日曜日, 12月 21, 2025
ホームスポーツ「欲を出さないで頑張るしかない」 霞ケ浦 高橋監督【高校野球’21】

「欲を出さないで頑張るしかない」 霞ケ浦 高橋監督【高校野球’21】

一昨年の夏に優勝し、昨年の独自大会でも優勝(4校優勝)と、この夏は3連覇をかけて戦う霞ケ浦。昨秋は準決勝で鹿島学園に敗れ関東大会出場を逃した。春は好投手・樫村佳歩擁する水城に県大会初戦で逆転負けを喫している。高橋祐二監督(61)にチームの現状を余すことなく語ってもらった。

勝てる力あるが、もろさある

ー常総学院や土浦日大が入るゾーンです。組み合わせについて所感を伺いたいと思います。

高橋 特にありません。よそのチームを考える余裕がない。今年のチームは勝てる力はあるとは思うけど、簡単に負けるもろさもあり、霞ケ浦の本来の計算した、理詰めの野球が成立していません。監督を始めて12年目で初めて、決勝に行ってある程度こういうチームをつくればなんとか戦えると手応えをつかんで準決勝、決勝までは勝ち進んでいましたが、今年は21年目にして初めてその力がないかもしれません。強いチームを倒す力はもちろん秘めていますが、簡単に負ける可能性もある。そんなチームです。今年はピッチャーが計算できない。野手陣も戦力的には大して毎年変わらないと思うのですが、ものを考える力が不足しているとか、勝ち方を知らないとか、こちらにあまりついてきてくれていない部分が大きいのかもしれないですね。厳しいゾーンではありますが、同一ブロックでシードの土浦日大にしても常総学院にしても戦えないとは思っていませんが、目の前の相手、一戦一戦を戦っていくしかないのかなと。大それたことは言えない状況ですね。

ー現有戦力の分析をお願いします。歴代チームと比べてどうでしょうか。

高橋 1年生の夏に甲子園に行った飯塚恒介(3年)と宮崎莉汰(3年)がチームの完全な柱になり引っ張っていくような形が理想なのですが、そうなっておりません。飯塚についてはそれに近い存在にはなってきていますが、宮崎は全くですね。本来甲子園に行けなくても1年生から起用してきた選手は例年3年生になると完全な柱になってきました。ピッチャーでも野手でもそうですが今年はそうなっていません。戦力的には例年と変わりませんが、内面的な部分が相当弱いです。

1年夏からチームを支える飯塚選手。通算本塁打は30本を超える

ー技術的な部分ではなく、あくまで内面的な部分ですか。

高橋 内容的な部分がダメだから技術的な部分に影響を及ぼすのだと思います。チームの中心にならないといけない存在なのになっていない。3年生と2年生は持っている技量を引き出すだけの頭がないのか心がないのか、非常に残念ですね。僕自身は毎年チームづくりの仕方は変えていません。僕としてはある程度ここまでできたらなという指標のようなものがあるんですけど、今年のチームはそこまで届いていません。今年の子たちはチームワークが良いとは言えません。自分だけが良ければそれで良いという風に感じ取れる部分がある。霞ケ浦の野球って基本的に一人の力がなくても、糸だって100本あればロープになる。一本が細くても束になれば強くなるという野球なんですよ。それが今年は全くそうなっていません。例年同じようにチームづくりをしていても、根本的なところは押さえた上で、その年の3年生の性格によってチームカラーが出ます。今年は根本的なところを押さえられないまま最後の夏を迎えることになってしまいました。あめを使ってもむちを使っても通用しませんでした。

