月曜日, 2月 2, 2026
ホームコラムコロナ医療崩壊 つくば市の誤判断 《吾妻カガミ》114

コロナ医療崩壊 つくば市の誤判断 《吾妻カガミ》114

【コラム・坂本栄】コロナ感染者が急激に増え、首都圏で医療崩壊が起きています。陽性者を含む医療が必要な人の数と、これらの人を受け入れる病床数の需給が崩れ、コロナ患者が医療システムの外に置かれるという非常事態です。昨春、日本財団が打診してきた軽症者収容施設をつくば市が受け入れていたら、こういった惨状はかなり緩和されたのではないかと、残念でなりません。

「戦争ができない国」になった日本

本欄ではコロナ禍を有事と捉え、何回か、国や自治体が実施すべき(あるいはやってはいけない)対コロナ策(作戦)を取り上げました。初回「…つくば市のコロナ対応」(昨年4月6日掲載)では、ワクチン(武器)入手や接種所(前線)への配送(後方支援)はもちろん、対コロナ(敵)の基本は国境・県境で阻止する、それに失敗したら密空間(戦域)での拡散(戦闘行動)を抑える―ことが大事と指摘しました。

こういった枠組みで考えると、県境を越えるGO・TOトラベル、国境を越える東京五輪は間違った対応でした。ワクチンの自国開発不調は後日検証するとしても、河野太郎氏をワクチン担当相(兵站司令官)に就けたのは人事ミスでした。目立ちたがりの彼は、次々と場当たり策を打ち出し、ワクチン配送と接種所を混乱させたからです。米国では軍の兵站(へいたん)部門が配送を担当したと聞きます。

また、政府が私権制限を可能にする法整備を怠ったのは失態でした。これでは、国民が密になる場所に集まることを放置、コロナの犠牲になる(効果的な機銃掃射の標的になる)のを許すようなものです。菅首相は有事と平時の違いを理解できないのでしょうか。誤解を恐れずに言えば、日本は「戦争ができない国」になってしまいました。

残念だった「コロナ野戦病院」拒否

小粒ですが、つくば市にも似たような対応がありました。コラム「…コロナ対応を点検」(昨年5月4日掲載)で、2つの事例(小中学校の密状態容認、人の市境越え誘導)を挙げておきましたので、詳しくはリンク先をご覧ください。それよりも、9000もの病床を備える軽症者施設の市内設置を断ったことは、大局観に欠ける失態でした。

競艇の収益で公益活動をしている日本財団が、つくば市にある1万7300坪の同財団研究所跡に、軽症コロナ患者(戦傷者)を収容する大テント病棟群を設置したいと、市に同意を求めてきたところ、五十嵐市長は市民の同意を得るのが難しいとの理由で拒否した、というのがその経緯です。秋の市長選を前にして、「迷惑施設」は政治的にマズイと判断したようです。詳しくはコラム「『大型コロナ病床の是非』の是非」(昨年4月20日掲載)に出ています。

このテント病棟(野戦病院)が実現していれば、首都圏の重症者(治療は集中治療室)、中症者(同病院か在宅)、軽症者(同原則在宅)のうち、軽症者と中症者の相当数を収容でき、首都圏の病床需給は劇的に改善されたでしょう。コロナ禍を有事と考え、施設を受け入れていれば、五十嵐さんはその見識が評価され、将来の首相候補になっていたしょう。残念。 (経済ジャーナリスト)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

73 コメント

73 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

大岩剛監督が帰国報告 U23アジアカップで2連覇 サッカー男子

関彰商事つくば サウジアラビアで開かれたサッカー男子U23アジアカップで優勝し、2連覇を達成したU21日本代表の大岩剛監督(53)が帰国し、2日、スポーツアドバイザーを務める関彰商事つくばオフィス(つくば市二の宮)で開かれた帰国報告会で大会を振り返った。関太士副社長のほか社員約100人が集まった。 大岩監督率いる日本代表は、他国の出場チームが23歳以下で戦う中、21歳以下のチーム編成で臨み、高い完成度と組織力を発揮し、全試合失点0で大会を制した。 日本時間1月25日に行われた決勝戦では中国代表と対戦。中国は今大会、堅い守備を武器に無失点のまま決勝まで勝ち上がった強豪だが、日本代表は試合を通して主導権を握り、4-0で快勝しアジア王者に輝いた。 帰国報告会で大岩監督は「若いチームを率いたので、選手を鼓舞しながら戦っていくのは大変だった。その中で選手たちはどんどん成長していった。アジアのサッカーは強くなっている。今回日本は21歳以下で戦った。みんな格上のチームと考えていい中で勝ち抜き、2連覇を達成したことは素晴らしいこと」だと話した。 昨年、鹿島アントラーズがJ1で優勝、水戸ホーリーホックがJ2で優勝し、筑波大学も全日本大学サッカーで優勝したなど茨城旋風が吹いたことについては「期待されると選手ががんばるというのは事実。今年も鹿島は優勝候補だし、水戸もがんばれるのではないか」と話した。 社員から「短い間で組織を作り上げる方法」について質問が出て、「スタッフを信じ、ミーティングを効果的に短くすることが大事」とアドバイスした。 関副社長はあいさつの中で「大岩監督は時間があれば会社に出勤してくれる真面目な方。今回は優勝とともに、失点0に監督やチームの強い意思を感じることが出来た」と述べた。 大岩氏は静岡県出身、静岡市立清水商業高等学校、筑波大学を経て、名古屋グランパスエイト、ジュビロ磐田、鹿島アントラーズと選手時代を過ごしたあと、鹿島のコーチを務め、2021年にはU-21の代表監督に就任した。2024年のパリ五輪でもチームを率いた。(榎田智司)

