日曜日, 10月 25, 2026
ホームスポーツ【夏の高校野球県大会】湖北、霞ケ浦 コールド勝ちで8強入り 土浦日大は4回戦へ

【夏の高校野球県大会】湖北、霞ケ浦 コールド勝ちで8強入り 土浦日大は4回戦へ

2020年夏季県高校野球大会は7日目の1日、2球場で3回戦の残り2試合と4回戦4試合が行われた。J:COMスタジアム土浦では土浦日大がつくば秀英を4-0で下し4回戦進出。土浦湖北は茨城キリスト教学園に13-0の大差で7回コールド勝ち、準々決勝に進出した。ノーブルホームスタジアム水戸で4回戦の霞ケ浦は鹿島学園に11-1で6回コールド勝ちを収めた。今大会は雨の影響で順延が重なり8強決定で打ち切りとしていたが、4強決定まで実施する。

3回戦 土浦日大はつくば秀英を完封

【土】中川 – 菅野 【つ】枩本、次郎丸、後藤 – 青木

【崎山勝功】土浦日大は、2回表に吉原蓮の安打を皮切りに、笠嶋大介の二塁打が続き2点を先制。つくば秀英は3回表に枩本匠に代えて次郎丸匡峻をリリーフに送るも、5回表に暴投や守備陣のエラーなどが重なったところへ、土浦日大が五十嵐明斗主将の適時打でさらに2点を追加し、4-0と引き離した。

完投した土浦日大の中川竜哉=J:COMスタジアム土浦

土浦日大エースの中川竜哉は8奪三振で完投、守備陣も堅守でつくば秀英に得点を与えず、完封勝ちを収めた。小菅勲監督は「久々の試合だったので調子が図りかねたが、投手戦でピッチャーに抑えてもらうしかないと思った。完封は上出来だった」と中川を高く評価した。

中川は「ピッチング自体はあまり調子が良くなかったが、残り3試合と決められているので、自分の持てる力を悔いのないよう出しきろうと思い、最初から腕を振っていった」と試合を振り返った。

主将の五十嵐は「今日は相手のエラーやミスで2点もらったので、打線がつながったわけではない。チャンスの場面での凡退は、もう少し工夫しなくては」と、次戦への改善点を挙げた。

完封負けを喫したつくば秀英の森田健文監督は「点の取られ方が悪く、守備からリズムをつくるうちの持ち味が出せなかった。打線は相手のファーストストライクの甘い球を狙おうとしたが、それが打てなかった」と敗因を分析した。

若井太陽主将は「守備から入る意識だったが、ミスから失点し流れが悪くなった。序盤、相手投手が変化球を置きにきたのを振っていけば、流れを渡さずに済んだかもしれない」と悔やんだ。

3回から8回まで力投した次郎丸は「先制されて苦しい展開だったが、相手を気にせず自分の投球ができた。3、4回はゼロで抑えたが、5回の失点は安易に攻めてしまった。もっと緩急や高低など広く使い、じっくり攻めていればエラーもなく、次の回に良い展開ができたと思う」と敗戦の弁を語った。

土浦湖北 下位打線が躍動

(7回コールド)【土】大坪、三浦、荒木 – 佐藤武 【茨】横山、綿引、蛭田、徳永 – 清水太

【池田充雄】土浦湖北は2・3回の攻撃で計6点を挙げ、試合の大勢を決めた。「引き付けてすべてのボールに対応しようという意識だった。最初はタイミングが早くフライを打ち上げていたが、後のバッターが修正し、狙い通りのつなぐ野球ができた」と田中海斗主将。

特に下位打線が躍動し、7~9番の3人がいずれも3打点を挙げた。7番の稲葉悠太は、2回には1死三塁から右前へ先制タイムリー、3回には2死一・二塁から右越えの2点二塁打という活躍ぶり。「新チームになってすぐ7番に抜擢されたが、打てなくて迷惑をかけていた。今大会では一つもミスがなく、ヒットも打てて3年生に恩返しができた」と感慨深げ。

3回表、生還した稲葉を迎える土浦湖北の選手たち=J:COMスタジアム土浦

4回以降は相手の2人目投手に対しやや淡泊な攻撃になったが、「いままでやってきたことをもう一度しっかりやろう」との小川幸男監督の檄(げき)を受け、7回に再び大爆発。打者11人で長短打6本を放ち、5点を奪ってコールド勝ちを決めた。

