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オールつくばロケの小さな宇宙映画 2月2日、初の一般試写会

【池田充雄】つくばを舞台に昨秋完成した短編映画「ASTRO AGE(アストロエイジ)」の試写会が2月2日、つくば市庁舎で開かれる。「宇宙やつくばが好きな人、夢や目標を持って頑張っている人に特にお薦めの映画。ぜひ感想も聞かせていただきたい」と監督の小川貴之さんは話す。

会話通し宇宙の壮大さ描く

2018年のつくばショートムービーコンペティションでグランプリを手にした当時の小川貴之監督

映画のキャッチフレーズは「宇宙に行かない宇宙の話」。若手サイエンスライターの女性が、さまざまな人に宇宙の魅力を聞きながら、自分の夢を見つめ直す物語だ。「主人公の表情の変化や心の動きをとらえた、しっとりとした映画。SF作品のような派手な展開はなく、会話を通して宇宙の壮大さを描こうと考えた。あまり見たことがない映画体験ができると思う」と小川監督。

重要なテーマの一つが夢。「日本では子どものうちから夢を問われるが、大人になるにつれ、夢へのこだわりを言葉にするのが後ろめたくなる。自分もそうだった」という。つくばとの縁が生まれ、何度か訪れるうちに、ここなら夢と宇宙を一つにした映画が作れるのではないかと考えた。

小川監督は、2018年度のつくばショートムービーコンペティション(筑波学院大など主催)に「つれない男」でグランプリを受賞。同作はグルノーブル屋外短編映画祭で招待上映され、国内外の映画祭に多数入選した。今作の「ASTRO AGE」はグアム国際映画祭入選のほか、セントルイス国際映画祭、神戸インディペンデント映画祭、函館港イルミナシオン映画祭などに出品された。一般向け試写会は今回が初めて。

主演も音楽も旬の才能が集結

主演の小西桜子さんは新人だが「ファンシー」(永瀬正敏主演、2月7日公開)、「初恋」(三池崇史監督、2月28日公開)で立て続けにヒロイン役を射止め、いま最も旬といえる女優。オーディション時から独特の印象があり、カメラが回ったときの集中力や瞬発力も新人離れしていたという。

「短編映画では人物の背景まで描き込めないため、俳優自身にリアリティある生きた人物を表現してもらうのが大事。小西さんは細かく指示しなくても勘良く人物像を作り、抜群の雰囲気を映画に生かしてくれた」

劇中音楽とエンディング曲「僕らは『ゆらぎ』でできている」を担当したのは、つくば発の理系バンドDENSHIJISION(デンシジション)。11年に結成され過去5枚のアルバムを発表、17年には任天堂ゲーム「RXN-雷神-」に楽曲提供、18年にはグルノーブル音楽フェスティバルに出演など、着実に活動の幅を広げている。

グルノーブル行きは小川監督と同時期。つくば市役所での帰国報告で初めて出会い、一緒に作品作りをしようと動き出した。「映画ではバンドの普段の曲とはまた違う雰囲気で、曲想も幅広く臨機応変に対応していただいた。作曲のヨシダシゲルさんは理系の人らしくリズムや音色も理詰めで構築していくのが新鮮だった」

つくばの魅力を映像で再発見

主な撮影地はJAXA筑波宇宙センター、筑波大学、中央公園など。「市内在住の方なら、ここで撮ったのかと分かる場所が多数。とてもきれいな映像で、つくばの魅力をまた違った形で再発見できる」と市文化芸術課の田山牧子さん。

試写会は今年度のつくばショートムービーコンペティションの開催前イベントという位置付け。会場はつくば市役所コミュニティ棟会議室。2月2日(日)午後1時開場、1時30分開演。本編上映(23分)の後、小川監督のあいさつに続いて「つれない男」も上映する(10分)。予約不要、入場無料、市役所駐車場(2時間無料)が利用できる。

➡短編映画祭「つくばショートムービーコンペティション」の過去記事はこちら

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「おひたじ」のまち土浦《くずかごの唄》156

【コラム・奥井登美子】 「土浦は『おひたじ(醤油=しょうゆ)のまち』と聞いていたけれど…」 「うちの隣りのあの大きな倉も、昔、醤油を作っていたらしいわ」 「おひたじ、使い過ぎですよ。漬物にまでかけるのね」 私の母は明治時代、京橋で生まれて育った人。醤油のことを「おひたじ」と言っていた。常陸の国の「ひたち」が下町風になまって、「おひたじ」になったらしい。 私が3人目の女の子を出産したときだった。奥井家の親戚の男の人から「女っぱら…」と言われ、私は何のことやら、さっぱりわからなかった。家が重んじられた江戸時代、女の子ばかり産んでいる母親を「差別用語」でそう呼んだらしい。 まだそのような差別用語が、土浦には残っていたのかと、びっくりした。 醤油ジャブジャブの夫 私の夫、奥井清は94歳まで日本山岳会に入っていて、山登りを楽しみながら、明るく、たくましく生きて、天国にみまかった。 彼は76歳のとき、東京のお茶の水で大動脈解離を起こし、救急車で当時の東京医科歯科大学病院に運ばれた。大動脈の中膜が脳へ行く1センチ下からの解離で、脳味噌も何とか機能を保持しながら退院ができた。 3人の娘たちは、子育てしながら仕事をしていたが、介護の私を実に細かくサポートしてくれた。「女っぱら…なんて言われたけれど、女の子が3人いて本当によかった」。彼はしみじみとそう言って、3人の娘たちに感謝していた。 退院のときに医者から強く言われたのは、食事の塩分制限だった。お醤油をジャブジャブ使う夫の舌を、どうやって改造し、塩分を減らしていけばいいのか、私は途方にくれてしまっていた。 千葉大学病院で胃がんの手術をしていた外科医だった兄も、「大動脈解離の後、いつ何が起こるか分からない状態だから、2人とも覚悟して生活を変えなさい」と、心配してくれた。 医者の言うことは聞いてくれるが、私が言えば反発するに違いない。当時、霞ケ浦医療センターに栄養指導の部門があったので、そこへ2人で通院することにした。(随筆家、薬剤師)

