木曜日, 7月 10, 2025
ホームつくば犬の感染症対策に思わぬ影響 新型コロナ 狂犬病の集団予防注射が延期

犬の感染症対策に思わぬ影響 新型コロナ 狂犬病の集団予防注射が延期

【伊藤悦子】新型コロナウイルスの感染拡大が、犬の感染症対策に思わぬ影響を与えている。毎年4月から6月の間に公園などの会場で実施されている狂犬病の集団予防注射が、つくば、土浦両市でそれぞれ延期となった。密集や密接など「3密」を避けるよう求めた国や県の要請を受けた。

狂犬病予防注射は毎年1回、接種することが義務になっている。獣医師からは、延期により接種を忘れる飼い主が出てしまうのではないかと心配の声が出ている。

土浦市東崎町のRG動物病院、五頭理恵院長は「狂犬病予防注射は、近くの動物病院でも同じ費用で接種できる。犬のためというより人に感染させないためでもあるので、延期になっても忘れずに接種してほしい。かかりつけでなくても大丈夫なので気軽に相談してほしい」と接種を呼び掛ける。

実施時期は未定

つくば市は2日、土浦市は3日、延期を決めた。土浦市環境衛生課によると、同市では延期を決めた時点で市のホームぺージで知らせたほか、各地区で回覧をした。また集団接種の各会場に延期の看板を立てかけ、当日の予定時間には職員が現地で延期を案内した。

11日、犬の散歩をしていた土浦市の男性(46)は「延期は知らなかったが、やむを得ないと思う」と話した。飼い犬は毎年かかりつけの動物病院で接種しているという。

延期後の集団接種実施時期について、つくば市環境保全課は秋ごろを検討している。「時期が決まったら市のホームぺージに掲載し、区会回覧でも知らせたい」と話すが「新型コロナウイルスの収束状況によっては中止もありうる」と語る。「かかりつけの動物病院ですでに接種した犬もいるが、動物病院に行けない飼い主もいるので、未接種の飼い主には、はがきを出して知らせたい」と話した。

土浦市環境衛生課は「新型コロナウイルスの収束時期がわからないが、期日が決まったら広報誌と市の公式サイトで知らせたい。開催時期が近づいたら犬を飼っている世帯にはがきを出す」として「不明な点は問い合わせてほしい」と語った。

動物病院で接種する場合、県獣医師会に加入している病院なら狂犬病予防注射済票の交付が可能だ。それ以外の動物病院で接種した場合は、市の窓口で注射済票の交付を受ける。ただし新型コロナウイルス感染症予防のため休業している動物病院もあるので、事前に動物病院に問い合わせてほしいという。

つくば市赤塚、さくま動物病院の佐久間由紀獣医師は「集団接種が延期されて、次がいつになるかわからない。狂犬病予防注射は1年有効なので免疫など心配なことがあったら、気軽に近くの動物病院に問い合わせて来院してほしい」と話した。

日本に入れないため注射を

狂犬病の予防接種をなぜ年1回実施しなくてはいけないのか。RG動物病院の五頭院長は「狂犬病は人獣共通感染症で、犬や猫だけでなく人間もかかる病気。発症したら確実に命取りになる」と強調する。現在は日本などごく一部の国や地域で発症していないが、世界中に発症が分布しているという。

日本でも1950年以前は発症があり、犬にかまれて死亡した人もいた。予防接種を行ったことで、1957年以降、発症がなくなった。

しかし不正に小動物を輸入したり、外国船に乗っていた犬が寄港するなどして、狂犬病が日本に入ってくる可能性があるという。

五頭院長は「海外から狂犬病が入ってきたら大変なことになる。日本に入れないためには全国の犬に予防注射を打つ必要がある」と強調する。

◆注射費用は集団接種も動物病院も同額だ。病院によっては受診料などがかかる場合があるので問い合わせて確認することが必要。つくば、土浦市いずれも注射料3000円、注射済票交付手数料400円。新規登録の犬はさらに登録手数料2000円が必要。

