つくば市議会議員の報酬が4月から約30%引き上げられそうだ。13日開会の同市議会3月定例会に五十嵐立青市長が引き上げの条例改正案を提案した。可決されれば、議長は現在の月額54万7000円から27.6%増の69万8000円、副議長は48万円から30.4%増の62万6000円、議員は44万7000円から30.6%増の58万4000円になる。
期末手当などを含む年間支給額は、議長が1102万4910円、副議長が988万7670円、議員が922万4280円になる。
県内市の中で、つくば市の議長報酬は現在、水戸、日立、土浦市に次いで4番目、副議長と議員は水戸、日立、ひたちなか、土浦市に次いで5番目に高い。引き上げ後は、議長、副議長、議員いずれも水戸市に次いで2番目となる。
つくば市の議員報酬の引き上げは1994年以来、30年ぶり。昨年12月、市特別職報酬審議会(会長・前田聡流通経済大学教授)から出された答申に基づいて引き上げる。五十嵐市長は議員報酬引き上げを2年前にも同審議会に諮問したが、当時はコロナ禍だったため「現在の社会経済・雇用情勢、市民感情を総合的に勘案し、現時点では据え置くことが適当」だとする答申が出ていた。
今回の答申は、つくば市の人口、予算規模は増加しているのに、議会費は変化しておらず、市議の報酬は県内他市や全国の特例市、財政規模が同程度の他市と比較しても低くなっているなどとし、「適格者を引き付けるために他市と比較した報酬水準を考慮する必要がある」とした。金額については「年間支給額で県内の人口上位3自治体(水戸、つくば、日立市)の均衡を考慮した額に増額することが適当」だとした。
報酬の在り方として委員からは「兼業が可能とは言え、会社員として勤めながらは難しい。議員活動に専念でき、議員自身も生活できる額であるべき」との意見が出た。審議会に提出された資料によると、2020年1月から12月まで1年間に、本会議や委員会など議会活動のみに要した時間は、行政視察や議員勉強会などを除いて137時間50分だった、
一方「市民の平均給与が大きく上昇していない中で、報酬額を上げることは市民の反感を生む可能性がある」との意見も委員から出された。全国の民間給与の平均は30年前の1994年が年間455万5000円なのに対し2021年は443万3000円だった。
審議会では「定期的な見直しが行われていなかったことが今回の大幅改定につながっている」「30%増というのは結構大きな増額。市民から見たときに変動の幅を見るとちょっと大丈夫かなと心配なところはある」などの意見が出て、今後について「いきなり上げるのではなく、この審議会を2年後や定期開催とし、その時に再検討するのがよい」との意見も答申に盛り込まれた。(鈴木宏子)