スタジオ’Sで川島史也さん進行
筑波大助教で彫刻家の川島史也さん(35)と同大で芸術を学ぶ学生らによる、小学生を対象とした夏休み企画「造形教室 粘土の塔をつくろう!」が3日、つくば市二の宮のギャラリー「スタジオ’S」で開かれた。午前と午後の2部制で、それぞれ約20人ずつの小学生が市内外から参加した。イベントでは5班に分かれた子どもたちが、、学生らにアドバイスを受けながら、用意された2メートルの木の棒に約100キロの粘土を貼り付けて、オリジナルの塔を完成させた。イベントは、同ギャラリーを運営する関彰商事と筑波大学の連携による芸術活動「スタジオ’S with T」による取り組みとして行われた。
進行役の川島さんが「もっと大きく作っていいんだよ、どんどん粘土を使っていこう」と呼び掛けると、参加者が「よし、ここにトンネルをつくろう」「もっと大きな塊を貼り付けよう」などと声を掛け合う。子どもたちは手足や服を粘土まみれにしながら、ちぎった粘土で好きなキャラクターや食べ物、自然の動植物など、自由に形を作り、木に貼り付けていく。

桜川市から参加した小学1年生の溝部冬弥さん(6)は、脚立に登って自分の身長より高い場所に霧吹きで水をふりかけながら粘土を貼り付けた。「粘土で動物や海の生き物を作るのが好き。今日は、大きな粘土を思いきり切ったり、くっつけたりできてすごく楽しかった。またやってみたい」と笑顔で話した。
小学5年の子どもと来場したつくば市在住の永井勇治さん(58)は「豊かな発想をもとにいろいろな形を作る子供の様子に『よくできるなあ』と感心した。自由に楽しむことができて、いい機会になったと思う」と話した。
作業する子どもを手伝った同大学院1年の小川晃平さん(22)は「普段は木彫で(装飾的・説明的な要素を削ぎ落とす)ミニマル・アートに取り組んでいる。自由にものづくりに向き合う子どもたちからパワーをもらうことができ、とても良い刺激になった」と語った。

自身も彫刻家として活動し、多数の受賞歴を持つ進行役を務めた川島さんは「創作の魅力には、大きな作品を作るということがある」としながら、「今の時代では、タブレットやスマートフォンなど指先を使うことは増えたが、手全体を使う機会が減っている。彫刻は、実際にものに触れることができる芸術。ものに触れることで、今、自分が生きていることへの実感につながる。子どもたちには、粘土の感触とともに(制作物の)スケールの大きさを感じてもらいたかった。ぜひ、また大きな作品を作る機会があればチャレンジしてほしい」と呼び掛けた。(柴田大輔)