【コラム・山口京子】思わぬ出来事がありました。今春、畑に、ジャガイモ、ナス、きゅうり、ピーマン、ネギ、玉ネギ、枝豆、インゲン、トウモロコシ、スイカの苗を植えたところ、なんと、スイカの苗についた実は、ウリというか、冬瓜(とうがん)というか、ひょうたんというか、よくわからないものだったのです。
確か、店で買ったときは、苗ポットにはスイカの写真が付いていました。昨年もこの店でスイカの苗を買い、スイカを食べることができたのに…。今年は、どこでどう間違ったのでしょう。苗がスイカではなかったと考えるしかありません。それとも突然変異なんてことがあるのでしょうか。このわけのわからない実がどこまで大きくなるのか、様子見の状態です。
目的のものと実際のものが違っている場合は、目的のものをくださいと言う権利が消費者にはあります。けれども、お店と交渉するにしても、買ったときのレシートもポットに付いていた写真もありません。すでに数カ月も時間が経過しています。こんなことが起きるなんて思ってもみなかったので、証拠となるものは何も取っておきませんでした。
知らないために不利益を被ったら
今回は小さな出来事でしたが、大きな契約では諦め切れないことも出てくるでしょう。それれで、以前聞いた話を思い出しました。
ある方の家に保険会社の営業員が訪問してきて、「いい保険ができたので、今持っている保険を下取りして、新しい保険に入り直しませんか」と勧めたそうです。新しい保険のいいところの説明がありました。それならと、新しい保険に加入しました。古い保険を新しい保険に移す、転換というやり方です。そのときはなんの疑問も抱かなかったそうです。
数年後、保険について勉強するセミナーに参加し、予定利率の高かった保険を解約し、予定利率の低い保険にされていたことに気づいたそうです。予定利率のことや転換の仕組みを知っていたら、転換はしなかったと言っていました。
知らないために不利益を被ってしまうことがあります。保険会社と個人では、情報の質や量に大きな差があります。民法は対等な個人(私人間)を想定していますが、保険会社と個人の関係では、個人が弱い立場に置かれることが少なくありません。
その格差を是正し、個人(消費者)の権利を守るための法律があります。消費者法といわれるものです。消費者トラブルで困った場合は、行政の消費生活センターに相談することをお勧めします。(消費生活アドバイザー)