月曜日, 7月 21, 2025
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定年後の計画《短いおはなし》41

【ノベル・伊東葎花】

ずっとずっと未来の話です。

「定年退職したら、旅行でもしようか」

「いいわね。宇宙旅行がいいわ。私、行きたい星があるの」

「うーん、宇宙か。この前、宇宙船がブラックホールに吸い込まれる事件があったな」

「あんなのまれよ。100年に1回の大惨事だわ」

「それもそうだな。地球にいても危険なことはあるしな」

「そうよ。この前、宇宙生物にかまれて入院した人がいたわ」

「簡単にペットを捨てる時代だからな」

「ねえ、いっそどこかの星に移住しない? 地球は暑すぎるわ」

「それもいいな。人工じゃなくて、本物の海がある星がいいな」

「高いわよ。退職金、たくさん出るの?」

「そりゃあ出るだろう。98年も働いているんだぞ」

「昔は定年が60歳だって聞いたけど、早いわよね。残りの100年、どうやって過ごしたのかしら」

「寿命が違うだろう。そのころは100年生きれば長寿って言われた時代だ」

「100歳なんて、働き盛りよね」

「おっと、ボスから呼び出しだ。出かけてくる」
「気を付けてね。スカイハイウエイ、事故渋滞みたいよ」

「AIの誤作動によるあおり運転だろう。迷惑なことだ」

「行ってらっしゃい」

  *

「ボス、お呼びですか?」

「ああ、君、すまんが来月からポンコツ星の工場に出向してくれんか」

「え? 私、もうすぐ定年ですが」

「それなんだが、定年を120歳から130歳に引き上げることにした」

「えええ~」

「政府からの要請だ。人生150年と言われて久しいが、今や160歳、170歳はザラにいる。どうせなら働いて、税金を納めてもらおうというわけだ」

  *

「ええ! ポンコツ星に単身赴任?」

「そうなんだ。家族は連れていけないんだ。体制が整ってないらしい」

「わかったわ。寂しいけど待ってる」

「10年もすれば帰れるさ」

「10年後か。まあ、そのぶん退職金も増えるし、定年後の計画を考えておくわね」

「うん。よろしく頼むよ」

〈10年後〉

「ただいま。単身赴任がやっと終わった」

「あなた、おかえりなさい」

「ようやく定年だ。旅行の計画を立てよう」

「それがね、あなたがポンコツ星に行っている間に法律が変わってね、定年制度が無くなったのよ。生きている間はずっと働くことになったのよ」

「そ、そんな! じゃあ、退職金はどうなるんだ」

「あなたが死んだ後に出るらしいわ。遺族がいない場合は国の物になるらしいの。だから私あなたより10年以上は長生きするわ。アンチエイジングジムと、若さを保つサプリメント。元気で長生きして、絶対に宇宙旅行に行くわ」

死ぬまで働きたくは…ない。

(作家)

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