【コラム・中尾隆友】私が就職した30年前、日本の会社員の仕事着は「スーツにネクタイ」だった。しかし、私が20代のころにいた企業では、セクションの大半がアメリカ人、イングランド人、オーストラリア人などの外国人であり、彼らはいつもTシャツとジーパンで仕事をしていた。
当時の外国人メンバーに気付かされたのは、職務に当たる上で服装がその能率や成果に関係しているということだ。ネクタイを締めたスーツ姿と動きやすい私服では、明らかに後者の方がリラックスして集中できる上、疲労の蓄積も軽減できる。
そもそも、ワイシャツやネクタイで首周りに圧力をかけることは、仕事の能率を下げる可能性が高い。人が集中して何かをしようとする時、頭に血液の量を増加させる必要があるが、服装による圧力がその血液の流れを幾分でも妨げかねないのだ。
私は起業した20年前から、いつもリラックスできる服装で仕事をしてきた。春は長袖Tシャツにチノパン、夏はTシャツに短パン、秋は長袖Tシャツにチノパン、冬はパーカーにチノパンといった組み合わせが主流だ。
合理的に考え能率を重視する
今ではIT企業やベンチャー企業などでも、働きやすい服装で仕事をするのが一般的となった。また、近年では大手企業の中にも、服装が自由になる会社が少しずつ増えてきている。日本人の働き方にとって、徐々にではあるものの前進しているように感じる。
それでも首都圏の会社員の通勤時の服装をみれば、いまだ大多数の会社員の仕事着はスーツにネクタイだ。極めて合理的なのは、外部のビジネスマンと会う時以外スーツを着ないという考え方だ。ぜひ、多くの会社に検討の上、実践してほしいと思う。
今の日本の若者は過去の慣習にとらわれず、合理的に物事を考え、能率を重視する人が多い。そういった意味では、私が実践してきた「朝型集中の働き方」(前回コラム参照)や「能率が上がる服装」については、賛同してくれる若者が多いのではなかろうか。(経営アドバイザー)