木曜日, 6月 4, 2026
ホームつくば【つくばセンタービル改修】㊤ 具体案、市民に説明なく

【つくばセンタービル改修】㊤ 具体案、市民に説明なく

【鈴木宏子】つくば駅前「つくばセンタービルリニューアルの方向性案」を、市がホームぺージ(HP)で公表し、30日まで市民の意見を募集している。具体案が市民に公開されたのは初めて。

センタービル1階アイアイモールの一部に市として2カ所目のイノベーション拠点(多様な働き方を支援する場)をつくること、ノバホール西隣のつくばイノベーションプラザなどに吾妻交流センター、市民活動センターと、国際交流、男女共同、消費生活などの機能を集めた市民活動拠点をつくることなどが柱だ。センタービルのイノベーション拠点を運営し、さらに同駅周辺のまちづくりを担う、エリアマネジメント団体を新設することも検討されている。

出資金すでに予算化

一方、今年3月議会でエリアマネジメント団体を設立するための出資金6000万円と、センタービルリニューアルの基本計画策定費990万円などがすでに予算化され(3月9日付)、6月初めには同基本計画策定業務の委託業者が選定された。

工事が実施されればセンタービル建設以来のリニューアルとなるが、担当の市学園地区市街地振興室によると現時点で市民説明会を開く予定はなく、開くかどうかも決まっていない。

市はセンタービルや中心市街地で何をしようとしているのか。意思形成過程や策定過程、考え方が分かるすべての公文書を情報開示請求した。

報告書も検討委も非公表

開示資料によると、センタービルのリニューアルに向けて市内部で検討が始まったのは2018年7月。19年3月に「つくばセンタービルのありかた検討業務報告書」、20年3月に「中心市街地エリアマネジメント検討業務報告書」がそれぞれ策定されたが、内容が市民に説明されることはなかった。片やヴィジョン(18年7月)戦略(20年5月)などイメージや将来像などは公表された。

昨年7月には、エリアマネジメント団体の在り方を検討する検討委員会も設置されたが、会議は第1回目を除き非公開で行われた。

3カ所で役割分担

市が今回初めてHPで公表したイノベーション拠点(多様な働き方を支援する場)は、1階アイアイモールの一部約2500平方メートルにつくる。新施設の面積としては最大だ。リニューアル案には、働く人の交流の場、シェアオフィス、会議室などのビジネスを支援する機能等、子連れ出勤やリモートワークなど多様な働き方を支援し、働く人同士が交流できる場を整備するなどと説明されている。

市がイノベーション拠点を整備するのは、昨年9月にセンタービル近くの市産業振興センターに開設された「つくばスタートアップパーク」(年間事業費約5700万円)に次いで2カ所目となる。

名称はこれまで「イノベーション拠点」として議会に説明されてきたが、今回「働き方を支援する場」と変更された。同振興室によると、中身は議会に説明したイノベーション拠点に変わりはないという。つくば駅周辺をイノベーション拠点とする検討をしており、センタービルの考え方を分かりやすく示すため「働き方を支援」という表記にしたという。

開示資料によると、国家公務員宿舎跡地の70街区にもイノベーション施設をつくる計画がある。つくば駅周辺で計3カ所になる。3カ所の役割分担として「スタートアップパークで創業支援を行い、ある程度の大きさのオフィスが必要になったらセンタービル、さらに従業員が増えるなど企業規模が大きくなったら70街区という流れ」が検討されている。

全体事業費は不明

来年3月までに設立予定のエリアマネジメント団体には、出資金6000万円のほか、センタービルの床の区分所有権の一部を市が現物出資することも検討されている。現物出資されれば所有権がつくば市のものから、新団体の所有となる。経営がうまくいかなかった場合、センタービルはどうなるのか。市振興室によるとまだ検討されてないという。

ほかに中心市街地に新たに、こども体験施設、チャレンジショップ、賃貸住宅やシェアハウス、ゲストハウスなどの箱モノを整備し、中心市街地をイノベーション拠点にする案が検討されているが、費用は全体でいくらになるのか、エリアマネジメント団体の収支がどう想定されているのかは、市民に知らされないままだ。(つづく)

  • つくばセンタービル 筑波研究学園都市のシンボルとして37年前の1983年に建設された。2018年6月に飲食店すべてが撤退し、現在、空き店舗が目立っている。つくば市(52.86%)、ホテルオークラ(ホテル日航つくば、38.48%)、筑波都市整備(8.66%)の3者が区分所有している。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

