木曜日, 5月 14, 2026
ホームつくば冬以降、区域会議立ち上げ【スーパーシティって何@つくば】4

冬以降、区域会議立ち上げ【スーパーシティって何@つくば】4

国のスーパーシティ構想のモデルは、世界的IT企業アリババが中国の杭州市で行っている未来都市や、グーグルがカナダのトロントでやろうとしてできなかった都市構想だと、内閣府スーパーシティ専門調査会委員の竹中平蔵慶応義塾大名誉教授は同委員会で述べる。

今回、第1号のスーパーシティには、「インターネット投票」を看板事業に掲げるつくば市と、大阪万博での「空飛ぶ車」の実現を掲げる大阪府・大阪市の2市が選ばれた。さらに岡山県吉備中央町、長野県茅野市、石川県加賀市の3市町がデジタル田園健康特区に選ばれている。

選んだ基準について国の専門委員会は、指定したはいいけれど、その後全然実現しないということがないよう、規制省庁と概ね合意した項目が複数があること、合意はしてないが今後議論が可能な程度に具体化した項目が相当数あることなど、規制改革に対する熟度の高い自治体を選んだとする。

なお国は、スーパーシティ特区の規制改革を利用しなくても、できることはどんどんやってほしいという立場だ。例えば今年、道路交通法が改正され、来年から自動配送ロボットなどの公道走行が加速するとみられている。できることは、つくばスマートシティ協議会(会長・大井川和彦知事、五十嵐立青つくば市長)が取り組む方針だ。

今後のスケジュールは、今年冬以降、国と市、事業者などで区域会議を立ち上げる。実際にどのような事業を行うかは区域計画(基本構想)を策定して決める。応募にあたってつくば市は、公募により50事業者と連携し事業計画をつくった。実際の事業者は改めて公募し、事業を実施する費用は、国の補助金などを活用しながら事業者や利用者が負担するとみられる。

議会議決で住民同意も

区域計画の作成は、住民や利害関係者の意向を踏まえることが必要になる。昨年5月の国のヒヤリングで五十嵐立青市長は「(インターネット投票による)住民投票で、住民がこの計画に賛同するのかどうか確認していきたい」としていたが、今年6月に開かれた市議会全員協議会ではトーンダウン。森祐介政策イノベーション部長(当時)は「住民投票や議会の議決などいくつかの方法がある」とした。スマートシティ戦略課によると「区域会議の素案に盛り込む規制の特例措置の性質によって、対象となる住民の範囲等が変わるため、住民同意の確認方法も様々にあり得る」とし「規制の特例措置の内容によっては、議会の議決など住民投票以外の方法もあり得る」のだという。

市は国に23項目の規制緩和を提案している=メモ=。その一つに、行政が保有する個人情報を個人が特定できないように加工して提供するなどの取り組みがある。国のヒヤリングで森部長は「加工の都度、100%賛成の住民同意をとることは非現実的」「基本構想を策定する中で、賛同していただけるのかどうか確認していきたい。反対もゼロにはならないと思っているが、何割が賛成したらやっていくのかということは区域会議の中で内閣府の意見などもいただきながら決めていきたい」とする。

個人情報保護 仕組みづくりはこれから

スーパーシティは、行政や企業、個人がもつさまざまなデータを活用してサービスを展開する。事業者がさまざまなデータを活用するためには、それぞれがもつデータを「データ連携基盤」というデータを共有する仕組みと連動させて、事業者がさまざまなデータを活用できるようにすることが必要になる。

つくば市の場合、データ連携基盤は、つくばスマートシティ協議会メンバーのNECが2021年度に3400万円で開発した。欧州で開発されたFIWARE(ファイウェア)に準拠した基盤だ。

データ連携基盤は、エストニアのXロードが国際的に高く評価されている。企業がXロードにアクセスした場合、記録が残る。市民は、自分の個人情報のどのような内容を、だれが、いつ、どのような理由で閲覧したり利用したのか、アクセル履歴をチェックできるとされる。

つくば市が導入を決めたNECのデータ連携基盤はどのようなものになるのか。同課は、今回開発したデータ連携基盤は個人情報を取り扱う機能はなく、オープンデータのみを扱うとする。市民の医療健康情報などの個人情報を取り扱う場合は、今後、別のデータ連携基盤をつくり、他のサービスとは接続させないとする。

