水曜日, 11月 4, 2026
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ライバル4書店が力合わせ 第1回つくば本推しコンテスト 

中高生の帯やポップを店頭で紹介

読書離れが言われる中、子どもたちに本に親しんでもらおうと、つくば市内にある四つの書店が力を合わせて「第1回つくば本推しコンテスト」(書店4店と市が共催)を開催し、31日、同市吾妻のつくば文化会館アルスホールで表彰式が催された。

つくば市に在住または在学する中高生に、自分が好きな本や人に薦めたい本の魅力を紹介する「帯」や「ポップ」(メッセージカード)などを作成してもらい、市内の書店4店の店頭や市の図書館などで展示し紹介する取り組みだ。「子どもの頃、出合えてよかった本がたくさんあった。中高生の皆さんにもそんな出合いがあれば」と、土浦一高出身の小説家で弁護士の新川帆立さんがコンテストに協力し、新川さんのデビュー作「元彼の遺言状」(宝島社)の「全帯」(表紙カバー)デザインの公募も実施された。

店長が市長と発案

四つの書店は、イーアスつくば内のアカデミアイーアスつくば店、コーチャンフォーつくば店、ツタヤデイズタウンつくば、イオンモールつくば内の未来屋書店つくば店。

アカデミアイーアスつくば店の伊東愛美店長が、五十嵐立青市長にあいさつする機会を得て、市長に相談したのがきっかけという。伊東店長は日頃、中学生の保護者などから子供が何を読んだらいいのか相談を受けることがあり、市の協力を得て、つくばにゆかりのある作家などに中高生向けの本を推薦してもらって、店内に推薦本コーナーをつくることになった。市内の他店にも呼び掛け、会議を開き企画を練る中、中高生の本推しコンテストをやろうという声が出て、開催に至った。

今年3~4月、まず各書店と市が、つくばや茨城県ゆかりの作家や研究者など18人に声を掛け、中高生に向けた図書45冊を推薦してもらい、各書店で紹介した。続いて5~6月に、本の帯のキャッチコピーと店頭に並べるポップのデザイン、新川さんの著書の全帯デザインの公募を実施した。6月下旬までに中高生から105作品の応募があり、書店4店と市図書館が一次審査を実施して25点を選んだ。7月に投票を実施した結果、5人の5作品が優秀賞に選ばれた。

優秀賞に選ばれたのは▽ミヒャエル・エンデ著「モモ」の帯のキャッチコピーを作成した中学3年の中山ほのかさん(14)▽村田沙耶香著「コンビニ人間」の帯を作成した高校3年の藤本桃依さん(17)▽星野源著「いのちの車窓から」のポップデザインを作成した中学3年の納田莉里花さん(15)▽三上延著「ビブリア古書堂の事件手帖」のポップを作成した高校1年の小栗綾華さん(16)▽新川帆立著「元彼の遺言状」の全帯を作成した中学2年の篠内結衣さん(14)の5人。

藤本桃依さんが作成した「コンビニ人間」の帯は「ただ普通に生きたかった。あなたの普通はどんな姿をしていますか?その普通は本当にあなたのものですか?自分らしさを謳う現代社会を生きるすべての人々へー」。藤本さんは「多様性や自分らしさについて関心が高まった時期にこの本を読み、自分の個性を大切にすることと、社会が求める同調性の葛藤の中で帯のキャッチコピーをつくった」という。

この間、応募があった全105作品は7月から、4店の店頭などに順次展示され、書籍と共にそれぞれ紹介されている。さらに新川さんの「元彼の遺言状」の全帯は、優秀賞を受賞した篠内結衣さんのデザインが今後4店に並べられる本に付けられて実際に販売される。

書店の店頭で順次展示され、本と共に紹介されている105作品の帯やポップ=31日、アカデミアイーアスつくば店内

2回、3回と続けたい

31日の表彰式で、本推しコンテスト開催のきっかけをつくった伊東店長は「本来ライバルである書店が、読書の楽しさを子供たちに広げようと力を合わせた。大人である私たちも本の魅力を改めて感じることができた。1回限りでなく2回、3回と続けていきたい」と話した。

表彰式には作家の新川帆立さんも出席し、優秀賞を受賞した5人と対談会を開催した。「作家は自分を出版社に売り込んだりするのか」との中高生の質問に新川さんは「作家は出版社に売り込んだりはしないが、新人賞をとるなどデビューした後から人としゃべらないと仕事がもらえない。編集者はほめるのは5%、ダメ出しが95%なので、いちいち傷つかないで仕事をするのが大事」だなどと答え、「創作する際、ストーリーが先かキャラクターが先か」の質問には「ストーリーが先。何となくこういう話にしようと決めてその後キャラクターをつくる。『元彼の遺言状』のキャラクターは『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラ。当時(贈り物に対してお返しをする義務について書かれた)モースの『贈与論』を読んでいた。あまりにも大きすぎる恩を受けるのは人間にとって負担が大きいので、多額のお金をもらっても負担に思わない人物を主人公にした。自分に近いキャラクターだと自分の延長で楽しくない。自分と違うキャラクターにして追体験する方が楽しい」などと答えた。「アイデアや振り方をどう考えるのか」という質問には「日頃、面白いことがあったらメモっておいたり、SNSに面白い言い回しがあったらスクショするなど、具体的なエピソードを日ごろから集めている」などと答えていた。(鈴木宏子)

優秀賞を受賞した中高生らと対談する作家の新川帆立さん(右から4人目)

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