火曜日, 4月 28, 2026
ホームつくば「愛」と「生命」を込める 筑波大大学院の姉弟2人展 つくば スタジオ’S

「愛」と「生命」を込める 筑波大大学院の姉弟2人展 つくば スタジオ’S

小松原佳織さん(25)と小松原優作さん(23)による二人展「いつものところ」が20日からつくば市二の宮のギャラリー、スタジオ’S(関彰商事つくば本社内)で始まった。2人は静岡県掛川市出身の姉弟で、それぞれ筑波大学芸術専門学群を卒業後、同大大学院に進学し絵画を研究している。佳織さんは「愛」を、優作さんは「生命」を、自然の中に見る光や色と共に作品に描き込む。油絵やアクリル画、手芸品など佳織さんが15点、優作さんが8点の作品を展示する。30日まで。

佳織さんがベージュ色の布製手提げバッグに描くのは、夕日に照らされるように赤やオレンジ、黄色に彩られた雲。部分的に盛り込まれた青や緑が色彩の鮮やかさを引き立てる。バッグの反対面には毛糸で表現した雲を縫い込んだ。「雲は、光の加減で見える色が変わっていく。人が感じる愛、心が動く瞬間を表現したい」と作品への思いを語る。「信仰」という作品では、ある作家の展覧会で見た、大型作品に引き込まれるように集まる観客を、無機質な四角形とそこに漂い集まる雲で表現した。

優作さんが描くのは「生命から感じる喜び、感謝、美しさ」。世界で続く戦争や貧困、差別を意識しながら日々の暮らしで感じる喜怒哀楽に心を寄せる。「生活の中で感じる命の大切さを作品に込めたい」と言う。よく足を運ぶというつくば市内の筑波実験植物園でみた光を描いたのが「植物園」。湿気がこもる温室に夕陽が差し込み、拡散する柔らかい光に包まれる植物に感じた生命の力強さを表現した。その他に、実家の台所で料理する母親の後ろ姿や、故郷に広がる田園風景に目を向ける父親を描いた作品が展示される。両親への感謝を込めたと話す。

小松原佳織さんの作品「信仰」

姉弟で先に絵を始めたのは、姉の佳織さん。漫画などの絵を書き写すことが好きだったという小学生のときに近所の絵画教室に通い始めた。後を追うように、2歳違いの優作さんも小学1年で同じ教室で絵を始めた。その後は姉の後を追うように、同じ高校、大学、大学院へと進学し、互いに刺激し合いながら絵を探究してきた。

佳織さんは絵を描くことの魅力を「悩んだときや自然を見たときに絵を描くことが多い。気持ちを消化できる。描き始めると、周りの音が聞こえなくなるほど集中する」と言い、優作さんは「描いていく中で、自分が好きなものや嫌いなものがわかっていく。自己理解が進むのが絵の魅力」だと話す。

市内の義務教育学校で非常勤講師として美術を教えたこともある佳織さんは「将来は教員になる予定。子どもたちの吸収力のすごさに驚くし、どうすればよりわかりやすく教えられるか考えるのも楽しい。いろいろな教材を生徒に提供できるよう、布染めや金継ぎなどにも挑戦したい」と言い、優作さんは、「今回の作品には、おがくずを絵の具に混ぜて凹凸を表現したものがある。今後はアクリル絵の具を多く使ったり、千代紙を主体的に使うなど表現方法を広げていきたい。将来は作品を販売していきたい」と意気込みを語る。

壁面に「愛」を貼って

会期中29日まで、鑑賞者が自由に手を加えられる作品制作コーナーをギャラリー内の6メートルほどの壁面に設置する。壁に貼り付けられた無地の大型模造紙に、来場者がそれぞれ「愛」を感じる場面や瞬間を書いた付箋を貼り付けていくと、最後に「何か」が浮かび上がる。「人が人へ持つ愛、感じる愛が私の作品作りの大きなテーマ。皆さんが感じる『愛』を一緒に貼り付けながら、一つの作品として展示を一緒に盛り上げていきたい。ぜひ、参加していただけたら」と佳織さんが呼びかける。(柴田大輔)

◆「小松原佳織・小松原優作 二人展『いつものところ』」は、9月20日(金)から30日(月)、つくば市二の宮1-23-6 関彰商事つくば本社内、スタジオ’Sで開催。開館は午前11時から午後5時まで。29(日)は午前10時から、作家によるギャラリートークが予定されている。入場無料。詳しくはスタジオ’Sのイベントホームページへ。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