投手は3人のリレーで、前の試合から間隔が空いた影響からか、それぞれ調子はいま一つだったという。先発の大坪誠之助は「ストレートで腕に力が入らず力んでしまった。後ろに2人いいピッチャーがいるので安心して任せられる」と2回でマウンドを降りたが、「次は自分がちゃんと投げないと勝てないと思う。3日間あるので球威は戻せる」と、最終戦に向けて調整に励む構えだ。

霞ケ浦 打ち勝つ野球で大量得点

(6回コールド)【霞】山本、高松、前原、真仲-瀬川【鹿】猪俣、穂刈、常世田、渡辺、徳永、東風谷-野原、岡本

【高橋浩一】霞ケ浦は、3回戦の総和工戦で延長タイブレークに持ち込まれた反省から、打ち勝つ野球を追求し、2ケタ安打で大量11点をものにした。

この日2番に入った小田倉啓介主将は、3回と4回に2打席連続の二塁打、2打点を挙げ、チームの大量得点の足がかりを作った。「今まで情け  ない試合ばかりだったので何とか打ちたかった。みんながつないでくれたのでチームを勝たせるバッティングができた」と振り返る。

3回表無死二・三塁、斎藤拓生の左前打で佐々木が先制のホームイン

6回には相手投手の乱れから1死満塁とし、瀬川悠人の左前適時打や伊澤誠の中越え3点三塁打などで一気に6点を奪った。「今まで出ていない選手が気持ちを出し、食らいついたプレーをしてくれた。それがいままで出ていた選手にも伝わって、もっとやらなきゃいけないと、全員がまとまった試合だった」と小田倉。

「代わった選手が持ち味を出してヒットを打ってくれてうれしい。出ていなかった3年生が11人いたので、全員出すつもりで組み合わせを考えた。点数が入ったので思い通りに使えた」と高橋祐二監督。

次の試合は5日の準々決勝だが、日程の都合により本大会の最終戦となる。「2連覇という目標を掲げて1年間やってきたので、甲子園はなくなっても最後に気持ちよく勝って終わりたい」(小田倉)、「最後の試合なので20人フルメンバーで下級生も入れて、いつもの試合と同じ気持ちで戦う」(高橋監督)と、あくまで前向きに戦う姿勢を見せる。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho





spot_img

最新記事

科学万博や鉄道…街の変遷たどる 国土地理院が「地図展つくば」

24日から 県内初、開館30周年記念 「第59回地図展2026つくば―常陸の先人から研究学園都市・つくばへ」が24日、つくば市北郷、国土地理院内にある地図と測量の科学館で始まった。今年、同館が開館30周年を迎えたことを記念し、茨城ゆかりの地図製作者たちの業績やつくばの変遷を、地図や空中写真など約200点の資料で紹介する。11月1日まで。 地図展は、地図を通して国土や地域への理解を深め、地図の利用を促進することを目的に、1967年に東京で始まった。地図展推進協議会と国土地理院が主催し、茨城県内での開催は初めて。 茨城ゆかりの先人の古地図を展示 2階の特別展示室では、江戸時代後期に全国を測量して日本地図を作った伊能忠敬の「伊能図」をはじめ、茨城ゆかりの人物が手掛けた国内外の地図の複製などを展示する。日本地図の先駆者で高萩出身の長久保赤水、樺太を探検した幕府の役人でつくばみらい出身の間宮林蔵、小笠原諸島の地図を作った笠間出身の小野友五郎、地図や地理書を収集・研究した古河藩家老の鷹見泉石らを紹介する。伊能が間宮に宛てた手紙などの関連資料も並び、地図製作に取り組んだ先人たちの仕事を知ることができる。 2階の廊下には、1883年から2019年までに作られた、現在のつくば市域を描いた8枚の地図を展示する。さらに床面には、国土地理院の測量用航空機「くにかぜⅢ」が2025年から26年にかけて撮影した、つくば市の大型空中写真が広がる。縦7メートル、横6メートルの写真は、上空約4800メートルから撮影されたもので、縮尺は3500分の1。担当者によると、身長170センチの人が4800メートル上空の飛行機の窓から目にする光景と同じ縮尺を再現した。 幻の城南電気鉄道谷田部線の資料も 1階の地図のギャラリーでは、「あの日のつくば、今のつくば、そしてこれからのつくば」をテーマに、主に1980年から現在までのつくば市の変遷を、地図や空中写真でたどる。1985年開催の「科学万博」に焦点を当てた展示では、万博会場があった谷田部地区や、万博開催に合わせて設けられた万博中央駅(現在のひたち野うしく駅)周辺などを取り上げ、建設前から現在までの街の変化を紹介する。このほか、土浦駅と岩瀬駅を結んだ筑波鉄道筑波線や、筑波山ケーブルカー・ロープウェイ、大正後期に建設計画が持ち上がった幻の常南電気鉄道谷田部線に関する地図、写真、パンフレットなども展示する。地域の交通の歴史を振り返ることができ、郷土史や鉄道に関心のある人も楽しめる内容となっている。 開会式で、地図展推進協議会の稲葉和雄会長は、地図展が地図への親しみを深め、利用を促すために始まったとし、「デジタル地図が身近になる一方、紙の地図からは地形や文化財の分布、地域の発展の歴史などを読み取ることができる。また、水害時には標高を示す地図が避難先や水の流れを考える手掛かりになる。展示では、それぞれの気に入ったコーナーを楽しんでいただけたら」と来場を呼び掛けた。 国土地理院の河瀬和重院長は、長久保赤水や間宮林蔵ら茨城ゆかりの先人と、国土地理院がつくばに立地することとのつながりに触れ、「つくばは歴史ある街並みや筑波山を擁する一方、研究機関が集積する科学技術の拠点として発展してきた。つくばの魅力や日本の国土への理解を深めていただけるものと期待している」と話した。 つくば市内の科学館を巡る「つくばの科学館JAXA衛星スタンプラリー」の一環で訪れた大阪府の木村真さん(30)は、「伊能忠敬より42年も前に地図を作った長久保赤水という人がいると初めて知った。実際に歩いたわけではなく、膨大な資料や天文学の知識を集めて作ったことにも感銘を受けた」と話した。(柴田大輔) ◆「第59回地図展2026つくば―常陸の先人から研究学園都市・つくばへ」は、つくば市北郷1、国土地理院内の地図と測量の科学館で、11月1日(日)まで。会期中は休館日なし。開館時間は、午前9時半から午後4時半まで。入館受付は午後4時まで。入場無料。来場者には記念地図が配布される。イベント詳細、問い合わせは一般社団法人日本地図センターのイベント公式サイトへ。 ▽25日(日)午後1時半から1階ラウンジで講演会が開かれ、日本地図センターの初代地図大使を務めるタレントの石原良純さんが「地図と空を飛ぶ~眼下に広がる地図景色~」と題して講演する。同日午後3時からは1階オリエンテーションルームで、法政大学文学部の米家志乃布教授が「江戸の地図と出版文化」をテーマに講演する。それぞれ予約不要。入場無料。 ▽25日(日)午前10時半、31日(土)午前10時半、午後1時半からは、小学生を対象としたワークショップ「手作り地球儀に挑戦しよう!」が開かれる。球体カプセルを使って小さな地球儀をつくる。各回15組(1組3人まで)。事前予約制。予約は公式サイトから。 ▽11月1日(日)午前10時から午後4時まで、野外会場で、一定の歩幅を保つことで測量した伊能忠敬をモデルに、歩幅を測って歩測で距離を調べる「歩測チャレンジ」が開かれる。予約不要、雨天中止。

時間をかけて作り上げる人生のレシピ《マンガサプリ》12

【コラム・瀬尾梨絵】目まぐるしく変化する現代社会の中で、私たちはつい効率やスピードばかりを求めてしまいがちだが、世の中には「時間をかけること」でしか生まれない奥深い、うま味や温もりがある。今回ご紹介するのは、「じゃああんたが作ってみろよ」など人間味あふれる日常と魅力的な食を描く名手、谷口菜津子先生の「まめとむぎ」(双葉社、初版2024年出版、3巻完結)だ。 本作の見どころのひとつは、作中に登場する数々の発酵食品を使ったおいしそうな料理の数々。みそ、しょうゆ、塩こうじ、みりん、甘酒、そして酒かす。日本の食卓をそっと支えてきた発酵食品たちが、ていねいな手仕事によって絶品の一皿へと姿を変えていく。じんわりと身体に染み渡るような温かな料理の描写は、ページをめくるだけで豊かな香りが漂ってきそうなほど魅力的で、読んでいるだけで心が解きほぐされていく感覚を味わうことができる。 そしてこの作品の真骨頂は、料理のテーマである「発酵」が、主人公である米田マメと清水麦をはじめとする登場人物たちの生き方そのものに見事に重ね合わされている点にある。発酵とは、微生物の働きによって時間をかけて素材のうま味を引き出し、新たな価値を生み出すプロセスで、即効性はない。 じっと待つ時間、寝かせる時間があってこそ、角が取れ、深くまろやかな味わいが完成する。そして物語の中で描かれるマメと麦の人生もまた、決して平坦でスピーディーなものばかりではなく、時には迷い、立ち止まり、思い通りにいかない日々に葛藤することも。しかし2人が過ごす日常の積み重ねや、他者との温かな交わりは、まるで時間をかけて熟成されるみそやしょうゆのように焦らずに紡がれた時間によって、彼女たちの人生は少しずつ発酵し、豊かで深みのあるものへと変化していく。 心のごちそうのような名作 夏も終わり、夜が長くなり、「今の自分の歩みは遅すぎるのではないか」「何にもなれていないのではないか」と不安になるとき、この作品はそっと寄り添ってくれる。一見すると立ち止まっているように見える時間や、うまくいかないもどかしい遠回りすらも、人生という味わいを深くするための熟成期間なのだと教えてくれる。 谷口菜津子先生ならではの、いとおしくも生々しい人間描写と、おししい料理の湯気。その向こう側に広がる人のぬくもりと人生の豊かさを、ぜひ体感してみてほしい。慌ただしい日常から少しだけ離れて、温かいお茶を片手にじっくりと味わいたい、心のごちそうのような名作だ。(牛肉惣菜店主)

