【コラム・岡田富朗】茨城県詩人協会は2005年に創立され、会長の鈴木満さん(故人)、理事長の武子和幸さん、名誉会員の星野徹さん(故人)、瀬谷耕作さん(故人)、新川和江さん(故人)、粕谷栄市さん、山本十四尾さんと、会員130名での船出、今年7月で20周年を迎えました。現会長は髙山利三郎さんが務めており、会員数は約90名です。
現理事長の柴原利継さんが詩と出会ったのは、中学3年生のとき。詩人の大島邦行さんが桜中学校に赴任してきたことがきっかけでした。大島さんは水戸市出身で、星野さんの愛弟子。詩誌「白亜紀」の同人でもあり、日本現代詩人会、茨城県詩人協会の会員。詩集『海または音叉』(1979年、国文社)の著者でもあります。
柴原さんは2007年、塚本敏雄さん、福田恒昭さんと共に詩誌「GATE」を創刊。現在も発行しており、柴原さんの詩を読むことができます。同誌では毎号発刊時に読書会を開き、テーマを設けた競作を行っています。また、原稿段階での合評やゲストの招待、持ち回りによるエッセイの執筆なども柱としています。
塚本さんは、日本現代詩人会の前理事長であり、柴原さんとは幼稚園からの旧知の仲。共に大島さんに出会い、詩の世界へと導かれました。高校時代には、大島さん、塚本さんと3人で同人誌を発行していました。
元気をもらえるのは谷川俊太郎の詩

柴原さんは「詩が完成した時もうれしいが、詩を作る中でいろいろなことを考える時間が、何よりも貴重」だそうです。特に好きな詩人はとの質問には、「若い頃は、ちょっと斜に構えて世の中を見ていたので、渋沢孝輔さんのブラックユーモアに面白さを感じていました。でも、読んでいて元気や勇気をもらえるのは、やはり谷川俊太郎さんの詩ですね。『さすが』と思える詩がたくさんあります」と話してくれました。
さらに「谷川俊太郎の詩集の中で、1冊を挙げるなら」と聞くと、「やはり第一詩集『二十億光年の孤独』(1952年、創元社)ですね」と教えてくれました。
谷川俊太郎は2024年11月13日、92歳で逝去されました。1952年の『二十億光年の孤独』刊行以来、絵本を含めて何百冊もの著作を世に送り出してきました。25年6月6日には、朝日新聞連載の「どこからか言葉が」をまとめた詩集『今日は昨日のつづき どこからか言葉が』が出版されました。
この詩集には、谷川俊太郎が最後に残した「感謝」を含む47篇の詩が収録されています。「感謝」は逝去から4日後の朝日新聞に掲載されました。(ブックセンター・キャンパス店主)