掛け声は「福は外」 土浦 瀧泉寺で七福神らが豆まき

開山620年 本堂に場所移し 節分を前に、土浦市中心市街地にある瀧泉寺(りゅうせんじ、中央2丁目)で1日、節分会追儺式七福神豆まきが行われた。毎年2月3日に近くの中城不動院(中央1丁目)を会場に豆まきを行っているが、今年は開山620年祭として本堂境内へ場所を移した。掛け声は「福は外」で、これは「お寺には鬼はおらず、お寺の福を皆さんにお分けする」という意味だそうだ。 「当寺が620年間も時代を乗り越えて続いてこられたのは、支えてくださった檀家さんらいろんな方々のおかげ。お礼の意味で皆さんに福をお授けしようと、例年より内容もさらに盛大に開催した」と住職の齊藤純英さん。 午後3時から節分会追儺式の法要が行われた後、いよいよ年男らが本堂前の特設舞台に登場。安藤真理子市長や下村壽郎市議らによる七福神のほか、乙姫に扮した高橋直子県議と、市非公認キャラクターのキララちゃんも加えた九福神が、集まった善男善女に向けて福豆や紅白のもち、菓子、おひねりなどを投じた。 参加者の一人、阿見町から来た佐藤しをりさん(45)は「例年の不動院の豆まきもこじんまりとして楽しいが、ここでは広々とできてよかった」と感想。授かった福餅は来年受験を控える娘のために持ち帰り、家できなこ餅にして食べるそうだ。ほかにも伊東大翔ちゃん(5)は「いっぱい拾えて楽しかった」、梶原杏那さん(7)は「ちょっと怖かったけど楽しかった」などと話していた。 かつて土浦城の祈願寺 瀧泉寺は同寺は土浦市街部の中では最古級の寺の一つ。1406(応永13)年の開山で、大岩田法泉寺の興誉上人が開いた。法泉寺は当時、小田領4カ寺の一つとして隆盛を誇った。 最初に瀧泉寺があった場所は勝軍木(ぬるで)郭(旧鷹匠町、現中央2丁目)といい、亀城タクシーの裏手のあたりだったらしい。1605(慶長10)年あるいは1619(元和5)年に、土浦藩主により現在地(筑波銀行本店裏)へ移された。寺嶋誠斎「土浦史備考」は元和5年説で罹災が原因という。 1691(元禄4)年に時の藩主・土屋政直が同寺を土浦城の祈願寺と定め、以降は年2回、城内の守護繁栄と歴代城主の供養のため、住職が登城して護摩祈祷をするなど深く関わった。本尊は十一面観音菩薩坐像で市指定文化財、頭部は南北朝~室町初期の作とされる。本堂前にある樹高9メートルのクロガネモチも市指定名木に指定されている。(池田充雄)