VR体験などで認知の不思議に迫る 日本国際学園大で学園祭

日本国際学園大学の学園祭「第35回KVA祭」が24日、つくば市吾妻、同大つくばキャンパスで催された。VR(バーチャルリアリティ、仮想現実)空間を体験しながら認知や身体感覚の不思議に迫ったり、留学生それぞれの出身国の文化に触れるイベントなど、さまざまな催しが行われた。 認知の不思議に迫る企画を出展したのは、認知心理学が専門の横澤一彦教授率いる横澤ゼミの学生と卒業生。3年の亀山拓己さん(20)は、モニター画面に横縞模様のドレスと、カラーの靴ひものスニーカーを映し出し、それぞれ何色に見えるかと来場者に質問。人によって色の見え方が異なることを実証し、来場者を驚かせた。亀山さんによると、周囲の明るさなどを手掛かりに、脳が本当の色を無意識に補正し推測して色処理するため、人によって色の見え方が異なるのだという。3年の高橋晴南さん(20)は、モニター画面で仮面や人のシルエットを回転させ、錯視といわれる現象を説明した。現在はそれぞれIT企業に勤める同ゼミ卒業生の犬嶋美雨さん(24)と鈴木瑞穂さん(23)も応援に駆け付け、VRゴーグルを着装して仮想空間の街中を散策しながら、来場者に距離や大きさなど空間認識の違いを体験してもらうなどした。 横澤教授は「当たり前と思っている色や動きの見え方や空間認識が、実は当たり前ではないこと、どう認識するかは人によって違うことを、実験データに基づいて知り、人間とはどういうものかを知って、学生たちが社会に出て生かしてくれれば」と話す。 ほかに、同大の留学生でつくる留学生同好会が、さまざまな国旗を見せて、国名と世界地図上の位置を当てるクイズを出したり、留学生それぞれの出身国の伝統衣装や楽器、貨幣などを持ち寄って展示したり、試着体験会を開くなどした。ウズベキスタン出身の留学生、ジヨダさん(32)は「入学を希望する外国人も見に来てくれた。そういう人には、入学した後は一人じゃないということを伝えたい」と話した。 メディアデザイン部は、オリジナルデザインのトートバックや缶バッチ、ステッカー、ポストカードを販売。茶道部は、来場者に抹茶をふるまうなどした。アルバイトをしながらエステティシャンの民間資格を取得し、卒業後は起業してサロンを開くことを目指している4年の田井真央さん(22)は、てのひらや指先をマッサージしたりケアするハンドエステの体験会を開いた。 市内から家族で来場した50代女性は「皆、頑張ってるなと感じた。準備も大変だったと思う」と話していた。現在、子供が同大に通っているという。 KVA祭実行委員会委員長で4年の小林亮太さん(21)は「この大学は留学生が多く、世界のさまざまな言語や文化に出会える大学なので、今年のテーマを、さまざまな色の花が咲き乱れるという意味の『千紫万紅(せんしばんこう)~開け!世界への扉』とし、さまざまなバックグラウンドをもつ学生が一つの同じ目標を目指して、つくっていくということを意識した。今年3月から、テーマや企画を考え、つくってきた」と話している。(鈴木宏子)

