土曜日, 7月 11, 2026
ホームコラム原発は再開すべきか、脱・廃を目指すべきか 《文京町便り》6

原発は再開すべきか、脱・廃を目指すべきか 《文京町便り》6

【コラム・原田博夫】ここ数カ月で、原発に関して、方向性の異なる判断(いまだ決定には至っていない)が、国内外で続いている。ここでは、「原発再開」と「脱原発」と区分けしておこう。

日本国内における原発に関する裁判も、方向性は異なっている。まずは、最高裁で6月17日に、東日本大震災による福島第1原発事故の避難者の集団訴訟で、国に責任なしとの判決が出た。そもそも東京電力の賠償責任は確定しているが、2審で判断が分かれた国の責任についての審理である。これは、政府の地震調査研究推進本部が2002年7月に示した「長期評価」だけでは国の法的責任は問えない、という判断である。

しかし、この判決には3対1の少数(反対)意見があり、国の社会的・政治的責任にも言及されている。ともあれこれは、条件付きながらも「原発再開」である。

他方「脱原発」は、東電株主代表訴訟で、東電の当時の経営陣5名に対する22兆円の損害賠償責任を問う裁判(東京地裁)では、4名に対して総額13兆円超の損害賠償額を認めた。判決文では、特に「水密化」(電源設備のある敷地・建物・部屋への段階的な防水・浸水対策)が、造船・潜水技術で古くから確立されていたにもかかわらず、かつ、「長期評価」(2002年7月)と、貞観地震(869年)の津波モデルの知見および予見可能性を無視したことなどに瑕疵(かし)を認めている。

EUタクソノミー、気候変動対応オペ

ところで、2022年2月下旬のロシアのウクライナへの軍事侵攻以来、資源エネルギー価格が世界的に上昇している。ロシアは、国際的な経済制裁に対抗すべく、ガスの供給・輸出の締め上げを実際に始めている。それに対抗するにはこの際、原子力の利活用が必要ではないか、という議論が浮上している。「原発再開」の復活である。

そもそも欧州議会では2021年春以降、EUタクソノミー(持続可能なグリーンエネルギーに原発とガスを含める)の事務局原案が公表・議論されてきた。

賛否両論が交錯する中、6月14日の合同委員会(環境委員会と経済金融委員会)では賛成62、反対76だったが、7月6日の本会議では賛成328、反対278、棄権33と逆転し、原発とガスをEUタクソノミーに含めることが決まった。ただし、オーストリアやルクセンブルグは提訴を表明している。ともかく、欧州議会の方針は「原発再開」である。

他方、日銀は、「気候変動対応オペ」を2021年6月以降検討していたが、同年12月、金融機関からの応募を受け付け、24日、資金供給を実施した(複数の地銀への2兆円超)。この制度の期限は2030年度末で、金融機関がこの制度を利用するには、情報開示が条件づけられている。

日銀は、躊躇(ちゅうちょ)しながらも踏み切ったこの政策の狙いを「脱炭素に向けた呼び水」効果だとしている。次回オペのオファーは7月20日である。この政策は、EUタクソノミーに原発、ガスが含まれる以上、結果的には、「原発再開」を推進するだろう。

というわけで、脱炭素と脱原発に向けての政策は、両輪・両立か二律背反かのダッチロール気味である。(専修大学名誉教授)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

