月曜日, 6月 8, 2026
ホームつくば冬以降、区域会議立ち上げ【スーパーシティって何@つくば】4

冬以降、区域会議立ち上げ【スーパーシティって何@つくば】4

国のスーパーシティ構想のモデルは、世界的IT企業アリババが中国の杭州市で行っている未来都市や、グーグルがカナダのトロントでやろうとしてできなかった都市構想だと、内閣府スーパーシティ専門調査会委員の竹中平蔵慶応義塾大名誉教授は同委員会で述べる。

今回、第1号のスーパーシティには、「インターネット投票」を看板事業に掲げるつくば市と、大阪万博での「空飛ぶ車」の実現を掲げる大阪府・大阪市の2市が選ばれた。さらに岡山県吉備中央町、長野県茅野市、石川県加賀市の3市町がデジタル田園健康特区に選ばれている。

選んだ基準について国の専門委員会は、指定したはいいけれど、その後全然実現しないということがないよう、規制省庁と概ね合意した項目が複数があること、合意はしてないが今後議論が可能な程度に具体化した項目が相当数あることなど、規制改革に対する熟度の高い自治体を選んだとする。

なお国は、スーパーシティ特区の規制改革を利用しなくても、できることはどんどんやってほしいという立場だ。例えば今年、道路交通法が改正され、来年から自動配送ロボットなどの公道走行が加速するとみられている。できることは、つくばスマートシティ協議会(会長・大井川和彦知事、五十嵐立青つくば市長)が取り組む方針だ。

今後のスケジュールは、今年冬以降、国と市、事業者などで区域会議を立ち上げる。実際にどのような事業を行うかは区域計画(基本構想)を策定して決める。応募にあたってつくば市は、公募により50事業者と連携し事業計画をつくった。実際の事業者は改めて公募し、事業を実施する費用は、国の補助金などを活用しながら事業者や利用者が負担するとみられる。

議会議決で住民同意も

区域計画の作成は、住民や利害関係者の意向を踏まえることが必要になる。昨年5月の国のヒヤリングで五十嵐立青市長は「(インターネット投票による)住民投票で、住民がこの計画に賛同するのかどうか確認していきたい」としていたが、今年6月に開かれた市議会全員協議会ではトーンダウン。森祐介政策イノベーション部長(当時)は「住民投票や議会の議決などいくつかの方法がある」とした。スマートシティ戦略課によると「区域会議の素案に盛り込む規制の特例措置の性質によって、対象となる住民の範囲等が変わるため、住民同意の確認方法も様々にあり得る」とし「規制の特例措置の内容によっては、議会の議決など住民投票以外の方法もあり得る」のだという。

市は国に23項目の規制緩和を提案している=メモ=。その一つに、行政が保有する個人情報を個人が特定できないように加工して提供するなどの取り組みがある。国のヒヤリングで森部長は「加工の都度、100%賛成の住民同意をとることは非現実的」「基本構想を策定する中で、賛同していただけるのかどうか確認していきたい。反対もゼロにはならないと思っているが、何割が賛成したらやっていくのかということは区域会議の中で内閣府の意見などもいただきながら決めていきたい」とする。

個人情報保護 仕組みづくりはこれから

スーパーシティは、行政や企業、個人がもつさまざまなデータを活用してサービスを展開する。事業者がさまざまなデータを活用するためには、それぞれがもつデータを「データ連携基盤」というデータを共有する仕組みと連動させて、事業者がさまざまなデータを活用できるようにすることが必要になる。

つくば市の場合、データ連携基盤は、つくばスマートシティ協議会メンバーのNECが2021年度に3400万円で開発した。欧州で開発されたFIWARE(ファイウェア)に準拠した基盤だ。

データ連携基盤は、エストニアのXロードが国際的に高く評価されている。企業がXロードにアクセスした場合、記録が残る。市民は、自分の個人情報のどのような内容を、だれが、いつ、どのような理由で閲覧したり利用したのか、アクセル履歴をチェックできるとされる。

つくば市が導入を決めたNECのデータ連携基盤はどのようなものになるのか。同課は、今回開発したデータ連携基盤は個人情報を取り扱う機能はなく、オープンデータのみを扱うとする。市民の医療健康情報などの個人情報を取り扱う場合は、今後、別のデータ連携基盤をつくり、他のサービスとは接続させないとする。

