2024年度営業実績
今年8月開業20周年を迎えるつくばエクスプレス(TX)を運行する首都圏新都市鉄道(東京都千代田区、渡辺良社長)は2日、2024年度(24年4月-25年3月)の営業実績を発表した。1日平均乗車人員は前年度比5.3%増の40万3000人と40万人を初めて超え、過去最高となった。これまで過去最高だった19年度の39万5000人を超えるなどコロナ禍前の水準に戻り、記録を更新した。
同社は、沿線の人口増加が寄与したとしている。2024年度の年間乗車人員は1億4598万3000人。

利益剰余金、過去最高に
24年度決算は、乗車人員の増加に伴い運賃収入など本業で稼いだ営業収益は前年度比6%増の479億4100万円、一方、本業にかかった経費である営業費は、人件費やレールの交換など鉄道施設の修繕工事経費などが増加したことから同比4.4%増の382億4000万円になった。
この結果、本業で稼いだ営業利益は同比12.7%増の97億100万円、通常業務で得た経常利益は同比14.5%増の71億9500万円となり、当期純利益は同比1.2%減の59億9400万円と3期連続の黒字となった。ここ10年間ではコロナ禍の20年度、21年度の2年間を除いて黒字経営が続いており、利益剰余金残高は過去最高の136億600万円となる。

一方、鉄道・運輸機構からの借入金である総事業費8000億円の建設資金のうち、24年度は194億円を返済する予定。これにより同機構に対する借入金の残りは3968億円になる。
同社は、乗車人員の増加に伴う混雑緩和のため車両を6両から8両編成にしたり、鉄道設備や車両の更新など経年劣化対策に取り組んでおり、「今後も安全輸送を徹底すると共に、充実したサービスの提供や経営基盤の強化に取り組む」としている。(鈴木宏子)