剣の道通じ地域の青少年を育成 運武館80周年 かすみがうら

練習後、黙想する門下生たち=かすみがうら市深谷、運武館

【田中めぐみ】剣道場、運武館(かすみがうら市深谷)が今年2月、創立80周年を迎えた。これを記念し6月に「運武館活人剣八十年」が発刊される。県剣道連盟名誉会長の中里誠さん(82)は「孟母三遷というが、子どもの教育は環境が大事。運武館は豊かな自然の中にあり、静かな雰囲気で、ここに来るだけで心が洗われるよう。館には文化的な価値がある」と話す。

稽古に励む門下生たち

運武館は、現在の館長である川島安則さん(80)の祖父、運平さんが1939(昭和14)年、私財を投じ自宅敷地内に設立した。前身は運平さんが1927年に開校した私立の男子校、昭和文農学校で、農村で質実剛健な気風を養いながら社会で活動する教育を施すことを目的に、英語、数学、国語、漢文、農業、珠算などの他、剣道を教えていたという。1941年に国民学校令が施行され、男子私立学校の多くが廃校とされる中、同校も廃校となり剣道場だけが残った。

同年には安則さんの父、武さんが召集令状を受け運武館での稽古は中断。しかし戦後、進駐軍の目を避けながら稽古を始め、1948年にシベリアに抑留されていた武さんが戻ると、再び本格的に道場を開始した。1970年半ばごろになると少年部の入館者が激増し、1977年に門下生や保護者を中心とする後援会が発足。地域一体となって青少年の育成に尽力してきた。

館長の川島安則さん

1997年には現館長である安則さんが3代目館長に就任。運武館と同学校で学んだ地域の青少年は1000人以上になるという。現在は木曜日と土曜日の2時間程度、就学前の子どもから70代までおよそ30人が練習している。

安則さんは幼いころから敷地内の道場で、父武さんや他の先生たちが稽古する様子を見ていて自分も剣道をやってみたいと思い、11歳から剣道を始めたという。中・高・大学と剣道部に所属し、父の死後も伝統を後世に残したいと道場を継いだ。「後援会のみなさんのご支援とご協力で80周年を迎えることができた」と話す。

一昨年からは市教育委員会と連携し小学1年から中学3年までを対象に月2回、土曜日の学習支援教室「寺子屋運武館」を開校している。市出身の大学生が講師となり「地域の子どもは地域で育てる」という基本理念のもと、学校の宿題などを中心に支援を行っている。

運武館剣道場