さらに個人情報の収集や活用にあたっては、市独自の倫理チェックリストをつくる。加えて、プライバシーへの影響を評価し、システムづくりや運用を適正に行うことを促す「プライバシー影響評価(PIA)」を実施するとしている。個人情報の収集から利用、保管、廃棄までのプロセスのリスクを分析し、システム構築前に対策を準備する手法だという。PIAのモデルポリシーを策定し自治体をサポートしている世界経済フォーラムの第4次産業革命日本センターから助言を受ける予定だが、個人情報保護に関する具体的な検討はこれからだ。(鈴木宏子)

【メモ】つくば市がスーパーシティ構想で国に提案している規制改革23項目の主な事業は以下の通り。

▽公職選挙でのインター ネット投票

▽分散する行政情報を集約し多言語で表示するポータルアプリを構築。 住民の希望(オプトイン型)により、属性情報に基づき個別化された情報発信も行う。さらにマイナンバーカードを活用し、行政への様々な申請・手続をアプリ上から行えるようにする。

▽マイナンバーカードと署名用電子証明書を活用した公的個人認証により、役所に来庁せずに住民異動届をスマートフォンから行えるようにする。

▽個人が特定できない行政ビッグデータを様々な主体に提供できるようにし、データ分析や可視化を住民や企業等が自ら行うことが可能になるようにし、活用できるようにする。

▽AI配車システムを活用し、学園東大通りの一部とスマートキャンパス化する筑波大学構内で自動運転循環バスを導入する。

▽自宅からバス停まで、介助者も同乗できるシェアモビリティの自動運転車椅子が時速10キロで走行し、高齢者や障害者の移動を支援できるようにする。

▽つくば駅周辺の吾妻70街区で、歩行者と自動運転車椅子と自動運転の荷物搬送ロボット、追従型荷物搬送ロボットなどが歩道を自由に通行できるようにする。

▽スーパーが近くにない郊外部で、自動運転車椅子が自宅から移動スーパーに移動し買い物できるようにする。

▽薬局の検体測定室で得られた検査結果を健康アドバイスや保健指導、遠隔診療等で活用できるようにし、生活習慣病の予防・早期発見・重症化予防につなげる。

▽自治体や国立大学法人、国立研究開発法人、医療機関、薬局等の各機関に分散する健康関連データ(生活ログ、食料品の購入履歴、診療履歴等)をマイナンバーにより紐づけし、本人及び本人が同意した事業者が一元的に参照することを可能とする。

▽回復期における高次医療機関から他の医療機関への転院搬送で、搬送車内の患者状態を医師が遠隔で常時観察して搬送できるようにする。また医師または看護師が遠隔で観察する場合には、救急車で搬送する救急隊員を2人編成とする。

▽医療・介護情報等、利用者に関する外部情報と、センシングした利用者の身体情報に基づき、専門スタッフが身体機能向上のプログラム実施を遠隔でサポートする。

▽自宅で遠隔医療を受診し、処方された薬を移動スーパーで運搬する。

▽再開発、地域開発に水素利用分散型エネルギーシステムを設置し、エリア内に電力、熱エネルギー供給事業を行う。 住民の利用ニーズに応じたスポーツ施設や温浴施設等の健康増進施設に関わる温水プール、温浴施設への電力、熱エネルギー供給事業を行う。

▽市内発スタートアップやつくばSocierty5.0トライアル支援事業採択者の商品または役務である先端的サービスの調達を随意契約で行えるようにする。

▽国立大学法人が所有する土地や大学宿舎の跡地等を、地域イノベーション拠点として、スタートアップが入居する施設や、エネルギー供給設備等の整備を行う。

▽市内でスタートアップを創業しようとする外国人が「経営・管理」の在留資格を取得するための創業活動期間を延長する。また、市内の大学・研究機関に所属する外国人研究者が、研究活動に従事しつつ創業や企業経営できるようにする、など。

