金曜日, 11月 22, 2024
ホーム未分類土浦の旧紫山塾主屋 登録文化財に 昭和の国家主義者、本間憲一郎の私塾

土浦の旧紫山塾主屋 登録文化財に 昭和の国家主義者、本間憲一郎の私塾

国の文化審議会(島谷弘幸会長)は22日、土浦市真鍋5丁目、旧紫山塾主屋(しざんじゅくおもや)を国登録有形文化財に登録するよう文科相に答申した。紫山塾は昭和の国家主義者、本間憲一郎(1889-1959)年により1928(昭和3)年に建てられた私塾で、忠君愛国精神を高揚する青年運動を指導し、全国の翼賛会運動の端緒となった。戦後は解散を命じられたが、土浦一高の生徒など近隣の青年が集う場所として親しまれた。

同審議会が22日答申した登録有形文化財129件のうちの一つ。地域の歴史を伝える貴重な建造物であるとして、登録文化財の基準の一つである「国土の歴史的景観に寄与している」として登録される。登録は官報への告示後、来年3月ごろの予定。

「土浦市史」(土浦市史編さん委員会編)によると本間は、水戸藩の藩医の出で、中国語を学び、第1次世界大戦では陸軍の通訳として中国で従軍した。帰国後、右翼の巨頭、頭山満の秘書となった。1928(昭和3)年再び中国に従軍。帰国し土浦市真鍋に紫山塾を開設し、「勤皇まことむすび運動」を提唱して忠君愛国主義を鼓舞した。霞ケ浦航空隊の青年将校たちもしばしば紫山塾を訪れた。1932(昭和7)年、青年将校らが首相官邸、立憲政友会本部、警視庁などを次々に襲撃し、犬養毅首相を暗殺した五・一五事件で本間は、ピストルと実弾を調達するなどした。1936(昭和11)年、陸軍青年将校らが軍部政権樹立を目指して蜂起し永田町や霞ケ関など一帯を選挙した二・二六事件には関わっていないが、首謀者の一人、安藤輝三陸軍大尉はしばしば紫山塾を訪ねた。

戦後、紫山塾は解散を命じられたが、本間は1951(昭和26)年、新生日本同盟を結成し右翼運動を指導した。

紫山塾主屋は木造2階建て、屋根は寄棟造銅板瓦棒ぶき、正面玄関の構えは入母屋の破風を見せる。3畳間の階段脇に一枚板度、南側の縁側に桁(けた)丸太、2階に一枚板の欄間があるなど趣向を凝らした近代和風住宅で、現在も子孫が住宅として使用している。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

1コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img
spot_img

最近のコメント

最新記事

営業許可受けず宿泊者以外も大浴場利用 筑波ふれあいの里 保健所が改善指導

2003年度から20年以上 つくば市は22日、筑波山麓にある市営の体験交流施設「筑波ふれあいの里」農林漁業体験実習館(同市臼井)にある大浴場について、公衆浴場法に基づく営業許可を取得しないまま2003年4月から20年以上にわたり、宿泊者以外にも大浴場を利用させていたと発表した。つくば保健所の改善指導を受け、15日、宿泊者以外の利用を中止した。 同施設によると11月7日、つくば保健所による年1回程度の法定立ち入り調査を受けた。その後、保健所職員が宿泊者以外にも大浴場を利用させていることに気付き、15日、同保健所から環境衛生改善指導を受けた。 ふれあいの里は旅館業法に基づく旅館営業施設として営業許可を取得しているため、大浴場は宿泊者のみが利用できる。宿泊者以外が大浴場を利用する場合は、公衆浴場法に基づく営業許可の取得が必要だったが、市職員らの認識不足により、公衆浴場法に基づく営業許可を受けていなかった。 同施設には宿泊施設のほか、バーベキュー施設やキャンプ場がある。同市では2003年4月に筑波ふれあいの里条例を改正し、宿泊者以外のバーベキュー施設やキャンプ場など有料施設利用者を対象に、1人1回300円で大浴場を利用できるようにしていたという。 同施設は2023年度は年間約9946人の利用があり、そのうち4673人が宿泊施設を利用。昨年度、宿泊者以外で大浴場を利用したのは、年間10人程度だったという。 ふれあいの里では現在、キャンプ場を改修するなど施設の充実を図っている。今後はキャンプ場やバーベキュー施設の利用者らが大浴場を利用できるよう、公衆浴場法の営業許可の取得に向けて、保健所と調整を進めたいとしてる。

