土曜日, 10月 24, 2026
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女性と聖性―柳田国男「妹の力」の視角《つくば常民大学だより》1

【コラム・佐野賢治】

佐野賢治さん=つくば市の桜民家園

前口上

私は1970年、筑波研究学園都市建設法制定のもと、開学間もない筑波大学で民俗学を学び、その後、愛知・筑波・神奈川大学での勤めを終え、半世紀余の時を経、つくばの地に戻りました。その間、つくば市は旧6市町村の在地の旧住民、研究所・大学関係者とその家族、全国各地からの学生たち、外国人研究者・留学生の新住民が居住する全国的に見てもユニークな地域社会を形作ってきました。

「つくば」は豊かな自然と歴史、最新の科学技術、国際情報にもふれ得る恵まれた環境を有した地域です。「常民」とは民俗学の言葉で、同じ地域「郷土」で日常生活を共に営み共感・共属意識を持つ住民、庶民を意味します。民俗学の大成者、柳田国男(1875~1962)は「郷土」を軸足にして広く世の中を見、人々の幸せを実現する「現代科学」であることをこの学に求めました。

この「郷土」で柳田の木曜会にならい、新たな「故郷」づくりを目指し、毎月第3木曜日、二の宮交流センターを会場に「つくば常民大学」を有志とともに開催、今日的課題を民俗学視点から取り上げ、本年10月で61回を数えます。

本連載は、「つくば常民大学」の時々の話題の要点、感想を、老隠居の視点、つぶやきとしてつづっていきます。まずは最近のつくば常民大学でのテーマ「女性と聖性」から始めます。

女性の地位めぐり盛んな議論

ジェンダー論に加えこの両年、マスコミはじめ男女平等社会における女性の地位をめぐり盛んな論議が行われました。背景には、昨2025年10月、第104代内閣総理大臣に高市早苗氏が就任、内閣制度発足(1885年)以来初の女性首相となったこと、本年7月、1947年施行の皇室典範の初の改正があり、歴史的に女性天皇も存在する中、女性、女系天皇の皇位継承の是非をめぐる根本的な問題が先送りされたことにもありました。

柳田国男は「女性と民間伝承」(1937)、「妹の力」(1940)でかつて女性は、神秘な霊力を有し、「カミ」と交流できる存在であり、神話や民間伝承、国から家、村の儀礼・行事にその発現がみられるとことを論じました。

9月17日開催の60回例会では、三島まき氏(法政大学沖縄文化研究所研究員)による「映像で見る沖縄の巫女祭祀(ふじょさいし)―久高島のイザイホーを中心にー」の報告。沖縄では現在でも、本土の神主に当たる祭司はノロ(祝女)であり、カミと人を媒介し独自の祭祀世界を形成、祭政一致の琉球王国時代には、最高位のノロ、聞得大君(きこえのおおきみ)は国王のオナリ(姉妹)神として、王と国土を霊的に守護する存在とされました。氏は1978年を最後に中断した、イザイホー行事は島の女性がカミとして再生する入巫儀礼であると同時に、共同体の生命力と秩序を更新する祭祀であり、「おもろさうし」や王府神女組織との関係から、国家祭祀としての側面も再検討する必要性を論じました。

イザイホーの諸儀礼が男子禁制で行われるのとは対照的に、10月15日開催の61回例会では鈴木正崇氏(慶応義塾大学名誉教授)は「女人禁制と現代社会」と題し、祭礼・土俵・山岳など聖域とされる時空への女性の立ち入り禁忌について報告。この話題も含めて次号以下、女性をめぐる聖俗論を何回かにわたり取り上げていきます。(神奈川大学名誉教授)

【さの・けんじ】1950年静岡県生まれ。東京教育大学文学部、筑波大学歴史人類学研究科修了後、愛知大学・筑波大学教員を経て、神奈川大学歴史民俗資料学研究科教授、日本民具学会長、野外文化教育学会副会長を務め、比較民俗研究会・つくば常民大学を主宰。日本学術会議連携会員、文化庁文化財専門委員、日本常民文化研究所長、日本ユネスコ協会連盟未来遺産委員会委員などを歴任。文学博士。神奈川大学名誉教授、(公財)農村文化研究所長、中国・敦煌研究院特聘教授。

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次期学長予定者に永田氏を再任 筑波大 在任17年と長期に