第1部 終わり

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

9 コメント

9 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

住民団体結成、署名集め説明会開催要望へ【つくばに国内最大級のデータセンター】

つくば市大穂で今年2月、1棟目の建設工事が始まったデータセンターに対し、事業者のグッドマンジャパンから「説明を受けていない」「納得のいく説明がほしい」などとして、大穂地区の周辺住民が今年4月、住民団体「データセンターから市民を守る会」(柳町弘幸会長)を結成した。 これまでに周辺約1600世帯にアンケート用紙を配布したほか、住民説明会開催を求める署名を集めており、5月末までに288人(5事業所含む)の署名が集まっている。今後、周辺住民を対象とした説明会を開催することを事業者に働き掛けるよう、市長と市議会に要望書を提出する意向だ。 アンケートは①事業者から説明を受けたことがあるか②説明を受けた場合、時期や回数、方法はどのようものだったか、などについて調査を実施している。 開発許可の手引きに規定 住民説明会の開催については、都市計画法に基づくつくば市の開発許可の手引きに「1000平方メートル以上の開発行為にあたっては、(敷地境界から)周辺の概ね100メートル以内の居住者及び土地所有者に対し住民説明会を開催する」などと規定されているほか、「隣接する土地所有者に、敷地境界を確認し、計画について説明しなければならない」などと定められている。 市開発指導課は、住民説明会の開催方法は、住民自治組織の代表などと協議し対象範囲、開催方法を決めると同手引きで定められていることなどから、「事業者から提出された報告書では、住民説明会は書面開催とし、事業計画の概要を書面で個別配布し、意見を求めたと事業者から市に報告されている」などとしている。事業計画の概要は2023年10月中に事業者から周辺住民や土地所有者に配布され、その結果を記した住民説明会開催報告書は同年11月1日に市に提出されたという。 投函したり郵送しただけ これに対し守る会の柳町会長(63)は「これまで返信があったアンケート結果をみると、単に事業者が各戸の郵便受けにお知らせを投函したり、郵送したりしただけで、その後、住民から事業者に連絡がなかったことをもって同意を得たと判断したのではないか」と疑問を呈す。 これまでに守る会のアンケートに回答を寄せた100メートル以内の住民のほとんどが「資料は送られてきたような気がするが、(住民側から)連絡しないことが同意となることに疑問」「(事業者から)訪問を受け資料が投函されていたが説明はない」「工事の資料が郵送されたが、開発計画の資料ではない。隣地なのに説明がなく同意したと判断されることに疑問を感じる」などの意見が寄せられている。さらに「データセンター周辺は気温が上昇してしまうのではないか」「周辺は土地の価格も下がってしまうのではないか」などの不安も寄せられているという。 何の説明もないと相談 柳町会長は「去年12月、開発地近くの知人から『大規模な工事が始まるが何の説明もないので不安を感じている』と相談を受けたことがきっかけになった。大型クレーン4基を使った大規模工事が進む現在に至っても近隣住民に対する正式な説明会が一度も開かれていないため、守る会を立ち上げた」と話す。 その上で「専門家が、つくばのデータセンターは日本最大級になり、市全体の3倍の電力を消費し、2倍の二酸化炭素を排出し、2倍の排熱を出すという問題を指摘している。これほど大きな影響が想定されるのに、近隣住民や周辺施設、学校、保育園などに十分な説明が行われていないことに強い危機感を抱く」とし、「データセンターそのものを否定したいわけではないが、周辺住民が安心して生活できる環境を守るため、十分な住民説明会の開催、情報公開、環境影響評価の実施、計画内容の見直しなどを求めていきたい」と話す。 柳町会長は、地元、大穂地区に住み、現在、副区長を務める。守る会のメンバーは地域住民や地域の事業者で働く約20人という。 データセンター建設予定地は、グッドマンジャパンの特定目的会社が2022年につくば市土地開発公社から取得し、今年2月、1棟目となる受電容量5万キロワット(50メガワット)のデータセンターの建設が始まった。将来的には20倍の受電容量100万キロワット(1000メガワット)のデータセンターを建てる計画だ。これに対し、専門家は、将来的に100万キロワットの施設が完成すれば、国内最大級のデータセンターとなり、現在のつくば市全体の排熱量の2倍が同市大穂の予定地から排熱され、夏の猛暑時などは周辺住民の健康影響が懸念されるなどと指摘している。(5月19日付、同20日付)。一方、市開発公社が約46ヘクタールを民間に売却するにあたって、つくば市議会高エネ研南側未利用地調査特別委員会(当時)は2021年6月、「周辺環境へ影響を及ぼさないことを利活用の基本とすべき」だなどする提言書をまとめている。 住民説明会の開催について、NEWSつくばは5月中旬、グッドマンジャパンに対し、、データセンターの排熱や冷却方法などと合わせて質問した。同社からは「回答を控える」(5月19日付)などの回答があった。(鈴木宏子) ◆「データセンターから市民を守る会」の問い合わせはメールkoe800757@gmail.com。

