【コラム・若田部哲】1月末、霞ケ浦導水事業の見学会に参加しました。霞ケ浦を利根川-那珂川と結び、広域で水を融通する構想として昭和50(1975)年代に始まったこの事業の背景には、水需要の増大や水質への懸念、渇水時への備えといった、当時の社会的課題がありました。その後、長い年月の中で、事業を取り巻く状況や環境への向き合い方は変化を重ねていきました。
今回見学したのは、そのうちの一部、小美玉市の玉里立坑と、そこから地中に伸びる石岡トンネル。午前10時の集合時間には、親子連れや年配の方など、多くの参加者が集まっていました。
ヘルメットを着用し、全員で集合写真を撮影したのち、いざ、直径18メートル、深さ約45メートルの玉里立坑の縁へ。地上からのぞき込むと、円筒状の巨大な空間が足もとに垂直に落ち込んでいます。
5メートルごとに数字が記されたその光景は、想像を超えるスケール! ワイヤーメッシュの籠状の工事用エレベーターに乗り込み、ドアが締まると、歯車がきしむ音を響かせながらゆっくりと地下へと降下し、自然と緊張感が高まります。
底部に降り立つと、両側に大きく口を開ける「石岡トンネル」は、よく見ると直径が異なっており、片方は4.5メートル、もう片方は3.5メートルとのこと。計画や技術の変遷が、断面の違いに現れているのを感じます。
湖と人、技術と暮らしをつなぐ
トンネルは、巨大な円筒形の「シールドマシン」によって掘り進められると同時に、工場製作のコンクリートの壁である「セグメント」を組み立てていく工法だそうです。全長31.5キロという数字に、その積み重ねの大きさを感じ、めまいを覚えます。
圧倒的なスケールの余韻を抱いたまま地上に戻り、見学会が終わろうとしたその時、これまでの工事を記録した映像が上映されました。
掘削、セグメントの組み立て、測量、機械の点検─さまざまな工種の作業員の方々が、真剣な表情で現場に向き合うその姿。巨大な土木構造物も、突き詰めれば一人ひとりの手仕事の積み重ねという、その確かな事実に改めて心を打たれました。
霞ケ浦導水事業をどのように受け止めるかは、人それぞれでしょう。ただ少なくとも、現場には確かに、人の手と時間が積み上げてきた現実があります。湖と人、技術と暮らしをつなぐ、長い対話の一端に触れることにより、この事業を「遠大な構想」ではなく、「目の前の風景」として思い描けるようになった取材でした。(土浦市職員)






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