県立つくばサイエンス高校(つくば市谷田部、石塚照美校長)で2日、京都大学防災研究所の林宏一教授(57)を招いて防災をテーマにした特別講演と実習が行われた。科学技術科の2、3年生が取り組む課題研究の一環で、防災に関わる地質調査や微動探査について学んだ。
科学技術科では2年次から、ロボット、情報、建築、化学生物の4つの領域に分かれて実習や研究活動を行っている。防災をテーマにした課題研究は、情報領域を学ぶ生徒が昨年から取り組んでおり、地質調査会社、応用地質(東京都千代田区)との課題研究活動として行われた。林教授は同社の物理探査技術者として長年、地質の調査、解析方法を開発してきた。2024年から同大防災研究所 斜面未災学研究センターに勤務する。
特別講演と実習は2年次、3年次それぞれ行われた。林教授は「防災の観点から地質や地質の歴史を調べることは重要」と述べ、「(同高がある)この地域は10万年前は海だった。低地は柔らかく、筑波山などの高地は固い。土は年月とともに固くなり、最終的には石になっていく」などと話した。地震波を説明する際は、持参したアンプ内蔵ギターを弾き、「弦が短いと高い音、長いと低い音が出る。これと同じ論理で振動の伝わり方を説明することができる」と分かりやすく話を進めた。

応用地質技術本部の三枝優布花さんは「林先生の前職は応用地質なので今回の講義が実現した。会社は地球科学の知見と技術で、インフラ整備や防災、環境、資源エネルギーの領域で地質に関連したさまざまな活動を行っている。現在、人材を募集しているので、将来の仕事にしてはどうか」生徒に投げ掛けた。
実習では、3年の松島春吉さん、梅田颯斗さん、根田大樹さんの3人の生徒が「セーブ・ザ・ライフ(SAVE THE LIFE)」)というプロジェクトを立ち上げ、地すべりモデルを作り、砂の水分量を測ることによって、災害を察知しようという研究を行っている。
松島さんは「(モデルの)パーツの説明書が英語で書かれていたりして難しかったが、苦労して完成し、達成感があった」と感想を述べた。この作業は機械的な作業を松島さん、情報を梅田さん、デザインを根田さんが担当し、分業化も試されたという。

石塚校長は「これからも社会的な課題に目を向けていきたい。今回は情報領域の生徒が対象だったが、ほかの領域でもやってみたい。さらに一般の人をいれた講演会もやれたら」と語った。(榎田智司)