【コラム・原田博夫】2027年11月に市制移行を予定していた阿見町は、3月11日、市への移行を見送ると発表した。昨年10月の第22回国勢調査(簡易)の結果、総人口が4万9689人(速報値)となり、市制移行要件の5万人を下回ったためである。
阿見町は、2023年11月の常住人口(直近=この場合は20年=の国勢調査人口を基準に、毎月の住民基本台帳の増減により集計)が5万人を超えたことで、25年10月の第22回国勢調査で5万人達成は可能と見て、市制施行への準備を進めてきた。25年10月1日現在の常住人口も5万637人だった。
しかし、2026年2月27日、第22回国勢調査の結果(速報値)が通知され、要件を下回ったことが判明した。阿見町としては、市制移行を前提に、26年度当初予算に関連費約1590万円を計上していたが、これを減額修正することになった。国勢調査の結果によるとはいえ、関係者の落胆ぶりがうかがえる。
国勢調査の歴史と特徴
そもそも国勢調査(センサス)は、公的統計の中でも基幹統計と位置付けられ、統計法第61条で、回答拒否や虚偽報告に対しては罰金50万円以下の罰則が規定されている。
歴史的には、1902(明治35)年に制定された「国勢調査ニ関スル法律」にさかのぼるも、当初予定された調査(1905=明治38=年)は日露戦争で、さらに第1次世界大戦(1914~18年)などで実施が延期され、第1回調査は1920(大正9)年まで実施がずれ込んだ。
現状では、①住民を対象に調査が実際に行われ、住民基本台帳など他資料を集計した業務統計は含めない②ある地域に住む人全員を対象にする③調査票を用いて対象の住民が自ら回答する④調査時点(10月1日)を定め、規則的に(西暦が0年では大規模調査、5年では簡易調査)に実施される―などの特徴がある。
社会構造が変化⇒調査手法を刷新?
国勢調査の回収率は、国民性のためか、かつては非常に高かった。しかし、近年は低下していて、特に大都市部では顕著である。
期間内に調査票の回収が困難な場合は、近隣住民からの情報を基に自治体が住民票のデータで補う「聞き取り調査」を行うが、この調査の世帯割合は、2000年調査では全国4.4%(うち東京都5.9%)、05年4.4%、15年13.1%、20年16.3%に急増している。その背景には、大都市部を中心にした高層・大型マンションのオートロックシステムや不在世帯の増加、地方圏では空き家の増加など、社会構造の変化が関連している。
かつては有効だった全数調査も、DX化や社会関係の希薄化が顕著な現代では、その限界が顕在化している。新たな調査手法が求められているのかもしれない。(専修大学名誉教授)






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