さらに個人情報の収集や活用にあたっては、市独自の倫理チェックリストをつくる。加えて、プライバシーへの影響を評価し、システムづくりや運用を適正に行うことを促す「プライバシー影響評価(PIA)」を実施するとしている。個人情報の収集から利用、保管、廃棄までのプロセスのリスクを分析し、システム構築前に対策を準備する手法だという。PIAのモデルポリシーを策定し自治体をサポートしている世界経済フォーラムの第4次産業革命日本センターから助言を受ける予定だが、個人情報保護に関する具体的な検討はこれからだ。(鈴木宏子)

【メモ】つくば市がスーパーシティ構想で国に提案している規制改革23項目の主な事業は以下の通り。

▽公職選挙でのインター ネット投票

▽分散する行政情報を集約し多言語で表示するポータルアプリを構築。 住民の希望(オプトイン型)により、属性情報に基づき個別化された情報発信も行う。さらにマイナンバーカードを活用し、行政への様々な申請・手続をアプリ上から行えるようにする。

▽マイナンバーカードと署名用電子証明書を活用した公的個人認証により、役所に来庁せずに住民異動届をスマートフォンから行えるようにする。

▽個人が特定できない行政ビッグデータを様々な主体に提供できるようにし、データ分析や可視化を住民や企業等が自ら行うことが可能になるようにし、活用できるようにする。

▽AI配車システムを活用し、学園東大通りの一部とスマートキャンパス化する筑波大学構内で自動運転循環バスを導入する。

▽自宅からバス停まで、介助者も同乗できるシェアモビリティの自動運転車椅子が時速10キロで走行し、高齢者や障害者の移動を支援できるようにする。

▽つくば駅周辺の吾妻70街区で、歩行者と自動運転車椅子と自動運転の荷物搬送ロボット、追従型荷物搬送ロボットなどが歩道を自由に通行できるようにする。

▽スーパーが近くにない郊外部で、自動運転車椅子が自宅から移動スーパーに移動し買い物できるようにする。

▽薬局の検体測定室で得られた検査結果を健康アドバイスや保健指導、遠隔診療等で活用できるようにし、生活習慣病の予防・早期発見・重症化予防につなげる。

▽自治体や国立大学法人、国立研究開発法人、医療機関、薬局等の各機関に分散する健康関連データ(生活ログ、食料品の購入履歴、診療履歴等)をマイナンバーにより紐づけし、本人及び本人が同意した事業者が一元的に参照することを可能とする。

▽回復期における高次医療機関から他の医療機関への転院搬送で、搬送車内の患者状態を医師が遠隔で常時観察して搬送できるようにする。また医師または看護師が遠隔で観察する場合には、救急車で搬送する救急隊員を2人編成とする。

▽医療・介護情報等、利用者に関する外部情報と、センシングした利用者の身体情報に基づき、専門スタッフが身体機能向上のプログラム実施を遠隔でサポートする。

▽自宅で遠隔医療を受診し、処方された薬を移動スーパーで運搬する。

▽再開発、地域開発に水素利用分散型エネルギーシステムを設置し、エリア内に電力、熱エネルギー供給事業を行う。 住民の利用ニーズに応じたスポーツ施設や温浴施設等の健康増進施設に関わる温水プール、温浴施設への電力、熱エネルギー供給事業を行う。

▽市内発スタートアップやつくばSocierty5.0トライアル支援事業採択者の商品または役務である先端的サービスの調達を随意契約で行えるようにする。

▽国立大学法人が所有する土地や大学宿舎の跡地等を、地域イノベーション拠点として、スタートアップが入居する施設や、エネルギー供給設備等の整備を行う。

▽市内でスタートアップを創業しようとする外国人が「経営・管理」の在留資格を取得するための創業活動期間を延長する。また、市内の大学・研究機関に所属する外国人研究者が、研究活動に従事しつつ創業や企業経営できるようにする、など。