桜川堤防を飼い主と散歩する犬=11日土浦市内

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

0 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

つくば秀英 11安打で初戦突破【高校野球茨城’25】

第107回全国高校野球選手権茨城大会は4日目の10日、4会場で2回戦8試合が行われた。J:COMスタジアム土浦の第2試合ではつくば秀英が石岡商に4-1で勝利した。 10日 2回戦 第2試合 J:COMスタジアム土浦石 岡 商 000000100 1つくば秀英 20000200X 4 つくば秀英の先発投手は公式戦初登板の安光駿太。先頭打者に初球を中前へ運ばれ、いきなりピンチを背負うが、後続を送りバントと内野ゴロ2つで乗り切った。「初戦なので絶対勝たないとと思い緊張したが、全体的にコントロールよく打たせて取ることができ、チームのリズムをつくれた」と安光。 1回裏はつくば秀英が打者7人の猛攻。1番・芦谷響が内野安打で出塁、暴投と2番・吉田侑真の二ゴロで1死三塁とし、3番・知久燿の中前適時打で1点を先制。「確実に先制点を取りたいと思って、狙い球のまっすぐが来たので気持ちよく振り抜いた」と知久。その後、盗塁と四球で2死一・二塁とし、6番・石井清太郎の二遊間を抜く適時打で1点を追加した。「打ったのはややインコース寄りのまっすぐ。 自分が返すというより後ろへつなぐ意識で、少し詰まったが強い打球を打ちきれた」と石井。 2回以降のつくば秀英は、安光が相手打線に1安打を許すのみで6回までゼロに抑える。打線はチャンスはつくるものの、相手投手の粘りのピッチングになかなか追加点を奪えない。 すると6回裏2死一塁の場面、安光が自らのバットで自分を援護。「自分にできるのはつなぐことだと思い、来た球を強く打つ意識で振り抜いた」。これが右中間を抜く三塁打となり1点を追加。続く芦谷も右前への適時打で、この回4-0と突き放した。 だが7回表、石岡商は打線が積極性を取り戻し、安光に2安打を浴びせてマウンドから引きずり降ろす。無死一・三塁の場面で救援に向かったのはエース中郷泰臣。最初の打者を三ゴロに打ち取り三走を挟殺、2人目は二ゴロ、3人目は三振でこの回1失点。残る2回も2安打の無失点に抑えた。 「ピンチの場面での登板だったが、内野フライか悪くても一・三塁のゴロに打ち取ろうといつも通りの気持ちで投げた。うまく行ったと思う」と中郷。この日の直球は最速139キロ。「もっと行ける感覚はある。次も自分のピッチングをして勝利に導きたい」と頼もしい言葉を発した。 櫻井健監督は「1回表を守りきって、その裏に得点できた。初回をいい形で入れたのが勝因。安光はひたむきな努力が結実した。スタメンだけでは戦い抜けないことが昨夏の決勝で分かった。総力戦で一つでも多く勝ちたい」と話した。 常総コールド勝ち、土浦湖北は競り負け 10日の土浦、つくば地域の高校の試合結果は、ノーブルホームスタジアム水戸の第1試合は常総学院が太田西山に10-1で7回コールド勝ち、第2試合は県西連合が鹿島に0-12で5回コールド負け。J:COMスタジアム土浦の第1試合は土浦湖北が藤代に2-3と競り負けた。(池田充雄) 10日第1試合、ノーブルホームスタジアム水戸常総学院 4300102   10太田西山 0010000   1 10日第1試合、J:COMスタジアム土浦土浦湖北 000001010 2藤  代 00120000X 3

