木曜日, 2月 5, 2026
ホームつくば冬以降、区域会議立ち上げ【スーパーシティって何@つくば】4

冬以降、区域会議立ち上げ【スーパーシティって何@つくば】4

国のスーパーシティ構想のモデルは、世界的IT企業アリババが中国の杭州市で行っている未来都市や、グーグルがカナダのトロントでやろうとしてできなかった都市構想だと、内閣府スーパーシティ専門調査会委員の竹中平蔵慶応義塾大名誉教授は同委員会で述べる。

今回、第1号のスーパーシティには、「インターネット投票」を看板事業に掲げるつくば市と、大阪万博での「空飛ぶ車」の実現を掲げる大阪府・大阪市の2市が選ばれた。さらに岡山県吉備中央町、長野県茅野市、石川県加賀市の3市町がデジタル田園健康特区に選ばれている。

選んだ基準について国の専門委員会は、指定したはいいけれど、その後全然実現しないということがないよう、規制省庁と概ね合意した項目が複数があること、合意はしてないが今後議論が可能な程度に具体化した項目が相当数あることなど、規制改革に対する熟度の高い自治体を選んだとする。

なお国は、スーパーシティ特区の規制改革を利用しなくても、できることはどんどんやってほしいという立場だ。例えば今年、道路交通法が改正され、来年から自動配送ロボットなどの公道走行が加速するとみられている。できることは、つくばスマートシティ協議会(会長・大井川和彦知事、五十嵐立青つくば市長)が取り組む方針だ。

今後のスケジュールは、今年冬以降、国と市、事業者などで区域会議を立ち上げる。実際にどのような事業を行うかは区域計画(基本構想)を策定して決める。応募にあたってつくば市は、公募により50事業者と連携し事業計画をつくった。実際の事業者は改めて公募し、事業を実施する費用は、国の補助金などを活用しながら事業者や利用者が負担するとみられる。

議会議決で住民同意も

区域計画の作成は、住民や利害関係者の意向を踏まえることが必要になる。昨年5月の国のヒヤリングで五十嵐立青市長は「(インターネット投票による)住民投票で、住民がこの計画に賛同するのかどうか確認していきたい」としていたが、今年6月に開かれた市議会全員協議会ではトーンダウン。森祐介政策イノベーション部長(当時)は「住民投票や議会の議決などいくつかの方法がある」とした。スマートシティ戦略課によると「区域会議の素案に盛り込む規制の特例措置の性質によって、対象となる住民の範囲等が変わるため、住民同意の確認方法も様々にあり得る」とし「規制の特例措置の内容によっては、議会の議決など住民投票以外の方法もあり得る」のだという。

市は国に23項目の規制緩和を提案している=メモ=。その一つに、行政が保有する個人情報を個人が特定できないように加工して提供するなどの取り組みがある。国のヒヤリングで森部長は「加工の都度、100%賛成の住民同意をとることは非現実的」「基本構想を策定する中で、賛同していただけるのかどうか確認していきたい。反対もゼロにはならないと思っているが、何割が賛成したらやっていくのかということは区域会議の中で内閣府の意見などもいただきながら決めていきたい」とする。

個人情報保護 仕組みづくりはこれから

スーパーシティは、行政や企業、個人がもつさまざまなデータを活用してサービスを展開する。事業者がさまざまなデータを活用するためには、それぞれがもつデータを「データ連携基盤」というデータを共有する仕組みと連動させて、事業者がさまざまなデータを活用できるようにすることが必要になる。

つくば市の場合、データ連携基盤は、つくばスマートシティ協議会メンバーのNECが2021年度に3400万円で開発した。欧州で開発されたFIWARE(ファイウェア)に準拠した基盤だ。

データ連携基盤は、エストニアのXロードが国際的に高く評価されている。企業がXロードにアクセスした場合、記録が残る。市民は、自分の個人情報のどのような内容を、だれが、いつ、どのような理由で閲覧したり利用したのか、アクセル履歴をチェックできるとされる。

つくば市が導入を決めたNECのデータ連携基盤はどのようなものになるのか。同課は、今回開発したデータ連携基盤は個人情報を取り扱う機能はなく、オープンデータのみを扱うとする。市民の医療健康情報などの個人情報を取り扱う場合は、今後、別のデータ連携基盤をつくり、他のサービスとは接続させないとする。

