金曜日, 3月 29, 2024
ホームコラムお米を買ってもらい、谷津田を保全 《宍塚の里山》99

お米を買ってもらい、谷津田を保全 《宍塚の里山》99

【コラム・福井正人】宍塚の里山を構成する重要な環境の一つに谷津田があります。冬にも水が張られた谷津田では、早春、ニホンアカガエルが多数産卵します。カエルが増えると、それを食べるヘビが増え、ヘビが増えるとそれを食べる猛禽(もうきん)類が増えるといった「生き物のつながり」が生まれます。このように、谷津田は生き物の生息域として重要な場所になっています。この環境を守ろうと始めたのが「宍塚米オーナー制」で、今年で25年目を迎えます。

人類が稲作を始めたころ水田が作られたのは、水が手に入りやすい谷津田のような環境だっただろうと言われています。しかし、現代のようなかんがい設備の整った水田耕作では、水が引きにくく、田んぼの形も不揃いで小さく、また周りの木々にさえぎられて日当たりも悪いといった問題があります。さらに、湧き水が入るために水温も低い谷津田の環境は、稲の生育にも作業する人間にとっても不利な状況になっています。

このように、生き物の生育環境としては重要でも、耕作条件としては不利な谷津田での耕作を続けていくためには、いろいろな工夫が必要です。例えば、里山のもつ公益的機能の恩恵を受けている非農家である都市部の市民にもお金や労力を提供していただくことです。私たちの会では、支援としての「宍塚米オーナー制」と労力としての「田んぼ塾」(現在の「自然農田んぼ塾」と「田んぼの学校」)を立ち上げ、谷津田での耕作を維持してきました。

「田んぼの学校」では、たくさんの子どもたちが自然と触れ合い、我々の主食である「お米」がどのように作られるのかを学ぶ場所になっています。

宍塚米のオーナーを募っています

宍塚米オーナー制では、毎年4~9月、谷津田の支援に賛同してくれるオーナーを募り、10月末に谷津田を耕作してくれている宍塚の農家からお米を買い取り、オーナーに発送しています。品種はコシヒカリで、宍塚の里山の猛禽類の象徴サシバにちなんで「宍塚サシバ米」と呼んでいます。

田植え直後の谷津田の田んぼ

具体的な支援となる2023年(第25期)宍塚米オーナーについては、募集が始まっています。精米、玄米の各5キロ、10キロで料金を設定しており、精米5キロの場合で3200円(税・送料込み)、現地引き取りは各800円引きになります。詳しくは事務局まで。ホームページはこちら

宍塚サシバ米を購入して、宍塚の里山の谷津田を支援してくださるオーナーになりませんか。(宍塚の自然と歴史の会 副理事長)