「水エンジン」量産へ 東大発 宇宙ベンチャーがつくばに生産拠点

小型人工衛星向けの推進機(エンジン)を開発する東京大学発の宇宙ベンチャー、ペールブルー(Pale Blue 本社・千葉県柏市、浅川純社長)がつくば市内に建設していた「つくば生産技術開発拠点」の開所式が8日、大井川和彦知事、五十嵐立青つくば市長ら関係者30人余りが参加して催された。同施設では、同社が開発した「水」を推進剤とする独自のイオンエンジンの量産に向け、技術開発から製造、検査、出荷までを1カ所で完結させる。 拠点は、つくばエクスプレス(TX)万博記念公園駅周辺の工業地域に立地する。鉄骨造3階建て、敷地面積は約1900平方メートル。当初は25年8月の操業開始を予定していたが、実際の稼働は今年2月となった。 用地は県が土地区画整理事業を実施したTX沿線の上河原崎・中西地区内で、県有地をペールブルーが約9800万円で落札し、取得した。土地取得費を含む総事業費は約16億円。成長産業の本社や研究所などの誘致を目的とした県の企業立地促進補助金に、2023年12月に採択された。補助見込額は約1億5000万円。主に人材の雇用に対する奨励金として活用される。 施設内には、真空状態となった内部で機器の試験を行う真空チャンバー、振動試験機、クリーンルームなどの主要な設備があり、推進機の生産技術開発から最終検査・出荷までを自社で完結できる「一気通貫」の体制を構築した。 拠点は今年2月に稼働を開始し、現在は約15人が勤務する。生産拡大に合わせて段階的に人員を増やし、将来的には最大60人体制を目指す。生産技術や品質管理、調達などものづくり関連の人材を中心に採用を強化している。 県プロジェクトの目玉企業 ペールブルーは2020年、東大大学院で航空宇宙工学を専攻した浅川さんら研究者4人が創業した。従来の推進剤には毒性の高いヒドラジンや、希少で高額なキセノンが使われ、取り扱いに制約があった。これに対し同社は、安全で調達が容易な水に着目し、水蒸気やプラズマを噴射して推進力を得る独自の推進機「水イオンエンジン」を開発した。エンジンの重量は、水を含めて約1.5キロ、大きさは約10センチ四方と、従来型では難しかった小型化を実現。浅川さんは水の利点として「安全性、入手性、コスト」の3点だと説明する。2025年9月には宇宙空間で水イオンエンジンを稼働させることに、世界で初めて成功した。 同社が開発する推進機は、ロケットで打ち上げられた人工衛星が宇宙空間で切り離された後に初めて役割を発揮する装置で、推進剤となる水を宇宙空間に噴射し、その反動で衛星を動かす仕組みだ。機能は大きく四つある。衛星を目的の軌道に送り届ける「軌道投入」、空気抵抗や重力の影響で生じる軌道のずれを定期的に修正する「軌道維持」、運用を終えた衛星を大気圏に落下させる「軌道離脱」、増加が問題となっている宇宙ごみ(スペースデブリ)との「衝突回避」だ。 近年は多数の小型衛星を連携させて運用する「衛星コンステレーション」が急速に広がり、年間数千機規模の打ち上げが続く。衛星の数だけ推進機が必要となるため、需要は世界的に増加している一方で、供給が追いついていないと浅川さんは言う。 県は2018年、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と連携し宇宙ビジネスに取り組むベンチャー企業などを支援する「いばらき宇宙ビジネス創造拠点プロジェクト」を立ち上げた。大井川知事は開所式で「宇宙開発は新たな段階に入りつつある。つくばを中心に宇宙ビジネスに貢献できる企業を集積したい。ペールブルーはプロジェクトの中でも目玉の企業であり、県としてしっかりと支援していく」と述べた。 五十嵐市長は「世界から注目されるペールブルーの新拠点がつくば市にオープンしたことを光栄に思う」と歓迎し、約4年前から欧州の宇宙産業をリードするルクセンブルクの機関と連携協定を結び、市内のスタートアップを現地に派遣するプログラムを実施しており、ペールブルーの海外展開についても支援する意向を示した。(柴田大輔)