筑波大学(つくば市天王台)は23日、任期満了に伴う次期学長予定者に永田恭介氏(72)を再任したと発表した。次の任期は来年4月から2030年3月末までの3年間。永田氏は2013年4月から同大の学長を務めており、次の任期を含めると在任期間は17年と長期に及ぶ。 同大では2020年の学長選考で、これまで最長2期6年とされていた学長任期の上限を撤廃した(20年10月21日付、23年3月27日付)。前回23年は、学長選考は行わず、学長選考・監察会議の再任審査で永田氏が再任された(23年10月25日付)。 再び再任が決まったことを受けて23日、永田学長が記者会見し、カリキュラム改革や入試改革などの所信を改めて説明した。大学院までを見据えた3+3/3+4制(学群を3年で早期卒業し大学院を3年または4年で修了する)などのカリキュラム改革や、大学院課程を学位プログラムに移行したのに続く、学類の学位プログラム化など学群学類/大学院の組織の見直し、さらにAIの発展や留学生の増加を見据えた入試改革などについて必要性を話した。 在任期間が17年と長期に及ぶことについては「いけないことと、いいことの両方がある」とし、いいことして「ステークホルダー(利害関係者)とのやりとりが充実し、社会のいろいろな層と密接に意見交換できる」と強調した。 次期学長選考をめぐっては、9月に学長候補者の推薦を受け付けたところ、推薦があった候補は永田氏一人だった。10月22日、同大学長選考・監察会議(河田悌一議長)を開いて本人面談などを行い、次期学長予定者に決定した。永田氏は、筑波大学が未来構想大学(研究型総合大学)となる目標を掲げ、数々の学内改革を実行してきたこと、さらに永田氏が主導した、筑波研究学園都市の大学と研究機関が連携する筑波研究教育共創体(3月23日付)は、大学の研究と教育の在り方を大きく変えうる、類いまれで先進的な取り組みとして期待できることなどが理由という。 一方、9月の推薦受付に先立って、同大では、教職員の意見聴取(意向投票)が行われた。筑波学生新聞によると、意見聴取の候補者は永田氏一人で、結果は、永田氏が1460票だったのに対し、白票が922票だった。 同大学長選考・監察会議会議は、意見聴取の結果について、公表しないとしている。 永田学長は、意見聴取で白票が多かったことについて「白票の意味には、反対と分からないの二つの意味があるが、(理事や各組織長などで構成する教育研究評議会からの)推薦者名簿は、1組織を除いてすべての組織長が賛同してくれたが、現場の教職員にまで思いが届いてないということだと思う」と述べ、「去年から、上の人を除いて、各部局の希望者全員が集まって意見交換する場を設けており、白票の意味を変えていけると思う」などと話した。(鈴木宏子)

データセンター建設ガイドラインを策定 つくば市

住民説明会を100メートル以内に限定など課題も つくば市大穂の元公有地に、外資系不動産開発会社グッドマンジャパンが国内最大級のデータセンター建設を計画している問題で、つくば市は22日、「データセンターの建設及び運営に関する地域共生ガイドライン」を策定したと発表した。 排熱や騒音、水利用などについて、周辺住民から環境や生活への影響を懸念する声が出ている中、周辺環境に配慮し地域住民の理解を得ながら事業を進められるよう、市が事業者に求める事項を示した。策定は21日付。東京都、江東区、日本データセンター協会のガイドラインを参考にした。市は今後、同ガイドライン基づき、市と事業者による協定締結を目指すとしている。 一方、指針であるため、法的強制力はない。さらに桁違いの電力使用や排熱など「新しい公害」と言われる大規模データセンターの建設に対し、住民説明会の対象を敷地境界から概ね100メートル以内の居住者と土地所有者に限定している。周辺環境への影響については数値目標などは示さず「影響を最小限にとどめる」「法令を遵守する」という表現にとどめるなど、周辺住民の不安に応えられるのか、課題もある。策定にあたって市は、周辺住民へのヒヤリングなどは実施していない。 オープンハウス型説明会を1週間以上 住民への情報提供について同ガイドラインは、敷地境界から100メートルより外側に住む住民への説明については、「オープンハウス型説明会を1週間以上開催」するとしている。開催期間中はだれでも自由な時間に来場し、展示してあるパネルや会場に置いてある資料を見て回りながら、スタッフに1対1で質問する説明方法だ。住民説明会の開催を100メートル以内と限定した理由について市は、同市の開発行為の手引きや江東区のガイドラインを参考にしたとしている。 地域住民が最も懸念する周辺環境への影響に対しては▽排熱に伴う周辺環境や住民生活に及ぼす影響を最小限にとどめるため、排気設備の設置位置や排熱の排出方法に工夫を施すなどの対策を講じる▽騒音・振動対策は、法令基準を遵守し、周辺環境への騒音や振動を最小限に抑える▽排煙については、非常用発電機は大気汚染防止法の排出基準の適用外だが、基準を遵守する▽排水は、基準を遵守し、薬品等が河川や地下水に漏えいしないよう適切な対策を講じるーなどとしている。 ほかに▽電力・エネルギー対策として、原則として100%再生可能エネルギーを利用し、市内で発電されたエネルギーを優先的に調達するための対策を講じる▽研究機関と連携し、例として、環境影響評価やモニタリングなどについて研究機関の協力を得て課題解決を図る、などとしている。(鈴木宏子)

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「進学を諦めない社会であってほしい」あしなが学生募金事務局 長瀬光来さん