男女ホームゲームを同日開催 つくばFC

つくば市を本拠地とするサッカークラブのつくばFCが7日、つくば市山木のセキショウチャレンジスタジアムで「つくばFCファミリーデー&スポーツフェスデー」と銘打ち、男女各トップチームのホームゲームを同日開催した。なでしこリーグ最短復帰を目指す関東女子サッカーリーグ1部のつくばFCレディースは後期第1節を迎え、神奈川大学(本拠地・神奈川県横浜市)に1-0で勝利した。関東サッカーリーグ2部の男子、ジョイフル本田つくばFCは、COEDO KAWAGOE(コエドかわごえ)F.C(本拠地・埼玉県川越市)に0-1で敗れた。 女子は勝利 第32回関東女子サッカーリーグ1部 後期第1節(6月7日、セキショウチャレンジスタジアム)つくばFCレディース 1-0 神奈川大学女子サッカー部前半0-0後半1-0 女子は相手の攻撃を受ける時間が長く、難しい試合になった。「自分たちのプレースタイルを相手がよく研究し、ボールを持てる時間が少なかったが、守備ラインを中心に無失点で抑えたのが勝因。後半は修正できた」と志賀みう監督。ハーフタイムの交替では、坪井茉凛と高橋萌々香を下げて﨑山里緒と金子結愛来を入れ、穂谷颯季をトップ下に戻した。前からプレスをかけることで相手のビルドアップを防ぐ策だ。 得点は後半32分。中盤で金子が戻したボールを加登友佳が浮き球で前線へ送り、走り込んだ穂谷がゴールへ突き刺した。「相手の守備ラインとGKの間が大きく空いていたので、穂谷がそこへ走ってくれると信じて、金子から呼んだボールをダイレクトで出した」と加登。「加登がいいボールを裏へくれたので落ち着いて決めようと思って、GKが動かなかったので後はタイミングだなと、左へ打つと見せかけて右へ流し込んだ」と穂谷。 「この場面ではプレートレーニングの成果が出た」と志賀監督。ゴール前の状況をシンプルな形で作り、「相手がこう食いついてきたらこう行こう」などと、相手を認知して崩しに行くやり方を選手に伝えているという。 男子は敗れる 第60回関東サッカーリーグ2部 第7節(6月7日、セキショウチャレンジスタジアム)ジョイフル本田つくばFC 0-1 COEDO KAWAGOE F.C前半0-1後半0-0 男子はこの試合、押久保弘人と海津遼馬の2トップを選択。体の強さがあり一人でも行ける押久保と、裏抜けが得意で左右どちらの足でも撃てる海津を軸に、3人目の動きで攻撃を組み立てようという作戦だ。だが立ち上がりから相手に押し込まれ、守備でリズムを作れず攻撃にも影響してしまった。そして前半23分に失点。左サイドからのクロスをゴール脇で収められ、戻したマイナスのパスに走り込んだ選手が合わせ、結局はこれが決勝点となった。 「相手のロングボールを跳ね返すクリアの質が悪く、セカンドボールを拾われ再び攻撃につなげられた。守備の影響から攻撃でも選手間の距離が広がり、相手が待ち構えているところへ攻める形になった」と楠瀬章仁監督。 今季COEDO KAWAGOEから移籍してきた海津は「相手は個々に技術があり、守備がシンプルに堅い。前半途中からはボールを持てるようになったが、長所であるパスをつなぐサッカーができず、決定的なところまで攻め込めなかった。自分としても古巣に成長した姿を見せたかったが、ゴールが遠かった」と振り返った。 つくばは後半途中、海津に替えて長島グローリーを前線に投入。ロングボールのターゲットとして攻撃の流れを呼び込んだが、相手側もそこへ守備固めのポイントを絞って対応してきた。長島はつくばに移籍加入して2年目。昨季よりコンディションが上がって出場時間も伸び、「もっと自分の特徴を出してプレーの質を高め、チームを勝利に導きたい」と意欲を見せる。 次は14日、共にトーナメント戦 次の試合は男女とも6月14日。女子は第32回茨城県女子サッカー選手権大会兼皇后杯関東予選3回戦。JAいばらきスポーツパーク/IFAフットボールセンターBで、KASHIMA-LSC(県リーグ1部)と対戦する。勝てば準決勝で筑波大学(関東大学リーグ2部)と茨城フットボールアカデミー(関東U-18リーグ2部)の勝者と戦う。「強いチームが揃っているので1週間しっかり準備し、次につながる試合がしたい」と志賀監督。 男子は第62回全国社会人サッカー選手権大会関東予選の2回戦、全国地域サッカーチャンピオンズリーグにつながる重要な大会だ。対戦相手は関東リーグ2部のライバルでもある東京国際大学FC。「前回対戦ではロスタイムに失点して引き分けに持ち込まれた。相手の出方は分かっているので対策を立て、いい準備をしたい」と楠瀬監督。共に負けたら終わりのトーナメント戦に、いい緊張感で臨んでいく。(池田充雄)

