木曜日, 7月 17, 2025
ホームコラム次世代の担い手育成「里山体験プログラム」《宍塚の里山》110

次世代の担い手育成「里山体験プログラム」《宍塚の里山》110

【コラム・田上公恵】里山の保全活動においては後継者不足が大きな課題となっています。持続可能な里山保全を目指すために、当会では2022年度より、広く若者が参加できる「里山体験プログラム」を開始しました。3月の募集と同時に社会人や大学生に応募していただき、人気の企画となっております。

4月に開講式を行い、1年間当会に所属して、保全活動や環境教育、観察会などを体験しながら里山の意義と保全、資源循環、生物多様性、NPOの運営と意義などを学びます。そこに経験豊かな専門家集団がていねいに寄り添って指導に当たります。既定の単位を満たした場合、理事長名の修了証書を授与しており、22年度と23年度はそれぞれ5名の社会人、大学生、大学院生を受け入れました。未来の担い手が少しずつ育っていることを大変うれしく思います。

参加者の満足度は高く、里山での体験活動を仕事に生かす社会人、筑波大学の体験活動の単位認定に取り組む学生―それぞれご自分の目標を目指して熱心に履修しています。プログラム生の中には自分の専門性を高めるために月例観察会の講師を希望した大学院生もいます。

人と人、自然と人がつながる場所

以下、1年間の体験を通して寄せられたプログラム生の感想です。

▽自然を体感できるところ、地域とのつながりや文化・歴史を学べるところ、様々な年代の方と関わり、詳しい資料配布などが非常にためになりました。

▽広いヤードがあり、様々なプログラムがあるところが非常によいと思います。

▽見つけた生き物や体験した作業について、詳しい方から解説をいただけることが多く、その場限りの体験ではなく、学びにつなげられるところがよかったです。

▽単に参加者として関わるのではなく里山の一員として活動に関われること、1人ひとりのやりたいことや得意なことを活動の中で実現してくださること―がよかったです。

▽体験プログラム参加者はみんな生き生きとしていて、お互いに助け合うこともあって、自然の中で多くの方々と関わりながら活動できたのがよかったです。

▽様々なプログラムを通して、多面的に里山を観察・体験できたことがよかったです。

▽特定のボランティアだけでなく、一般の方が参加できるプログラムが多く、活動を通して日常的に里山の意義をアピールできることはとても大切なことだと感じました。

▽以前よりも、里地里山という地に貢献したいと思うようになりました。

▽保全活動を継続して実施していくことの大変さをひしひしと感じています。

▽里山は、単に生き物がたくさんすんでいる自然というだけでなく、「人と人とがつながる場所」と思いました。

▽「人と自然がつながる場所」だと感じました。活動全体を通して、幼児からお年寄りまで、様々な世代が集って自然の恵みを感じる場所だなと感じました。(宍塚の自然と歴史の会 環境教育部)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

1コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

夏の花火存続へ 1500年の古社 クラウドファンディングで支援募る

つくばの千勝神社  つくば市泊崎の千勝神社が、お盆の恒例行事である打ち上げ花火の継続に向け、クラウドファンディングで支援を呼び掛けている。神社の禰宜(ねぎ)松本哲弥さんは「花火は30年続く慰霊の行事。お盆の文化・行事の大切さを次世代に伝えるためにも、ぜひご協力をお願いできれば」と呼び掛ける。 千勝神社は、谷田川と西谷田川に挟まれた牛久沼に突き出る半島状の場所に位置し、関東では珍しい三つの社殿が横一列に並ぶ「三殿並立」の社殿や、高さ10メートルの木造大鳥居がある。西暦502年に現在の下妻市で創建された約1500年の歴史を持つ古社で、現在の場所に移ったのは1964年。下妻市には現在も元宮がある。正月三が日には全国から約5万人が、夏祭りには1000人余りが参拝に訪れるという。お盆の夏祭りは1993年から続いており、中でも、祭りの終盤に打ち上げられる約400発の花火は毎年の目玉となっている。 材料費高騰 200万円不足 しかし昨今の物価高騰により火薬の原材料価格が値上がり、花火開催の継続を脅かしている。火薬は多くを輸入に頼っており、ロシアのウクライナ侵攻による供給不安や円安が価格上昇に拍車をかけている。今回のクラウドファンディングでは、材料費高騰によって不足が予想される花火打ち上げにかかる費用200万円の協力を募っている。目標金額に達成しなくても、集まった支援金はすべてプロジェクト実行者が受け取ることができる。 松本さんは「今年の費用を見積もると、従来の予算ではまかなうことが難しいことがわかった。神社単独の負担では花火の継続は困難と判断し、クラウドファンディングで支援を募ることにした」と説明する。また「夏祭りは地元の方々のみならず、全国から訪れる崇敬者(信者)にとっても親しまれてきた行事。特に帰省中の家族連れが楽しみにしている恒例の場でもあり、地域とのつながりの場としても貴重な役割を果たしてきた。お盆のお祭りは、ご先祖さまと共に楽しむという意味がある。慰霊の場として、(お盆の風物詩の)文化を継承するためにもご支援をお願いしたい」と協力を呼び掛ける。(柴田大輔) ◆クラウドファンディングの詳細はこちら