24、25日 つくば駅前で募金活動 病気や災害、自殺などで保護者を亡くした遺児の進学支援を訴える「第112回あしなが学生募金」の街頭募金活動が24、25日の両日、つくば駅南北自由通路前で実施される。集められた募金は、国内の遺児や親に障がいがある生徒の奨学金として活用される。街頭募金活動を実施する学生団体「あしなが学生募金」事務局員で筑波大学人間学群心理学類3年の長瀬光来(みく)さん(21)は「進学を諦めない社会であってほしい」と話す。 長瀬さんは大学1年の秋から募金活動に参加し、今回を含めて5回目になる。これまでは先輩に付いて街頭で声掛けをしていた。半年前に学生募金活動を企画・けん引する事務局員になって初めて取り組む街頭活動となる。「今回が局員として初めての街頭募金になるので、結構ドキドキなんです」と緊張を隠せない。 母親の病死契機 長瀬さんは現在、あしなが育英会の奨学金を利用している。きっかけとなったのは、小学3年の4月に母親が病気で亡くなったことだった。父親の収入だけに頼って生活するのは厳しく「進学のための奨学金があることを知り、奨学金で高校・大学と進学した」。長瀬さんの姉が高校に進学する際、中学校教師からあしなが育英会の存在を教えてもらったという。 現在長瀬さんは、月4万円のあしなが育英会の奨学金のほかに、2020年度から開始された日本学生支援機構の給付型奨学金(月4万4500円)や、土日の結婚式場でのアルバイトなどで学生生活をまかなっている。給付型奨学金を受給していることから大学の授業料の一部が減免対象となり、通常の授業料の約3分の2を減免してもらっている。 しかし日々の生活は厳しく、普段の移動は徒歩や自転車。交通費が支給されるのでアルバイト先に向かう時にバスに乗る程度。農家を営む祖父から米や野菜の仕送りがあり、食費負担をある程度軽減できているが、昨今の物価高で生活は厳しいと話す。 「進学を諦めない社会に」 あしなが育英会が今年8月に高校奨学金受給世帯の保護者4590人を対象に実施したアンケート調査によると、教育への影響に関する質問(複数回答)のうち、進学先について「学費を理由に希望を変更した、または変更を検討している」が27.7%、「大学や専門学校への進学を諦めた、または諦める可能性がある」が21.5%と、回答の約2割以上が進学への影響の可能性を示した。また「子どもにアルバイトを増やしてもらった、または始めてもらった」との回答も22.6%を占め、2割強の世帯で奨学金を受給している高校生が家計を支えるため働いている現状が明らかになった。 「私はすごく勉強が好きで、絶対に大学に行きたかった。勉強が好きだったり、『こういうことをやりたい』と思っている子もたくさんいると思うので、そういう子が進学を諦めない社会になっていったらいいなと思う」という長瀬さんは、将来、児童相談所職員や児童養護施設職員など、児童福祉に関わる仕事を希望しているという。 夏休みなどの長期休暇期間中は実家がある岐阜県に帰省して、地元の児童養護施設などでアルバイトや有給の長期インターンに参加している。一部の児童は大人への不信感から反抗的な態度を取ることもあるが、「1対1で少しずつ関わっていくうちにいろいろなことを知ることができたり、楽しそうに話してくれるようになったりする。そうした喜びにやりがいを感じながら取り組んでいる」と話す。 まずは知っていただくこと 長瀬さんは大学1年の秋から、水戸市や千葉県流山市の街頭で募金活動に参加してきた。道行く市民の反応については「本当にありがたいことに、温かく見守ってくださる方が多い。強い口調で何かを言われるようなトラブルもなく活動できている」と、市民意識の高さを実感していた。チラシを受け取った市民から「頑張ってね」と声を掛けられたこともあった。 しかし「知っている人は知っているが、知らない人は全然知らない」と、認知度にバラつきがあるという。長瀬さんは「まずは1人でも多くの方に知っていただくことが大事かなと思っている」と、募金や募金ボランティアへの参加を呼び掛ける。(崎山勝功) ◆つくば駅前の募金活動は、24日(土)、25日(日)いずれも正午から午後6時頃まで。あしなが学生募金の公式サイトでは、ネット上や郵便振替でも募金を受け付けている。公式サイトはこちら。 ◆あしなが育英会では、27年度から遺児や親に障がいのある子どもの中学校進学を応援するため、中学校入学前に5万円の「中学校進学支援金」を給付する制度を新設する。対象となるのは▽翌年4月に中学校進学予定▽病気や災害、自死で保護者(父または母)を亡くした(道路上の交通事故は除く)、または保護者が1級から5級の障がい認定を受けている▽経済的な援助を必要―の3点にすべてあてはまる小学6年生。採用人数は全国で400人で、給付金額は5万円で1回限りの給付。締め切りは11月13日正午まで。申し込み・問い合わせはあしなが育英会公式サイトへ。