木曜日, 8月 20, 2026
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序章 土浦一高哲学部「放課後の哲学」

はじめに

【コラム・哲学部顧問 飯島一也】現在、世界的に哲学ブームが起きているそうです。1960年代生まれの筆者にとっては、80年代に起こったニューアカデミズムという哲学ブームが懐かしく思い出されます。今回の哲学ブームはAIの進化と関連があるようで、AIと倫理に関連するスキルを合わせ持つ人材が、過去5年で6倍に増えているとのこと、2025年12月8日付 日経新聞電子版の記事「超知能 仕事再定義⑴ AI時代の雇用『求む!哲学専攻』」には、以下のように述べられています。

「なぜ今、哲学なのか。米エール大学心理学部のローリー・アン・ポール教授は『AIがもたらす予測不能な未来に、既存の価値観では対処できなくなりつつあるためだ』と説明する」

「AIはいずれ与えられた最終的な目標に向けて自ら計画を立て、必要なタスクを自律的に実行するようになると見込まれている。そのとき、AIの根本的な判断を左右するのは開発者の思想にほかならない」

この記事では「開発者の思想」である哲学は、「予測不能な」AIに対抗するためのものとされています。現代のAIは人間の脳をモデルとして作られていることから、筆者からすると、AIを開発することが人間の知能や人間らしさそのものについて思索する可能性を開いている、という側面も重要であると思っています。

改めまして、土浦一高哲学部顧問の飯島と申します。この度、NEWSつくばのライター柴田大輔さんから、生徒のエッセイを連載するという企画について、お声を掛けていただき、生徒にとって、自分の思索を文章にする絶好の機会だと受け止めました。連載を始めるにあたって、本稿では、顧問の立場から、部活動や本コラムの紹介をさせていただきます。

哲学部の由来

高校生が哲学について考え、自身の問題として語り合う。そういった放課後の光景が、土浦一高には、部活動として存在しています。土浦一高哲学部では、この記事の執筆時点(2月21日)で、1、2年生合わせて23人の部員が、それぞれの関心に応じて哲学を探究しています。

「哲学部」が正式に部活動として承認されたのは、2025年3月の生徒総会で、まだ最近のことになりますが、前進となる組織は、文芸・弁論部内の「哲学班」として、約4年間の活動を積み重ねてきました。

その始まりは、2021年の4月頃、入学して間もない一人の女子生徒が、国語科室を訪れたという出来事にさかのぼります。その生徒は、中学時代、筑波大学で開催されていた哲学カフェに参加したことがあり、土浦一高でも開催してほしいと言うのです。その要望に応える形で、まずは1年生を対象に第1回の哲学カフェを開催し、そこに参加した5人の生徒が文芸・弁論部に入部したことで「哲学班」の発足に至ったのでした。つまり、哲学部の始まりは、あくまで生徒の要望だったのです。 

哲学部の活動

そのような経緯から、哲学部の活動の中心は、哲学カフェにあります。参加者が輪座して対面し、当たり前に見える事柄を疑い、その場にいる皆が納得できる答えを求めて、専門的な知識を用いず、誰にでも通じる言葉で、前提にさかのぼって対話する。ですから、哲学カフェにおける「哲学」とは、参加者全員が共同して制作するものです。つまり、「哲学」を生み出すのは「対話」なのです。この原則は、哲学カフェを離れた、読書や文章作成などの場面でも変わらないと考えます。そこで、読書会なら「テクストカフェ」、文章作成なら「編集カフェ」というように、あらゆる活動について、対話を通して行うように意識しています。

また哲学カフェを含めて、個々の活動は「チーム制」で行っています。生徒自身が発案し、生徒自身の交渉によって実現したチーム活動としては、地元のレンタルスペースを運営する「がばんクリエイティブルーム」さんのご協力による市民哲学カフェが挙げられます。生徒が東京大学の研究室を訪問したときに、土浦一高で哲学カフェを開催していただけるよう、名誉教授を口説き落としたこともあります。他にも、哲学カフェの研究・企画・運営を行う哲学対話モデル研究会や、哲学史勉強会、各種の読書会、哲学散歩、広報活動などに、チームで取り組んでいます。最近の動きとしては、哲学という言葉に敷居を感じる人にも対話の文化を届けるために、心理班を発足させ、精神療法の一つであるオープンダイアローグ(開かれた対話)を活用した実践も始めています。