コロナが心に影響、例年とは違う

ーそれはコロナの期間を経験した影響からですか。

高橋 2年生はコロナの影響があるかもしれないですね。やっぱり一番大事な4月から6月にかけての時期に霞ケ浦高校野球部として感じなければならないことを感じてこないで、やってこなければならないことをやれないでいて、去年の1年間を過ごしたってことが今の2年生にとっては非常に影響を及ぼしているので、ちょっとピントがずれているところがある気がしますね。やっぱりこれだけたくさん練習をやって試合をこなしてきているのだから、全ては想定内のことで進んでいかないといけないといけないのに、今年はエッと驚くような考えられないプレーが起きる。監督が選手を掌握できていません。そういうチームはダメだね。これがコロナの期間が影響してこうなったのか、どうして今年はこうなのか答えは出ていません。来年どうなるか、これからは毎年そうなのかもしれませんね。ほかの強豪校の監督と意見交換すると、どこの監督とも「コロナが選手の心の成長に何か影響しているのかもしれないですね。例年とは違いますよね。」という話になります。高校生活をしていく中で一番大事な時を失ってしまった子たちですからね。

ー春の県大会は初戦で水城に敗れました。注目投手の樫村佳歩君と対戦してみてどうでしたか。

高橋 良いボールでした。もう1回やりたいね。リードしていたのに余裕がなくて守備から崩れて一気に6失点。そういうところが例年のチームと違う。守り勝てなくてビッグイニングをつくってしまうから。本当に何が起きるか分からない。

ここに来て山名が急成長

ーピッチャーについて伺います。春に背番号1だった渡邊夏一投手(2年)はどんな状態ですか。

高橋 当然期待値は高くて水城戦で先発したように春は主戦で投げていましたよ。でも、打者に向かっていけない。なおかつ打たれてしまうので自信を喪失して余計に気持ちが乗ってこない。本人が一番そのことを分かっていると思うので、期待のままにずるずるとベンチに入れてしまうよりは、一回奮起を促してどれだけ爆発できるかというのを見ていこうという考えではいますが、どうなるか大会まで分かりません。

エースとして期待される山名投手

ーそれでは夏の主戦投手は誰に?

高橋 山名健心(3年)です。唯一の救いはここに来て山名が急成長したということです。先日の東京の強豪校や山梨の強豪校と良いピッチングを披露して、山名が今一番自信を持っていますね。僕が見ていてもこれだったら勝負できるなと。あの時のピッチングが本番で出せるかどうかですね。ストレート自体も良くなりましたけれど、変化球が格段に良くなりました。

ー長身右腕の赤羽蓮投手(2年)はどうですか。

高橋 赤羽は成長がゆっくりですが、本人の自覚も徐々に出てきて成長を感じます。ベンチにも入りますね。

2年生の長身右腕、赤羽投手

ー付属ボーイズでエースとして活躍していた木村優人選手(1年)はどうですか。

高橋 本人がピッチャー志望ですからピッチャーをやらせているのですが、そこそこきっちりと投げますけれど、まだピッチャーらしいピッチャーではないです。素材としては学年では一番良いと思います。夏にはベンチに入ります。野手としての可能性も感じます。