1コメント

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

柵が倒れ女子児童けが つくばカピオ前広場

26日午後1時30分ごろ、つくば駅近くの同市竹園、市の複合施設、つくばカピオ前の広場で、広場に設置されたスロープと広場を隔てる鉄製の柵に女子児童(8)が手を掛けたところ、柵がスロープ側に倒れ、児童は足などを打ってけがを負った。 市芸術文化推進課によると、倒れた柵は高さ79センチで、長さ4.35メートルにわたって3ブロックが倒れた。女子児童は市内から家族と遊びに来ていて、柵に体を向けて手でにぎっていたところ、柵と一緒に正面から倒れたという。同課によると、柵に腐食はみられず、溶接部分がはがれたことが原因とみられるという。 柵はカピオと同じ1996年に建築された。指定管理者のつくば市文化振興財団(同市竹園)が施設の管理などを実施し、定期的に点検などを実施しているが、柵がぐらついていたなどの異常は確認されていなかったという。 市文化振興財団は、女子児童の保護者に謝罪した上、施設の点検や安全確認を改めて実施した。倒れた箇所や同様の柵がある箇所については現在、カラーコーンを設置し、近寄らないよう注意喚起する張り紙を掲示している。 市は、当該施設の点検を徹底し、安全対策や注意喚起を行うなど再発防止に努めるとしている。

障害者の余暇活動充実へ つくばで新団体スタート 

地域のネットワークで課題解決 障害者の余暇活動の充実を目指す「つくば市障害者の余暇活動を考える会」の発起式が26日、同会の実行委員会によってつくば市内で開かれ、福祉事業者や障害者のスポーツ団体、行政職員、支援者、当事者や家族らが参加した。実行委員会には、市内で障害者の余暇活動や運動・スポーツ活動、生活支援に取り組む福祉専攻科シャンティつくば、障害者のスポーツ事業や余暇活動支援を行う一般社団法人ウルラ(URULA)、NPO法人ユアフィールドなどが名を連ねる。今後も行政を含めた地域のネットワークづくりや課題解決に向けた取り組みを進めていく。 2025年初頭、関係者間で課題を共有したことをきっかけに準備を進めてきた。世話人の一人、ウルラ代表で筑波大学准教授の澤江幸則さんによると、障害者の余暇を取り巻く環境には、家族の負担の大きさ、当事者のニーズに合った福祉サービスの不足、活動の場や情報のマッチング不足などが課題に挙げられ、特に「(活動の)場」「移動」「時間」の3点が大きな壁となっているという。 同会は現時点で実行委員会形式でのスタートとなるが、今後は行政や支援団体、当事者や家族などの活動への参加を想定している。発起式には会場定員の60人を上回る約80人の申し込みがあり、オンライン対応も行われた。澤江さんは「関心の高さを感じる一方で、その期待に応える責任も感じている」と述べた。今後は6月に初のセミナーを予定しており、当事者や家族、相談員の声を反映しながら、具体的な施策づくりを進めていく考えだ。 余暇は労働と同じくらい大切 発起式で澤江さんは「余暇とは単に余った時間ではなく、人生や生活を豊かにする重要な要素」だと強調した。かつては労働中心の価値観が主流だったが、現在はワーク・ライフ・バランスの考え方が広がり、「労働と同じくらい余暇が大切な時代になっている」と指摘した。余暇活動が心身の回復や人とのつながりを生むとする理論にも触れ、「社会との接点を広げ、人生を豊かにするための大切なツール」だと語った。 一方で、障害者の余暇を取り巻く環境には課題も多いと指摘する。澤江さんによると、当事者家族への調査では、外出や余暇の満足度は「満足している」と「満足していない」がほぼ半々だった。 活動の場自体は一定数存在するものの、情報が十分に共有されておらず、活用されていないケースも少なくない。移動手段についても既存の支援制度だけでは対応しきれていない現状があると話す。また、施設職員の勤務体制などの影響で、平日に比べて休日の活動が乏しい点も課題とされる。 こうした状況を受け、同会は、行政、民間団体、支援者、当事者らが緩やかにつながる「ネットワークづくり」を重視する。澤江さんは「一つの主体だけで解決できる問題ではない。みんなで考える必要がある」と語った。 今後の取り組みとしては、定期的なセミナーやワークショップの開催、ホームページやSNSを活用した情報発信、寄付の呼びかけなどを計画する。多様な関係者の参加を促し、「市全体で障害者の余暇活動を支える仕組みづくり」を目指す。 また、学校卒業後の学びの機会が限られる現状を踏まえ、生涯学習の視点から余暇の充実を図る必要性も強調する。「学びの場を広げることが、余暇をより豊かなものにする」と話した。 課題出し合えたのは重要な一歩 実行委員会の世話人で、シャンティつくば代表の船橋秀彦さんは「地域で地道に取り組んでいる人たちが初めてこういう場で交流し合い、障害のある人たちの余暇活動に関する課題を出し合えたのは重要な一歩。さらに、そこに行政の参加があったことは大きい。シャンティつくばでも余暇活動を進めてきたが、より一般に広げるためには行政も含めた取り組みが必要になる。市が余暇活動に視点を当てた取り組みである『余暇活動支援事業』を始めたことは高く評価しており、障害のある人たちの余暇活動の発展につながる第一歩になると感じている」と語った。(柴田大輔)

