つくば市が出資するまちづくり会社「つくばまちなかデザイン」(同市吾妻、内山博文社長)が18日から工事を実施すると告知しているつくばセンタービル1階アイアイモールの解体と改修工事のうち、貸しオフィスなどにするための改修工事資金について、同社が現在も、資金調達を進めている最中であることが15日分かった。
同日開催された市議会全員協議会で、まちなかデザインの小林遼平専務が「資金調達を現在進めている」と答弁した。改修工事費がいくらになるかや資金調達の見通しなどについて複数の議員から質問が出たが、小林専務は「この場ではお答えを控えさせていただきたい。細かいデータがないのでお答えできない」「金融機関と守秘義務契約を結んでいる」などと繰り返した。
同社の工事スケジュールによると、アイアイモールの解体工事を18日から12月半ばまで実施し、貸しオフィスなどに改修する工事を12月初めから来年3月末まで続けて実施するとしている。解体工事の費用については「(元の借り主の)筑波都市整備からいただく」という。
小林専務は「(18日から)解体工事に着手する。新設(改修)工事は着手してない」とし、改修工事は「資金調達ができない限り着手しない」「資金調達が決定したらつくば市と協議しながら報告したい」などと答弁した。
同社の現在の資本金は当初の想定より2900万円少ない1億2100円。一方、市は昨年12月と今年3月に市議会に示した資料で、初期投資として改修費などに約2億7300円かかるとする見通しを示している。同じ資料の事業収支見通しでは、資本金を2億万円とし7000万円を借り入れる収支計画を示している。新たな収支見通しに対する質問も出たが、小林専務の答弁はなかった。
「資金工面の見通し説明ない」 工事を拙速に進めない決議否決
18日から始まるつくばセンタービル1階アイアイモールの解体・改修工事に対し、設計の中身や工事資金が工面できる見通しがついているのかなどについて十分な説明がないまま進められようとしているとして、全員協議会に先立って15日開かれた市議会臨時議会で、山中真弓市議(共産)ら4人から、1階の工事を議会や市民に説明なしに拙速に進めないことなどを求める決議が議員提案されたが、賛成少数で否決された。
提案された決議への賛成意見として橋本佳子市議(共産)から「(8月26日の)委員会で出てきた疑問に対する説明がない。議会がどうチェック機能を果たすかが問われている」とする意見が出た。
一方反対意見として、黒田健祐市議(自民・新しい風)から「(決議が可決されると)事業進ちょくの大きなブレーキになる。説明を求める仕組みは特別委員会で整えられている。執行部を委縮させる決議は反対」、皆川幸枝市議(市民ネット)から「(臨時議会後の)全協で説明があるということ。(決議に)賛成することで工事が遅れてしまう可能性がある。まちなかデザインの運営にも大きく影響する可能性がある」とする反対意見が出された。
工事着工に対する説明不足の意見は全員協議会でも出され「特別委員会は何をやっていたのかという叱責を市民から受けかねない。議会に情報共有の配慮があってもよかった」などの意見が出された。(鈴木宏子)