このように、土浦一高哲学部では、「対話」と「チーム制」に基づいて、フラットで対等な関係性が築かれています。

哲学部の挑戦

哲学部がまだ哲学班だった頃、2代目の班長を務めた女子生徒の言葉が印象に残っています。卒業を前にして残してくれた言葉です。

「哲学カフェで戦争を止めたい」

20世紀後半の哲学では、様々な哲学者や学派が異口同音に、言語や対話の重要性を主張していたように思います。それらの動きに先駆けて、アメリカの哲学者でプラグマティズム(実用主義)の創始者チャールズ・サンダース・パースは、次のように述べています。

「私たちは純粋な概念を語ることから始めてはならない。それはまるで誰も住んでいない公道をさまよい歩くようなあてのない考えだ。そうではなく、人々とその会話とともに始めなければならない」(CP8.112)

相対主義と分断の時代にあって、対話を通した哲学、哲学を共創する対話が生み出す関係性は、共同体の新たな形の一つを示唆しているように思います(*脚注)。学校内外での哲学カフェの実践は、そのような新たな共同体の芽を育てていく挑戦でもあると、土浦一高哲学部は考えています。

コラム連載にあたって

これからご覧いただくコラムは、哲学部員の中から手を挙げた生徒たちによるものです。「対話を通した共同執筆」という理念の下にチームを立ち上げ、先ず、生徒が選んだテーマについて、それぞれ30分くらいの哲学カフェ、次に、生徒が書いた第1稿について、やはりそれぞれ30分くらいの編集カフェを行いました。その後は、生徒が自身の内的な声と対話しながら完成させました。

生徒の文章を読むと、世界の根源などといった形而上学的なテーマは見受けられず、日常生活に密着した問いが中心となっています。その分、想定した以上に、生徒それぞれにとって切実なテーマが取り上げられているように思います。また、哲学カフェや編集カフェで交わされた対話や出された意見を誠実に受け止めて、文章に反映させようとしていました。それ故に、産みの苦しみを味わった生徒も多かったようですが、その過程で、自分の問いに進展があった、答えが見えた、という言葉を生徒から聞けたときは、このコラムのお誘いを引き受けてよかったと思えました。

哲学史の知識や文献研究の点では物足りなさを感じる方もいらっしゃると思いますが、「タイパ」(タイムパフォーマンス=時間対効果)重視という表面的な若者像、「Z世代」というステレオタイプとは異なった、リアルな若者の姿を発見できるでしょう。現代の高校生たちが、いかに誠実に世界と向き合い、いかに真剣に思索しているか。放課後の教室で、夕日を浴びる街中で、哲学を語り合う高校生たちのエッセイ集を、ぜひお楽しみください。『放課後の哲学』、スタートします。

*脚注
筆者は、顧問として、生徒との哲学カフェの体験を積み重ねる中で、生徒がこれほどまでに哲学カフェに熱中するのはなぜなのか、問い続けてきました。その結果として実感したのは、次の2点です。
一つは、哲学について:哲学とは、たとえ高度に専門的なものであっても、内的/外的な対話によって制作されるものであるということ。よって、哲学カフェは初歩的なお遊びどころか、哲学本来の姿を具現しているということ。そして、哲学カフェという場所では、対面することによって、参加者に共有できる現実が生み出され、その現実との対話から出された結論は、アドホック(その場限りの)でありながらも普遍性を確保しうるということ。
もう一つは、対話について:哲学が共同の制作物であると前提することで、哲学カフェに必要なルールが決まってくるということ。そのような哲学カフェのルールとは、対話を成立させるためのものに他ならないということ。そして、対話の中で、参加者それぞれの経験や気づき、アイディアが、哲学の共同制作に寄与していると実感できることで、他者や自己の価値に気づき、お互いを尊重し合うような関係性が発展するということ。
筆者の実感と近いものとして、精神障害等をかかえた当事者の地域活動拠点「べてるの家」に対する野口裕二氏の考察が挙げられるでしょう。
「 〔べてるの家では〕上下関係が生まれる心配はないのか。結論からいえば、その心配はない。その理由のひとつは、当事者研究が共同研究という形をとっているからである。誰かひとりのアイディアではなく、みんなで作り上げたアイディアとなるので上下関係と結び付きにくい。もう一つの理由は、そこで出てきたアイディアが有効かどうかは実際の行動によって検証されるからである。」(野口裕二「継承すべき系譜②―自助グループ」(臨床心理学増刊第10号 当事者研究と専門知)2018:松本卓也『斜め論』2025よりまた引き)
当事者研究と哲学カフェは、共同の表現の制作が対等な関係性につながる点、当事者または参加者に共有される現実が検証や普遍性の根拠とされる点で、共通していると考えられます。同じように対話を重視しても、声の複数性(ポリフォニー)の確保そのものが水平性につながる点を強調するオープンダイアローグとは対照的です。