街の文化とは何か《遊民通信》101

【コラム・田口哲郎】 前略 前回(11月9日掲載)は街の文化について書きました。文化とは言っても、人それぞれ考え方が違うので、定義はさまざまでしょう。同じ一人の人間でもその時々、気分によって文化の捉え方は異なると思います。 文化を二つに分類すると、いろいろなモードがわかりやすくなるかも知れません。いわゆるハイ・カルチャーとサブ・カルチャーです。ハイ・カルチャーはハイをとって単にカルチャー、サブ・カルチャーはサブカルなどと呼ばれますね。 たとえば、近所にホールがあってクラシックのコンサートを鑑賞する、美術館で絵画を見る、劇場で歌舞伎を見る、寄席で落語を聞くといったことはカルチャーでしょう。短歌や俳句の会、お茶席もカルチャーですね。 一方、サブカルは幅広いです。あらゆることがサブがつけば、カルチャーになる。趣味も多様性の時代で皆さんさまざまな活動をされています。ハイが上位でサブが副的な意味ではなく、古くからあるか、新しいかとか、すでに定着しているか、これから普及するのかとか、区別はあまり重要ではないと思います。 「ふるさと」を思わせるなつかしさ 街の文化を考えるときに私が挙げたいのは、喫茶店と古本屋です。これはサブカルですね。そもそも街歩きがサブカル的だと思います。 とある地方都市に住んでいる大学の先生が感動していた、狭い路地に並ぶ飲食店、とくにバーや喫茶店。そして、神田神保町などにある古書店は文化の香りに満ちています。郊外の街にあるチェーンのカフェや古書店も、安定したサービスを提供してくれる点では街になくてはならないものだと思います。 でも、古い家並みになじんだ喫茶店や古書店にはなんともいえない雰囲気があり、不思議です。機能性を追い求める現代社会で、何かを守り続ける意志を感じるからでしょうか。時流から置いていかれたような場所に、われわれは安心を感じるのかも知れません。 それは「ふるさと」と呼べるものなのだと思います。たとえ初めて見るお店であっても、そこに時の流れに消されない何かを見とめたら、自分の心に響く懐かしさといとおしさが込み上げてくるでしょう。そんな文化的な場所が住んでいる街にあれば、生活が豊かになりますね。ごきげんよう。 草々 (散歩好きの文明批評家)

県営赤塚公園の秋《ご近所スケッチ》13

【コラム・川浪せつ子】今年のつくば市周辺の紅葉は例年より遅めのようです。つくば市で一番大きい洞峰公園のイチョウ並木も、今年は11月中頃でもまだ緑色。温暖化のせいでしょうか? ですが秋は日々深まりつつあり、至る所で紅葉が見受けられるようになりました。 つくば市役所のホームページによりますと、市内の公園は209カ所だそうです。面積の小さな、駐車場もないような近隣公園もあります。私のお薦めは県営の赤塚公園。駐車場は40台分。市営になった洞峰公園と遊歩道でつながっています。小さな池とかわいらしい水路もあります。 春の桜の季節は見事。とても静かで、近隣の方でないと気付きにくい穴場の公園です。絵のような東屋、ベンチも配置されていますので、ユックリできます。先日は、家族連れの外国の方々が、お子さん達を遊ばせながら、ランチタイム。また、大きな袋を持った女性が、木の枝や実を拾っていました。 近くには、映画館、日帰り温泉… お隣には茗溪学園や住宅。子供たちが遊びに来るからでしょうか、大きな時計も設置されています。先日は、全く水鳥は見えなかったのですが、鳥たちも集まっていることが多いです。自然をそのままに残しているような公園、小さいながら本当に素晴らしいです。 最近、研究学園駅周辺など、新しく移住してくる方が多いですが、どうぞ少し足を延ばしてみてください。赤塚公園の前には、映画館、日帰り温泉、ジム施設などもあります。ジムのボルダリング施設は、オリンピックに出場したスポーツクライミング選手、森秋彩(あい)選手が練習もした所です。(イラストレーター)

中止による減収2億3千万円 土浦花火大会 市が追加負担を決定

市長らの給与減額し道義的責任 土浦市は20日、第93回土浦全国花火競技大会の中止に伴って桟敷席などの収入が無くなり2億3000万円の減収があったとして、同額の補正予算を19日、専決処分で決定したと発表した。併せて、中止により多くの人に心配と迷惑をかけた道義的責任を明らかにするため市長と副市長の給料を減額するとした。 同花火大会は11月2日に開催する予定だったが台風21号の影響により中止。荒天の場合、3日または9日に延期する予定だったが、労働力不足により順延日の警備員を確保できず大会自体を中止とした(11月1日付、5日付、17日付)。 桟敷席の設営や撤去などすでに実施済みの委託業務や、中止に伴い新たに発生する経費を速やかに支払うため、議会の議決を経ないで決定する専決処分としたとしている。2億3000万円は、市が事務局を務める土浦全国花火競技大会実行委員会(会長・安藤真理子土浦市長)に追加補助する。市は当初予算ですでに同実行委に8500万円の補助金を計上しており、中止となった大会の事業費は計3億1500万円になる。全額を市が負担する。 給与の減額は市長が月額20%、副市長が10%を12月から来年2月までの3カ月間減額する。12月の期末手当も市長が20%減、副市長が10%減となる。3カ月間減額する条例についても19日、専決処分とした。 安藤市長は「中止による減収を補うため新たに補助金を増額する結果となってしまったことについて、市民の皆様に心よりお詫びします。開催を心待ちにしていた皆様、 煙火業者の皆様、全ての関係者の皆様に対し、多大なご心配とご迷惑をお掛けしたことについて会長として責任を強く感じています。 今後は花火大会への信頼回復に努め、大会の運営等、様々な課題を検証し、次回の大会につなげて参ります」とするコメントを発表した。