【コラム・山口京子】
腹が減る 家は焼かれる 傷を負う 臭い汚い 痛い苦しい
餓死という戦死があった
帰って来ない兄さんの遺骨はどこでどうしているのか
原子爆弾が投下された
生きものがそんな殺されかたをしていいはずがない
人がそんな死にかたをしていいはずがない
1945年 日本敗戦
戦勝国によって裁かれ アメリカの思惑で戦犯が返り咲く
政治の中枢は連綿と 命の重さは今も赤紙一枚のほどか
1956年 もはや戦後でない アメリカンライフに憧れる
楽になること きれいに暮らすこと 物が増えること
忍び寄っていたコインの裏側は何だったのか

もっと もっと もっと もっと もっと もっと
無制限に 無責任に作り 無責任に使い 無責任に捨てる
正気の沙汰でないことが どんどん積み上がる
マネーとパワーで化粧された言葉や数字たち
化粧を落としたら 一体どんな言葉や数字が現れるのか
肝心なことが表に出なく わけが分からなくなる
自分よりも自分を知っているデータが集められる
そして 人であることがなぎ倒される
これが普通になった罪深さ
(消費生活アドバイザー)