【コラム・及川ひろみ】人が酷暑にあえぐ中、宍塚の里山は緑の木々のトンネルが続き、暑さをしのげます。そして、さまざまな生き物にも出合えます。今年はいつもの夏より種類も多いようです。
この里山は関東平野有数の広さ。広葉樹林、針葉樹林、田んぼ、湿地、小川、大池…。さまざまな自然があり、さまざまな生き物が息づいています。草むらに、木々の間に、木の上に、川辺に、湿地に、水面に、水中に、足元に、大小色とりどりの生き物が飛び交い、環境に溶け込んでいます。
今年はカブトムシやクワガタムシも多く、ヤマトタマムシ(茨城県準絶滅種)もいます。クヌギ、コナラの根元には、カブトムシの羽根が散らばっています。昔なら、カブトムシを食べる犯人はフクロウの仲間、アオバズクでしたが、今、犯人はカラスです。カラスはカブトムシのほか、ヤママユガの幼虫など、大型昆虫の捕食者です。
今ベビーラッシュを迎えているのはバッタ。歩を進めるたびに草の間から飛び出します。そして、小さなバッタがたくさんいるところには、彼らを食べるカエルたち。草の間から飛び出すのはアカガエル、それほど目立たず動くのはヌマガエル。ヌマガエルは至るところで見られます。
カエルが多いということは、生き物が豊富な証しです。カエルが増えれば、それを狙うヘビ。小さな生き物からヘビ―生き物のつながりを感じます。
ここで確認されたトンボは59種

空を切るように飛ぶトンボ。その種類が多いのもこの季節。野原、湿地、谷津田では、ショウジョウトンボ、シオカラトンボ、大シオカラトンボ、ナツアカネが見られます。小川にはオニヤンマ、草むらにはイトトンボがいます。宍塚でこれまで確認されたトンボは59種。全国のトンボの4分の1です。
今、宍塚大池の水面はハスの花で覆われています。大池にこれほどたくさんのハスの花が咲くのは6年振り。霞ケ浦沿岸に広がる蓮田のハスの花は白ですが、宍塚大池の野生種のハスはピンクで、とてもきれいです。
また、池で見られる胴体が短いチョウトンボの羽根は幅広で、遠目にはチョウのようです。羽根の一部が透き通り、オスはきらりと光ります。トンボは飛行の名手。特にチョウトンボは素早く飛び、ハスの上をたくさん飛んでいます。
しばらく酷暑が続きそうです。暑さしのぎに宍塚の里山、大池に足を運んではいかがでしょう。子どもたちには、自然体験の場として絶好です。(NPO法人宍塚の自然と歴史の会 会員)