令和の「米騒動」の現在地と今後の展望《邑から日本を見る》195

【コラム・先﨑千尋】田植えから1カ月余り。どの田んぼも青々してきている。我が家の田んぼを見ていると、「今年も米が食べられるナ」、とホッとした気分になる。 この2年、この国では米をめぐって異常な事態が続いた。いわゆる「米騒動」。スーパーの棚から米が消え、米が入らなくなり、商売を止めた米屋が出るニュースも。備蓄米を買い求め、朝早くから行列。どこにも騒動が起きていないのに「米騒動」。日本人にとって米とは何かを問い直すきっかけでもあった。 5月23日、私も役員になっている「農業協同組合研究会」が、東京で「令和の米騒動の現在地と今後の展望」というテーマで研究大会を開いた。今回はその報告をする。 今年の秋も波乱含み 日本大学の西川邦夫教授(3月まで茨城大学教授)は「令和の米騒動と米政策」と題して報告した。西川氏は、令和の米騒動の要因は、事前対策としての生産調整の失敗と、事後対策としての流通対策の不備だとした。 長期的には主食用米の需要は減少していく傾向が続いているが、コロナ過で需要が大きく減り、在庫が膨らんだこともあって、政府は生産調整の強化を続けた。しかし、2023年から需要が回復し、24年までの2年間で78万トン不足した。備蓄米が59万トン放出されたが、生産現場では農協と業者の集荷競争が過熱化。米価が急騰し、店頭でも5キロで5000円以上になるまでになった。 25年産米は増産になり、輸入米も増え、現在では96万トンの供給過剰になっている。26年産も増産が見込まれており、今年の秋には米があふれかえることになる。 西川氏は最後に今後の政策の方向について、事前対策(生産調整、転作)から事後対策(流通対策)へ、主食用米に対する支援は適正価格+生産者への直接支払いの二段構えへ、反収の上昇のために新たな品種改良、既に開発されている品種の普及の3点を提言した。 続いて、米専門記者の熊野孝文氏(元米穀新聞記者)は「米価変動の実態と今後の行方を大胆に展望する」と題した報告をした。 同氏は農水省の米に関する統計データに疑問を示し、「需給見通しは主食用と非主食用を分けるべきでない。米の生産者が2030年には25万人、平均年齢は74歳になり、生産基盤が弱体化していく中、これまでと同じような政策を続けることはできない。今回の米の高騰で米を買わなくなった消費者が9%もいる調査結果は驚くべきことだ」と話した。 さらに「価格の安定については先物市場の活用が合理的。先物取引を活用して価格変動リスクを回避しなければ農家経営も難しい。農協は何故やらないのか」と指摘した。 揺さぶられた共計・概算金制度 最後に立った常陸農協の秋山豊組合長は「揺さぶられた共計・概算金制度と今後の対応」を報告した。 「昨年産米の概算金は農協にとって修羅場だった。概算金とは、農協がやっているコメ販売の無条件委託・共同計算のことで、出来秋に農家から出荷された米を1年から1年半かけて売る。集荷時点で支払額の7~8割、清算時に残りを払うという仕組みだ。常陸農協管内では民間業者の数が多く、昨年の早い時期から1俵3万円を超えた。農協もそれにあおられた。農協が業者との競争に対抗し、組合員の手取りを増やす対策として、和食大手チェーン店や東京の生協と契約取引を始めている」と、苦悩と展望を語った。(元瓜連町長)