茎崎、県西連合で19年ぶり出場【高校野球茨城’25】

第107回全国高校野球選手権茨城大会は4日目の10日から2回戦に入った。ノーブルホーム水戸では、19年ぶりの出場となる茎崎が県西連合(ほかに古河二、総和工、結城一、石下紫峰)に加わり鹿島と対戦、試合は5回コールド0ー12で破れた。茎崎は2006年以来の出場となり、梅山昊(2年)、菊地勝星(1年)、金子俐央(1年)の3選手が出場した。 10日 2回戦 第2試合 ノーブルホーム水戸県西連合 00000 0鹿  島 5142×  12 県西連合は初回に先発の臼井依風希(結城一)の制球が定まらず、2四球と死球で無死満塁から押し出しの四球を与え先制を許した。代わった2番手松井隼人(総和工)も2本のタイムリーヒットを打たれ、1回に打者11人の猛攻で5点をリードされた。 さらに2回に1点、3回に4点を奪われ、0ー10と大量リードを許す。県西連合は4回に石下紫峰からただ1人出場した代打沖山蒼右がセンターにチーム初ヒットを放ち反撃に出るが、後続が凡退。5回は2死から斎藤悠希(総和工)がヒットで出塁するも、続く小池颯人(古河二)がセンターフライに倒れ5回コールドで敗れた。 県西連合は土日のいずれかに全体練習と練習試合を行い、平日は各自が個人練習を続けて大会に挑んだ。 レフトでスタメン出場した茎崎の梅山昊は「見逃し三振とファーストゴロに終わり、打撃では自分の力が出せなかったのが悔しい。今までの練習試合とは違った空気、雰囲気を感じて、まだまだ打つ方では力を出せなかったのが悔しい」と述べた。中学校はバスケットボール部に所属し、本格的に野球を始めたのは高校に入ってから。「来年は最後の大会なのでこれまで練習してきたこと、教わってきたことを出し切って、監督、家族に自分の姿を見せたい」と話した。  同じ茎崎から出場し、ベンチから応援した菊地勝星は「先輩たちの打つ姿、守る姿を見て勉強になった。来年は言われたことをしっかり出来るように全力で頑張る」と雪辱を誓った。 県西連合の監督として指揮を執った結城一の加藤聡監督は「いい球場で選手が浮足立って、本来持てる力をほとんど出せなかった。沖山が初ヒットを打ってくれて流れを変えたかったが、ミスが出てしまって流れを持ってこれなかった。所々いいプレーも出来た。連合チームは3年生が少ない若いチームなので次につなげていきたい」と期待を寄せた。(高橋浩一)

7月から手持ち花火OKに つくば市の公園302カ所

つくば市内の市営公園302カ所で7月1日から、手持ち花火ができるようになった。これまで公園の管理に支障のある行為だとして市都市公園条例で禁止していたが、手持ち花火に限って期間や時間帯を限定し、公園管理に支障のある行為からはずした。 ただし現在、協議会を設置し管理・運営方法を検討中の洞峰公園(同市二の宮)と、開園時間が午後5時までのさくら交通公園(同市吾妻)の2カ所、緑地帯59カ所は引き続き花火ができない。 「多くの人に子どもの頃花火をやった楽しい思い出がある。あれもだめこれもだめではなく柔軟に検討した。市として、身近な場所で夏の思い出をつくってほしい」(五十嵐立青市長)と方針を変更した。県内では取手市などが公園での手持ち花火を認めている。 つくば市では7月から9月の3カ月間、午後6時~8時30分まで楽しめるようにする。1組10人程度までとし、18歳以上の大人が付き添うことが必要。ロケット花火や打ち上げ花火、爆竹などは近隣住民や他の利用者の迷惑になるため禁止する。消火用のバケツを持参し水をくんで用意する、花火が終わった後はごみを持ち帰ることが必要。大声で騒いだり飲酒をしたりすることは禁止する。ルールが守られない場合は見直すという。 市役所駐車場を開放 一方、手持ち花火をしたいけれど近くに楽しむ場所がない市民のために、市は8月14日、15日の2日間、市役所駐車場を開放する。駐車場を44区画に区切り、1グループ6人以内で、1日44組まで楽しむことができる。会場ではかき氷やアイスコーヒーなどを販売する。 つくばみらい市が市役所を開放して実施していることから、つくば市でも実施する。手持ち花火、ライターなどの着火器具、バケツは自分で用意する。 参加費は無料。参加は事前申込が必要で、7月11日から31日までいばらき電子申請・届出サービスから申し込む。先着順。(鈴木宏子)

