月曜日, 4月 6, 2026
ホーム土浦一人親世帯の子に歯ブラシを寄付 土浦の歯科医 山内隆弘さん【ひと】

一人親世帯の子に歯ブラシを寄付 土浦の歯科医 山内隆弘さん【ひと】

土浦市千束町の歯科医院「千束町歯のクリニック」が2020年から毎年、土浦市を通じて市内の一人親世帯に子ども用歯ブラシを寄付している。

同クリニック院長の山内隆弘さん(52)は「欧米の研究でも歯科疾患への罹患率と経済状況は相関関係があると分かっている」とし、一人親世帯は経済的な問題を抱えやすい。さらに親が働きに出ることで子どもにかけられる時間が限られることから「優先順位として、歯科医院が後回しになりがち。来院できなければ、歯科医である我々は(歯の問題に)介入できない。歯ブラシの提供は、違った角度からの問題への介入になると思っている」と寄付活動の意義を説明する。

コロナ禍がきっかけ

山内さんは「活動のきっかけはコロナ禍」だったと話す。「クリニックの開業日が、緊急事態宣言が初めて発令された日だったんですよ」と振り返る。開業したのは2020年4月。同市千束町に個人歯科クリニックをオープンさせようと準備する中で、新型コロナウィルス感染が急拡大した。準備していた内覧会が中止を余儀なくされるなどし、「こんな状態になるとは思いもしませんでした」と当時の混乱を思い出す。

千葉県出身の山内さんが大学を卒業して勤務したのが土浦市内の歯科医院だった。24年の勤務を経て独立し現在のクリニックを開業させ、15人のスタッフと働いている。大きな窓から外の光が注ぎ込む室内は「歯医者へのネガティブな雰囲気をなくして、色々な人が来やすくしたい」という気持ちでデザインされたものだ。子どもも親しみやすいよう、山内さんはアニメのキャラクターがプリントされたシャツを着る。「地域に根差し、長く続けていける歯科医院にしたい」という思いから、クリニックの名前に所在地の「千束町」を冠した。

開業当初、コロナ禍の中で「外出自粛」が叫ばれていた。地域には、歯医者に行きたくても行けない人がいた。一方で、新型コロナの感染予防に口腔ケアが有効だとされた。歯科医として何ができるのかを考えた山内さんが市に持ちかけたのが、歯ブラシ1000本の寄付だった。

市と相談して2年目からは、経済的な問題を抱える市内の一人親世帯の子どもを支援の対象にした。年々、寄付する本数は増え、今年は2011本になった。歯ブラシはクリニックで購入し、活動に賛同する企業から寄せられた歯磨き粉などを付けている。丁寧に施されたラッピングは、忙しい業務の合間にスタッフが手作業で行っている。

クリニックの外観

嫌がる子には磨く順番を決めて

子どもに向けて山内さんは「虫歯の細菌が口に定着してしまうのが、おおよそ1歳半から2歳10カ月までといわれている。離乳の時期から定期的にケアしていくことが大切」だとし、歯磨きを嫌がる子どもへは「磨く順番を決めてあげる」ことを勧める。「例えば右のほっぺ側から左側へなど、ルートを決めてあげると伝わりやすい。細かい磨き方はいろいろあるが、同じ場所だけ磨くのはだめなので、まずは順番を決めてあげると磨き残しがなくなる」と言う。

また山内さんが繰り返すのは「健康寿命を伸ばすためにも、定期的に口の中をケアすることが大切」ということだ。「全身の健康は口から全てが始まる」と言い、「放っておくと、加齢とともに歯周病が進行し歯は抜けていく。定期的に歯をケアすることで、(衰えの)角度をゆるめていける。健康寿命は伸びていく」。

山内さんは現在、市内の内科医と連携して他の疾患への対応にも臨んでいる。「歯周病の病原菌が、脳疾患や脳血管障害、血管、心臓の病気にリンクしている。(歯科と内科の)両方をコントロールしないと病気は良くならない」と話す。