キリストとガンマン《映画探偵団》90

【コラム・冠木新市】1960年代後半から1970年代にかけて、『アポロンの地獄』(1967)、『テオレマ』(1968)、『豚小屋』(1969)、『王女メディア』(1969)など、荒々しくも美しい映像で映画青年をとりこにしたイタリア映画の監督ピエル・パオロ・パゾリーニがいる。私も魅了された一人だったが、いつしか語られることもなくなり、レンタルビデオ屋にも作品が置かれておらず、テレビでの放映もなかった。 ところが2000年代に入り、NHKで長篇第3作『奇跡の丘』(1964)が放送された。見逃していた作品なので録画して見た。出演者に全員素人を起用し、イエス・キリストの誕生から死後の復活までを描くドキュメンタリータッチの白黒作品である。その荒々しい迫力に圧倒され、パゾリーニ作品では私の一番のお気に入りとなった。 荒涼とした景色のなか、キリストが我々観客に向かってする説法姿はまるで政治家の演説みたいで、エネルギッシュな場面が連続し納得させられる。 キリストが奇跡を起こすシ一ンなども、顔に腫れ物のできた男が清めてくださいとキリストに訴えると、『清められた』の一言で腫れ物は消えている。短く3カットで描かれる。バックには黒人霊歌のような歌声が流れるが、非常にあっさりしていて、ありがたいとの余韻に浸る間がない。つまり宗教映画の感じがしないのだ。 さらに、キリストの弟子たちのキャスティングは個性の強い悪役を思わせる顔で占められている。逆に、王様や聖職者や貴族たちは上品な顔の出演者をそろえている。極めつけは、かれんな美少女サロメがヘロデ王の前で舞いを披露し、王様が褒美に何が欲しいかと尋ねると、ヨハネの首が欲しいという場面である。見た目の美しさとは裏腹の残虐な発言がショッキングだ。 C・イ一ストウッド西部劇の見方 『奇跡の丘』は西部劇とどことなく雰囲気が似ている。1964年10月にイタリアで公開された。その1カ月前には、セレジオ・レオ一ネ監督、クリント・イ一ストウッド主演のマカロニウエスタン『荒野の用心棒』が公開された。荒野を旅するキリストはイタリア製西部劇の旅する主人公と重なるものがある。 マカロニウエスタンで世界的なスターとなったクリント・イ一ストウッドが、アメリカに戻り監督主演を務めた最初の西部劇は『荒野のストレンジャ一』(1973)だ。原題は『放浪者』である。街の全員から見捨てられ、悪党たちに殺された保安官が幽霊になって現れ、その街に復讐する話であるが、見た目は生身の人間なので実に奇妙な様子に映る。 また、同じく監督主演を務めた『ペイルライダー』(1985)も牧師のガンマンだが、こちらも一度死んでいて、7人の悪党保安官と闘う話である。この2本はキリストのイメージが込められており、表裏一体の作品となっている。そういえば、『荒野の用心棒』(原題「一握りのドルのために」)の最初のタイトルは『マグニフィセント・ストレンジャ一』(素晴らしいよそ者)だった。 私が見てきたクリント・イ一ストウッドの西部劇ヒ一ローは、キリストがモデルだったのかもしれない。 現在、参議院選挙の真っ最中だ。各候補の演説を聞いていると、『奇跡の丘』のキリストやサロメの姿が彷彿(ほうふつ)とさせられる。当選してからも民衆のために働いて欲しいものだと切に願う。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

