気づいていないからこそ、ささいな積み重ねを長年行うと大きな成果、特別な人というところに到達できる大きな要因になるのです。 不健康になる、不幸になる、嫌な人間になる、そんな積み重ねはしないようにしてくださいね。(精神保健福祉士)

下水道使用料引き上げなど提案 つくば市 水道料金に続き2年連続

9月議会が開会 つくば市議会9月定例会議が2日開会。五十嵐立青市長は、来年4月から下水道使用料を平均18.1%引き上げる条例改正案など議案32件、認定6件、報告12件の計50件を提案した。 下水道使用料の引き上げが議会で可決されれば、2006年8月以来、20年ぶりの引き上げになる。一方、同市では今年4月、水道料金が平均15%引き上げられたばかり(24年7月30日付、9月3日付、10月4日付)。市民は水道料金と下水道使用料を2カ月ごとに合算して支払っており、2年連続で上下水道料金が引き上げられることになる。 7月30日に市上下水道審議会(会長・白川直樹筑波大システム情報系准教授)から五十嵐市長に下水道使用料の引き上げを求める答申が出され、答申通りの額が議会に提案された。 引き上げ額は、利用者全世帯が一律で支払う「基本使用料」が現在の550円から3.4倍の1870円に引き上げられる。使用水量に応じて支払う「従量使用料」はこれまで三つの区分だったが、1人世帯など小口利用者の負担増を緩和するため10立方メートル以下の区分を新たに設けて区分を四つにし、1立方メートル当たりの従量使用料を10円ずつ(税抜き)引き上げる。 世帯別の引き上げ後の下水道使用料の目安は、1人世帯が2カ月分で現在の1980円から38.9%値上げとなる2750円、2人世帯が3410円から25.8%値上げの4290円、3~4人世帯が6270円から17.5%値上げの7370円になる見通しだ(いずれも消費税込み)。 同市では2024年10月に中長期の経営基本計画「市下水道事業経営戦略」を策定し、将来にわたり安定的に事業を継続していくため、26年度に平均20%、31年度に17%下水道使用料の引き上げを行うとしていた。 実際の引き上げ額の検討については25年1~7月に市上水道審議会を開催し、経営戦略の値上げ計画通り、来年4月からの値上げを答申した。ただし平均引き上げ額は経営戦略の20%から18.1%になるという。 市下水道総務課によると、2024年度の下水道事業の1年間の経営成績である収益的収入は105億1000万円、それに対し収益的支出は98億2000万円と6億9000万円の黒字だ。市によると黒字なのは、総務省が定める基準を超える6億9000万円を市独自に一般会計から繰り入れているためで、6億9000万円の基準外繰入金のうち5億円を削減したいとする。基準外繰入金の内訳は、汚水以外の雨水や地下水など不明水の処理費が4億4000万円、雨水施設の建設負担金等が2億5000万円。一方、下水道施設への投資である24年度の資本的収入は37億2000万円なのに対し、資本的支出は55億3000万円と、借金である企業債に頼っている状況があるという。 こうした状況から、市の下水道事業の課題として①経費の回収率が98.5%で、汚水処理費を下水道使用料でまかなえてない原価割れの状況がある②汚水処理は利用者の使用料でまかない、雨水処理は公費でまかなうという原則を超えて、汚水処理を一般会計からの繰入金に依存している➂施設への投資を企業債に依存しており、30年後には企業債残高が現在の350億円から2倍以上の766億円になるーなどの課題があり、今後さらに下水道未整備地区への敷設や、管路の老朽化対策などが求められることから、課題を解消するために引き上げが必要だなどとしている。 引き上げられれば、つくば市の下水道使用料は県内47団体(市町村ほか)のうち、10㎥の使用料は43番目だったのが28番目に高くなり、20㎥は9番目から4番目に高くなる。40㎥は21番目から6番目に高い使用料となる。(鈴木宏子)