さらに個人情報の収集や活用にあたっては、市独自の倫理チェックリストをつくる。加えて、プライバシーへの影響を評価し、システムづくりや運用を適正に行うことを促す「プライバシー影響評価(PIA)」を実施するとしている。個人情報の収集から利用、保管、廃棄までのプロセスのリスクを分析し、システム構築前に対策を準備する手法だという。PIAのモデルポリシーを策定し自治体をサポートしている世界経済フォーラムの第4次産業革命日本センターから助言を受ける予定だが、個人情報保護に関する具体的な検討はこれからだ。(鈴木宏子)

【メモ】つくば市がスーパーシティ構想で国に提案している規制改革23項目の主な事業は以下の通り。

▽公職選挙でのインター ネット投票

▽分散する行政情報を集約し多言語で表示するポータルアプリを構築。 住民の希望(オプトイン型)により、属性情報に基づき個別化された情報発信も行う。さらにマイナンバーカードを活用し、行政への様々な申請・手続をアプリ上から行えるようにする。

▽マイナンバーカードと署名用電子証明書を活用した公的個人認証により、役所に来庁せずに住民異動届をスマートフォンから行えるようにする。

▽個人が特定できない行政ビッグデータを様々な主体に提供できるようにし、データ分析や可視化を住民や企業等が自ら行うことが可能になるようにし、活用できるようにする。

▽AI配車システムを活用し、学園東大通りの一部とスマートキャンパス化する筑波大学構内で自動運転循環バスを導入する。

▽自宅からバス停まで、介助者も同乗できるシェアモビリティの自動運転車椅子が時速10キロで走行し、高齢者や障害者の移動を支援できるようにする。

▽つくば駅周辺の吾妻70街区で、歩行者と自動運転車椅子と自動運転の荷物搬送ロボット、追従型荷物搬送ロボットなどが歩道を自由に通行できるようにする。

▽スーパーが近くにない郊外部で、自動運転車椅子が自宅から移動スーパーに移動し買い物できるようにする。

▽薬局の検体測定室で得られた検査結果を健康アドバイスや保健指導、遠隔診療等で活用できるようにし、生活習慣病の予防・早期発見・重症化予防につなげる。

▽自治体や国立大学法人、国立研究開発法人、医療機関、薬局等の各機関に分散する健康関連データ(生活ログ、食料品の購入履歴、診療履歴等)をマイナンバーにより紐づけし、本人及び本人が同意した事業者が一元的に参照することを可能とする。

▽回復期における高次医療機関から他の医療機関への転院搬送で、搬送車内の患者状態を医師が遠隔で常時観察して搬送できるようにする。また医師または看護師が遠隔で観察する場合には、救急車で搬送する救急隊員を2人編成とする。

▽医療・介護情報等、利用者に関する外部情報と、センシングした利用者の身体情報に基づき、専門スタッフが身体機能向上のプログラム実施を遠隔でサポートする。

▽自宅で遠隔医療を受診し、処方された薬を移動スーパーで運搬する。

▽再開発、地域開発に水素利用分散型エネルギーシステムを設置し、エリア内に電力、熱エネルギー供給事業を行う。 住民の利用ニーズに応じたスポーツ施設や温浴施設等の健康増進施設に関わる温水プール、温浴施設への電力、熱エネルギー供給事業を行う。

▽市内発スタートアップやつくばSocierty5.0トライアル支援事業採択者の商品または役務である先端的サービスの調達を随意契約で行えるようにする。

▽国立大学法人が所有する土地や大学宿舎の跡地等を、地域イノベーション拠点として、スタートアップが入居する施設や、エネルギー供給設備等の整備を行う。

▽市内でスタートアップを創業しようとする外国人が「経営・管理」の在留資格を取得するための創業活動期間を延長する。また、市内の大学・研究機関に所属する外国人研究者が、研究活動に従事しつつ創業や企業経営できるようにする、など。

第1部 終わり

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ふるさとのない時代《くずかごの唄》154

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消費期限切れ食品を冷凍自販機で販売 つくばまちなかデザイン

