硫化水素発生しやすい箇所か
土浦市西真鍋町で12日発生した下水道管の損傷が原因とみられる道路陥没事故で(14日付)、今年2月、事故があった箇所近くの下水道管の点検を同市が実施し、その際は異常を確認できなかったことが分かった。一方、現場の下水道管は硫化水素が発生しやすい箇所にあり、腐食による老朽化を早めたとみられるという。
道路が陥没した西真鍋の下水道管は44年前の1981年に敷設された。鉄筋コンクリート製の下水道管の耐用年数は約50年とされる。
市下水道課によると、今年1月、埼玉県八潮市で下水道管損傷が原因とされる道路陥没事故が発生し、トラックを運転していた74歳の男性が死亡した事故を受けて、土浦市は今年2月、2021年の調査で劣化が見られた市内29カ所の下水道管の点検を実施した。そのうちの1カ所が、陥没事故があった西真鍋町の道路近くのマンホールだった。点検はマンホールのふたを開けて、市職員が目視で下水道管に土砂がたまっていないかなどを調査したが、その際、異常は確認できなかったという。
一方、事故があった西真鍋町の下水道管は、現場から約1.6キロ離れた塚田ポンプ場から圧力をかけて送水し水がはき出される下流に当たり、同課は、硫化水素が発生しやすかったのではないかとみている。
硫化水素は、下水道の汚水に含まれる生ごみなどの有機物から発生し、コンクリート製の下水道管を溶かして老朽化を早めるといわれている。埼玉県八潮市の道路陥没事故は、汚水から発生した硫化水素で下水道管が損傷し、損傷した部分に土砂が流入して空洞ができ、道路が陥没したとみられている。
土浦市西真鍋町の事故現場では現在、復旧に向けて連日作業が行われている。周囲の土が崩れないように矢板を打ち込み、さらに下水道管が埋設されている深さまで土を掘り下げて、下水道管の状態を調査し原因を調べた上で、損傷した下水道管を交換する予定だ。復旧や通行止め解除までどれくらいかかるかの見通しは現時点で不明という。(鈴木宏子)