【鈴木宏子】つくば市は3日、生活保護ケースワーカーの市社会福祉課職員が2016年度から17年度にかけて、生活保護を受給していた男性について、実際には男性宅を家庭訪問していないのに、訪問したと報告書に不適切な記載をしていたと発表した。男性は2年前の16年4月にアパートを転居していたが、市は把握できていなかった。
今年4月、ケースワーカーの担当者が代わり、男性宅を訪問したところ、別人が住んでいて転居が判明した。その間、市は男性に生活保護費の支給を続けていた。男性の住民票はつくば市にあるが、現在、男性とは連絡がとれず転居先は不明という。市は不正受給に当たるかどうか調査している。
ケースワーカーは定期的に受給者宅を家庭訪問し、生活状況を把握することが義務になっている。一方受給者も転居や就労など生活状況に変更があったときは市に報告する義務がある。家庭訪問の回数は、月1回から年数回など人によってさまざまという。
17年度まで男性を担当していたケースワーカーは、担当期間中、何度か男性宅を実際に訪問したが不在だったという。この間、男性から電話や来庁があり生活状況を聞き取ったのを、「来庁」や「電話対応」と記載するのではなく、「家庭訪問」と報告していた。男性は病気を抱えていたことから転居を想定しておらず、見抜けなかったという。
さらに、市がほかのケースワーカーの報告書を調査したところ、5人が7件について、実際は家庭訪問をしていないのに、訪問したと不適切な記録をしていたことが新たに分かった。受給者宅を訪門した際、子どもが留守番をしていて、翌日、世帯主が来庁したり、訪問時は留守だったが、数日後に本人が来庁したなどのケースがあったという。
不適切記載が発覚したのを受けて市は、再発防止策としてケースワーカーに研修を実施するほか、実際に家庭訪問を行ったことを確認するため公用車の走行距離を報告書に記載するよう改めるとしている。
今年3月現在の同市の生活保護受給者は889世帯1073人。市のケースワーカーは11人。17年度の生活保護費は19億9400万円。
五十嵐立青市長は「この度の行為は信頼を損なう行為であり、市民の皆様にお詫び申し上げます。引き続き十分な調査をし実態をきちんと解明していきます」とするコメントを発表した。