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次長級の統括監を新設 つくば市人事異動’24

つくば市はこのほど4月1日付人事異動を内示した。次長級の職として統括監を新設し、各部局が所管する公共施設の管理や長寿命化を担当する。異動総数は、再任用、組織改編に伴う部署名変更などを除き全体の21.6%の300人。23年度から市職員の定年引き上げが開始され61歳になったことにより3月末の定年退職者はゼロ。再任用を除く普通退職者は39人、新規採用は66人で、4月1日付全職員数は前年度に比べ27人増えて2087人になる。 係長以上の管理職は前年度から9人増え609人。管理職の昇格者は同比32人減り88人。女性管理職の割合は前年度より0.1ポイント減って25.8%になる。 国、県などとの人事交流では、文科省から政策イノベーション部長を迎えるほか、国、県などに8人の実務研修生を派遣する。 組織改編では、ダイバーシティ(多様性)を一体的に推進するため市民部の男女共同参画室を市長公室に移し、ダイバーシティ推進室に名称変更する。こども部は、子育て家庭を包括的に支援する体制を構築するため、健康増進課の母子保健係をこども未来課に移し、名称をこども未来センターに変更する。 政策イノベーション部は、国政調査等、統計業務の推進やデータ利活用の強化のため企画経営課に統計係を、情報政策課にデジタル推進係を新設し、根拠に基づいた新たな政策立案を推進するためとして21年度に新設した統計・データ利活用推進室を廃止する。 財務部は、未利用の市有地利活用を一体的に進めるため、公共施設マネジメント推進室を都市計画部の公有地利活用推進室と統合し、公共資産利活用推進室を新設する。経済部は産業用地の創出を推進するため、産業振興課に立地推進室を新設し、プロジェクトチームだった産業用地検討室と都市計画部の地域開発振興室を廃止する。建設部は都市計画道路の整備に重点的に取り組むため、都市計画道路整備推進室を課に昇格させる。 保健部は、新型コロナが5類に移行し全額公費によるワクチン接種が3月末で終了することなどから、新型コロナウイルス対策室を、他の感染症対策と一体的に推進するため予防接種・感染症対策室に変更する。消防本部は予防広報課を予防課に変更する。 ◆4月1日付け人事異動は以下の通り。カッコ内は現職。敬称略。 【部長級】▽政策イノベーション部長(文部科学省)髙橋安大 【次長級】▽総務部次長兼人事課長(人事課長)松本光由▽総務部次長兼法務課長(総務課長)沼尻浩幸▽総務部政策法務監・教育局教育法務監(新規採用、任期付)大岩昇▽政策イノベーション部次長(市民部次長)池畑浩▽市民部次長(同次長兼市民窓口課長)中川伸一▽市民部統括監兼統括地域支援監(同次長兼統括地域支援監)大木茂樹▽保健部次長(こども政策課長)鈴木加代子▽こども部統括監(経済部次長)大橋一彦▽経済部次長(産業振興課長)柳町哲雄▽経済部統括監(同部次長)岡田克己▽建設部次長(総務部次長)山田正美▽建設部建設政策監(同部次長)木村幸弘▽生活環境部次長兼環境政策課長(同課長)渡邊俊吾▽上下水道局次長(水道総務課長)小吹正通▽上下水道局統括監(同局次長兼水道監視センター所長)渡辺高則▽教育局統括監(保健部次長)中根英明▽消防本部消防次長・消防本部担当(同次長・消防署担当)松岡幹夫▽消防本部消防次長・消防署担当(同本部主任参事兼南消防署長)鈴木浩▽消防本部主任参事兼救急課長(救急課長)中島昌美▽消防本部主任参事兼消防総務課長(予防広報課長)高野順一 【課長級】▽市長公室国際都市推進課長(危機管理課長)鬼塚宏一▽市長公室危機管理課長(国際都市推進課長)岸田和克子▽総務部総務課長(同課長補佐兼企画監)高野剛▽総務部ワークライフバランス推進課(市民協働課地域改善対策室長)岡田健一▽総務部人事課付参事(豊里交流センター地域支援監兼市民ホールとよさと)安田正幸▽政策イノベーション部企画経営課長(開発指導課長)川原智彦▽政策イノベーション部情報政策課長(情報政策課長補佐兼情報ネットワークセンター所長)石川玄壱▽政策イノベーション部科学技術戦略課長(スマートシティ戦略監)中山秀之▽財務部公共資産利活用推進課長(公有地利活用推進課長)岡野渡▽財務部納税課長兼徴税管理監(市民税課長)高野克則▽財務部市民税課長(同課長補佐)横田知巳▽市民部つくば市民センター所長(企画経営課長)横田裕治▽市民部市民窓口課長(下水道総務課長補佐)青木ゆかり▽市民部大穂窓口センター所長(土地改良課長)森田幸一▽市民部豊里窓口センター所長(桜交流センター地域支援監)吉岡直人▽市民部筑波窓口センター所長(納税課長兼徴税管理監)柳田賢一▽市民部スポーツ振興課長(中央図書館副館長)沼尻祐一▽市民部地域支援課長(農業政策課長)根本隆▽市民部筑波交流センター所長兼市民ホールつくばね館長(防犯交通安全課長)一瀬剛▽市民部谷田部交流センター所長兼市民ホールやたべ館長(スポーツ振興課長)大久保正巳▽市民部桜交流センター所長(つくば市民センター所長)荒澤浩俊▽福祉部社会福祉課長(市民協働課長補佐兼企画監)中村銀華▽保健部医療年金課参事、茨城県後期高齢者医療広域連合派遣(地域包括支援課長補佐)飯島良弘▽保健部健康増進施設いきいきプラザ館長(社会福祉課長)宇津野功▽こども部こども政策課長(広報戦略課広聴室長)木村真理▽こども部こども育成課長(ワークライフバランス推進課長)桐生修▽こども部こども未来センター課長(こども未来課長)中澤真寿美▽経済部ジオパーク推進監兼観光推進課ジオパーク室長(観光推進課長)伊藤祐二▽経済部産業振興課長(科学技術戦略課長)前島吉亮▽経済部農業政策課長(同課長補佐)岡野清宏▽経済部土地改良課長(公園・施設課長)山口義智▽経済部観光推進課長(管財課長補佐)小川高徳▽都市計画部建築指導課長(教育施設課長)鈴木聡▽都市計画部開発指導課長(建築指導課長)中島隆志▽建設部都市計画道路整備推進課長(こども育成課長)吉田和敏▽建設部道路管理課長(同課長補佐)須藤文雄▽建設部公園・施設課長(同課長補佐)山口嘉宏▽建設部防犯交通安全課長(道路管理課長)入江一成▽生活環境部環境衛生課長(同課長補佐)木村憲一▽上下水道局水道総務課長(地域消防課長)水橋光一▽上下水道局水道監視センター所長(環境衛生課長)石川太郎▽会計事務局長(情報政策課長)飯塚喜軌▽教育局学務課長(選挙管理委員会事務局副局長)笹本昌伸▽教育局教育施設課長(地域支援課長)大口勝也▽教育局筑波学校給食センター所長(地域支援課長補佐)倉持賢一▽教育局つくばすこやか給食センターやたべ所長(筑波学校給食センター所長)渡辺寛明▽教育局つくばほがらか給食センターやたべ所長(管財課公共施設マネジメント推進室長)田中聖史▽教育局中央図書館副館長(同館長補佐)玉木正徳▽選挙管理委員会事務局副局長(法務課長)渡邉健▽農業委員会事務局農業行政課長(学務課長)下田裕久▽消防本部地域消防課長(会計事務局長)小川英男▽南消防署長(消防総務課長)品川豊▽北消防署長(消防救助課長)北沢直弘▽消防本部消防救助課長(参事兼中央消防署副署長)青木節▽参事兼中央消防署副署長(中央消防署桜分署長)櫻井誠▽消防本部予防課長(予防広報課長補佐兼予防係長)三浦春彦 【退職】3月31日付▽政策イノベーション部長 藤光智香▽谷田部交流センター所長兼市民ホールやたべ館長 間中和美