孤独は病か?それとも恋の予兆か?《看取り医者は見た!》49

【コラム・平野国美】今回は前回コラム(48 定年後の「孤独」は病気ですか?)の続きです。さて、さまよえる孤独な訪問医師、私の居場所はどこかにあるのでしょうか? 私が見つけた「令和の楽園」 そこで思い出したのが、昔、一度だけ訪れたことがある入浴施設付きのアスレチックジムでした。バブル期のころ、雨後のタケノコのように出現した「アスレチックジム」。かつては、若者が汗を流し、肉体を誇示する場所でした。しかし、久しぶりに足を踏み入れたそこは、「定年後の楽園」と化し、70代以上の高齢者の「たまり場」となっていました。 面白いのは、スポーツジムというだけでなく、世代による「すみ分け」です。24時間使える最新施設では、若い人たちが耳にイヤホンをつけ、黙々とトレーニングに励んでいます。そこには、他者との関わりを遮断した「個」の空間があります。格安の女性専用ジムでは、隣の人との会話を楽しみながらマシンを動かしています。 一方、この老舗ジムはどうでしょう。トレーニング後に井戸端会議を楽しみ、お風呂場からはにぎやかな笑い声が聞こえてきます。みなさん「家の風呂はほとんど使っていない」と言います。彼らにとって、ここはスポーツをするだけの場所ではありません。自分たちの大切な居場所「大事なコミュニティ」なのです。 こうした「すみ分け」は、利用者の思いが反映したものなのか、施設側の経営戦略なのか―私は両方だと思います。人は、本能的に居心地のよい場所を探しているのです。 薬ではなく「つながり」を処方 この「楽園」には驚くべき生命力があふれています。 私の住む地域の老舗ジムでは、なんと! 80代カップルが誕生するまでに至ったというのです。これこそ、私が提言したい「社会的処方」の究極の姿ではないでしょうか。人が社会と他者とつながること。これが高度な医療よりも、強く、長く、人の命を輝かせるのです。最新の認知症薬を試すよりも、よほど魂が動き出すかもしれません。 「いい年をして」と、顔をしかめられる方もいるでしょう。しかし、人の価値観はそれぞれです。日本人の寿命が延びたのは事実ですが、患者さんと対話していて感じるのは、誰もが生活に満足しているわけではないという現実です。寿命だけではなく、生活の質(QOL)を上げなくてはなりません。 「孤独」は、確かに恐ろしい病の入り口かもしれません。しかし、一歩外へ踏み出し、自分たちの手で作り上げた「楽園」に身を投じる勇気さえあれば、人生の第2幕は80代からでも最高潮を迎えられるでしょう。かつてテニスクラブを失い、心細さに震えた61歳の医師は今、ジムの喧騒(けんそう)の中に、新しい希望の形を見ています。 さて、私もそろそろ、お風呂上がりの談笑の輪に加わってみようかと思います。(訪問診療医師)

大幅薄型化、装着時間10秒 新型の作業用アシストスーツ発売 サイバーダイン

身体機能をサポートする装着型サイボーグHAL(ハル)を世界で初めて開発し、販売する筑波大発ベンチャー「サイバーダイン」(つくば市学園南、社長・山海嘉之筑波大教授)は、労働作業などの負担を軽減する腰部装着タイプ新型モデル「LB06」の販売を2日から開始する。 従来モデルから大幅に薄型化し、10秒で装着できるように改良した。救急救命活動をはじめ、空港、工場、物流倉庫、建設、農業の現場など、重量物の持ち上げや運搬など身体に大きな負担がかかる現場での利用を想定している。 背面をスリム化 HALは、人間の皮膚につけたセンサーによって動きたいという意思の電気信号を読み取り、内蔵コンピューターが解析し補助モーターを作動させることで、人の動きを助ける。新型モデルは、これまで同社が展開してきたHALの腰部装着タイプ「LB03」の後継にあたる。 最大の特徴は本体背面のスリム化で、従来比約65%の薄型化を実現した。これにより、装着したままでフォークリフトや作業車両の乗り降り、運転時の後方確認、狭い場所での作業などが格段に行いやすくなった。従来モデルでも車両操作は可能だったが、利用者から寄せられた「背中の出っ張りが気になる」といった現場の声を反映し改良につなげたという。 装着性も向上している。腹部と脚部のベルトを固定するだけのシンプルな構造で、装着時間は約10秒。救急救命の現場でも必要時に即座に使用できる。重さは約2.7キロと、従来モデルより約400グラム軽量化された。実際の数値以上に「軽く感じる」という。バッテリー性能も強化された。連続稼働時間は従来の約4.5時間から約10時間へと倍以上に延びた。1日の作業を十分にカバーできることから、現場での使い勝手が向上している。 機能面では、持ち上げ動作や中腰姿勢の保持に加え、脚を大きく開いた開脚姿勢やガニ股での持ち上げ作業にも対応できるようになり、アシストできる作業の幅が広がった。また同社のバイタルセンサーとの連携も可能で、心活動、体表面温度、被服内湿度、加速度などのデータを取得し、作業者の体調変化や転倒などの異常を検知できる。救急救命分野では、救急救命士自身の体調管理とともに、患者の健康状態を数値化し、データを搬送前から医療機関と共有することも想定する。 製品は、販売またはレンタルを行う。価格は非公開で、導入企業ごとに見積もり、対応する。レンタルを主体とする背景には、平和利用を前提とした同社の企業方針や、独自技術の管理を重視する目的がある。 パワーとスムーズな動きの両立に注力 サイバーダイン新規事業開発部の中澤泰士さんは「今回のモデルチェンジでは、パワーとスムーズな動きを両立させることに力を注いだ。スリムになったからいろいろできることが増えたという声が届いている」とし「人とAIロボットや情報などを融合する『サイバニクス技術』によって、深刻化する人手不足や超高齢化社会といった社会課題の解決を目指し、単なる作業負担軽減にとどまらず、働く人が健康で、安心して働き続けられる環境を実現したい」と話す。(柴田大輔)