来日中のフィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官が20日、つくば市を訪れ、筑波大学(同市天王台)で学生らと意見交換した。
グランディ氏はまず、公募で集まった約40人の学生や留学生を前に講演し、「中東、ウクライナ、エチオピアなど世界の難民は大変厳しい状況に置かれている」とし、「難民問題の解決はさまざまなグループが共に手を携えて連携をとること」だなどと話した。日本については「大変重要な寄付国であり、ソフトパワーの重要な国だ」などと述べた。
学生からは、日本政府の難民受け入れ数の少なさについての質問も出た。グランディ氏は「日本は多数の難民を受け入れている国ではないが、状況は変わりつつある。ウクライナからの避難者を難民としてではなく避難民として受け入れるなど、少しずつ国を開いている」などと話した。
緊迫しているイスラム組織ハマスとイスラエルとの衝突については「中東で10日前から起きている暴力にショックを受けている」とし、「ガザでは薬、水、あらゆるものが足りない。まずは停戦を実現しなくてはならない」などと強調した。
グランディ氏は2016年に国連難民高等弁務官に就任した。就任前の05年から国連パレスチナ難民救済事業機関の事務局次長、10年から14年まで同事務局長を務めていた。
今回、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を支援する日本国内の様々な機関へのお礼や今後の連携強化に向けた意見交換、日本が共同議長国を務め12月にジュネーブで開催される第2回グローバル難民フォーラムへの後押しを依頼するため来日した。
つくばでは20日午前、つくば市役所を訪問し五十嵐立青市長と懇談後、筑波大に移動。永田恭介学長や五十嵐市長らと昼食をとった後、学生と約50分間、意見交換した。
ウクライナの首都キーウから避難し昨年12月に来日した同大特別聴講学生のミコラ・ママンチュクさん(21)はグランディ氏との意見交換について「ユニークで魅力的だった。(グランディ氏は)筑波大学のすばらしさを覚えていてくれると思う」などと感想を話した。