2 コメント

2 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

「倒れる」練習《続・気軽にSOS》172

【コラム・浅井和幸】先日、ある支援のために駅前のロータリーを回り、目的地に向かいました。そのあたりは歩いている高齢者も多く、ゆっくりと左右を見ながらの運転です。その運転とは関係ない50メートルほど先で、高齢女性が倒れました。幸い、近くにいた数名の方が助けに入ったので、私はそれを確認して目的地に向かいました。 県内を動き回っていると、このような場面に時々出くわします。今回は偶然にも倒れる瞬間を見たのですが、その倒れ方がまっすぐ硬直したような倒れ方で、とても危険な印象が残りました。私は高齢福祉については勉強不足なので、現在どのような取り組みが行われているのか分かりませんが、「高齢者の倒れる練習」とネット検索しても、ほとんどが「転倒防止」についての内容でした。 このようなことは、子育て、不登校、ひきこもり、生活困窮、住宅確保要配慮者支援などでも似ています。危険なことが起こったあと、どう対応するかという支援を続けていると、「そもそも未然に防ぐことが大切だ」という考えに行きつきます。しかし、予防や防止を重視しすぎると、危険なことが起こったときにどうするかという視点が抜けてしまいます。 リスクから遠ざけすぎることは、リスクを回避する、乗り越える、やり直す、助けを求めるといった感覚を育ちにくくします。人は、汚いものや苦しいことなどから遠ざかりすぎることで、強すぎる痛みが実際に訪れたときに耐えられず、立ち直れなくなってしまうことがあります。 よりよい成長のため、その痛みは本人が耐えられる範囲に調整することが必要です。何でも一律に、苦しい経験をすれば強くなれるという考え方も、たまたまうまくいった人たちの勘違いなので注意が必要です。 「自分で起き上がってごらん」 私は人を雇っていくつかの事業を行っています。年齢も性別も背景も実力もさまざまです。その人の能力や成長段階に合った課題に向き合えるよう調整しなければならないと、日々悩んでいます。言葉で「危険だからやめた方がよい」と伝えるだけでは、本人が納得しない限り届かないことがあります。だからこそ、少しだけ怖い思いや苦しい思いを体験してもらうことも必要だと感じています。 子育てや支援をしている方から、「成功を経験して成長ができる支援のコツはなんですか」と質問されることがあります。私は「転んでもフォローできる環境を自分自身ができる限界と考えて支援をしてみてください」と答えます。 例えば、よちよち歩きの子どもであれば、転んでも大きなけがをしない環境を整え、すぐに支えられる距離にいることです。少し膝をすりむいても大丈夫な子なら、少し離れた場所から「自分で起き上がってごらん」と声をかけられる距離にいるのがよいでしょう。 危険を予防し回避することと同じくらい、危険への予想や耐性、立ち直る力を育てることも大切であると、私は声を大にして伝えたいのです。(精神保健福祉士)

道路冠水や倒木被害相次ぐ つくば、土浦 台風6号

大型の台風6号の接近に伴い、つくば、土浦市では3日、激しい雨と強風の影響で道路冠水や倒木などの被害が相次いだ。小中学校や幼稚園は休校となった。 26カ所で道路冠水や倒木など つくば つくば市では24時間で126.5ミリの降水量があり、午後1時に最大風速6.3メートルを観測した。この影響で、市内26カ所の道路で冠水や倒木などの被害が発生し、約1680軒で停電が発生した。 道路冠水は市内14カ所で発生、このうち今鹿島、水堀、下広岡、森の里、下広岡、春日4丁目など7カ所が一時通行止めになった。桜川に架かる同市小田、小田橋は水位上昇により通行止めになっている。 ほかに強風の影響で、面野井、天久保3丁目、桜2丁目、花畑1丁目など5カ所で倒木の被害があったほか、観音台1丁目で標識破損、上河原崎で木板の飛散、田中で照明破損などの被害があった。 このうち同市花畑1丁目では午後2時前、強風によりNTT筑波研究開発センタ敷地内の高さ20メートルほどの松が根っこから道路に倒れて、向かい側の集合住宅の駐車場上の電線に引っ掛かり、道路が通行止めになった。近くで犬のトリミングサロンを経営する30代女性は「トリミングでドライヤーを使っていたので大きな音は聞こえなかったが、バサッという音がして窓の外を見ると、松の木が倒れていた。ここに10年住んでいるがこんなことは初めて。(筑波研究開発センターの敷地境界には松並木があるので)ほかの松の木が倒れないか心配」などと話していた。 市は自主避難所を、市北部の働く婦人の家と、市南部の茎崎交流センターに2カ所開設、3人が一時的に茎崎交流センターを利用した。 民家1軒が床下浸水 土浦 土浦市では24時間で112.5ミリの降水量があり、午後1時40分、最大風速10.4メートルを観測した。この影響で、床下浸水が1軒、道路冠水や倒木による通行止めが4件、停電が522軒で発生した。 床下浸水は荒川沖東3丁目の民家1軒で発生。中貫、神立町、白鳥町では冠水により道路が一時通行止めになった。常名では倒木により通行止めが発生した。 同市では大雨警報と高齢者等避難が発令されたことにより、午前11時44分に災害対策本部を設置、土浦三中、土浦四中、都和南小、新治義務教育学校4カ所に避難所を開設した。2人が土浦四中の避難所を一時利用したという。