ラヂオつくば社長に就任した立川記子さん【キーパーソン】

つくば市内をエリアにしているコミュニティFM「ラヂオつくば」を運営する「つくばコミュニティ放送」の社長が5月下旬に交替し、新社長に立川記子さん(52)が就任した。つくば市に住み、大学受験の個人塾を経営、イベント企画や広報の仕事もしている。立川さんに、学園都市に向けて電波を発信するFM放送の役割などについて聞いた。 開局から18年、4代目の社長 ラヂオつくばが開局したのは18年前の2008年。筑波大学内にアンテナを立てさせてもらい、国が割り当てた周波数84.2MHzの電波を使って、つくば市内に情報や音楽を発信している。茨城県内にはほかに、「FMぱるるん」(水戸市)、「FMかしま」(鹿島市)、「FMひたち」(日立市)、「FMうしくうれしく放送」(牛久市)、「FMだいご」(大子町)の5局がある。 立川さんは創業から4代目の社長。どうして5月下旬にトップが交替したのか聞くと、「私は取締役としてFMラジオ局にも関わってきたが、当社の決算期は前年6月~今年5月になっており、経営上の区切りがよかった。それから、弁護士をしている前任の堀越智也さんから、そろそろ法律事務所の仕事に専念したいとの申し出があった」とのこと。 「気軽に立ち寄れる」スタジオ 立川さんはラジオパーソナリティとして、この8年間、昼2時間の帯番組も担当してきた。 「コミュニティ放送のスタジオは誰でも気軽に立ち寄れる場所。スタジオを市内のいろいろな情報が集まって来るところにし、そういった情報を発信する基地として運営していきたい。スタジオがハブ(車輪の中心)になり、人と人のつなぐ部屋になればと思う」 「市内の区長さんや地域で活躍する方にも出演していただき、地域のイベントなどの話題を話してもらいたい。そういった、市民の皆さんが主役になれるような放送局にしたい。また、コミュニティ放送として、市が発信する災害情報も伝え、防災面でも役に立つ局にしようと考えている。84.2MHzあるいはホームページにアクセスすれば、市内のことは何でも分かるような放送局にしていく」 「聞こえる・見える」スタジオ 以前、ラヂオつくばのスタジオは広場に接するつくばセンタービルの2階にあった。その後、トナリエクレオ(元西武百貨店)の3階に移ったが、場所が分かりづらいこともあり、昨年7月、クレオ前のT.S Buil(元ライトオン本社ビル、つくば市吾妻1-11-1)の1階に引っ越した。幅の広い歩道に面しており、仕切りガラス越しにスタジオ内の様子をのぞくことができる。 立川さんによると、放送の音声をラジオやスマホなしでも聞けるように、近く、スタジオの外側にスピーカーを取り付ける。また、ペデストリアンデッキに面するT.S Builの外壁に設置されている大スクリーンでも放送中の影像を映してもらえるよう、同ビルを所有する「都市開発」と交渉中という。これらの仕掛けが実現すると、スタジオの発信力が強化され、つくば駅近くの名所になりそうだ。 【たちかわ・のりこ】1996年、法政大学文学部卒。EIDAI合同会社(大学受験個人塾と広報イベント企画)代表社員、NPO法人子どものための救命教室理事、茨城県地球温暖化防止活動推進員。東京都港区赤坂出身、つくば市在住。家族は、中学3年の長男、小学6年の長女、勤務医の夫。 【インタビュー後記】私も放送が好きだった。小中では放送部に属し、冷蔵庫ぐらいのアンプ、小型スーツケースぐらいの録音器、分78回転SPレコードをかけるプレーヤー、音声をコントロールする操作盤をいじるのが楽しくて仕方なかった。校内連絡では自分がアナウンス、シナリオを書いて番組も作った。大学構内に電波塔があるFM局は学園都市にとてもよく似合う。(経済ジャーナリスト、坂本栄)