昼間の暑さを逃れ、夜しか見られない生き物を子供たちに見て触れてもらおうと、筑波山麓の体験施設、筑波ふれあいの里(つくば市臼井)でこのほど、筑波山麓自然学校「夕方から夜の昆虫観察会」が開かれた。

市内に住む11家族32人の親子連れが参加し、夕方、昆虫やカエルを虫取り網で捕獲したり、暗闇の中、テーブルに白い布を敷いて照明に集まる昆虫を観察するなどした。夏の夜にしか見られない、セミが羽化する様子が見られたほか、豊かな森にすむオオゴキブリ、沢の中でしか見られないタボガエルなど珍しい生き物も観察できた。
ふれあいの里が主催し、NPOつくば環境フォーラム(永谷真一代表)が委託を受けて子供たちを案内した。夜の観察会は、コロナ禍の影響や、夜間の安全性確保などから7年ぶりの開催となる。市内の35家族から申し込みがあり、抽選で選ばれた7歳から13歳の子供と保護者11家族が参加した。
当日は、開始と同時に雷雨に見舞われたが、野外での観察を屋内での座学に切り替えたり、夕食時間を前倒したり、研究発表の場所を野外に変更するなどして対応した。
ふれあいの里の高野徹也館長は「筑波山麓自然学校は2011年から開催しており、1年に7回のプログラムがある。久しぶりに夜の観察会の企画ができた。楽しみながら自然を満喫してほしい」とあいさつした。環境フォーラムの永谷代表は子供たちに「今日は調査員として活動してほしい。五感を使って探し、どんな生き物がすんでいるのかを学んでほしい」と話した。
雷雨のため野外の観察会は1時間ほど遅く始まったが、雨上がりの山麓で子供たちは歓声を上げながら、バッタ、カエル、カミキリムシ、ガ、セミ、カメムシなどを虫網で捕獲、スタッフに虫の名前を聞いていた。エサキモンキツノカメムシなど、普段聞かれない長い名前の昆虫を捕った参加者もいた。途中、山の向こう側に虹が見え、参加者は気象の変化も体感した。

続いて敷地内を移動し、スタッフがあらかじめ設営したライトトラップ(飛来昆虫捕獲器)の場所に移動。大きなテーブルに白い布を敷いて、虫が好む波長を出す強い照明を照らし虫を集める装置で、参加者はテーブルを囲んで光に呼び寄せられたカメムシ、コガネムシ、セミなどを観察した。
この日観察できた生き物は62種類、そのうちライトトラップによるものが21種類。夜の観察会だからこそ見られた昆虫はコフキコガネ、クルマスズメのほか、10種類以上のカメムシとガの仲間が観察できた。講師を務めた環境アドバイザーの秋山昌範さんは「本来ならこの10倍ぐらい集まるはずだったが(直前に雷雨があり)気象条件が悪く虫の数が少なかった」と話した。
同市自由が丘から参加した茎崎第二小4年の谷藤雫さんは「夜の山の中を歩き、虫を捕まえるが楽しかった。いろいろな虫の名前を覚えて勉強になった」と感想を述べた。(榎田智司)
