木曜日, 2月 5, 2026
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性的マイノリティ学生を支援するガイドブック 筑波大の研究者らが作成

誰もが安心できる大学に

大学が、性的マイノリティ学生を支援するためのガイドブック「LGBTQ学生支援指標」を、筑波大学人間系助教の河野禎之さん(45)らによる研究グループが作成した。当事者学生や支援者、専門家から聞き取った経験談などをもとに今年3月に発表した同グループの論文を土台とし、大学内の場面に応じて必要な支援の指針となる47の指標と、課題の具体例を解説する17のコラムからなっている。

研究・作成にあたったのは筑波大助教の河野さんと、同大人間系研究員の渡邉歩さん(35)、同大人文社会系助教の土井裕人さん(48)、立命館大人間科学研究科准教授の佐藤洋輔さん(33)ら4人の研究者。今後、国内の大学が支援方針を策定する際の指針にしたい狙いがある。

河野さんと土井さんは2015年に、国内の大学として初となる性的マイノリティ学生支援の基本理念と対応ガイドラインを筑波大学で作成した経験がある。その後、大学関係者有志のネットワーク「大学ダイバーシティ・アライアンス」をつくり、性的マイノリティ支援の情報を共有するなど取り組みを進めてきた。河野さんは「すべての学生、教職員、大学関係者がそれぞれに尊重され、安心して過ごすことができる大学キャンパスの実現につながることを心から願っている」と思いを語る。

ガイドブックは、A5判、40ページ。大学の「組織」「場」「学生」の三つに分けて構成され、「組織」は大学での学生支援に関する方針や体制に関する7つの指標、「場」は大学の施設や設備、意識啓発、居場所に関するハード、ソフトの環境面に関する12の指標、「学生」は入学してから卒業後までの生活、授業、行事、就活支援など学生のあらゆる場面に関する28の指標が記載されている。

指標は質問形式で、「差別を禁止しているか?」「性的マイノリティの相談担当者は専門的な研修・訓練を受けているか?」など大学が組織として定めるべき事柄や、トイレや寮、更衣室などの学内施設の課題、本人の同意なしに性的指向や性自認を周囲に暴露する「アウティング」やハラスメントに関する防止策などがある。各指標のチェック欄も設けられ、大学は、各項目に付された補足と望まれる取り組み事例をもとに、学内の現状をチェックし改善に繋げられる仕組みになっている。

例えばトイレの利用に関しては、「学生がトイレ利用で困難が生じる際、本人から申し出があれば大学と本人が協議し出来る限り柔軟な対応を行っているか」「多目的トイレなど性別に関係なく利用できるトイレの設置場所を一覧や地図として公開しているか」など2つの指標を設け、発展型として「本人がどのトイレを利用したら居心地が良いか、悪いかを大学が一緒に検討する」「施設を新設または大規模改修する場合、性別に関係なく利用できる多目的トイレなどを設置する方針をもつ」などを提案している。

(左から)筑波大学人間系助教の河野禎之さん、同人間系研究員の渡邉歩さん、同人文社会系助教の土井裕人さん、立命館大人間科学研究科准教授の佐藤洋輔さん(提供は各研究者)

当事者の声を重視する

「支援はしたい。でも、実際に何から始めればいいのかわからない」―

性的マイノリティへの関心が高まり、全国の大学で当事者学生への支援が広がる中で、このような声が上がっているという。河野さんは「(当事者の学生を支援する上で)具体的に必要なこと、大切になる基準となる考え方が大学間で共有されていない現状がある。共有できる指標が必要と考えた」と、制作のきっかけを話す。

一連の研究活動の中で河野さんらが重視してきたのが、「当事者の声や意見を反映すること」だという。学内で当事者学生との交流を重ねる土井さんは、「学生の意識の変化は大きい。(支援する大学側の)認識がずれると、取り組み自体が当事者のニーズに合わなくなる」と話す。学生の変化について土井さんは、「学生が(自身の性を)自己規定する際に、ノンバイナリー(自認する性が男女に当てはまらない)という言い方をするようになっている。支援にあたる人の中には『LGBTの4種類でいい』と認識する人もいるが、それでは困る。当事者像は常に変わりうる。きちんと変化を見極めなければ支援が的外れになりかねない。ガイドブックは、いかに学生に寄り添えるかを重視し、大切にした」と話す。

差別や偏見に対し科学的情報示す

また、ガイドブックに込めた思いとして河野さんは「性的マイノリティに対するバッシングがあり、そこで言われる偏見や誤解に対して科学的な情報を提供したかった」と話す。その具体的な対応を、さまざまな事例をもとにコラムとしてまとめたのが、性的マイノリティの学生支援に取り組んできた渡邉さんだ。