ーベンチ入りするピッチャーは全部で何人ですか。

高橋 山名、木村、山田、赤羽、飯塚です。

ー1年生の木村君が2番手候補なのですか。

高橋 一番良いボール投げますからね。それに野球を知っています。ポテンシャルは兄(翔大・東洋大4年)にも負けていないですよ。

1年生ながら投打に能力が高い木村選手。2番手投手として早くも期待される

ー飯塚選手も投げるのですね。

高橋 まあ投げることはないでしょうけど、緊急登板なんてことも想定しています。もう1枚どうしようかと今考えているところです。

ー調子が上向きの選手を挙げるとしたら誰ですか。

高橋 ピッチャーは完全に山名ですね。野手ですか。野手はどうでしょう。見当たりませんね。

ー一番打っているのは誰ですか。

高橋 それは間違いなく飯塚ですね。パンチ力がありますね。30本くらいは打ったんじゃないかな。専大松戸の深沢君からも打ちました。

ー春の大会以降はどんなところと練習試合をしてどんな結果でしたか。

高橋 4月中に強豪校と複数試合を組んでいましたが、県外とは禁止となって、県内のチームとやらせてもらいました。水戸一、藤代、土浦日大、石岡一、下妻一。後は土浦市内大会ですね。下妻一以外とは全敗でした。水戸一には0対2でしたね。石井陽向君にものの見事に完封されました。素晴らしい。石岡一には0対6でやられました。植村塁君が一番良いと思いましたね。ものが違う。石岡一は本当に強いです。4月5月は県内の公立高校にたくさん負けました。6月に入って健大高崎と前橋育英に勝たせていただいてから徐々に調子が上向きになってきました。そして先日は東海大菅生と二松学舎と良いゲームをやらせていただいて。東海大甲府とは1対2で負けましたが、山名が完投して5安打。非常に良いゲームができて自信になったと思います。こんな良いピッチャーがいるのかと村中監督に言われたくらいです。本当に素晴らしい内容でしたので。

3連覇がかかった大会

ー監督の中では勝ち上がるイメージプランは出来上がっていますか。一昨年なんかはもう勝ち上がるプランをおっしゃっていただいて、そのとおりに投手起用されて優勝できましたが。

高橋 組み合わせが決まったら毎年ここで誰が投げようというプランを立てるのですが、今年はそういうのがないですね。本当にどうしたらいいかが分からない。こんな年は初めてです。エースを初戦からぶつけるしかないのかなと思います。でも球数制限があるからエースだけでいくと、1試合150球を4試合で、1週間のうちに600球投げることになって制限オーバーしてしまうんですよ。移行期間ではありますけど、その辺を考慮しないといけませんね。先のことを考えるのではなくて、目の前の試合を勝つと考えた時に、この投手で負けても仕方ないと思って起用するしかないかもしれませんね。今までの年とは違います。今まで2回甲子園に行っていますが、いずれも秋春の関東大会に行っていない年なんですよね。今年も関東大会に行っていないから、そういう意味では良いジンクスが共通するのですが、実績のない年の戦い方と今年の戦い方はどう考えても違うんですよね。

ー最後に、夏に向けて意気込みを語っていただきたいのですが。

高橋 それはもちろん甲子園を目指していますよ。去年の独自大会は優勝(大会はベスト4で終了)しましたし、一昨年の選手権は優勝していますので、夏はまだ2年間負けていません。3連覇がかかった大会なので今年も優勝を目指していますが、本当にうちは初戦で負けるかもしれません。チームがこういう状況なので欲を出さないで頑張るしかないですね。

ーどういう戦いになるのか楽しみにしています。(聞き手・伊達康)

