【コラム・浅井和幸】会社の業績が悪くボーナスが支給されないため、ボーナスを当てにして組んだローンが払えないとアタフタする。相手がとても喜んでくれると思ってプレゼントしたのに、思ったより喜んでもらえなかった。計画していたよりも仕事が進まず、やる気も出ない。
これらのように、自分の予想や計画よりも物事が順調に進まず、嫌な思いをすることはよくあることだと思います。自分が推測するほど物事がよい結果を生まないとき、あなたはどのように考えるでしょうか? 行動できるでしょうか?
ローンを払えない自分は悪くないと会社のせいにしたり、プレゼントを喜ばない友人の性格を疑ったり、たまたまかかってきた電話のせいにしたりと、他責思考になるでしょうか? それとも、自分は何て能力のない奴だと、自責の念に駆られるでしょうか?
他責でも自責でも、その瞬間や過去に対して評価をしている状況です。うまくいかないことは、何か悪い原因があるのかと考えるのは、間違いではないかもしれませんが、そこにとどまるだけでは何も解決に向かいません。
解決をするには、解決をするための要素を集める必要があります。仕事が終わらないことを自分や他人のせいにしてネガティブな気持ちに浸っていても、仕事が終わるわけではありません。普段からやる気のスイッチが簡単に見つけられる人でない限り、そのスイッチを探し回っても時間がたつばかりです。
悪い出来事の責任論を続けていても、何かを達成するところへ近づくことはありません。それよりも、実際にどのように仕事を進めるかを考え、実行することの方が優先事項となるでしょう。
いくつかの可能性への対策を用意
人は推測したことが実際に起こらないと、パニックになります。そのパニック状態を起こして、どのような対策をとるかで人物の優秀性を測るテストもあるようです。
優秀な人間はパニックになる状況でも最善策を実行できると言われても、そう簡単に優秀な人間にはなれません。推測を一つに絞らずに、三つぐらいは考える癖をつけましょう。物事が順調にいく未来もあるし、うまくいかないこともあるかもしれない、さらに全く予想もしない別の現実が待っているかもしれない―と考える習慣があれば、いくつかの可能性への対策や心構えを持つことができるでしょう。
いつもうまくいく未来しか思い描けない人の特徴は、傲慢(ごうまん)な振る舞いに現れます。他人への批判ばかりが先行する。自分は完璧な人間であると思い込んで、敵を多く作ってしまう。もしかしたら、傲慢でいなければいけないほど、何かしらのコンプレックスを隠し持っている。コンプレックスを見ないふりをしていないと、不安で不安で仕方がないのかもしれませんね。(精神保健福祉士)