地元スタジアムから声援 常総学院、ベスト8届かず 

第96回選抜高校野球大会(兵庫県西宮市、甲子園球場)は27日、第4試合で常総学院が報徳学園(兵庫)と対戦した。常総学院は1-6で敗れ、9年ぶりの春甲子園ベスト8には届かなかった。地元の土浦市川口、J:COMスタジアム土浦では、試合のパブリックビューイングが実施された。 同球場のスコアボードがフルLEDに全面改修された記念として、1回戦に引き続き観客席および外野芝生エリアが無料開放され、熱心なファンが試合を見守った。 阿見町から来た信夫蒼太さん(11歳)と宮本航大さん(同)は、本郷イーグルスで活動する野球少年。常総学院の試合や練習にも足しげく通っている。この日の観戦については「球場の芝生の上で試合が見られるのは最高。負けたのは残念」との感想だった。 蒼太さんの母・美恵子さんは常総学院の給食センターに勤務し、選手たちが練習の合間に食べる補食のご飯も炊くなど、野球部とも関係が深い。航大さん・友美さん親子も、ここ数年にわたって一緒に応援している仲。友美さんは「夏に期待。甲子園まで応援に行くので絶対優勝してほしい」と、次のシーズンに向けてさっそく意欲を高めていた。 第96回選抜高校野球 2回戦(27日、甲子園球場)報徳学園 001130010 6常総学院 000000010 1 試合は、常総学院のエース小林芯汰から報徳学園が10安打を放って大勢を決した。また報徳学園は、常総学院の守備の小さなミスも見逃さず得点につなげた。 常総学院の先発小林は、25日の1回戦で119球を投げて完投しており、中1日での連投の影響もあったようだ。立ち上がりからストレートの制球がいま一つで、カットボールなどの変化球の多投が見られた。報徳学園の先発はエース間木歩。22日の1回戦では3回38球を投げており、この日は初回こそ2四死球を与え2死一・三塁のピンチをつくったが、徐々に持ち直し、8回まで常総打線を5安打に抑えた。 常総学院の失点は3回表。死球と盗塁で報徳学園に1死二塁とされ、3番打者の左飛には近藤和真がわずかに追いつけず、4番打者の中前打には池田翔吾がホームへ好返球を送るものの走者の生還が一瞬早かった。4回表には2死三塁の場面で、9番打者の三ゴロは渡辺翔太が横っ飛びで抑えたが、一塁への送球がワンバウンドになり2点目を失った。 5回表には3安打と2四死球で1点を奪われ1死満塁。ここから小林は直球主体に切り替え、ギアを1段上げて臨むが、四球押し出しと左前打でさらに2点を失った。6回からは平隼磨、8回からは斎藤一磨がマウンドに上がっている。 常総学院は8回裏、先頭の3番・若林祐真が四球を選び、5番・森田大翔の右越え二塁打と、6番・片岡陸斗の右犠飛で1点を奪取。この試合唯一の得点だった。9回表には小林が再登板、3者凡退でピシャリと締めたことは、夏に向けての好材料といえた。(池田充雄)

