【相澤冬樹】筑波山の「水脈」をたずねて、滞ってしまった水の流れを復活させようという試みが近く始まる。山麓の住民らで立ち上げた「筑波山の水脈を守る会」(松崎崇代表)が広く参加を呼び掛けているもので、つくば市臼井、六所の里から分け入る宮山の西の谷筋を舞台に、専門家の指導を受けながら水脈の再生、整備に取り組む。13日のワークショップを皮切りに、今年あと3回の作業を予定している。
山全体が御神体という筑波山にあって、信仰あつい山麓の人々は古くから、小グループの結(ゆい)をつくって山を守る作業を受け継いできた。しかし人手が入りにくくなった今日、森は荒れ、土壌も硬化し、山津波などの災害リスクが高まっている。一部が土砂災害警戒区域に指定されている筑波山南麓の六所集落では危機感を募らせ、各地の環境再生に実績のある造園家の高田宏臣さん(高田造園設計事務所主宰、NPO 法人地球守代表)を招き、現地を見てもらい講演を聞いた。その上で、守る会結成を決めた。
まずは「ヒヤミズ」の詰まりを解消
同会は、水脈を保全することで、命の源である山を敬い、人と人、人と自然とのつながりを取り戻すことを目的に掲げる。筑波山水脈の大動脈は、女体山・男体山の間に位置する御幸ケ原(直下に男女川の源流がある)から東に大きく振れていると考えられ、その裾野にあたる宮山、お宝山辺りが要の地形となっていた。
宮山の西の谷筋には、六所集落で唯一の湧き水「ヒヤミズ」がある。明治時代、廃社になった六所神宮(今の六所皇大神宮霊跡地)の御神水というが、今は落ち葉や泥が詰まってほとんど水の流れはない「湿地」の状態。やぶに覆われた森は「動脈硬化のように水脈の詰まりがたくさんできている」そうで、まずはこの水脈の再生、保全をめざす。
高田さんの指導で実地に水脈整備を行うワークショップは、13日に第1回を開く。「水脈の詰まりは、人の力で、スコップ一つから解消していける」と集落外にも参加を呼び掛けている。
同会は、この試みが長期にわたるものと見ている。高田さんを招いての年4回の活動のほか、月に1度、ワークショップの資材を自作する活動もあり、こちらも地元の協力者を募っている。
◆13日(土)の第1回ワークショップの作業は午前9時から午後4時ごろの予定。参加費(ランチ付)は同市筑波地区在住1000円、それ以外2500円、高校生以下500円、就学前幼児無料。参加希望は10日まで、メール(tsukubanomizu@gmail.com)により受け付ける。
◆守る会への入退会は自由、年会費無料。詳細は同会ブログ(https://tsukubanomizu.hatenablog.com)。