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土浦一高哲学部のコラム集「放課後の哲学」が書籍化 NEWSつくばで連載

土浦一高哲学部が今年3月から4月にかけてNEWSつくばで連載したコラム「放課後の哲学」が一冊の本になった。9月から全国の書店で一般販売が始まる。版元はあっぷる出版社(東京都千代田区、渡辺弘一郎代表)。「放課後の哲学」は、部員一人ひとりが日々の暮らしの中で感じた違和感や葛藤を、等身大の言葉でつづったコラム集だ。 当サイトに掲載した哲学部員9人と顧問教諭による10本のリレーコラムのうち、書籍には部員の8本を収録した。このほか新たに執筆を希望した部員らによる書き下ろし5本と、3人の卒業生が在校時代をそれぞれ振り返った「あの時の放課後」、2人が卒業後の現在を見つめる「その後の放課後」、書籍化のきっかけにもなった学外での市民向け哲学カフェ「語るカフェ」を支える地域住民による「地方都市の『語るカフェ』」など、全22本のコラムで構成される。 四六判208ページ。表紙を彩る蛇行した虹色の線は、哲学部部長で2年生の大和田哲太さん(17)が自身のコラム「好きな『もの』や嫌いな『もの』とは何なのか」の挿絵として描いた「人間関係の強度」と「好き嫌いの度合い」を図式化したものが基になっている。オーケストラ曲を自ら作曲するなど音楽にも取り組む大和田さんが、人と人との関係を独自の図で表現したものだ。 連載時、読者からは「部員たちによる一生懸命な文章から熱量が伝わってくる」「錯綜したり、混乱したりしている文章が生身の若者丸出しでいい」「自分も若い頃に感じていた、将来への漠然とした不安な気持ちを思い起こした」などの感想がSNSを通じて多数寄せられ、書籍化を望む声も寄せられていた。 生徒自ら書店を巡りPR 8月、発売を前に、哲学部の生徒たちは地元のつくば市や土浦市の書店を訪ね、自ら本のPRを始めた。 「私たちが書いた本です。ぜひ、よろしくお願いします」。10日、つくば市内の書店、リブロ トナリエキュートつくば店を訪ねた大和田さんは同書の書影が印刷されたチラシを店長の多和田遥さんに手渡し、本の内容や哲学部の活動について説明した。 受け取った多和田店長は「著者が出版物を持って書店をあいさつに回ることはこれまでもあったが、高校生が来たのは初めて。なかなかできないことだし、熱量が伝わってくる。高校に哲学部があるのも全国的に珍しい取り組みで、とても関心がある。力になりたいと思っている」と応じた。哲学部では8月、つくば、土浦市内の書店、合わせて8軒を数日間かけて回る予定だ。 大和田さんは「書籍化されると聞いて、まず驚いた。部員全員で一生懸命取り組んだ結果だし、さまざまな関係者のおかげでもある」と話す。