片隅で咲く恋心、ままならない感情 《マンガサプリ》6

【コラム・瀬尾梨絵】SNSという広大な海から生まれ、多くの読者の心を静かに揺さぶり続けて書籍化に至った名作をご存知だろうか。それが、蒔(まき)先生による「おもいこみのノラ」(KADOKAWA、全1巻)だ。コンパクトな巻数の中に、私たちが忘れかけていた誰かを思うことの、みずみずしくも少しだけ苦い感触が、驚くほどの密度で閉じ込められている。 本作の舞台は、さまざまな動物たちが人間のように二足歩行し、服を着て生活している世界。その中でも、人生のモラトリアムとも言える大学が物語の中心となる。 主人公は、犬のノラ。彼女は派手なタイプではなく、どちらかといえば周囲の喧騒(けんそう)から少し離れたところでひっそりと、自分の日常を過ごしているような雑種犬。そんな彼女が胸の奥で温めているのは、同じ大学に通うオオカミのアルへの淡い恋心だった。 動物たちの世界といっても、そこに描かれるのはファンタジーな冒険ではない。講義の空き時間、学食での何気ない会話、放課後のちょっとした寄り道。私たちがかつて通り過ぎてきた、あるいは今身を置いている「学生生活」そのものの空気が、蒔先生の柔らかな描写で描かれている。 最大の見どころは、タイトルにもある「おもいこみ」というキーワード。恋をすると、私たちはどうしても臆病になり、相手の何気ない一言に一喜一憂し、深読みしすぎて自爆したり、逆に都合の良い解釈をして舞い上がったりと、自分でも想像することができない自分を垣間見ることになる。 ノラが抱える恋心は、まさにその「おもいこみ」の連続。自分の気持ちを伝える勇気が出ないからこそ、心の中の独白(モノローグ)は饒舌(じょうぜつ)になり、相手への思いは純度を増していき、その一方通行の熱量が、読者の胸を締め付ける。 動物たちが織りなす不器用な日常 ノラを取り囲む友人たちの描写も秀逸だ。それぞれに個性があり、悩みがあり、彼らなりの生活がある。動物の姿を借りているからこそ、キャラクターたちのささいな表情の変化や、耳や尻尾の動きといった「言葉にできない感情」がよりダイレクトに伝わってくる。それは言葉の解像度を超えた、非常に豊かな感情表現と言えるだろう。 全1巻という構成は、まるで1本の良質な短編映画を見終えた後のような、すがすがしい余韻を私たちに与えてくれる。物語は劇的な大団円を迎えるわけではないかもしれないが、ノラが過ごした穏やかで少しだけ切ない日々は、読者自身の記憶にある「大切な誰か」の面影を呼び起こさせてくれる。 「最近、心がささくれ立っている」「誰かを好きになる真っ直ぐな気持ちを思い出したい」。そんな方にこそ、この「おもいこみのノラ」を手に取ってほしい。動物たちが織りなす優しくて不器用な日常が、あなたの心の中に、温かな火をそっと灯してくれるはずだ。(牛肉惣菜店経営)

スペインに海外出張 五十嵐つくば市長 4泊6日

つくば市の五十嵐立青市長が26日から4泊6日の日程で、国際会議「ブルームバーグ・シティラボ2026」に出席するためスペインのマドリードに海外出張する。帰国は5月1日。市が負担する費用は8万円で、渡航費、宿泊費、会議期間中の食費は主催者が支払うという。 今年から市ホームページで事前公表するようになった目的や概要などによると、市長が加入するOECD先進的市長会議(OECDチャンピオンメイヤーイニシアティブ)から招待された。同国際会議はマイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長が創設した慈善財団と、米国の非営利研究・教育機関「アスペン研究所」が主催する。世界各国から100人以上の市長や専門家らが集うという。 五十嵐市長は、建築、計画、コミュニティの変革方法について話し合う会議や非公開のセッションに参加するほか、住宅問題について議論するパネルディスカッションに登壇する予定。 日程は、26日出国し、同日マドリード着、27日から29日まで3日間、同会議に参加する。30日マドリードを離れ、5月1日帰国する。 市長の海外出張は今年2月、イギリスとフランスに8日間出張(2月1日付)して以来、今年2回目。今年度は初めて。今年度当初予算では市長の海外出張費は計上せず補正予算で対応するとしていた(3月26日付)。(鈴木宏子)