保健所が販売停止を指導 つくば市のまちづくり会社「つくばまちなかデザイン」(つくば市吾妻、内山博文社長)が設置、管理する冷凍食品自動販売機で、1月9日から14日までの間、消費期限切れの食品が販売されていたことが分かった。つくば保健所の指導を受けた同社は、該当食品の販売を17日から停止し、現在までに同自販機による全食品の販売を停止している。 同社は購入者に対し返金対応を行うとしているが、同社による事態の告知は自販機への貼り紙と、冷凍食品製造事業者を含む飲食店経営者による有志グループ「旨がっぺTSUKUBA(つくば)」のインスタグラムとフェイスブックなどに限られ、つくば市が出資する第3セクターとしての説明責任が問われる。 販売が停止された自販機は、つくば駅前のつくばセンター広場ペデストリアンデッキ上に設置されている。同社がSNSと自販機に掲示した「お知らせ」によると、販売された消費期限切れの食品は「8大アレルゲンフリー 米粉の焼き菓子おまかせ3点セット」。1月9日、12日、14日の3日間に計4点が購入されていたことが確認されている。消費期限は、購入された時で最大で1週間が過ぎていた。その他に、消費期限が最短で1日以内だった1月1日と6日に購入された2点についても返金するとしている。 コロナ禍発 同自販機が設置されたのは2023年。つくばまちなかデザインが、市内などの飲食店経営者などによる有志グループ「旨がっぺTSUKUBA」とともに立ち上げた実行委員会のプロジェクトとして設置した。同グループは、コロナ禍による外出自粛が呼び掛けられた2020年に、県内飲食店のテイクアウト情報をフェイスブックで発信していた活動を母体としている。冷凍自販機設置に際して同実行委は、PR費用などに充てるとしてクラウドファンディングを実施し、46人の支援者から56万9590円を集めた。 告知は貼り紙と飲食店グループのSNSのみ 消費期限切れ食品の販売が発覚したのは1月17日。まちなかデザインは同日、「旨がっぺTSUKUBA」のインスタグラムとフェイスブックに掲載した同社名義の「消費期限切れ商品の販売に関するお詫びとお知らせ」で、問題が起きた経緯について「弊社による商品管理不足とコミュニケーションの不調」によるなどと説明し、返金対応を行うとした。同時に、自販機に貼り紙を貼り、購入者に連絡を呼び掛けている。一方で、食品の自販機の設置者であり、商品の管理責任を負うまちなかデザイン自身の公式ホームページや、会社のSNSアカウントでは、2月2日時点で、消費者に対する説明や購入者への呼び掛けは行われていない。 社長「大きな問題は起きてない」 取材に対して同社の内山社長は、今回の経緯について、「旨がっぺTSUKUBA」のSNSに公表した文書を念頭に、「あそこに書いてあることが全て」とし、「体調が悪くなったなど、特段、消費者から問い合わせもなく、大きな問題が起きているということはない。問題等があれば、しっかり発表する」と述べ、問題発生に関する詳細な経緯の説明を避けた。 また、市民からの疑問と不安の声を受けて取材を始めたことを伝えると、「『市民の方から』と言えば、なんでも話さなければいけないのか。その方から直接問い合わせをいただければ、私どもも真摯(しんし)に対応する」と述べた。今後については「保健所の指導を受けながら、誰の責任で、どう行うべきか考えていきたい。再開については、はっきりした段階でお伝えしたい」とした。 複数業務兼ね管理行き届かず つくば保健所によると、保健所が事態を把握したのは、問題が発覚してから2日後の19日。問題となった冷凍自販機に食品を納入している業者からの通報がきっかけだった。この時点で該当食品の販売は停止されていたが、まちなかデザインから保健所への連絡はなかった。そのため保健所は同日、同社に電話連絡し、同社が保健所を訪問。保健所は食品衛生法に基づき、施設の衛生管理状況や取扱者の衛生教育などを評価する「食品衛生監視指導表」を交付し、事態改善に向けた指導を同社に対して行っている。 同保健所は「自販機の設置者であるつくばまちなかデザインが、納入された商品の管理と自販機への補充を行ってきた」と、設置だけでなく、商品管理もまちなかデザインが担っていたとした上で、問題が起きた経緯については「自販機販売の担当者が、他の複数業務を兼ねていた。人手不足の中で、商品管理が行き届かず、期限切れの商品が販売された」と原因や背景を分析する。 今後、まちなかデザインから提出される改善案を見た上で、改善措置が図られたと判断した段階で、販売再開が可能になるとしている。 今回の「消費期限切れ」について保健所は「食品表示法により、健康被害の恐れから消費期限が切れた商品を販売することはできない。期限が切れた食品は、もう食べられない状態」にあるとし、厳格な管理が必要との認識を示した。一方で、今回販売されたのが冷凍食品であることから重大な健康被害に直結しにくいとの見方を示し、より期限に猶予期間のある「賞味期限」表示が適切だった可能性にも言及した。 市がどう考えているか知りたい  今回販売された焼き菓子をこれまでたびたび購入してきたという、ブックカフェ「本と喫茶サッフォー」(同市天久保)を経営する山田亜紀子さんは「丁寧に作られていて、安心して食べられるお菓子。美味しくて、好きで食べていた」と話し、自身も食品販売に携わる立場から「食品管理は食中毒を出せば営業できなくなり、経営に直結する問題。一番気を使う部分だ」と指摘する。 さらに「自販機は市民以外も含め誰でも購入できる場所にある。本来、安全を最優先しなければならないはずなのに、食べ物をずさんに扱っている印象を受ける」と不安を口にした。さらに「こうした会社に市が税金を出資している。市としてどう考えているのか知りたい」と話した。 市と会社に説明責任ある これまで市議会でたびたび同社の経営状況や将来負担などについて質問してきた山中真弓市議は「市は、まちなかデザインに6000万円を出資し、指定管理者に指定して、自販機が設置されている場所を含むつくばセンター広場の管理を任せている。市民の税金が投入されている以上、同社は市民に対して問題を説明する責任がある」と指摘する。 その上で、「自販機が設置されている場所は市の土地であり、市職員が同社の取締役に入っている。市が無関係とは言えない」とし、「市にも、市民に対して説明する責任がある。また、まちなかデザインが食品を扱うノウハウがあるのか、確認する必要がある」と述べた。 市は保健所に委ねる姿勢 一方、つくばまちなかデザインを担当する同市学園地区市街地振興課は今回の件について「(まちなかデザインは)保健所の指導に従ってもらいたい」との認識を示すにとどまっている。(柴田大輔)