4年連続の赤字 つくばのまちづくり会社、24年度決算

黒字化予定も大幅減収 つくば市が出資するまちづくり会社「つくばまちなかデザイン」(同市吾妻、内山博文社長)の2024年度決算(24年4月-25年3月)が9日開かれた同市議会全員協議会に報告された。24年度の最終的な当期損益は約3258万円の赤字となり、188万円の赤字だった前年度より大幅に赤字が増えた。赤字は設立以来4年連続。 内山社長は「当初は4年目に黒字化を予定していたが大幅な減収となった」とし「(つくば駅周辺でスーパーなどの商品を配送する)自動配送ロボットの受託事業(約6000万円)が24年1月に無くなってしまったため」だと説明する。同社は市中心市街地の活性化などを目的に2021年4月に設立された第3センターで、つくば駅近くのつくばセンタービル1階で貸しオフィスなどを運営する。 元市職員のナンバー2が退職 一方、元市職員で、設立以来ナンバー2として同社の経営を担っていた小林遼平専務が今年3月末で退職したことが明らかにされた。内山社長によると退職理由は「個人的なもの」という。現在専務は空席で、内山社長が常勤で経営に当たっているとしている。 今年4月から新役員に、常陽銀行の子会社でファンドを運営する投資会社、常陽キャピタルパートナーズ(水戸市)の池田重人社長が非常勤の取締役に加わった。 社債5500万円を追加発行 同社は、つくばセンタービル1階を貸しオフィスなどに改修して開業する際、社債を発行し約3億1600万円を調達して工事費にあてた。24年度は2期工事分として新たに同ビル4階の市吾妻交流センター跡地に貸しオフィスを増やす工事(約5500万円)と、1階のオフィスを間仕切りして区画を狭くするなどの工事(約1500万円)を実施した。工事費は計約7000万円で、工事費の一部として今年6月、新たに社債を追加発行して常陽キャピタルパートナーズから約5500万円を調達したことも明らかにされた。 社債の償還(返済)については、最初に発行した約3億1600万円の元本償還が24年度から始まり、24年度は500万円を償還した。25年度は2000万円の償還が求められる。さらに今年6月に追加発行した社債5500万円の償還は来春から始まるという。 3カ年の見通し示すも 議会の要請を受けて、内山社長は25年度から3カ年の事業計画目標を今回初めて議会に示した。売上高から経費などを差し引いた営業利益は、25年は1439万円、26年度は2498万円、26年度は1960万円になるとする強気の見通しが示されたが、ただし営業外費用の社債の償還などを加えると最終損益は赤字のまま。 決算報告に対し市議からは「3億1600万円借りた社債の返済は24年度は500万円だったが、25年度は2000万円、26年度2500万円、27~30年度は各3000万円、31年度は1億4600万円ある。大丈夫か」「小林専務は会社の立ち上げから尽力した。小林専務のあと、営業活動はどうするのか」などの質問が出た。内山社長は「コンサルタントなどの受託事業が順調に積み上がると思っている」「(貸しオフィスの入居などの)営業は基本的に市への問い合わせが多く、人海戦術で動いていたわけではない。私が後方支援から前面に出てマネジメントを行う。3、4年経ち現場の職員も育ってきている」などと答えた。 スーパーシティ実証実験の受注見込む 24年度決算の内訳については、全体の売上高は、前年度より約3100万円少ない1億1826万円となった。売上高から経費(販売費及び一般管理費)を差し引いた、本業で稼いだ利益である営業利益は約2358万円の赤字で、24年分の社債の元本や利息の支払いなど営業外費用を含めると、通常事業の収支である24年度の経常損益は3258万円の赤字になった。 事業別では、貸しオフィスやコワーキングスペース(共同オフィス)、カフェなどつくばセンタービル1階のco-en(コーエン)事業は、売上高が前年度より約880万円多い約5516万円になった。コワーキングスペース(共同オフィス)の月額会員は60人(23年度末は56人)、ビジター会員は1500人超(同1375人)という。25年度は5月に4階の貸しオフィスが開業することから約2110万円増の7626万円の売り上げを見込むほか、26年度は貸しオフィスがすべて埋まるとして9286万円の売上を見込む。 地下駐車場の売り上げは前年度比微増の1404万円(23年度は1360万円)。25年度、26年度いずれも1357万円の売上を見込む。つくばセンター広場の指定管理者としては921万円の売上があり、40件(23年度は29件)を超えるイベントについてアドバイスや物品貸出などの支援をした。 コンサルタントなどの受託事業は、同市のスーパーシティ実証実験の取り組みの一つとして、パーソナルモビリティ―シェアリングサービス「つくモビ」のアドバイザーなどを受注するなどし3775万円の売上があった。25年度以降も同事業の売り上げを見込む。ほかに現在、受託を前提に(地域のつながりをつくる)エリアマネジメントの相談を数件、受けているとした。 一方、23年度にサンドイッチ専門店として事業を継続し約2100万円の売上があったつくばエキスポセンター内のカフェ事業は、借主側の事業で継続が難しくなり、25年4月に閉店した。(鈴木宏子)