監督インタビュー終わり

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

1コメント

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

「公示送達」のネット拡散に懸念 つくば市議会で珍事

行政が、税金未納者に督促状を送ったり滞納者の財産を差し押さえたり、法令違反による許認可の取り消し処分などを行う際、相手の住所が不明で、督促や聴聞の通知が相手に届かず郵便物が戻ってきてしまった場合、役所の掲示板などに紙の通知文を一定期間掲示することで相手に通知が届いたとみなす「公示送達」という制度がある。つくば市議会12月定例会最終日の19日、「公示送達」方法を見直しインターネットで閲覧できるようにするという二つの条例改正案をめぐって、委員会で賛成者ゼロで否決された条例案が、本会議で賛成多数で可決するという珍事があった。 二つの条例は、地方税法の改正に伴う市税条例の改正案と、行政手続法の改正に伴う行政手続条例の改正案。本会議に先立って詳しく審議された総務文教委員会では、市税条例は賛成少数で否決、行政手続条例は賛成者ゼロで否決された。しかし19日の本会議では一転、いずれも可決された。問われたのは、インターネットに個人や会社の不利益な情報が掲載されることにより、拡散されたり、削除が困難となる懸念に対する歯止めだ。 二つの条例はいずれも、政府のデジタル規制改革推進一括法が2023年6月に公布されたのに伴うもの。これまで役所の掲示板に一定期間掲示されていた公示送達の紙の文書を、インターネットでいつでもどこでも閲覧できるようにするという全国一斉の見直しだ。 市納税課によると市税については、宛て所不明や転居先不明で納税通知書や督促状が相手に届かず市役所に戻ってきてしまい、さらに住民票で転居先を確認したり、近隣の場合は現地調査をしても所在が分からなかったり、外国人の場合は出入国管理庁に開示請求などをしても分からなかった場合などに公示送達し、市役所正面玄関脇の掲示場に、通知内容と対象者の氏名などを掲示する。 2024年度中に個人や会社を公示送達した事例は、市・県民税が161人、固定資産税が34人、軽自動車税が115人だった。徴収回数は年に複数回あることから、国民健康保険税を除く市税に関し計836件の公示送達があり、納税通知書が手元に届かず自ら市役所窓口に税金の支払いに来て、自分が公示送達されていることを知ったケースもあったという。 一方、行政手続条例改正案に関し、許認可の取り消しなどを行うにあたり相手の意見を聞く聴聞手続きについて、過去に公示送達を行ったのは0件という。 二つの条例改正案の施行時期は、市税条例は来年6月末までの地方税法改正に合わせて施行し、行政手続条例は来年5月の行政手続法改正に合わせてそれぞれ施行する。施行後、同市では新たに市のホームページに公示送達が掲載されるほか、市の掲示場にも掲示される。 市ホームページに掲載される中身については、デジタル庁が8月に示した運用指針に基づき、市税についてはこれまで、納税通知や督促などの通知内容と個人名や会社名などを掲示していたものを、改正後は、地方税法第〇条に基づく通知とするなど、法令と個人名や会社名を掲載するほか、個人を検索できないよう画像の状態で掲載するとしている。 10日開かれた総務文教委員会では「地方税法第〇条という掲載でも、条文を調べれば内容が分かってしまう」「(目的外での拡散など)悪用を防ぐ仕組みができていない」「SNSで拡散された事例があるので心配している」「リスク管理が不十分な中で拙速に進めるべきではない」などの意見が相次いだ。 19日の本会議では、条例改正に賛成する議員から「住所や所在が不明であっても不利益処分を受ける可能性がある人に意見を述べる機会があることを伝えるための措置。時代に即した必要な対応」だなどの意見が出た一方、「インターネットで公開すると情報が拡散されることが容易になる。一度拡散された情報は簡単に消すことができない。(目的外の閲覧を)取り締まる仕組みや、プライバシーに配慮した運用はまだ整っていない」などの反対意見が出て、二つの条例改正案いずれも賛成多数で可決された。 委員会で反対し、本会議で賛成した議員の一人は「市執行部から委員会後に説明を聞いたところ、上位法がスタートする時から県も市町村も合わせていかなくてはならないということだった。条例が通らないと市職員の負担が相当重くなったり、支障をきたすということなので本会議では賛成した」と話している。 市納税課は条例施行後の市ホームページでの掲載方法について「国や県の取り組みを参考にしながら検討していきたい」などとしている。(鈴木宏子)