シニア世代のいろいろな活動紹介します《けんがくひろば》4

【コラム・椎名清代】新しいまち研究学園駅エリア。住民の多くは若い世代ですが、シニア世代も徐々に増えています。今回はシニア世代の活動を紹介します。  体にいいこと、楽しいことしよう 約14年前、研究学園駅前公園でのラジオ体操は1人でした。そのうち、仲間が2人、3人、…、10人と増え、その人たちから「もっと体にいいことをしよう」「もっと楽しいことをしよう」との声が上がり、木曜日に遊ぶ会=『木遊会』が発足しました。 TX駅前マンションを中心に、口コミで仲間が増え、この活動を知った遠隔地の人の参加もあり、ピーク時、この会は160余名に成長しました。  毎月の定例会のほか、年2回のバス旅行会、新年会、観桜会、そば打ち会、芋煮会など、季節ごとのお楽しみ会も行われてきました。趣味が同じ人たちが集う同好会も次々とでき、多くの人が楽しい時を過ごせていたと思います。  ところが、コロナ禍を経て高齢化が進み、役割を担える人が減少してきたこと、この地域に交流センターのような施設がないこともあり、活動を縮小せざるを得ない状況となっています。現在の会員は約120名に減っています。 会では、春の観桜会、夏の納涼会、暮れの忘年会のほか、ゴルフ会(原則隔月コンペ、筑波東急ゴルフクラブ)、麻雀会(毎週金曜日午後、マンション・レーベン研究学園内の林技術事務所)、パソコン会(毎週木曜日午前、同)、グラウンドゴルフ会(毎週水曜日、研究学園駅前公園)、ウォーキング会(毎月1回不定期、徒歩と公共交通機関で近隣へ)などを開いています。 シニアサロンで勉強とおしゃべり 研究学園地域に暮らすシニア世代の多くは、子供世帯と同居あるいは近くに住むため、全国各地から転居してきました。高齢になってから、新しい土地になじみ、友人をつくることはなかなか難しいことです。 自宅にこもりがちになってしまわないか…。そんな懸念から、気軽に楽しく交流できる場が必要と、長年つくば市で在宅診療と認知症ケアに携わってこられた元開業医の先生により、2003年に「サロンゆうゆう」が開設されました。 先生の長い経験から、健康づくり、介護予防、体調変化の見分け方、薬の飲み方など、多くのことを学びました。講話のほかに、軽い体操、歌、ゲーム、おしゃべりで、楽しい時が流れています。  コロナ休止期間を経て、現在、民生委員の方数名がサロンの運営を担っています。知りたいこと、楽しいことを皆で考え、つくっていくこのサロンは月1回開かれています(第2月曜日13:30~、林事技術事務所)。毎回20数名の参加があり、緩やかにつながって、互いに気遣いあう関係ができたように思います。  たくさんの人と交流して、これからの時間を大切に過ごしてゆきたいと思います。(けんがく活動団体協議会代表)