土浦三、シード校相手に先制も3回戦進出ならず【高校野球茨城’26】

第108回全国高校野球選手権茨城大会は6日目の11日、2回戦が行われた。ひたちなか市民球場では、土浦三がシード校の鹿島学園と対戦。先制したが逆転され、1-4で敗れた。土浦三は1回戦で牛久栄進に8回コールド8ー0で勝ち、勢いに乗っていたが、3回戦進出はならなかった。 11日2回戦 ひたちなか市民球場 第1試合土 浦 三 000100000 1鹿島学園 00004000× 4 土浦三の竹内達郎監督は試合前、選手に「強気で集中して最後まで力を出し切ろう」と選手を鼓舞して送り出した。 土浦三は4回1死後、増田誉が、鹿島学園先発のエース前田渓斗からライト前ヒット放ち出塁。次の村塚陽斗は四球を選び、1、2塁のチャンスをつくる。続く高野真啓は狙っていたスライダーを振り抜き、打球はレフトオーバーのタイムリー2塁打となり先制した。高野は「(先発の)星加が、苦しい中でも鹿島学園打線を0に抑えていたので、しっかりシャープなバッティングを心掛けてスイングした。感触は良かった」と振り返る。さらに2塁、3塁とするが続く田中凛太郎、坂本純希が凡退し追加点を奪うことが出来なかった。 土浦三先発のエース星加塁は、初回から制球が定まらない中、ヒット、四死球で4回まで毎回ランナーを背負うが、粘り強い投球を続け、真っすぐ、スライダー、フォークで要所を抑え、無失点で切り抜ける。 一方の鹿島学園は、5回に5安打と、土浦三の守備の乱れから4点を入れ逆転した。土浦三の打線は、8回2死、浅倉陽向がセンター前ヒットで出塁するが、1塁けん制でアウトとなる。その裏、鹿島学園はヒットとエラーで無死2塁、3塁とするが、星加が後続を抑えた。 星加は8回を投げ切り「良くも悪くも自分のピッチング、自分らしい投球が出来た。自分のベストの状態で、自分の実力を出し切ることが出来た。4失点したのは自分の実力」と振り返った。 9回土浦三は、この回から登板した鹿島学園2番手、文元響太から、先頭の増田誉が四球で出塁するも、村塚陽斗の代打飯田陽斗がショート併殺打。続く高野真啓がサードゴロに倒れ、Bシード鹿島学園の前に姿を消した。 土浦三の竹内達郎監督は「守備のチームなので、5回の守備の乱れがもったいなかった。それでもシード校鹿島学園相手に前半我慢して先制点を取り、相手を焦らせるゲームの入りは出来た。5回の4失点を除けば終始三高らしい野球が出来た」と述べ「シード校に相手に立派に戦った。選手の成長は目を見張るものがあった。一人一人よく成長してくれた。星加は打者にひるまず投げ込んでいき、コーナーを大胆につき、腕を振るい、あっぱれの投球だった」と評価した。 先制タイムリーを放った高野真啓は「星加が素晴らしい投球をしていた。自分たち打線が応えられなくて悔しい」と話す一方、「3年生が(マネージャーを含め)20人いて、誰1人最後まで欠けることなく今までやってきて、最後まで走り切ることが出来た」と3年間を振り返った。(高橋浩一)

