月曜日, 12月 15, 2025
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令和一番乗りなら筑波山頂 近場の初日の出スポットを紹介

【相澤冬樹】令和一早い初日の出を拝めるかもしれない。2020年、日本の本土の初日の出の予想時刻は午前6時46分(千葉県銚子市)から7時25分(長崎県平戸市)の範囲だが、あくまで平坦な地図上での計算。標高差を加味した日本気象協会などのデータでは、冬期閉山中の富士山頂の6時42分を除くと、筑波山山頂の6時44分は清澄山(千葉県鴨川市)と1、2を争う早さとなる。年の初め、「夜明け前が一番暗い」と格言にもあるから、お出かけには万全の注意を払い、高みを目指したい。

女体男体に3000人が登る

筑波山の初日の出。標高877メートルの女体山頂、870メートルの男体山頂からは関東平野の雄大なパノラマが広がる。

中腹まで車で行けば、ケーブルカー(宮脇駅~山頂駅)とロープウェイ(つつじケ丘~女体山駅)が山頂付近まで運んでくれる。1日はともに早朝運転を行う予定で、ケーブルカーは午前4時30分から、ロープウェイは同5時から運転する。天候や混雑度にもよるが、フル回転だと10分間隔で運行。往復の大人料金はケーブルカー1070円、ロープウェイ1120円(税込み)。

運行の筑波観光鉄道(つくば市)によれば、2019年は天候に恵まれ、日の出の時刻には女体男体に合わせ3000人以上が登っていたと見られるという。筑波山神社には大晦日、三が日とも参拝客が多数押し寄せ、駐車場待ちの長い車列ができる。神社周辺には市営の第1~第4まで約450台分、民営と合わせ1000台の駐車場があるが、元日早朝も例年満車状態となる。渋滞を避けたいなら山麓からの山登りも選択肢になる。多くのルートが整備されている。

◆筑波観光鉄道(電話029-866-0611)。筑波山観光案内所(電話029-866-1616)

富士山も見えるスポット 宝篋山・小町山

つくば市、土浦市の初日の出時刻は6時50分ごろ、標高461メートルの宝篋(ほうきょう)山、同361メートルの小町山は、少し早めに霞ケ浦方向から登る朝日を望めそうだ。目を西に転じれば天候次第だが、茜色に染まる富士山も見えるスポットだ。。

この10年、登山ルートが整備されたことにより、地元では筑波山の混雑を避けるように宝篋山に迂回してのトレッキング客が増えた。元日朝も宝篋山小田休憩所に車を置いて山頂をめざす利用者が多いが、東郷重夫さんによれば「一昨年は午前4時前、今年は3時ごろには駐車場がいっぱいになった。1000人以上登っていたのではないか」という。徒歩ならば、小田の旧市街に入って市営駐車場、小田城跡歴史ひろば駐車場も利用圏内だ。

この宝篋山の混雑から、さらに押し出される格好で近年人気なのが朝日峠近くの小町山。地元有志らが愛称を付けて登山ルートを整備してきた。こちらは土浦市小野の小町の館駐車場が利用できる。低山とはいえ、木立が深く、沢沿いの傾斜もきついので、衣類や靴を整え、装備も懐中電灯やヘッドライトは必携となる。

◆宝篋山小田休憩所(電話029-867-1368)。小町の館(電話029-862-1002)

ネイチャーセンターが早朝特別開園 雪入山・三ツ石公園

筑波山系をさらに東に向かうとかすみがうら市に入り、雪入ふれあいの里公園が整備されている。約14ヘクタールの園内には雪入山、浅間山と標高345メートルの山の連なりがあり、リピーターたちの「元朝参り」スポットになっている。地元では初詣でをこう呼ぶ人が多い。

雪入山にはかつて砕石場だった跡地を整備して、標高150メートル地点にネイチャーセンターがあり、つづら折りに急崖を登ると石岡市から土浦市にかけての霞ケ浦の眺望と鹿行地域の遠景が見渡せる。霧の出やすい地形のため、雲海のような展望が見られる年もあった。ネイチャーセンターは1日午前5時から8時まで特別開園、約100台収容の駐車場が開放される。

浅間山中腹にある三ツ石森林公園は駐車場を含め常時開園、こちらも年々出足が早まっているそうだ。

◆雪入ふれあいの里公園(電話0299-59-7000)

初日の出クルーズ船[ホワイトアイリス号」に群れ飛ぶユリカモメ=ラクスマリーナ提供

初日の出クルーズも 霞ケ浦

ご来光を拝むには東に開けた地形の場所を選ぶのが近道。茨城には大洗海岸という初日の出の景勝地があるが、土浦入りからの霞ケ浦も近年人気を集めている。土浦市大岩田、霞ケ浦総合公園のオランダ水車やネイチャーセンター周辺はごったがえすほどの人出になる。太陽が美浦村馬掛沖あたりに上がってくるのは午前6時50分ごろだが、写真撮影には1時間前ほどに来て場所を確保、空や湖面の色の変化を楽しみながら日の出を迎えるとおもしろいそうだ。

さらにアクティブにいくならラクスマリーナ(土浦市)が運航するホワイトアイリス号による「初日の出クルーズ船」がある。15年ほど続く人気企画で、土浦港を午前6時に出発、土浦・沖宿沖あたりをクルーズして寄港は7時30分ごろの予定。航行中、温かい豚汁やお酒も振る舞われる。料金は大人3000円、子供1000円。要予約で12月31日まで受け付けている。

◆霞ケ浦総合公園管理事務所(電話029-823-4811)。ラクスマリーナ(電電話029-822-2437)