高校生が江崎玲於奈賞受賞者と科学交流 つくば

探究活動や課外研究で科学の実験などに取り組むつくば市内の高校生が実験成果を発表し、顕著な研究成果を上げ江崎玲於奈賞を受賞した研究者から講評を受けたり、直接会話して懇談する「科学交流会」が19日、つくば国際会議場(つくば市竹園)で開かれた。昨年に引き続き2回目の開催となる。 茨城県科学技術振興財団(つくば市、江崎玲於奈理事長)とつくばサイエンス・アカデミー(つくば市、江崎玲於奈会長)が主催し、関彰商事が協賛した。 発表したのは、並木中等教育学校、茗溪学園中高、つくばサイエンス高、竹園高に通う高校生9人。講師を務めたのは、省電力で高性能な次世代のメモリ素子開発に可能性を開く研究で2023年にで江崎玲於奈賞を受賞した理化学研究所の十倉好紀さんと于秀珍さん。于さんは初の女性受賞者だ(23年11月20日付)。 並木中等教育学校高校2年の中島桃花さんは、「光の波長におけるイースト菌の代謝制御への影響」を発表。パンを作る際に欠かせないイースト菌に可視光を当てると、波長によって発生する二酸化炭素の量や、細菌などの微生物がシャーレなどの上で増殖してできるコロニーの数が異なることに着目した。グルコース(ブドウ糖)の消費量を調べることで、その原因を探った。 茗溪学園高2年の秋山茉白さんは、食品添加物として使用されるグリシンが、細菌のストレス耐性に及ぼす影響について調べた。 つくばサイエンス高1年の飯岡玲菜さんと染谷千穂さんは、水道から流れ出る水を2リットルのペットボトルに入れた際の音の変化について、注水の様子を撮影した動画と音声編集ソフトを用いて分析した。 生徒たちの実験結果に対して講評に立った十倉さんと于さんは、「レベルの高い研究発表」「面白い研究」などと感想を述べたほか、「論拠をしっかり書く必要がある」「科学では、どのくらいなのかを具体的に説明しなければならない」などと、生徒らにアドバイスを送った。 つくばサイエンス高の飯岡さんは「発表はとても緊張した。(講師や他の生徒からの質問は)とても勉強になった。答えられなかったところもあったが、これからの活動に生かしていきたい」と話した。また、飯岡さんとともに登壇した染谷さんは「今回の経験を生かして、2年次に向けて、より完成度の高いものにしていきたい」と意気込みを語った。 イベントにビデオメッセージを寄せた江崎理事長は、「参加する高校生の皆さんは、日頃から探究活動や課題研究に取り組んでおられると伺っている。これからの時代を担う皆さんが科学に興味を持ち、研究を行うことは大変素晴らしいこと。本日の科学交流を通じて創造力をさらに高め、研鑽(けんさん)を深めて、今後の活動に生かしていただきたい。本日参加している高校生の皆さんの中から、いつか江崎玲於奈賞の受賞者が出ることを願っています」と、科学に打ち込む生徒たちに言葉を送った。(柴田大輔)

冬鳥ジョウビタキとの夏《鳥撮り三昧》8

【コラム・海老原信一】この時季、皆さんの近くでもジョウビタキの姿を見かけるでしょう。オスはオレンジ色のおなかとシルバーグレイの頭部が美しく、メスは全体に薄いオレンジ色をしており、ちょっと控えめな色合いです。どちらも体側に白い小さな羽模様があり、「紋付き鳥」とも言われています。 今ごろ見られるのは、越冬のためにやって来るからで、冬鳥と言われます。4月ごろまでは観察できますが、いつの間にか北へと帰ってしまい、見られなくなります。そして、9月末~10月にまたやって来るという忙しい生活をしています。そのジョウビタキが日本でも繁殖しているようです。 2009年8月、諏訪市の高原で、ジョウビタキの幼鳥に出会ったのです。毎年、ノビタキ、ホオアカ、カッコウなどを観察に行っているのですが、その時も夕暮れ時に出てきたノビタキの幼鳥を撮影した(つもりでいた)のです。帰宅後画像を見返して、違和感を持ちました。「これ何だかノビタキとは違うぞ」。 そこで鳥見の先輩方に画像を送り、ジョウビタキの幼鳥と確定できました。まだ繁殖情報がさほど多くない中での出会いで、人知れず興奮したものです。そのような状況ですから、公表は避けた方がよいと言う先輩方の助言を入れ、公表しませんでした。それから16年。私は、2016年、19年、24年、今年、同じ地域で、成鳥・幼鳥の姿を確認しています。松本市の乗鞍高原でも観察しました。 国内を移動する「漂鳥」? 今日、ジョウビタキの国内繁殖は確実となり、繁殖適地での観察や報告が増えています。長野県では、その状況を観察・研究している人たちがおり、八ケ岳近辺での繁殖状況も報告されています。 一方、ちょっと考え込んでもいます。本来、北で繁殖するジョウビタキが、なぜ夏の日本で繁殖するようになったのか、と。近年、地球規模での温暖化が進んでいると言われます。そのようなことから、「北の繁殖地もさほど涼しくない状況になっているのでは」と想像しています。 わざわざ遠距離を移動せず、冬を越した日本の高所と似たような環境があれば、そこを利用すればよい―そんな選択をした個体が現れても不思議ではありません。そういった個体が増えれば、冬鳥ではなく、国内の標高差・地域間を移動する「漂鳥」になる可能性さえあります。そうなれば、ジョウビタキだけの話ではなく、生き物全体の話でもあると考えたりしています。 それは「素人の杞憂」と言われれば、それに越したことはないし、そう願うところです。(写真家)

