金曜日, 9月 11, 2026
ホーム土浦「音」で土浦の今を残したい 子どもたちと集めた音でVR・AIアート体験を

「音」で土浦の今を残したい 子どもたちと集めた音でVR・AIアート体験を

22、23日 りんりんポート土浦

普段は意識せずに聞き流している、揺れる木々の音、足音、街のざわめきなど土浦市内の音を録音し、映像やVR(仮想現実)、AIなどの技術と組み合わせて「土浦の音」を体験する展示「土浦サウンドアーカイブプロジェクト 土浦サウンド展」が22、23日、同市川口、霞ケ浦湖畔の休憩施設、りんりんポート土浦で開かれる。

主催するのは、土浦市在住の音楽家、宇津木紘一(44)が代表を務める市民団体「つちうらサウンド・アーカイブ・プロジェクト実行委員会」。昨年から開いてきたワークショップの一環で、地域で集めてきた音や活動を紹介するとともに、来場者自身が音を聞き、触れ、遊ぶことのできる「小さな美術館」のような空間をつくる。地域活性化や地域課題解決を目的とした活動を対象にした市の助成制度「土浦市協働のまちづくりファンド(ソフト)事業」にも採択された。

子どもたちと音を探す

今回の活動は、昨年10月に15人ほどの子どもたちと土浦の街に出て音を集めるところから始まった。市内を走るサイクリングロード、つくば霞ケ浦りんりんロードを自転車で走ったり、霞ケ浦総合公園を歩いたり、霞ケ浦で遊覧船に乗船しながら、スマートフォンを使ってさまざまな音を録音した。水や風の音など自然界の音だけでなく、足音、自転車のきしみなど、普段は聞き流してしまっている音を録音した。参加した子どもたちが驚いたのは、自分の耳で聞く音と、録音した音との違いだったという。

今年2月には、ワークショップで集めた音と、サックス奏者である宇津木さんらによる生演奏によるコラボイベントが、市内の寺院で開かれた。(2月20日付

今年2月に土浦市内の東光寺で開いた音楽イベント「音と光の建築」の様子(宇津木紘一さん提供)

宇津木さんは「音を通して、その土地の文化や地域を知ることができる」と話し、「音は人の記憶と結びつく。何気ない一つ一つの音も、複数の音が重なることで、その場所ならではの風景が浮かび上がることがある」、そんな気づきが活動に繋がったと語る。

土浦の音でリズムをつくる

今回の展示では、これまでのワークショップやコンサートを写真や映像、資料で振り返るほか、VRなどを利用した体験型作品も並ぶ予定だ。普段は美術館などに出掛けなければ触れる機会の少ないメディアアートを、身近な地域で気軽に楽しんでもらいたいとする。

映像とともに音の遠近や変化を体験する「土浦サウンドVR」は、暗幕で光を遮った室内に設置された100インチのスクリーンに、AI技術を使用し、土浦市内の風景を元に作られた仮想空間がプロジェクターで映される。参加者は、パソコンを操作しながら空間を移動し、画面上のものに触れるとさまざまな音を聞くことができる。

音遊びゲーム「おとふね」は、企画のために作られたスマートフォン用のアプリを使い、土浦で録った音を素材に、自分でリズムをつくることができる。例えば、足音をバスドラムの「ドン」という音のように使ったり、風や葉の揺れる音を楽器の一つとして組み込んだりする。アプリ上で好きな音を選び、何度も組み合わせながら自分なりのリズムをつくる。スタッフに相談しながら体験できるようにもする予定だ。「私自身、世界にある全ての音を音楽に使えると気付いた時に世界が広がった」と話す宇津木さんの体験が元になったコーナーだ。作った音は、ダウンロードし持ち帰ることができる。

会場にはこのほか、地域で活動する作家と一緒に線香花火や紙パックを使ったランタンを手作りできるコーナーも設ける。

消えていく「音」で町を残す

活動の背景には、「今の土浦を残す」という目的があると宇津木さんはいう。「音から、その地域の文化や歴史を読み取ることができる。ふと耳にした瞬間に昔を思い出すこともある。音にはそんな力がある。街の景色や暮らしは変わり、文化や歴史も失われていく。だから、今しか聞けない音を記録しておきたい」

今はスマートフォンがあれば、誰でも簡単に音を録音できる。宇津木さんが子どもの頃は、録音には専用の機器やカセットテープが必要だった。身近になった録音技術を使って地域の音を残し、さらにVRやAIなど現在の技術と組み合わせることも、このプロジェクトの目的だ。残された音を将来聞いた人が「なぜ、この音がしていたんだろう」と疑問を持ち、当時を知る人に尋ねることで、地域の歴史を知るきっかけにもなると想像する。

「写真は撮るけど、音は撮らないですよね」と話す宇津木さん。「一度、音に意識を向けるようになると、どこへ行っても音に気付くようになる。音を積極的に感じる機会が少し増えるだけでも、日常の楽しみは増えるんじゃないかと思う」とし、「専門的な知識は全然なくて大丈夫。夏休みの思い出づくりに、『ちょっと面白そうだな』という気持ちで来てもらえれば」と呼び掛ける。(柴田大輔)