霞ケ浦、注目の四谷学院をコールド【高校野球茨城’26】

第108回全国高校野球選手権茨城大会5日目の10日、2回戦が行われ、J:COMスタジアム土浦の第2試合で霞ケ浦が初戦を迎えた。1回戦でつくば秀英を破った四谷学院の挑戦を受け、9-1の7回コールドで退けた。 10日第2試合、J:COMスタジアム土浦四谷学院 0001000 1霞 ケ 浦 611100X 9 四谷学院は今大会が初参加。1年生だけの15人のチームながら、1回戦ではつくば秀英を7-0の8回コールドで破り注目を集めた。だが2回戦では、優勝候補の一角を占める霞ケ浦が格の違いを見せつけた。 「四谷学院とは初対戦。1回戦を見たところ、そこそこバットを振れるし良い投手もいるが、3カ月前まで中学生だった子たちに負けるわけにはいかない。ただし1、2年してチームがまとまってきた時は、うちもうかうかしていられない」と霞ケ浦の高橋祐二監督。 1回裏の霞ケ浦の攻撃、四谷学院の先発投手はエースナンバーの松本颯志だが、体のどこかに痛みを抱えたような投げようで先頭から2四球を出し、3番・秋山桜介の右越え二塁打で早くも1点を先制。ここで四谷学院の投手は2人目の小野朔太郎に替わる。四球と中飛の後、6番・渡邉航太の右犠飛で1点を追加。7番・佐藤大亜は左前への2点適時打を放ち、さらに8番・西野結太の右中間三塁打と9番・相田歩希の右越え三塁打で1点ずつを加え、この回打者一巡で6点を奪った。 ところが2回以降は単発で良い当たりは出るものの、思うように得点を伸ばせない。2~4回は1点ずつで、5回以降は無得点。「前半は自分たちの野球ができたが、3回以降は守備から攻撃へのリズムをつくれなかった。点を取ったことでほっとしてしまい、自分たちから攻撃を仕掛けられなかった」と村上聖主将。また先発投手の小林将大は「自分の投球ができずボール先行になってしまった。最初はストレート中心で押す考えで、2巡目くらいから変化球も使っていったが、相手の中軸打者はしっかりスイングして対応してきた。自分はテンポよく投げることが大事なので、ストライク先行でリズムを出して投げていきたい」と反省する。 一方、収穫と言えるのが下級生の活躍で、その一人が2年生の佐藤大亜。ボールを捉える能力が高く、この日は1回の左前打、3回の内野安打、4回の左翼線三塁打と3安打3打点の活躍だった。また1年生の秋山も、さまざまな球種やコースに対応でき、やはりこの日3安打。第1打席では高めの直球を叩いて右翼フェンスを直撃、第2打席はインコース気味の直球に内からバットを出して左翼線へ運び、第4打席はインコースの甘い球に詰まったが、押し込んで中堅へ持っていった。「1年生だが6月から一桁の背番号をもらい、クリーンナップを打たせてもらっている。プレッシャーはあるが自分の役割を果たし、3年生の役に立てるよう頑張りたい」と秋山は話す。 霞ケ浦の次戦は15日、太田一と対戦する。球場未定。(池田充雄)

ハチに刺され救急搬送 小中高生など15人 つくばの遊歩道

10日午前7時50分ごろ、つくば市千現1丁目の遊歩道(ペデストリアンデッキ)で、通学途中の小中学生や高校生と社会人計15人が、街路樹に営巣していたハチに刺され、救急車で市内の病院に搬送された。15人はいずれも軽症という。 市道路管理課と市消防本部によると、消防に通報があり、救急隊員が救急車6台で市内の病院4カ所に救急搬送した。15人は9歳から53歳で、入院した人はいないという。ハチの巣は消防隊員が駆除した。 ハチはアシナガバチで、街路樹の桜の幹が空洞になった、高さ1.2メートルほどの洞(うろ)に巣をつくっていた。撤去した巣の大きさは直径20センチほどだったという。なぜ襲ってきたかは不明。 現場は、つくば駅から約1.5キロの市道つくば公園通りの遊歩道で、市は周辺の街路樹に「ハチに注意してください」と書かれた張り紙を掲示し、注意を促している。巣があった桜の木には、粘着シートを設置し、巣に戻ってくるハチの駆除を続けている。 今後の対策として、遊歩道を管理する市道路管理課は「ペデストリアンデッキ(遊歩道)を重点的にパトロールし、市民が安心安全に利用できるようにしたい」としている。五十嵐立青市長は「被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げ、多くの方にご心配をお掛けし申し訳なく思います。今回の事案を受け、市民が安心して安全に利用できる環境の維持に努めます」などとするコメントを発表した。

給食に異物混入 つくば市の中学校

つくば市教育局は9日、同日昼、学校給食で出された豚汁に、長さ約10センチの金属のボールチェーンが混入していたと発表した。他に同様の異物混入の報告はなく、健康被害の報告もないという。 市健康教育課によると、同日午後0時45分ごろ、市内の中学校で、豚汁をほぼ食べ終わった生徒が、おわんの底にボールチェーンがあるのを発見した。 豚汁は、つくばほがらか給食センター谷田部が調理し、市内の幼稚園1園、小学校2校、中学校2校、義務教育学校1校に計3809食分が提供された。給食センターからは、円筒形の鍋の丸い食缶で各校に運搬され、異物混入があった中学校では、教室で給食当番の生徒が取り分け、生徒がそれぞれ自分の分をお盆に載せて配膳した。 同課によると、給食センターと中学校でそれぞれ異物が混入した経路を調査したが、9日夕方時点で混入経緯は不明という。市は同日、保護者に対しお詫びの通知文を出した。