実際に書店を訪ねてみて、「自分たちの取り組みを人に伝えることの大変さも改めて感じた。ただ熱量があるだけでも伝わらない」と感じたと話す。 対話を重ねて文章に 「放課後の哲学」は、生徒がそれぞれ書いた完成原稿を持ち寄って始まった連載ではない。連載開始までの約5カ月間、生徒たちは「編集カフェ」と称して毎週月曜の昼休みに学校の図書室に集まり、それぞれが書いた原稿を読み合った。書き手が何を伝えたいのかを聞き、一人ひとりが意見を出す。それを受けて書き手が再び文章に向き合い、書き足したり書き直したりする。哲学部が活動の中で大切にしてきた「対話」を重ねながら、一つ一つのコラムを形にしていった。 生徒自身が書店を訪ねることについて、顧問の飯島一也教諭は、単なる販売促進とは異なる意味があると話す。 「自己表現の一環として、どのような思いで本をつくったのかを書店の方に話すことも、哲学部の活動として意味があるのではないかと考えた。本を書いた思いを皆さんに知っていただく、そうした行動の一環として、生徒自身が書店に出向くことに意味があると話し合った」という。 哲学部は学校の外でも、市民と一つのテーマについて語り合う哲学カフェ「語るカフェ」を、市内のイベントスペースで開いている。2024年から始まり、開催はこれまで6回を数える。高校生の孫を持つ世代から、会社員、大学生などさまざまな市民が参加してきた(5月14日付)。 飯島教諭は「哲学カフェは格闘技ではない」と強調する。相手を言い負かしたり、勝ち負けや一つの正解を求めたりするのではなく、異なる意見を受け取り、対話を通じて自分も相手も少しずつ変わっていく。その過程そのものを大切にする活動だとし、「社会の分断が世界規模で進む中、共通の土壌の上で共同作業をする経験を、どこで積むのか。その一つの答えが哲学カフェだと思っている」と語る。 9月には、土浦やつくば市内で出版記念イベントの計画も進行中だ。飯島教諭は書籍について「生徒自身が表現した切実な思いが皆さんに伝わり、読んだ人の心の中に何か変化が起きて、それがまた社会の何かの変化につながっていくことがあったらありがたい」と期待する。大和田さんは「高校生の私たちが書いた文章によって、本を手に取ってくれた方に何か新しい発見や、日常の見方の変化があれば、一番うれしい」と話した。(柴田大輔) ◆執筆した哲学部員や卒業生、関係者らによる出版記念トークイベント「放課後の哲学ができるまで」が、9月13日(日)午前10時~11時30分、土浦市中央1丁目13-52 公園ビル内「がばんクリエイティブルーム」で開催される。入場無料。事前予約制。同日正午からは会場の向かいにある城藤茶店で希望者による食事会も開かれる。参加予約、問い合わせはメール(daisuke.pp@gmail.com)へ。 ➡NEWSつくば連載のコラム《土浦一高哲学部「放課後の哲学」》はこちら