第1部 終わり

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

9 コメント

9 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

児童扶養手当を過少に支給 つくば市 1165人に計153万円

ひとり親家庭などに支給される児童扶養手当について、つくば市は13日、4月分から全国消費者物価指数の上昇に応じて手当額が3.2%引き上げとなったにもかかわらず、引き上げ分を加算せず、本来の金額よりも過少に支給してしまったと発表した。 市こども政策課によると、支給対象保護者約1200人のうち1165人に対し、4月引き上げ分の合計153万8650円を加算せず過少に支給した。過少だった分は保護者1人当たり330円~2640円になるという。 3月と4月の2カ月分を5月11日に対象者に振り込んだところ、複数から市に問い合わせがあり分かった。市は4月分から支給額が変更になることについて4月下旬にあらかじめ対象者に通知を出していた、 同課によると、支給額を変更した上で対象者の口座に振り込む手続きをシステム上で行う際、担当者がシステム処理の手順を誤ったのが原因という。一方、新たに支給対象となった36人については、支給額を変更する操作を実施した後に振り込み手続きをしたため、誤りはなかった。 不足額について同課は、対象者1165人に謝罪の通知を出した上で、5月末までに不足額を振り込むとしている。 再発防止策として、制度の変更については部署内で細心の注意を払うと共に、管理職が必ず確認を行うことを徹底するとしている。

がんに対する構え、対処・治療方法《ハチドリ暮らし》61

【コラム・山口京子】がん関連の本をあれこれ読みつつ、書き手によって、がんに対するまなざしが随分違うと感じます。それによって、がんに対する構え、対処方法、治療方法などが変わってきます。どれが正解かはわかりません。参考にしつつ、そこから自分はどういう教訓を得ればいいのか考えます。 1人1人身体の状況も、がんの種類も進行度も異なります。それを無視して、一つの言説を信じ込んでしまったら、後で後悔することになるでしょう。がんと診断されて、治療するのか、しないのか。治療も標準治療なのか、それ以外の治療なのか。調べるほど選択肢が広がり、迷うことが多くなります。 がん治療には、3つの目的があると言われています。根治、延命、緩和です。標準治療(手術・放射線・抗がん剤)がスタンダードですが、それらは対処療法だという指摘があります。標準治療で時間稼ぎをしながら、自助努力し、自己免疫力を高め、体力・体重の維持を意識することが大事だという医師の言葉に出会いました。 どのみち、人生は有限です。自分のできることをして、あとは運にまかせる、開き直りもありだ、とも思います。 がんによる死亡というとき、がん自体で死亡するより、栄養失調、臓器機能不全、免疫機能不全による感染症などで死亡することが多いようです。進行の早い末期がんと診断された私の場合、治療をしないという選択をしたら、臓器の機能不全による腸閉塞や腹水などに苦しめられたでしょう。 生き抜くぞ! いつでも死ねるぞ! 対処療法と言われても、抗がん剤治療をしてよかった、と思います。それによって、がんの進行が抑制され、臓器の機能不全も抑えられ、体力が維持でき、日常生活ができ、延命にもつながっている、と。 ただ、抗がん剤もいずれ効かなくなる時期がきます。そのときにどうするのか。二番手、三番手の薬があるそうですが、効果はだんだん小さくなるようです。体力や副作用の程度を踏まえながら、治療の止め時を決めることになるでしょう。 がん患者本人がすることとして、心を定めること、食事を改めること、睡眠確保や運動習慣など、多くの本は生活全体の見直しを勧めていました。治療と並行して、生活全体の改善も行うことが、延命や緩和のヒントになるような…。ある本は「生き抜くぞ、いつでも死ねるぞ」という気持ちを持つことが大事と言っていました。そうかもしれませんが、どうなることやら…。(消費生活アドバイザー)

