水曜日, 2月 11, 2026
ホームコラム「かかし送り」火と子どもたち《宍塚の里山》108

「かかし送り」火と子どもたち《宍塚の里山》108

【コラム・阿部きよ子&江原栄治】私たちの「田んぼの学校」では、夏に田んぼの周りに立てたかかしを燃やす行事を「かかし送り」と名づけて、毎年実施してきました。12月9日、担当係の子どもたちが「かかしさんありがとう」「かかしさんさようなら」の垂れ幕を作って、エノキの大木に登って下げました。

昼過ぎ、集まってきた親子は、自分が作ったかかしを田んぼから運んで解体し、可燃物と不燃物を分けました。第1部:垂れ幕の前の広場で「かかし」の歌、踊り、言葉。第2部:子どもたちは学生さんたちと鬼ごっこなどで遊び、大人はたき火と食材の管理。第3部:食べる時間です。

焼きリンゴは「アップルパイみたい」。「えっ、ミカン焼くの?」の声もあった焼きミカンも好評。焼きサトイモ、焼き大根には会特製のみそをつけ、畑で育てたサツマイモの焼き芋は甘くねっとり。途中で子どもたちは、栗のイガを集めてきて、線香花火のような美しい火も楽しみました。

火に近づけるようになってから、各自が笹の串にさしたソーセージ、最後にマシュマロをあぶって食べました。

幼児から中学生までが協力する姿、力いっぱい遊ぶ姿、おいしい食べ物にニッコニコの子どもたちに出会える喜びは、私たちスタッフのエネルギー源です。ただ、燃えている炭を踏みそうになったり、煙の方向を読めないなど、子どもたちが火、炎、煙に未経験なことが気になります。

「良い火」ってどんな火だろう?

以下、たき火担当の江原さんから届いた文の一部です。

冬の寒い朝、田んぼの学校の広場で1人たき火をしながら待っている。予定の時間より早くやって来る幼いお客さんたちの体を、静かにこう温めてやりたいのだ。「ワーイ、火が燃えている」と走り寄ってくる。

パチパチと音を立てながら美しく燃える火を、しばらく一緒に見詰める。その幸せを破って「君たち、火に悪い火と良い火があるのを知っているかい? オレ様は燃えてるぜ!と周囲の迷惑に気づかずに得意になって燃えているヤンチャな火を何と呼ぶか?」「それは火事だ」と子どもたち。

「良い火」ってどんな火だろう? おいしい料理を作るとき助けてくれる火、お風呂を温めてくれる火、エンジンや溶鉱炉の中で燃えている火や、寒い日、私たちを温めてくれる大空の日(太陽の火)。火に感謝しよう。

着火し、火を育て、火の世話をする、そんな体験をしてほしいと、孫にマッチを渡したら、地面にベタにまきを置き、その上にこっぱや杉の落ち葉、一番上に新聞紙を置いて上から火をつけようとした。

「ああ、お前もか!」。若い親ごさんたち、気を付けてください。便利になればなるほど、基礎能力が低下・劣化してきている面があることを。アブナイね、アブナイです。火に親しみ、敬意を払い、感謝し、コントロールする技術を子供のころから身につけてほしい。(宍塚の自然と歴史の会 会員)

<注意> 野焼きは原則禁止です。会では消防署に事前に届けを出して「かかし送り」を実施しています。

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