◆「土浦サウンドアーカイブプロジェクト 土浦サウンド展」は、8月22日(土)、23日(日)、土浦市川口2丁目13-25 りんりんポート土浦で開催。両日とも午前11時~午後5時。手作り線香花火、紙パックランタンの「手作りワークショップ」は午後1時からと、午後3時から。午後3時30分からは、サウンドスケープ・ライブと題して、宇津木さんと、同実行委員会の統括ディレクターを務める作曲家でピアニストの中村浩之さんによる、集めた土浦の音と楽器による即興演奏会が開かれる。入場無料。問い合わせはメール(contact@bbmusic.tokyo)へ。イベントの詳細は、特設サイトへ。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho





spot_img

最近のコメント

最新記事

別館宴会場「昴」を大改修 ホテル日航つくば

ホテル日航つくば(つくば市吾妻1丁目)は別館大宴会場「昴(すばる)」の大改修を進めていたが、このほど工事が完了、10日、報道機関などへの内覧会を開いた。天井照明装置、影像音響装置、床カーペットなどが一新され、「幅広い用途に対応できる宴会場として生まれ変わった」(古澤聡総支配人)。改修費は約3億円という。 同ホテルは、1985年開催のつくば科学万博に合わせ、1983年「筑波第一ホテル」として開業。別館は1990年に完成した。その後、ホテルオークラ(本社東京都港区)が運営を引き継ぎ、2001年「オークラフロンティアホテルつくば」に名称を変更。さらに経営権もオークラが継承、同社による日本航空系ホテル買収から10年後の2020年、現ホテル名になった。 筑波山稜線、桜川水面をイメージ 改修は大きく分けると3分野。天井照明は蛍光灯からLEDに換え、明るさを従来の3倍にし、スポット照明に動作性を持たせた。プロジェクターは後方壁面に備え付け(これまではフロアーに設置)、壁面スクリーンも電動操作(同手動操作)にし、音響器機には音質劣化抑制システムを導入した。カーペットは、紫峰・筑波山の稜線、市内を流れる桜川の水面などをイメージできるデザインのものに張り替えた。 古澤総支配人は「3分割可能な大宴会場は約700平方メートルの広さがあり、県南にある宴会場としては最大級。式典、宴会、結婚式などの快適性だけでなく、各種の会議に対応できるよう、照明器具や会議装置の機能性もアップした」と話す。 新装で増収目指す 同社の2025年度の売上高は18億2000万円。今年度は20億円を見込む。収入の半分を占める宿泊部門は外国人観光客を呼び込むことで増収を図り、宴会部門は新装会場の稼働率アップで増収を目指す。さらに、両部門の活性化を飲食部門につなげ、レストラン「セリーナ」、中国料理「桃李」、「常陸牛 山水」などの利用者増も狙う。(坂本栄)

投票時間1時間繰り上げ午後6時まで つくば市選管

つくば市は9日、今後実施される選挙について、投票日当日の投票時間を、これまでの午後7時までから1時間繰り上げて午後6時までとすると発表した。1日開いた市選挙管理委員会(野尻等委員長)で決めた。12月4日告示、13日投開票の県議選から実施される。 繰り上げの理由は、期日前投票を利用する投票者が増加していること、当日投票者の9割が午後6時までに投票を済ませていることなど。市選管事務局によると、昨年9月の知事選での同市の期日前投票の投票率は39%、今年2月の衆院選は54%だった。投票所立会人の従事時間が長時間に及んでいることを懸念する意見も出されたという。 投票日当日の投票開始時間に変更はなく、午前7時から。期日前投票の投票時間も変更はなく、市役所投票所の場合、午前8時30分から午後8時まで。 投票時間が繰り上がるのに伴い、12月の県議選の開票作業は、これまで午後8時20分から開始していたものを、午後8時からに20分繰り上げる予定だという。 公選法は午後8時まで 一方、公職選挙法は投票時間を午前7時から午後8時までと定め、特別の事情があり投票に支障をきたさない場合に限り、4時間以内の範囲内で繰り上げなどを認めている。 つくば市では2012年から、投票時間を法定の午後8時までから1時間繰り上げて午後7時までとしてきた。 県選管によると、今年2月の衆院選では、県内44市町村中、38市町村が午後6時で当日の投票を締め切り、つくば市を含め5市町が午後7時までとしていた。公選法の規定通り県内で唯一、午後8時までだった牛久市は今年度から、当日の投票時間を2時間繰り上げ、午後6時までとすると発表している。12月の県議選の各市町村の投票時間について、県選管はこれから調査する予定だとしている。(鈴木宏子) 【訂正 10日午後1時10分】3段落目、市役所投票所の期日前投票の開始時間は午前9時ではなく8時30分からの誤りでした。

