【山崎実】超高齢社会の進展や人口減少、コロナ禍によるかつてない減速経済の中、国が交付する2020年度普通交付税の市町村分が県から発表された。総額は、前年度比42億3800万円増の1423億7700万円となり、2年連続の増加となった。
一般財源所要額を税収で賄うことができる不交付団体は、つくば市、神栖市、東海村の3市村。昨年度まで不交付団体だった守谷市は3年ぶりに交付団体になった。神栖市は合併特例の適用で今年度まで旧波崎町分の交付税が交付される。
今回、交付決定額が増加した36市町村のうち、増加率20%以上となったのは守谷市、鹿嶋市、阿見町の3市町。社会福祉費の増加による基準財政需要額の増加に対し、企業の収益源に伴う市町村民税(法人税割)、固定資産税(償却資産)等の減少が影響したとみられる。
一方、交付額が減少したのは神栖、ひたちなか、古河、日立、鉾田、常陸大宮の6市。市町村民税(所得税)や、企業の設備投資にかかわる固定資産税(償却資産)の増加等が要因とされる。
コロナ禍後の財政運営は厳しくなることが予想され、財政基盤をどう維持していくか、市町村の力量が問われる。
県分は2年連続増加
茨城県分の普通交付税額も発表され、前年度比85億3700万円増の1787億7100万円となり、2年連続の増加となった。
臨時財政対策債(一般財源不足に対処するため発行される地方債。地方交付税の振替えとしての性格を持ち、一般財源と同様に活用できる)への振替額513億800万円を加えた実質的な交付税額については、2300億7900万円(対前年度68億900万円増)と増加した。茨城県分の主な変動要因は、社会保障関係費の増、法人関係税の減などがあり、これが普通交付税額の増加につながった。
2020年度市町村別普通交付税額 | ||
市町村名 | 普通交付税額(万円) | 対前年度比増減率(%) |
水戸市 | 68億4400 | 7.5 |
日立市 | 51億2800 | △3.9 |
土浦市 | 30億5800 | 0.4 |
古河市 | 59億0100 | △4.6 |
石岡市 | 57億9700 | 1.3 |
結城市 | 21億6900 | 3.6 |
龍ケ崎市 | 28億1100 | 1.6 |
下妻市 | 27億4400 | 5.3 |
常総市 | 34億4800 | 7.7 |
常陸太田市 | 76億5300 | 1.1 |
高萩市 | 23億7700 | 6 |
北茨城市 | 26億1900 | 4.3 |
笠間市 | 62億9900 | 1.2 |
取手市 | 65億9700 | 8 |
牛久市 | 16億2800 | 0.8 |
つくば市 | ー | ー |
ひたちなか市 | 7億4200 | △9.5 |
鹿嶋市 | 1億8500 | 445.6 |
潮来市 | 33億5700 | 11.1 |
守谷市 | 2900 | 皆増 |
常陸大宮市 | 67億900 | △0.4 |
那珂市 | 36億5900 | 6 |
筑西市 | 63億6000 | 1.2 |
坂東市 | 38億1000 | 5.3 |
稲敷市 | 57億7300 | 1.5 |
かすみがうら市 | 35億6600 | 0.1 |
桜川市 | 52億2600 | 7.2 |
神栖市 | 9900 | △68.7 |
行方市 | 53億400 | 2 |
鉾田市 | 60億9900 | △0.5 |
つくばみらい市 | 23億4800 | 10.4 |
小美玉市 | 42億7400 | 2.1 |
茨城町 | 26億800 | 3 |
大洗町 | 10億2400 | 7.6 |
城里町 | 35億2400 | 2.1 |
東海村 | ー | ー |
大子町 | 37億5200 | 5.6 |
美浦村 | 11億4800 | 18.1 |
阿見町 | 5億8300 | 28.5 |
河内町 | 17億6700 | 8.1 |
八千代町 | 15億9800 | 10.8 |
五霞町 | 3億1100 | 13.9 |
境町 | 15億1000 | 7.4 |
利根町 | 19億4100 | 6 |
県計 | 1423億7700 | 3.1 |