戦後80年 資料と空中写真で知る測量と地図作成の歴史 国土地理院

TX開業20周年展も 太平洋戦争の終戦から80年を迎えるのを機に、国土地理院(つくば市北郷)内の「地図と測量の科学館」で15日から、企画展「地図と測量に見る戦災からの復興」が始まった。軍港や軍事工場など軍事施設が削除された戦時中の地図、ポツダム宣言受諾決定後に行われた重要書類の焼却から地図を守るために奔走したある軍高官の歴史資料ーなど、明治から始まる国による国土の測量と、戦前から戦後に至る地図作成事業などの歴史を知る展示になる。会場では、今年8月に開業20周年を迎えるつくばエクスプレス(TX)沿線の変化を地図や写真から見る「つくばエクスプレス開業20年 地図・写真から見る沿線の変化」が同時開催されている。 展示されているのは、戦前から残る国土地理院が保管する資料や、空中写真、地図などが掲載されたパネルなど約60点。同院広報広聴室の染谷亨さんは「(土浦やつくば周辺など)私たちが普段暮らしている地域の変化を知ってもらう機会にもなる展示。空中写真などから大きく変わった風景を見ながら、親子で今と昔の変化を話し合う機会になれば」と企画への思いを話す。 「地図と測量に見る戦災からの復興」では、1869(明治2)年に近代測量を行う機関として明治政府により設置された、国土地理院の前身である「民部官庶務司戸籍地図掛」からの歴史資料が地図の変遷とともに展示されている。戦災を逃れた地図の銅原版、戦後のGHQによる測量・地図制作の様子など、現存する資料をもとに作成されたパネルが展示される。 また、国土地理院が保有する豊富な空中写真をもとに、各地の戦中から戦後の復興の様子を知ることができる。県内では土浦、水戸、日立の写真が展示されている。 TX沿線の変遷を地図と空中写真で 「つくばエクスプレス開業20年 地図・写真から見る沿線の変化」では、つくばや研究学園、守谷、八潮、秋葉原などTX7駅周辺の変化がわかる、30年前から10年ごとの空中写真と地図が展示されている。ほかに、TX開業時に先頭車両に取り付けられたヘッドマークや、「葛城」「島名」「萱丸」など仮の駅名が掲載された開業前に作られたパンフレットなどの関連資料も展示されている。 染谷さんは「写真や地図を大きく用いており、視覚的に時代の変遷がわかると思うし、お子さんも楽しめるつくりになっている。今回二つの展示を通じて日本が歩んだ戦後の復興に思いを寄せるとともに、TXによって沿線が進化する様子を感じてもらえたら」と話す。(柴田大輔) ◆企画展「地図と測量に見る戦災からの復興」と「つくばエクスプレス開業20年 地図・写真から見る沿線の変化」はつくば市北郷1、国土地理院・地図と測量の科学館2階特別展示室で9月21日(日)まで開催。開館時間は午前9時半〜午後4時半。月曜など休館。入場無料。詳細は、同ホームページへ。

夏のボーナスを出す会社 今年も高水準を維持 筑波総研調査

夏のボーナス支給を前にして、筑波銀行グループの筑波総研(本社土浦市、瀬尾達朗社長)は茨城県内の同行取引先341社から支給額などについて聞いた。アンケート調査は6月上旬~下旬。7月上旬に集計したところによると、今年も支給すると回答した会社は全体の78.3%と、昨夏に比べ1.1ポイント低下した。 この微減について山田浩司 上席研究員は「昨年を下回ってはいるものの、物価高や人手不足に対応するため、賞与を出す企業の割合は依然として高水準」と述べ、特に問題はないと判断している。 平均支給月数は、「1.0カ月以上1.5カ月未満」と回答した企業の割合が31.6%と最も多く、「1.0カ月未満」29.3%、「1.5カ月以上2.0カ月未満」25.1%の順だった。調査対象は製造業、サービス業、建設業、運輸業など多岐にわたるが、山田氏は支給月数について「春の賃上げで基本給が引き上げられたことにより、全体として高水準にシフトしている」と言う。 また、ボーナス支給に際して重視する項目についても調査。それによると「従業員の志気高揚」(47.5%)と回答した企業が最も多く、「現在の企業全体の業績」(39.9%)、「前年の支給実績」(34.6%)と続いた。昨年夏との比較では「現在の企業全体の業績」の割合が最も増え、「人材の引き止め」の割合が最も減った。 回答企業からは①ボーナスは利益増による支給というよりも志気高揚や従業員確保のためだ、②しかし会社の利益率が下がってきており、今後は慎重にならざるを得ない―といった声が出ており、山田氏は「コスト上昇など厳しい経営環境下で各社はボーナスを判断している」と分析している。(坂本栄)