ワイン用ブドウの収穫が最盛期 筑波山麓

筑波山麓で8月末からワイン用ブドウの収穫が始まり、最盛期を迎えている。収穫作業は9月末まで続く。つくば市は2017年に「つくばワイン・フルーツ酒特区」に認定され、現在市内には四つのワイナリーがある。 筑波山麓には、筑波大出身で、ワイナリー「ビーズニーズヴィンヤーズ」(同市神郡)を経営する今村ことよさん(53)のブドウ畑が広がる。今村さんは2015年から栽培を始めた。現在、山麓の沼田地区と臼井地区の2カ所に計約1.5ヘクタールあり、白ブドウのシャルドネ、黒ブドウのシラーなど10品種を栽培している。今村さんは今年6トンの収穫を目指している。 ブドウの栽培からワインの醸造まで今村さんが一人で担っているが、収穫作業は人手が必要になる。初日の8月30日にはSNSの呼び掛けで、ワイン作りを学びたいと、つくば市内や東京都、千葉県などから、50歳代の男女6人が集まり、ボランティアで収穫を手伝った。 ボランティアの6人はこの日、沼田地区のブドウ畑でジュースとして利用するメルローなどの品種を収穫した。今村さんから指導を受けながら、剪定(せんてい)ばさみを用いて、ていねいに収穫していった。千葉県習志野市から参加した公務員、角田圭吾さん(54)は「各地域のブドウ畑でボランティアとして収穫作業に参加している。今村さんの指示は的確で細かくありがたい」と語り、都内から参加した50代の男性は「つくばでワインが出来るのに驚いた。山麓の景色の良いところで作業できるのはうれしい」と話していた。 収穫作業と併せて、今村さんのワイナリーでは9月4日から、今シーズンのワインの仕込みが始まった。八千代町と埼玉県入間市の2軒のブドウ農家も加わり、それぞれ収穫したブドウを持ち込み、ブドウの品種や状態に合わせて、機械でブドウの茎や軸を取り除いたり、圧力をかけてブドウを絞る作業などを実施した。 この日持ち込まれたブドウは、今村さんが700キロ、八千代町のブドウ農家が700キロ、入間の農家が220キロの合計1620キロ。仕込み作業で出た搾りかすは、今村さんが肥料として利用する。2軒のブドウはそれぞれ、今村さんが受託しワインを醸造する。 今村さんは「今年はここ数年に比べて気温が低く、ブドウの色づきも良く、昨年よりも良いブドウが収穫出来そうだと期待している。収穫や仕込みの作業がまだまだ続くが、良いワインになるようにがんばっていきたい」と話している。(榎田智司)

「禍根を残す」「立つ鳥跡を濁す」《ハチドリ暮らし》65

【コラム・山口京子】どうやって始末をつけるのか? どう片づけを考えるのか? 個人であれ、社会であれ、「禍根を残さず」とか「立つ鳥跡を濁さず」という言葉は死語になってしまったのでしょうか? 科学技術が軍事利用、商業利用されるにつけ、「禍根を残す」「跡を濁す」ケースが増えているように思えます。 今、近代西洋科学には、自然を人間の都合で改変してしかるべし―という姿勢があるような気がしてなりません。科学を利用する人間の欲望のなせる業なのでしょうか。科学技術の成果が商品化され、社会がどんどん複雑化しているのに対し、人間の思考は単純化していると感じます。次第にお手上げ状態で生きるのではないか―そんな不安がよぎります。 人間のすることは自然にかなわないと分かった東日本大震災。福島原発事故のその後について、なぜ詳しい報道がされないのでしょうか? 緊急事態宣言が解除されたとは聞きません。福島の第一・第二原発の廃炉処理はどうなっているのか? 廃炉のロードマップ、時間・費用・技術など、素人には分かりません。それでも、廃炉の費用は税金から支出されるのでしょう。 経済破綻を戦争でウヤムヤに? パキスタンやアフガニスタンで医療活動に従事した中村哲さんの本に、こんな言葉がありました。「(国連難民帰還の)机上のプランは事情を知らぬものには説得力があったが、我々にはまるで粗悪なカリカチュアとしてしか映らなかった」と。それは彼の地を見続けた医師の声ですが、廃炉にも当てはまるのではないでしょうか。 事態がどうなっていくのか…。あれだけの大きな被害があり、今も将来も続いていくのに、責任はだれも取っていないような…。日本列島は地震の活動期に入ったと言われます。その上に、いくつの原子力発電所が建っているのか…。いつ大きな地震が来てもおかしくない今、それらを稼働させることは悪夢でしかないのでは? 各国ともども軍事費が膨張していくとなれば、未来はどうなるのでしょう? 国家は経済破綻を戦争でウヤムヤにするかもという声を聞きます。将来世代に重い負担が課せられていくでしょう。大きな負担と危険が隣り合わせの暮らしを押しつけることは、許されないはずなのに…。(消費生活アドバイザー)