「音」で土浦の今を残したい 子どもたちと集めた音でVR・AIアート体験を

22、23日 りんりんポート土浦 普段は意識せずに聞き流している、揺れる木々の音、足音、街のざわめきなど土浦市内の音を録音し、映像やVR(仮想現実)、AIなどの技術と組み合わせて「土浦の音」を体験する展示「土浦サウンドアーカイブプロジェクト 土浦サウンド展」が22、23日、同市川口、霞ケ浦湖畔の休憩施設、りんりんポート土浦で開かれる。 主催するのは、土浦市在住の音楽家、宇津木紘一(44)が代表を務める市民団体「つちうらサウンド・アーカイブ・プロジェクト実行委員会」。昨年から開いてきたワークショップの一環で、地域で集めてきた音や活動を紹介するとともに、来場者自身が音を聞き、触れ、遊ぶことのできる「小さな美術館」のような空間をつくる。地域活性化や地域課題解決を目的とした活動を対象にした市の助成制度「土浦市協働のまちづくりファンド(ソフト)事業」にも採択された。 子どもたちと音を探す 今回の活動は、昨年10月に15人ほどの子どもたちと土浦の街に出て音を集めるところから始まった。市内を走るサイクリングロード、つくば霞ケ浦りんりんロードを自転車で走ったり、霞ケ浦総合公園を歩いたり、霞ケ浦で遊覧船に乗船しながら、スマートフォンを使ってさまざまな音を録音した。水や風の音など自然界の音だけでなく、足音、自転車のきしみなど、普段は聞き流してしまっている音を録音した。参加した子どもたちが驚いたのは、自分の耳で聞く音と、録音した音との違いだったという。 今年2月には、ワークショップで集めた音と、サックス奏者である宇津木さんらによる生演奏によるコラボイベントが、市内の寺院で開かれた。(2月20日付) 宇津木さんは「音を通して、その土地の文化や地域を知ることができる」と話し、「音は人の記憶と結びつく。何気ない一つ一つの音も、複数の音が重なることで、その場所ならではの風景が浮かび上がることがある」、そんな気づきが活動に繋がったと語る。 土浦の音でリズムをつくる 今回の展示では、これまでのワークショップやコンサートを写真や映像、資料で振り返るほか、VRなどを利用した体験型作品も並ぶ予定だ。普段は美術館などに出掛けなければ触れる機会の少ないメディアアートを、身近な地域で気軽に楽しんでもらいたいとする。 映像とともに音の遠近や変化を体験する「土浦サウンドVR」は、暗幕で光を遮った室内に設置された100インチのスクリーンに、AI技術を使用し、土浦市内の風景を元に作られた仮想空間がプロジェクターで映される。参加者は、パソコンを操作しながら空間を移動し、画面上のものに触れるとさまざまな音を聞くことができる。 音遊びゲーム「おとふね」は、企画のために作られたスマートフォン用のアプリを使い、土浦で録った音を素材に、自分でリズムをつくることができる。例えば、足音をバスドラムの「ドン」という音のように使ったり、風や葉の揺れる音を楽器の一つとして組み込んだりする。アプリ上で好きな音を選び、何度も組み合わせながら自分なりのリズムをつくる。スタッフに相談しながら体験できるようにもする予定だ。「私自身、世界にある全ての音を音楽に使えると気付いた時に世界が広がった」と話す宇津木さんの体験が元になったコーナーだ。作った音は、ダウンロードし持ち帰ることができる。 会場にはこのほか、地域で活動する作家と一緒に線香花火や紙パックを使ったランタンを手作りできるコーナーも設ける。 消えていく「音」で町を残す 活動の背景には、「今の土浦を残す」という目的があると宇津木さんはいう。「音から、その地域の文化や歴史を読み取ることができる。ふと耳にした瞬間に昔を思い出すこともある。音にはそんな力がある。街の景色や暮らしは変わり、文化や歴史も失われていく。だから、今しか聞けない音を記録しておきたい」 今はスマートフォンがあれば、誰でも簡単に音を録音できる。宇津木さんが子どもの頃は、録音には専用の機器やカセットテープが必要だった。身近になった録音技術を使って地域の音を残し、さらにVRやAIなど現在の技術と組み合わせることも、このプロジェクトの目的だ。残された音を将来聞いた人が「なぜ、この音がしていたんだろう」と疑問を持ち、当時を知る人に尋ねることで、地域の歴史を知るきっかけにもなると想像する。 「写真は撮るけど、音は撮らないですよね」と話す宇津木さん。「一度、音に意識を向けるようになると、どこへ行っても音に気付くようになる。音を積極的に感じる機会が少し増えるだけでも、日常の楽しみは増えるんじゃないかと思う」とし、「専門的な知識は全然なくて大丈夫。夏休みの思い出づくりに、『ちょっと面白そうだな』という気持ちで来てもらえれば」と呼び掛ける。(柴田大輔) ◆「土浦サウンドアーカイブプロジェクト 土浦サウンド展」は、8月22日(土)、23日(日)、土浦市川口2丁目13-25 りんりんポート土浦で開催。両日とも午前11時~午後5時。手作り線香花火、紙パックランタンの「手作りワークショップ」は午後1時からと、午後3時から。午後3時30分からは、サウンドスケープ・ライブと題して、宇津木さんと、同実行委員会の統括ディレクターを務める作曲家でピアニストの中村浩之さんによる、集めた土浦の音と楽器による即興演奏会が開かれる。入場無料。問い合わせはメール(contact@bbmusic.tokyo)へ。イベントの詳細は、特設サイトへ。

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