人の意見を聞く勇気《続・気軽にSOS》169

【コラム・浅井和幸】言葉は、その発する人の思いを相手に伝えるための道具です。そして、その言葉を受け取る人の解釈によって意味が変わることがあります。さらに、その人が相手に伝えるときに使われて、会話が成立します。 「白くてふわふわしている」という言葉も、発信した人と受け取った人とが思い浮かべるものが全く同じであることはほとんどないでしょう。経験も、その時の気分も、何を優先順位とするかも違う、それぞれの人生を生きているのですから。 相手との違いが分かっていると、より分かってもらおうと発信側も工夫するものです。違うことが分かっていると、より分かろうと受け取る側も考えます。初めて会う、違う文化の人には、ていねいなコミュニケーションを取ろうとするものです。 以前、学者の方から笑い話で聞いたことがありますが、世界各国から研究者が集まる学会などで、たどたどしい英語でコミュニケーションをとっているときは気持ちが通じ合う感覚があるのに、長年連れ添った妻とは同じ日本語で話をしているにもかかわらず、お互いが相手の言っていることが分からなくなることがある、と。 ていねいな対話とか情報交換 私たちは、関係性の距離によって、コミュニケーションがていねいになったり、雑になったりします。もちろん、ある程度お互いの癖が分かっているのに、ていねい過ぎるやり取りは無駄な時間を使います。簡単にした方がよいこともあるでしょう。 うまくいっているときは、コミュニケーションは端折(はしょ)ってもよいと思います。しかし、コミュニケーションがうまくいかないときは、自分の言いたいことを分かってと我を通すだけでなく、ていねいな対話とか情報交換が必要になります。 意外なことではありますが、ケンカをしている両者が実は目的や希望が相反することでないことは多いものです。それどころか、同じであることも珍しいことではありません。ケンカしている相手の言葉は聞きたくないでしょうが、相手の話したいことを理解することから始めましょう。(精神保健福祉士)