職員2人を懲戒処分 土浦市

土浦市は19日、職務上の義務を怠ったなどとして納税課主任の男性職員(50)を3カ月間 減給10分の1の懲戒処分に、個人情報を漏えいしたなどとして神立消防署消防指令の男性消防職員(60)を停職1カ月の懲戒処分にしたと発表した。 市人事課によると、納税課主任は2024年度に国民健康保険税、翌25年度は市・県民税を担当した。国保税を担当した24年度については、所得や世帯構成の変更によって国保税を納め過ぎた場合の過誤納金の返還事務に関し、主任は24年度に確認された過誤納金のうち169件138万88円分について、加入者に返還する還付処理を行わず、未処理案件の存在を上司に報告せず、後任の担当者に引き継ぎを行わなかった。翌年、後任の担当者が還付処理を行っていないのに気付き発覚した。169件のうち7件については還付通知が遅延し、市が5300円を追加で払う還付加算金が発生した。 主任はさらに、国保税に未納などがあった場合、過誤納金を未納や延滞金などに充当する充当処理に関して、還付処理を行わなかった169件とは別に、24年度に確認された過誤納金のうち235件について、上司の決済を受けずに未納税額に充当処理を行っていた。 市・県民税の担当になった25年度には、地方税ポータルシステムのeLTAX(エルタックス)を用いて事業者が毎月電子納付する従業員の市・県民税について、事業者がうっかり会社に割り振られた指定番号を入力しないで納税した場合、担当者は納付事業者を特定する確認を行った上で、収納管理システムに入力し、未収を消す消込作業を行うべきだったにもかかわらず、主任は、指定番号が無かった電子納付のケースについて、事業所を特定するための確認を怠り、納付金額が同額だった別の事業者から納付されたと思い込むなど、誤った納付情報を収納管理システムに登録した。その結果、7事業所が月々電子納付した11件について、実際には納付されていたにもかかわらず、督促状が発送された。 同課によると主任は処分理由を認め、「未熟だった」などと話しているという。ほかに、25年度の管理監督者だった課長と係長、24年度の課長を厳重注意とした。 安藤真理子市長は「市民の信頼を損なったしまったことを心よりお詫びし、二度とこのようなことがないよう、法令遵守はもとより、これまで以上に適正な事務処理の執行に取り組み市民の信頼回復につとめます」などとコメントした。 家族に注意喚起するため 一方、神立消防署の消防指令は、2024年10月ごろ、匿名で電話があった野焼きの通報について、知人の声と似ていたため、着信履歴の番号と自分の携帯電話に登録されている連絡先の番号を突合して知人だと確信し、自分の家族に通報者が知人だと口頭で伝え、通報者の名前を漏えいした。 さらに今年8月、非番の日に発生した救急搬送について、出勤日に、同署内の救急隊員に確認して知人がけがをしたことを知り、自分の家族に知人の名前とけがの内容を口頭で伝えるなど個人情報を漏えいした。 11月4日、消防に匿名の電話があり、個人情報の漏えいが判明した。その後の消防本部の調査で、今年発生した3件の火災についても、発生場所の所有者の名前などを家族に口頭で伝えていたことが分かった。 消防本部によると消防指令は、漏えいした相手と利害関係などは無く、家族に対し、火事や事故に注意するよう伝えるためだったと話しているという。消防指令は消防隊をつかさどる立場の管理職だった。ほかに、管理監督者である同署署長を厳重注意とした。 安藤市長は「法令を遵守し個人情報を保護すべき立場にある公務員としてあってはならない行為であり、市民の信頼を損なってしまったことを心よりお詫びします。二度とこのようなことがないよう職員の綱紀保持や法令遵守の徹底などにこれまで以上に取り組みます」などとするコメントを発表した。