日本ジオパークの認定審査が27日、日本ジオパーク委員会(中田節也委員長)で実施され、筑波山周辺6市にまたがる「筑波山地域ジオパーク」が再認定された。2021年に続く2度目の再認定となる。
理由として同委員会は「筑波山地域サイトの見直し、拠点施設『つくばジオミュージアム』の完成と活用、地元の石材遺産の活用などを通して、ボトムアップ形式の活動や各市の連携強化などの効果を生み出している」と評価。今後に向けては「多様な教育の推進、ツーリズムの推進、パートナーシップの強化、新しいサイトの案内・解説看板の整備等に取り組み、地域内ネットワークを強化しながら地域の持続可能な発展に結びつけることを期待する」と、4年後の審査に向けた更なる改善への期待を述べた。
審査は4年ごとに行われ、前回の審査時には委員会から、運営体制の在り方や部会員間の相互連携など8項目の課題を指摘されていた(24年11月28日付)。
地域経済の発展につなげたい
「再認されました!」
午後4時16分。日本ジオパーク委員会から審査結果を知らせる電話がつくば市役所庁議室で鳴る。電話を受けるのは筑波山地域ジオパーク推進協議会会長を務める五十嵐立青市長。結果を周囲に伝えると、関係者の表情が安堵した様子に変わった。
五十嵐市長は「(この結果が)地域経済の発展につながっていくことが望ましい。広域で連携しながら市民と共に様々な活動を展開していくことで、より自律的な活動になることが望ましい」とし「各自治体に事務局支部を置いたことで、これまでよりはるかにやり取りができるようになった。役割分担が進んでいる」と述べた。課題として「認知度不足」を挙げる。「五感で味わうのがジオパークの魅力。多くの人に実際にジオサイトに足を運んでもらえるよう、さらに努力していきたい」と語った。
ジオサイトを組み直し
筑波山地域ジオパークは、つくば、石岡、笠間、桜川、土浦、かすみがうらの6市にまたがるエリアで構成されている。一帯にある筑波山、霞ケ浦、平野を流れる河川が生み出す独特の地形や地質とともに地域に根ざした営みが評価され、2016年に日本ジオパークに認定された。4年前の再認定審査の際は、学校教育との連携、ジオツーリズム、運営体制の在り方、関係機関間の相互連携など8項目の課題を指摘されていた。
今回の審査を前に同推進協議会では、ユネスコ世界ジオパークが再定義したガイドラインに基づきジオサイトを新たに組み直した。2021年から専門員を雇用し各学校で出前授業を実施した。中核拠点施設として同市北条の廃校に「つくばジオミュージアム」(23年10月31日付)を整備するなど、指摘された課題の解決に取り組んできた。昨年7月には筑波山塊の花こう岩が、国際地質科学連合により「ヘリテージストーン(天然石材遺産)」に認定され、自然遺産と地域の新たな連携も生まれている。
同協議会の伊藤祐二事務局長は「地域にある課題を克服していくことがこの仕組み。一つ一つ解決するために、地域との連携を大事にしながら活動を進めていきたい」と話した。
今回の審査では、伊豆大島(東京)、箱根(神奈川)、立山黒部(富山)など10カ所が再認定され、蔵王(宮城)が新規認定を得た。現在までに48地域が日本ジオパークに認定されている。(柴田大輔)