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「誰かを支えたいと願う人こそ、大切にされる職場であってほしい」—。千葉県の児童相談所・一時保護所で勤務していた元職員の飯島章太さん(32)はこう訴える。 飯島さんは、過酷な労働環境で体調を崩し退職を余儀なくされたとして、千葉県に未払い賃金や慰謝料の支払いを求めて提訴している。21日、土浦市川口の古書店「生存書房」で、飯島さんの講演会「労働としてのケアを考える~千葉児童相談所裁判が問うこと」(茨城不安定労働組合主催)が開かれる。「心身が守られない職場環境のしわ寄せが、本来守られるべき子どもたちに及んでいる」と語る。 精神疾患の長期療養 3倍 飯島さんが、千葉県 市川児童相談所の一時保護所で児童指導員として勤務を始めたのは2019年4月。虐待などで家庭に居られなくなった子どもを保護し、生活支援や自立に向けたサポートを行う役割だった。現場では、定員の倍となる約40人が入所し、多い日は一人で20人の子どもを見なければならなかった。 職員不足の中、休憩はほとんど取れなかった。午前8時半から午後5時15分までの日勤では、学習支援、食事や掃除のサポート、レクリエーションなどに対応した。精神的に不安定な子どもも多く、けんかや事故など不意のトラブルにも注意を払わなければならない。不慣れな職場で十分な研修もないまま、先輩の仕事を「見よう見まね」で覚えていった。残業も頻繁で、行動観察記録や学習プリントの確認などの事務作業を終える頃には、午後8時を過ぎることも多かった。 月に4~6回の宿直勤務は、2人の職員で40人を担当した。約21時間勤務の上、残業もあった。子どもたちの就寝後は、翌日の会議や行事の準備、子ども一人ずつの記録作成に追われた。緊急一時保護の受け入れや体調不良の子どもへの対応で、仮眠時間は廊下に布団を敷いて待機し、「横になれても眠れたことはほとんどなかった」と振り返る。 こうした勤務の中で飯島さんはうつ病を発症。休職と復職を繰り返し、2021年11月に退職することになる。翌22年7月、千葉県を相手取り総額1200万円の損害賠償を求め千葉地裁に訴訟を起こした。 「自分の経験を個人的な問題で終わらせたくなかった」と飯島さんは話す。千葉県では2020年度、児童相談所の専門職員の精神疾患による長期療養取得率は、他の県職員の3倍以上にのぼり、その約半数が20代だった。体調を崩したのは、決して飯島さん個人の問題ではなかった。 子どもを管理する葛藤 勤務する中で飯島さんが最もつらかったのは、「子どもを支えたい」という思いで選んだ職場で、いつしか子どもを「管理する側」に回ってしまったことだった。飯島さんは、大学2年から6年以上、子どもの電話相談ボランティアを続けていた。修士論文のテーマにもしたこの経験を生かし、「子どもの側に立ち、丁寧に話を聞き、支えになれる仕事」として選んだのが児童相談所だった。 しかし実際の現場では、思い描いた仕事はできなかった。子どもたちは多数の細かいルールに縛られていたからだ。ティッシュ1枚を使うにも職員の許可が必要とされ、起床時間まで布団から出てはならず、食事は完食が原則で、残すには許可と謝罪が必要とされた。根拠があいまいな規則に従わないと、強く叱責される子どももいた。集団生活を送る上で規律は必要とはいえ、「刑務所みたい」とつぶやく子どもを目の当たりにし、「家庭で傷ついた子どもを、さらに傷つけてしまっているのではないか」と葛藤した。しかし激務の中で、抱いた違和感はまひしていったという。 「本当は一人ひとりの話を丁寧に聞き、その子の背景を理解しながら支援につなげたかった。学生時代にしていた電話相談の延長線のような仕事がしたかったんだと思う」と飯島さん。学生時代に積み重ねてきた経験が無価値になっていくことに追い詰められていく。ふと我に返った時、自分を信じられなくなる恐怖に襲われた。そして、心身は限界を迎えた。 応援してくれる人は必ずいる 訴訟では7人の弁護士が弁護団「じそう弁護団ちば」を結成し飯島さんを支えている。千葉地裁は、飯島さんが、人員不足や多忙により十分な研修がないまま現場に配属されたこと、休憩や仮眠時間にも作業があったことなどが「安全配慮義務違反」にあたると認め、県に50万円の支払いを命じた。県は即日控訴し、東京高裁での控訴審は10月9日に結審。現在、和解協議が進められている。 飯島さんは「紆余曲折の中でも、今こうして生きてこられたのは、多くの人の支えがあったから」と語る。一方で、「児童相談所に対して世間からは厳しい声も多い。職場では、社会に味方がいるのかと不安になる職員もいた。でも裁判を通じて、応援してくれる人は必ずいると実感できた」と振り返る。 今回の講演会に向けて「今も不安を抱えながら現場で働く職員はたくさんいる中で、120%の力で働く職員に『頑張って』とは言えないが、こういう仕事を選び、子どもたちのために働く人がいることを多くの人に知ってほしい。社会の中で、児童相談所が抱える問題に関心が広がり、職場環境が改善されることで職員が安心して働けるようになれば、それが何より子どものためにつながる」と語る。(柴田大輔) ◆飯島章太さんの講演会「労働としてのケアを考える~千葉児童相談所裁判が問うこと」は21日(日)午後2時から、土浦市川口2-2-12、古書店「生存書房」で開催。参加費無料。参加申し込みは専用サイト、またはメールibarakifuantei@gmail.com(茨城不安定労働組合)、電話050-1808-8525(生存書房)へ。

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