水曜日, 3月 12, 2025
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「地図と測量の科学館」を訪ねて《ふるほんや見聞記》2

【コラム・岡田富朗】国土地理院の歴史は、1869年(明治2)に設立された庶務司戸籍地図掛に起源を持ち、内務省地理局、参謀本部陸地測量部、内務省地理調査所など数々の機関を経て、1960年(昭和35)には現在の「国土地理院」と改称されました。1979年(昭和54)に筑波研究学園都市へ移転し、1996年(平成8)に「地図と測量の科学館」が開館しました。

この施設では、古地図から最新の測量機器まで、視覚的に理解しやすい展示が豊富にあります。地図や測量の世界が、天文学や宇宙、地震、災害などの広い世界といかに密接につながっているかを改めて感じることができ、子どもから大人まで楽しめます。

古地図の展示箇所では、1482年に作成されたプトレマイオスの世界図(複製)や、茨城にゆかりのある長久保赤水の『改正日本輿地路程全図』(複製)が展示されています。赤水は 1717年に茨城県高萩市赤浜の農家に生まれ、20余年の歳月をかけて、伊能忠敬の「伊能図」完成より40年以上前の1779年、日本で初めて経緯線を入れた日本地図『改正日本輿地路程全図』を刊行しました。

江戸後期「伊能図」は秘蔵され、一般の目に触れることはなかった一方で、赤水の地図は版を重ね「赤水図」と呼ばれ、唯一信頼し得る地図の定番として広く普及しました。

赤水の地図の並びには、「伊能図」(複製)や測量器具(複製)も展示されています。江戸時代、忠敬は日本全国を測量して歩き、わが国最初の実測日本地図を作り上げました。その地図は総称して「伊能図」と言われています。『大日本沿海輿地全図』は、1800年から17年にわたる測量により作成された日本全土の地図です。忠敬の没後、1821年に完成し、幕府に上呈されました。

忠敬の測量器具(写真は筆者)

伊能図は江戸時代の地図ですが、明治維新後も、近代測量による地図が整備されるまで、国家の地図作成に利用されました。伊能図完成から200年目を迎えた2021年、企画展が開催されました。その際、国土地理院所蔵の伊能中図(模写)が特別公開されました。

企画展『日本の地形を知ろう地図から学ぶ

国土地理院の特別収蔵庫には、古地図などの貴重な資料約3000点が保管されており、その一部はデジタル化され、「古地図コレクション」としてインターネットで公開されています。 閲覧可能な地図の数は約1500点あり、1600年代初頭~1900年代前半のものがあります。

茨城県には、赤水のほかにも、山村才助、沼尻墨僊、間宮林蔵、鷹見泉石、赤松宗旦など、江戸時代に地理学の発達の上で忘れることのできない業績を残した人物が数多くいました。

今回は国土地理院「地図と測量の科学館」の方にご協力いただき、取材させてもらいました。 3月18日~6月22日、国土地理院で企画展『日本の地形を知ろう―地図から学ぶ―』(入場無料)が開催されます。(ブックセンター・キャンパス店主)

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2015年9月の鬼怒川水害で、常総市の住民が甚大な被害に遭ったのは国交省の河川管理に落ち度があったためだなどとして、住民らが国を相手に起こした国家賠償訴訟で、二審判決を不服とした住民15人(法人1社を含む)が11日、最高裁に上告した(2月26日付)。 2月26日に出された二審の東京高裁判決は、住民側が、高さの低い堤防の改修を後回しにしたことが水害被害を受けた上三坂地区の堤防決壊につながったと主張したのに対し、「国の改修計画は不合理とは言えない」とし、国に責任があるとした住民の訴えを退けた。 一方、越水による水害被害を受けた若宮戸地区については、住民側が、太陽光パネル設置を目的に民間事業者が砂丘林を掘削し、自然堤防となっていた砂丘林から堤防の機能が失われたのは、同地域を「河川区域」に指定し開発を制限しなかった国に責任があると主張したのに対し、一審は住民の主張を認め、若宮戸地区の住民9人に約3900万円の損害賠償を支払うよう国に命じる判決を出した。これに対し住民も国も双方が控訴し、二審も国の責任を認めたものの、住民への賠償金額が一審から約1000万円低い約2850万円となった。 住民側の只野靖弁護士は上告審について「上三坂地区は国の責任が認められていないので、そこを争う。若宮戸地区は責任は認められたが賠償金額を削られたのは不当だと主張する」と説明した。 原告団共同代表の片岡一美さん(71)は「国民の生活を守るのが国や司法の役目」と話し、「(堤防が低かった)上三坂地区の堤防が真っ先に改修されていたら、私たちのような被害者は生まれていなかったし、亡くなる人もいなかった」とし、「一番怖いのは堤防が決壊すること。決壊する原因の9割は、越流(水があふれること)だ。常識的に考えれば、堤防で問題になるのは幅より高さで、低いところから改修するというのは単純明快。国のやっている河川行政はおかしい」と上告審への思いを語った。 鬼怒川水害では、豪雨により常総市内を流れる鬼怒川の堤防の決壊や越水があり、市内の約3分の1が浸水した。同市では、災害関連死を含めて15人が亡くなり、住宅被害は全壊53軒、半壊5120軒、床上浸水193軒、床下浸水2508軒に及んだ。(柴田大輔)