金曜日, 2月 6, 2026
ホームつくば30匹に不妊去勢手術 つくば 増える空き家に住みつく野良猫

30匹に不妊去勢手術 つくば 増える空き家に住みつく野良猫

【橋立多美】つくば市森の里の自治会公会堂駐車場で16日、野良猫の集団不妊去勢手術が行われた。入居開始から40年を経た森の里は高齢化によって空き家が増加し、管理されていない空き家に住みついた野良猫への苦情が自治会に多く寄せられている。

住民間のトラブルの原因にも

庭の芝生が糞尿や嘔吐(おうと)物で汚されて臭く、衛生上問題がある。花壇が荒らされる、発情期の鳴き声がうるさいといった苦情が続出。さらに、野良猫にとって空き家は繁殖の場所としても最適で、子育て中の母猫の姿にほだされ、餌を与える人に非難の目が向けられるなど、住民感情が二分される状況を生んだ。

移動手術室トレーラーの前に立つ獣医師たち。右から2人目が稲垣将治院長、左端が重松聖子さん=同

増え続ける野良猫に困った住民たちに応えたのが、県南を中心にTNR活動を推進している動物愛護団体「Team.ホーリーキャット」(重松聖子代表)。命の尊さを未来に繋げようと2年前に発足した団体で、県地域猫活動推進事業=※メモ=として不妊去勢手術を実施した。

TNRとはTrap(捕獲)、Neuter(不妊去勢手術)、Return(元の所へ戻す)の頭文字。不妊去勢手術を施す時には手術済みの目印として猫の耳先をV字にカットする。繁殖防止と殺処分の減少に寄与する一方、餌やりをしても増える心配がないので住民同士の対立は和らぐ。

手術前日、団体スタッフが森の里各所に餌を入れた捕獲器をセットして野良猫30匹(雄14匹、雌16匹)を捕獲した。施術したのは移動手術室トレーラーでやってきた、埼玉県越谷市のいながき動物病院の獣医師4人。

不妊去勢手術の普及によって子猫の殺処分を減らそうと、稲垣将治院長をはじめ獣医師たちは土浦分院などで定期的に手術を行っている。手術と3種混合ワクチンを接種された野良猫たちは翌日元いた場所に戻された。

猫を飼っている女性(72)は、強い雨の日に子猫をくわえた母猫を哀れに思って家に入れた。それ以来、餌をもらいに現れるようになったが周囲の目が気になっているという。「これで猫好きな人と苦手な人がぶつかることがなくなるとうれしい」

自治会長の倉本茂樹さんは「1980年代に約5000人が住んでいた森の里だが、今では子どもたちが独立し約2900人にまで人口が減り、2人に1人が高齢者。子どもの元に身を寄せたり施設入所などで空き家は100戸に上る。空き家に住みついた猫に1人暮らしの高齢者が寂しいからと餌をやって近所とトラブルになる。今回の取り組みで好転してくれると助かる」と話す。

Team.ホーリーキャットは活動の一環として毎月牛久市で里親会を開催している。問い合わせは代表の重松さん(電話090-8058-3129)まで。

※メモ 県地域猫活動推進事業

不妊去勢手術の徹底、周辺美化などのルールに基づき、野良猫を地域で飼育する地域猫活動を支援し、手術費用の補助を行う。2018年度は605匹分の手術費用補助を行い、野良猫の減少や糞尿被害に関する苦情の減少などの効果が報告されている。

 

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ふるさとのない時代《くずかごの唄》154

【コラム・奥井登美子】お正月には誰も故郷に帰りたくなる。私が育ったのは荻窪のみどり幼稚園。緑の名の通り、生垣に囲まれた家と野原の、のんびりした緑色の住宅街だった。 しかし今の東京の町はどこも高いビルばかりで、緑がない。故郷という言葉とはかけ離れた風景になってしまっている。私の故郷と呼べるような所は、もうどこにもなくなってしまったのだ。 幼い時、父の故郷、新富町へもよく連れて行ってもらった。父は歌舞伎座が新富座であった頃の、鉄砲洲小学校出身。「菅原伝授手習鑑」などに寺子屋の子役として駆り出されて、よく出演させられたそうだ。台詞(せりふ)も筋もよく覚えていて、よく私に語って聞かせてくれた。 隅田川のほとりに町があって、父は「〇〇ちゃんの店でノリを買おう」などと、昔の友達の家に寄っておしゃべりするのを楽しみにしていた。父の故郷はいま、日本ではない、高いビルばかりのどこか架空の空間になってしまっている。 タケちゃんの文が朝日に載った 1月27日の朝日新聞「折々のことば 鷲田清一」に、加藤尚武の文が載っていた。「個人の間の平等は、ある程度まで…自然の平等に支えられているが…国力の差は、ネズミとゾウの違いよりも大きい」 加藤尚武は私の弟のタケちゃん。京都大学の哲学教授を務めた後、鳥取に環境大学を創り、環境問題を、哲学のまな板の上に載せた人。「環境問題のすすめ」という著書もある。生活者として、医療と環境を意識して生活している。 加藤家の男たちはみな食べるのが好きで、父も、兄も、タケちゃんも、好きなものを自分で作って食べるのが趣味だ。 私はせめてせめて、お正月くらいは、おしゃべりの好きな弟のタケちゃん、母の昔の味の料理を作ってくれる妹、姪たちに会って、亡くなった父、母、兄の個性を偲(しの)びながら、今の子供たちと比べて、大笑いするしかないのだろうか。(随筆家、薬剤師)