キノコ食文化の奥深さを紹介 筑波実験植物園で企画展

24日から 国立科学博物館筑波実験植物園(つくば市天久保)で24日、企画展「きのこ展~驚きの菌食の世界」がスタートした。2010年に始まった恒例の企画展で、今年は「食」をテーマに、日本各地や世界に残るキノコやカビ、酵母などの菌類を利用した食文化を研修展示館1階で紹介する。多目的温室では、つくば市を中心に日本各地で採集された野生キノコや、栽培されたキノコが生の状態で展示される。 担当する同館植物研究部菌類・藻類研究グループ研究主幹の保坂健太郎さん(50)は「一時的なブームではなく、伝統的に定着してきた食文化を紹介したい」と話す。食文化として根付いていても、広く知られているとは限らない。世代を超えて受け継がれてきた食習慣が失われつつあることも、展示の背景にある。 「日本の食文化」で取り上げるナラタケは、各地に分布し、かつて広く食べられていたと考えられるキノコだ。「アシナガ」「ボリボリ」「ササンボ」など地域によって呼び名が異なる。多様な呼び名も、人々の暮らしに根付いてきたことを示す手掛かりだ。 「世界の食文化」では、カリブ海のハイチで「ジョンジョン」と呼ばれるキノコを紹介する。煮出すと黒い色が出る特徴を生かし、その汁で米を炊く料理に使われる。保坂さんは、西アフリカにも共通する食文化があることに着目し、その起源や地域ごとの食べ方の違いを調べており、研究成果も展示する。 キノコだけでなく、カビや酵母を利用した食文化も紹介する。その一つが、木を切った後に出る樹液に酵母が集まり、「スライムフラックス」と呼ばれるオレンジ色の塊だ。「やまかぜ」や「やまうに」という名称で、青森県や長野県の一部で伝統的に食べられてきた。 伝統的な食文化に加え、将来の食の可能性にも目を向ける。肉の生産に伴う環境負荷などを背景に注目される代替肉もその一つだ。カビの一種を培養して得た菌糸体を使う英国発祥の食品「クォーン」を紹介する。「食感も肉に近く、おいしい。菌糸を使った代替肉は今後、主流の食料になっていくかもしれない」と期待を寄せる。 見て、触って、嗅いで、知ってほしい 保坂さんによると、日本には約5000種、世界には約2万種のキノコがあるとされる。また、各地で伝統的に食べられてきたものがある一方で、あまり知られていない種類も多い。「日本や世界には、知られていない食文化があることも知ってほしい」と話す。 会場では、つくば市内を中心に各地で採集した野生キノコと栽培キノコを、生の状態で入れ替えながら、常時約100種類を展示する。野生と栽培のキノコを一度に見比べられるほか、香りを嗅いだり、手で触れたりできるのも特徴だ。保坂さんは「茨城県南部は山が多い地域ではないが、身近な場所にも多様なキノコが生えている。キノコが少ないといわれるこの時期に、これだけの種類があることも魅力の一つ」とし、「ヌメヌメしたものなど、触ってみると違いが分かる。ぜひ、たくさんのキノコを見て、匂いを嗅ぎ、触れて体感してほしい」と来場を呼び掛ける。(柴田大輔) ◆企画展「きのこ展~驚きの菌食の世界」はつくば市天久保4-1-1 国立科学博物館 筑波実験植物園で開催。会期は11月1日(日)まで。会期中は休園日なし。開園時間は午前9時から午後4時半、入園は午後4時まで。入園料は一般320円、高校生以下と65歳以上、障害者などは無料。問い合わせは同園ホームページへ。 ◆研修展示館2階では、つくば市在住の木版画家・武井圭子さん、守谷市在住の画家・本田尚子さん、きのこを利用した押し絵作家の中谷佳詩子らによる、きのこをモチーフにした作品が展示される。同館3階では、きのこ画コンテスト「きのコン」の応募作品約200点が展示される。11月1日(日)正午から、入賞者の表彰式が開かれる。 ◆保坂さんが植物園内に生息するきのこを案内するツアー企画「植物園きのこ案内」は、24日(土)、25日(日)、30日(金)、31日(土)、11月1日(日)、午後1時から。 ◆期間中、小学生以上を対象としたワークショップが研修展示館3階で開かれる。▽「きのこのプラバンストラップつくり」は、24日(土)、25日(日)、31日(土)、11月1日(日)午前10時から正午、午後1時から午後3時までの間、30分ごとの入れ替えで、定員は各回10人。整理券は午前9時40分と、午後0時半から同会場にて配布。▽「きのこの折り絵パズル」は、24日(土)、25日(日)、31日(土)、11月1日(日)。午前の部が午前10時から、午後の部が午後1時から、それぞれ30人が定員。整理券なし。幼児は保護者同伴。