バイシクル・ダイアリーズ(2)《ことばのおはなし》93

【コラム・山口絹記】前回の記事(5月1日付)では、突然譲り受けたロードバイクについて書いた。そして、この記事を書いている少し前、「ツール・ド・つくば」というイベント(7年ぶりに開催された筑波山を自転車で登るイベント)から帰ってきたところだ。観戦ではない。参戦である。 いわゆるヒルクライムと呼ばれるレースで、他の参加者の動機は私にもよくわからないが、自転車にまたがって峠をひたすら登る。自分で書いていても正気の沙汰とは思えないのだが、とにかく私も完走してきた。なかなかの地獄だったが、実際のところ思ってもないほど楽しい地獄だった。 どうしてそうなったと疑問に感じる方もおられるだろう。私も同感だ。つくづく人生はままならない。現実ではいつだって小説のような文脈はどこかに忘れ去られ、側溝に落ちて朽ちてゆく。 レースで痛めた膝をかばいながら家に帰ってきて、少し頭も冷えてきたので、この1カ月の出来事について、徒然(つれづれ)なるままに書いていこうと思う。 ロードバイクにちゃんと乗る? 繰り返しになってしまうが、このロードバイクは私が大切な人から譲り受けたものだ。私はその人に「ちゃんと乗るから安心してくれ」と約束をした。しかし、家に帰る道すがら、「ロードバイクにちゃんと乗る」ってどういうことだろう、とわからなくなってしまった。 ママチャリくらいしか乗ったことのない私には、ロードバイクにちゃんと乗ることの定義がわからなかったのだ。毎日乗ることか? 遠くに行くことか? 速く走れるようになることだろうか? そこまで考えて、筑波山の山道をかっこいい自転車がいつも登り降りしていることを思い出した。アレはしっかり乗っていることになるのではないだろうか。 週末に本屋に行くようなノリで、筑波山をロードバイクで走っている人は、「ちゃんとロードバイクに乗っている」気がする。コレだ、コレしかない、と脳みそのゆるい私は考えたのだ。これは、自転車のことなど何も知らない中年が、いきなり降って湧いたロードバイクにまたがってレースに出ることになるまでのおはなし。(言語研究者)

天理ギャラリーを訪ねて《ふるほんや見聞記》17

【コラム・岡田富朗】世界最大の古書店街がある神田神保町から程近い神田錦町に位置する東京天理ビル9階に、天理ギャラリーは1962(昭和37)年、東京天理教館が竣工すると時を同じくして開設されました。 開設にあたった経緯の中では、1960(昭和35)年から1990(平成2)年まで、天理大学で古代オリエント宗教史の集中講義を非常勤講師として受け持たれた三笠宮崇仁親王殿下(三笠宮さま)から、「東京でも天理大学の収蔵品を皆様にご覧いただきたい」というお声をいただいたこともあったそうです。 近年は年に2回、5月ごろに天理図書館収蔵品、10月ごろに天理参考館収蔵品からテーマを定め展示を開催しているそうです。 天理図書館 1924(大正13)年10月、当時旧制大阪高等学校に在学中の中山正善天理教二代真柱が天理教青年会長に就任し、図書館の設置と、図書の収集・整理の方針を打ち出しました。中山正善は稀代の蒐集家としても知られており、善本稀本が多く収蔵されています。 1926(大正15)年、約2万6000冊(うち洋書5000冊)の蔵書をもって閲覧を開始しました。戦後は、天理外国語学校の大学昇格に伴い、大学附属図書館として一層大きな役割も与えられ、蔵書も増加し、その名は海外にも広く知られるようになりました。現在では蔵書数は約150万冊に及び、その中には国宝6点、重要文化財88点が含まれています。 「古今和歌集と伊勢物語」展 6月14日(日)まで天理ギャラリーで開催されている第185回「古今和歌集と伊勢物語」展では、「古今和歌集」や「伊勢物語」を中心に、重要文化財4点、重要美術品8点を含む主要な写本や自筆注釈書など計41点が展示されています。展示資料の中には、近年の専門家による調査で、藤原俊成(1114~1204)筆「古今和歌集」昭和切の一部と確認された、天理図書館所蔵の「古今和歌集両序」が含まれています。 昭和切は、1928(昭和3)年に巻1~10の上帖が分割されたことで生じた名物切であり、現在に至るまで700年以上にわたり流布本の地位を占めてきたいわゆる定家本の底本と目される重要な資料です。平安末期から鎌倉初期を代表する大歌人・俊成の、極めて貴重な直筆を今に伝える至宝です。 本展を担当された天理図書館 稀書目録室の司書研究員・博士である髙橋諒さんは「天理図書館は、一人でも多くの方に利用していただきたいと考えております。そのため、大学附属図書館ではありますが、開館当初より広く一般にも開放しており、15歳以上(中学生を除く)の方であればどなたでも利用できます」。 また「天理ギャラリーなどでの展示においても、普段は遠方の方々にも貴重な文化財である原本をご覧いただき、多くの方に原本のもつ魅力を直接感じていただきたいと考えています」と話してくださいました。(ブックセンター・キャンパス店主)