過去最高益に 筑波銀行26年3月期決算

筑波銀行(本店・土浦市、生田雅彦頭取)は12日、2026年3月期(25年4月-26年3月)決算を発表した。金利の上昇や貸し倒れに備える与信関係費用の減少などから、当期純利益は単体で過去最高の65億円(前期比25億円、62.4%増)となった。 売上高に当たる経常収益は単体で前期比91億円(22.2%)増の500億円と、こちらも過去最高の増収となった。経常利益は同比29億円(66.6%)増の73億円。 銀行の本業によって得られる業務粗利益は、国内債券の損切り実施に伴い国債などの債権売却損が増加した一方、金利の上昇や与信関係費用の減少などにより単体で前期比2億円減の278億円となり、本業で稼いだ利益のコア業務純利益は前期比30億円増と過去最高の99億円となった。 貸出金の状況は、前年度末比911億円増の2兆2071億円で、住宅ローンなど個人ローンや中小企業への貸出が増加したことが主な要因となった。生田頭取は住宅ローンの増加について「TX沿線を中心に、東京に比べ、地価が安く購入しやすい価格帯にあり、比較的伸びている」とし、中小企業については「県南を中心に資金需要があり、『とことん支援』をうたい、ひざ詰めできめ細かく対応している」成果だと強調した。 預金・預かり資産の状況については、投資信託や生命保険などの預かり資産が増加したのに対し、預金は、茨城県が最も高い金利を提示した金融機関に定期預金などを預け入れる入札制を導入したなどから、公金預金が減少し、預金・預かり資産の合計は2兆9803億円になった。 一方、地域経済については、ホルムズ海峡封鎖など中東情勢の地域経済への影響について生田頭取は「足元では影響はほぼ出てないに等しいが、今後影響が出るであろうと思っている経営者の方たち結構な比率でいる。不安を抱えているお客様はいらっしゃるので、これについてはさまざまな支援を用意している」と話し、「心配ごとは中東情勢だけではない。そもそもモノが高くなり、人繰りで人がいなくて仕事が行きつかないなどがある。我々もいろいろな情報をキャッチしながら、ひざ詰めでやりたい」と話した。(鈴木宏子)

イチジクなんちゅうのは…《続・平熱日記》192

【コラム・斉藤裕之】毎年のように描いているもの。ナツツバキ、ドクダミ、クズの花、お茶の花…、そしてイチジク。「イチジクなんちゅうのは、家の周りのどこにでもあって、買ってまで食べるもんじゃない…」というのが私の正直なイチジク観。ところがカミさんはイチジクが好物で季節になると買ってくる。好きなものに文句も言えず、私はイチジクを描くことはあっても一度も口にすることがなかった。 夏のある日、近所の方から大変立派なイチジクをもらった。半分に割ったら鮮やかな赤い色が見えて、まずは絵を描いた。そしてガブリといってみた。とてもおいしかった。なぜ今までこれを食べなかったのか。 そんなことを知ってか知らずか、次女がイチジクの苗を買ってきた。イチジクが果物の中で一番好きだと言う。へー、初耳。しかし困った。次女は想像だにしていないだろう。イチジクがどれだけ奔放に枝葉を延ばすことかを。我が家のような住宅地では地植えは諦めるしかない。 とりあえず、大きめの鉢に植えて様子を見ることにしたが、春が近づくとイチジクにきれいな緑の葉が生え始めた。結局、山口の弟の家の敷地に植えることにした。 ロンドンの美術館は無料 春、山口滞在中に、ロンドンに赴任している姪(めい)夫婦が一時帰国した。母親はおいしい料理を作り、父親は異国の土産話を肴(さかな)に酒を飲む。「最近、絵を習い始めたんです…」と話すのは、休職して姪に帯同している義理の甥(おい)。美術とは全く無縁だった彼が最近絵を描き始めたと言う。きっかけは美術館なんだと。 なんと、ロンドンの美術館は誰でも無料で入れると言う。今や日本の美術館博物館には稼ぐノルマが課せられている。なんでもコスパ? そもそも芸術はその対極にあるものなのに…。文化の裾野を広げるには北風と太陽どっちが良策? 散歩がてら幾度も美術館に赴くうちに絵に興味が湧いてきて、とうとうデッサンの講座に通い始めたとのこと。描き始めたデッサンの画像を見せてくれたが、悪くない。その夜は彼とデッサンのことや好きな画家、ヨーロッパの美術館などについて楽しく語らった。 大きな実をつけますように さて、イチジクは漢字で無花果と書くが、花は実の中にあるらしい。つまり私が描いたり食べたりしているあの赤いツブツブの正体は花。自らの内に花を咲かせるなんて、ちょっと粋なイチジクだが、アダムとイブが最初に身に着けたのがイチジクの葉だったり、西洋ではさまざまな逸話に登場する象徴的な果実で、豊かさや知識の象徴とされることもある。 そういえば、南仏の山間で道端に生えているイチジクをもいで食べさせられたな。日本のものより青く小さかったが、見た目と違って甘く柔らかだったのを思い出した。 桜の咲くころ「大きな実をつけますように」と、いい場所を選んでイチジクの苗を地植えにした。何年かたって次女が忘れたころに、このイチジクの実を食べさせてやろう。あとは「弟が草刈り機で雑草と一緒に刈り取ってしまいませんように…」(画家)