2団体で共同運営に 不登校児童・生徒の支援施設、つくばセンタービル内に移転 

つくば市の施設である市産業振興センター内(同市吾妻)で不登校児童・生徒への学習支援を行ってきた「むすびつくばライズ学園」(NPOリヴォルヴ学校教育研究所運営、小野村哲理事長)が4月から、近くのつくばセンタービル1階、貸しオフィスco-en(コーエン) 内に移転する。移転後は、2009年から18年まで市内で市民講座「つくば市民大学」を開いてきた市民団体「ウニベルシタスつくば」(徳田太郎代表)との共同運営になる。 平日5日間は不登校支援事業に使用し、土日は市民大学による市民向け講座を開催する。また施設の一部を利用し、区画を分け合う希望者がそれぞれ自分の本を持ち寄るオーナー制の一箱本棚図書館「リブラリウム(コミュニティ・ライブラリー)」をウニベルシタスのメンバーで、石岡市で市民による私設図書館「つながる図書館」を営む同市在住のアーティスト平方亜弥子さんが担当する。 使い分け家賃負担軽減 同NPOは2000年から同市谷田部で不登校の学習支援施設を運営し、20年から市と協働でむすびつくばをスタートさせた。21年12月に市が実施した次年度の運営事業者選定に漏れると利用者の家族などから運営継続を求める陳情が市に出され、迷走。五十嵐立青市長は謝罪しリヴォルヴとの事業を継続、1年間の事業延長が認められた。23年度からは市が創設した民間フリースクールへの補助金を受け産業振興センター内で事業を実施、24年度からは市の施設からの移転を迫られていた。 新しい移転先は現在の施設から徒歩5分ほど。同学園代表の北村直子さんは「(移転先は)最後の最後まで悩んだ。今いる子どもが通えなくならないことを第一に考えた」と話す。「子どもや保護者からは『よかった。これからも通える』という意見が多かった。新しい場所でも一緒につくっていこうと協力してくれている。みんな楽しみにしている」という。 2団体での共同経営や移転先決定の経緯について小野村理事長は「ここに来る子どもはいろいろなことに関心を持っている。市民大学に来るいろいろな人たちと触れ合う機会があるといいと思った。その中で、本を介してつながることもあればとコミュニティライブラリーの話にもつながってきた」とし、移転先については「物件候補が3カ所あったが雑居ビル3階などでは地域とのつながりがなくなってしまう。人の出入りがあるところがいいとの考えもあった。ウニベルシタスさんと平日と土日を使い分けられるなら、家賃負担も(センター地区から)離れたところで借りるのと変わらずにできる。であれば家賃が高くても価値があるということになった」と話した。 つくば市民大学は09年から9年間、同市東新井のろうきんビルで約1300講座を開講し、延べ1万2500人が参加し17年末に活動を休止した。徳田さんは「何らかの形でつくば市民大学を復活させようという話はあった。ウニベルシタスという団体は継続していてむすびつくばの運営協議会にも参加していた。子どもたちの支援は平日なので土日は使える。きちんとした場を持つ市民大学を復活しようという形になった」と語る。今後については「市民大学のキャッチコピーは『まなぶ、つながる、つくりだす』こと。互いの対話を通じて学び合い、集まる人同士の出会いがあって実際にアクションにつながるものにしていきたい。積極的に社会に働きかけていくような人へと皆で育っていこうという場にしていきたい」と語る。 一箱本棚図書館を担当する平方さんは「それぞれの本棚を通じて『この人はこんな本読むんだ、こんな側面あるんだ』と知ることができる。図書館の利用者同士が知り合い交流が生まれたら」と話す。 収益上げる体制づくりへ リヴォルヴの小野村理事長は今後の課題を「収益を上げられる体制づくり」だとして、放課後の時間帯に開く新事業「ライズプラス」に期待する。「ライズプラスは『放課後教室』で、誰もが気軽に通えるところ。学校に行っているが自分のペースで学びたい子ども、自分の興味関心に合わせたことはすごく学べるがその環境がない子どもがいると感じている。そういう子を対象に社会科、英語科、国語科などの教室を開いていきたい」と話す。 北村さんは「不登校事業は決して収益性の高い事業ではない」とし、「ライズプラスと教材開発で安定した基盤をつくり子ども達のサポートに当てていきたい。教えることがうちの強みなので、そこをしっかりやっていきたい」と話す。(柴田大輔) ◆31日 (日) 午後2時からオンラインでオープニングイベント「むすびつくば ライズ学園 × 市民大学 + コミュニティ・ライブラリー」が開かれる。参加費無料。詳細は同ホームページへ。