近年、誤った認識のもとで差別的に取り上げられるトイレや入浴施設の利用やカミングアウト、性自認などのテーマに対する意見と対策を、実例を踏まえて取り上げながら、「当事者抜きで語る」ことの問題性や、課題は学生個人の問題ではなく、環境を作る大学側に根本があると指摘する。「インタビュー調査を通じて、他者に恋愛感情を抱かなかったり、性的なアイデンティティを持たなかったりするなど、多様な当事者の声を聞いた。そうした学生の意見を踏まえたからこその表現をしている。多数派と少数派の間で権力勾配がある中で、権力を持つ側が人を単純化して理解することはしたくなかった」とし、「バッシングも含めて、質問に対して、担当する職員ができるだけ理論的に返答するための根拠資料として使えるようにも書いた」と話す。

学生にも読んでもらいたい

土井さんはガイドブックの作成は、「『大学がきちんと課題に取り組んでいる』と、学生に伝える」意味もあると話す。「学生が感じる息苦しさは周囲の学生との関係だけでなく、社会状況にも依存する。(少数者を排除する)トランプ大統領の政策に辛さを感じる学生もいる。学生には『我々は、活動を後戻りさせないように計算して取り組んでいる』と伝えている。ガイドブックは学生の安心感につながる大事な機能、役割がある。今後、大学としてマイノリティ性が問題にならない環境をどう作っていけるのかが重要」だと指摘する。

心理学の面から課題に取り組む佐藤さんは、「偏った理解が浸透することで、学生が傷つく可能性がある。LGBTQ学生支援で忘れてはならないのは、当事者の学生が安心し、自分らしい学生生活を送れる環境を整えること。そのためには学生との対話を重ね、大学が実情にあった支援を実施することが必要になる。大学には何かしたいと思う学生、教職員がたくさんいる。思いを持つ人たちがつながり利用できる媒体として、このガイドブックを役立ててもらいたい」と語る。(柴田大輔)

◆「LGBTQ学生支援指標ー大学における性的マイノリティ学生の支援に向けた環境整備に関する 47の指標活用ガイドブック」は筑波大学人間系ウェブサイト内の専用ページで無料で公開されている。

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消費期限切れ食品を冷凍自販機で販売 つくばまちなかデザイン