継続していけるように

「土浦は、大学を卒業してすぐに縁があった街。再来年で土浦で働き始めて30年になる。クリニックの開業は、土浦への感謝と恩返しの気持ちがある」と山内さんは言う。「患者さんに対して、安心・安全で、満足度が高い治療を継続できる医療機関であることが責務。地域の歯科医療に携わり続けられるよう、私一代で終わらせるのではなく継続していけるようにしていかなければいけないと思っている」と今後への思いを語る。(柴田大輔)

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さくら小学校が開校 TX沿線の学校新設に区切り つくば市

図書館や音楽室を地域に開放 つくばエクスプレス(TX)沿線開発地区のつくば市中根・金田台地区に新設された市立さくら小学校(同市春風台)の開校式が3日催された。沿線開発に伴う人口増に対応する開校となる。現時点では、2005年のTX開業後、10年代から続いた同市内の小中学校新設ラッシュの最後の一校となる。市内の小学校としては義務教育学校を合わせて37校目。 同校は、児童数増加により教室不足が見込まれる栗原小、栄小、九重小の3校から分離する形で誕生した。6学年全体で特別支援学級を含む24クラスに約570人の児童が通学する予定だ。 2024年7月に着工し、今年2月に工事が完了した。校舎は鉄筋コンクリート造3階建て、内装に県内産の木材を利用した。各階にバリアフリートイレを設置し、車椅子用の手洗い所を設けるなどバリアフリー設備を備える。延べ床面積は約8074平方メートル。総事業費は約66億9500万円。 図書館や音楽室などは地域に開放する。放課後児童クラブ機能を持つ「アフタースクール」を併設し、保護者の就労状況にかかわらず子どもを受け入れるなど、増加する子育て世帯に対応する。アフタースクールの併設は、沼崎小に続いて市内で2校目となる、災害時には地域の防災拠点としての機能を担うため、校舎に約60キロワット、体育館に約20キロワットの太陽光発電パネルを設置し、蓄電池や非常用発電機、LEDソーラー街灯を設置する。 校名や校章は、児童や保護者、地域住民らによる公募とアンケートを経て決定された。校名のさくらは、栄の「さ」、九重の「く」、栗原の「ら」から一字ずつをとった。校章は桜をモチーフに、「温故知新」や自然と科学の調和を表現した。校歌は、歌手の一青窈さんの楽曲など多数のヒット曲を手掛ける常陸太田市出身の作曲家・マシコタツロウさんが作詞・作曲した。 開校式であいさつに立った岡野知樹校長は「子どもたちが失敗を恐れずに挑戦できる環境づくりを目指し、地域の方たちにとっても新しい発見がある場所にしたい」と思いを語った。五十嵐立青市長は「図書館などの施設を地域の皆さんも使いやすいよう設計している。活用されることで、いずれ訪れる人口減少を見据えたコミュニティ形成をしていくことが重要になる。この場所で子どもや先生たちが幸せに過ごし、地域の人たちとのコミュニティの中で手本となるような場所になっていければ」と述べた。 TX沿線の同市の学校新設は、2018年度に研究学園駅周辺の葛城地区に学園の森義務教育学校、みどりの駅周辺の萱丸地区にみどりの学園義務教育学校が開校した。その後、22年12月時点で学園の森義務教育学校の児童生徒数が2000人を超えるなど、新設校の児童生徒数がさらに増加し教室不足が見込まれるなどしたため、ここ数年は新設校を分離する形で新たな新設校が誕生している。23年度は学園の森義務教育学校を分離して研究学園小中学校が新設された。同年には万博記念公園駅周辺の島名・福田坪地区に香取台小も新設された。さらに24年度はみどりの義務教育学校を分離し、みどりの小中学校が新設されている。 さくら小学校のある中根・金田台地区は、市の中央部近くのTXつくば駅から東側約2~4キロに位置し、市内でも人口が増加している地域の一つだ。新興住宅地として整備が進み、将来的には8000人余りが暮らすことが見込まれている。(柴田大輔)