保健所が販売停止を指導 つくば市のまちづくり会社「つくばまちなかデザイン」(つくば市吾妻、内山博文社長)が設置、管理する冷凍食品自動販売機で、1月9日から14日までの間、消費期限切れの食品が販売されていたことが分かった。つくば保健所の指導を受けた同社は、該当食品の販売を17日から停止し、現在までに同自販機による全食品の販売を停止している。 同社は購入者に対し返金対応を行うとしているが、同社による事態の告知は自販機への貼り紙と、冷凍食品製造事業者を含む飲食店経営者による有志グループ「旨がっぺTSUKUBA(つくば)」のインスタグラムとフェイスブックなどに限られ、つくば市が出資する第3セクターとしての説明責任が問われる。 販売が停止された自販機は、つくば駅前のつくばセンター広場ペデストリアンデッキ上に設置されている。同社がSNSと自販機に掲示した「お知らせ」によると、販売された消費期限切れの食品は「8大アレルゲンフリー 米粉の焼き菓子おまかせ3点セット」。1月9日、12日、14日の3日間に計4点が購入されていたことが確認されている。消費期限は、購入された時で最大で1週間が過ぎていた。その他に、消費期限が最短で1日以内だった1月1日と6日に購入された2点についても返金するとしている。 コロナ禍発 同自販機が設置されたのは2023年。つくばまちなかデザインが、市内などの飲食店経営者などによる有志グループ「旨がっぺTSUKUBA」とともに立ち上げた実行委員会のプロジェクトとして設置した。同グループは、コロナ禍による外出自粛が呼び掛けられた2020年に、県内飲食店のテイクアウト情報をフェイスブックで発信していた活動を母体としている。冷凍自販機設置に際して同実行委は、PR費用などに充てるとしてクラウドファンディングを実施し、46人の支援者から56万9590円を集めた。 告知は貼り紙と飲食店グループのSNSのみ 消費期限切れ食品の販売が発覚したのは1月17日。まちなかデザインは同日、「旨がっぺTSUKUBA」のインスタグラムとフェイスブックに掲載した同社名義の「消費期限切れ商品の販売に関するお詫びとお知らせ」で、問題が起きた経緯について「弊社による商品管理不足とコミュニケーションの不調」によるなどと説明し、返金対応を行うとした。同時に、自販機に貼り紙を貼り、購入者に連絡を呼び掛けている。一方で、食品の自販機の設置者であり、商品の管理責任を負うまちなかデザイン自身の公式ホームページや、会社のSNSアカウントでは、2月2日時点で、消費者に対する説明や購入者への呼び掛けは行われていない。 社長「大きな問題は起きてない」 取材に対して同社の内山社長は、今回の経緯について、「旨がっぺTSUKUBA」のSNSに公表した文書を念頭に、「あそこに書いてあることが全て」とし、「体調が悪くなったなど、特段、消費者から問い合わせもなく、大きな問題が起きているということはない。問題等があれば、しっかり発表する」と述べ、問題発生に関する詳細な経緯の説明を避けた。 また、市民からの疑問と不安の声を受けて取材を始めたことを伝えると、「『市民の方から』と言えば、なんでも話さなければいけないのか。その方から直接問い合わせをいただければ、私どもも真摯(しんし)に対応する」と述べた。今後については「保健所の指導を受けながら、誰の責任で、どう行うべきか考えていきたい。再開については、はっきりした段階でお伝えしたい」とした。 複数業務兼ね管理行き届かず つくば保健所によると、保健所が事態を把握したのは、問題が発覚してから2日後の19日。問題となった冷凍自販機に食品を納入している業者からの通報がきっかけだった。この時点で該当食品の販売は停止されていたが、まちなかデザインから保健所への連絡はなかった。そのため保健所は同日、同社に電話連絡し、同社が保健所を訪問。保健所は食品衛生法に基づき、施設の衛生管理状況や取扱者の衛生教育などを評価する「食品衛生監視指導表」を交付し、事態改善に向けた指導を同社に対して行っている。 同保健所は「自販機の設置者であるつくばまちなかデザインが、納入された商品の管理と自販機への補充を行ってきた」と、設置だけでなく、商品管理もまちなかデザインが担っていたとした上で、問題が起きた経緯については「自販機販売の担当者が、他の複数業務を兼ねていた。人手不足の中で、商品管理が行き届かず、期限切れの商品が販売された」と原因や背景を分析する。 今後、まちなかデザインから提出される改善案を見た上で、改善措置が図られたと判断した段階で、販売再開が可能になるとしている。 今回の「消費期限切れ」について保健所は「食品表示法により、健康被害の恐れから消費期限が切れた商品を販売することはできない。期限が切れた食品は、もう食べられない状態」にあるとし、厳格な管理が必要との認識を示した。一方で、今回販売されたのが冷凍食品であることから重大な健康被害に直結しにくいとの見方を示し、より期限に猶予期間のある「賞味期限」表示が適切だった可能性にも言及した。 市がどう考えているか知りたい  今回販売された焼き菓子をこれまでたびたび購入してきたという、ブックカフェ「本と喫茶サッフォー」(同市天久保)を経営する山田亜紀子さんは「丁寧に作られていて、安心して食べられるお菓子。美味しくて、好きで食べていた」と話し、自身も食品販売に携わる立場から「食品管理は食中毒を出せば営業できなくなり、経営に直結する問題。一番気を使う部分だ」と指摘する。 さらに「自販機は市民以外も含め誰でも購入できる場所にある。本来、安全を最優先しなければならないはずなのに、食べ物をずさんに扱っている印象を受ける」と不安を口にした。さらに「こうした会社に市が税金を出資している。市としてどう考えているのか知りたい」と話した。 市と会社に説明責任ある これまで市議会でたびたび同社の経営状況や将来負担などについて質問してきた山中真弓市議は「市は、まちなかデザインに6000万円を出資し、指定管理者に指定して、自販機が設置されている場所を含むつくばセンター広場の管理を任せている。市民の税金が投入されている以上、同社は市民に対して問題を説明する責任がある」と指摘する。 その上で、「自販機が設置されている場所は市の土地であり、市職員が同社の取締役に入っている。市が無関係とは言えない」とし、「市にも、市民に対して説明する責任がある。また、まちなかデザインが食品を扱うノウハウがあるのか、確認する必要がある」と述べた。 市は保健所に委ねる姿勢 一方、つくばまちなかデザインを担当する同市学園地区市街地振興課は今回の件について「(まちなかデザインは)保健所の指導に従ってもらいたい」との認識を示すにとどまっている。(柴田大輔)

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